61. アヒルと鴨のコインロッカー
《ネタバレ》 「脚本重視で評価している」というレビュアーがいらっしゃって、騙されたと思って借りてみたんです。 このタイトルじゃ、またいつもの「クソ煮込みうどん映画」ではないかと不安も感じたのですが、その不安を見事に裏切ってくれた良作です。 小道具や伏線、留守電にボーリング場の音が聞こえただけで現場を特定してしまうところなど、仙台という地域を上手く使ってあると思います。 時間軸をずらす手法は散々使われてきていますが、本作が他の作品と違うところは、時間軸を変える度に主人公、つまり感情移入する人間を変えていくところにあるのです。 1時間50分でキレイに収めた編集は私にとって、ちょうどいい長さです。 これ以上長くなるとダレる。 時代が今だからこそ、こういう結末がOKなのでしょう。 理不尽な犯罪が多い中、それを悲しんでいる人たちも多く存在することを表現してくれた素晴らしい映画です。 内田けんじ監督のテイストが感じられますが、他のレビューを読むと原作が素晴らしいようですね。 今度読んでみます。 [DVD(邦画)] 8点(2009-08-25 15:24:53) |
62. アズールとアスマール
《ネタバレ》 「夢中」という感想が一番ピッタリきます。どういった経緯、理由でそうなったのか?…そんなこと全く説明しません。話はトントン拍子で転がっていきます。 そう、これは映像と映像の間を自分の右脳で埋めていく映画なんです。 公式サイトではヨーロッパとイスラム、異文化の融合がテーマだと書かれていましたが、私はそうは思いません。 アズールは自分の国を捨てて異国へ旅立ち、両国の文化を知る乳母に助けられ、その国の妖精と結婚した。シンプルな話なんです。素晴らしいじゃないですか? 私はそう解釈します。 悪く言うと現実逃避。よく言うと……やはり現実逃避。スピリチュアルを強く感じるせいか、現実の生活に戻るのが嫌になります。 ツートンカラーの無機質な映像から不思議な温かみが感じられます。 ちっちゃなシャムスサバ姫がメチャクチャ可愛いです。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-08-16 02:19:21)(良:1票) |
63. あらしのよるに
《ネタバレ》 観賞前に、ここのレビューを見なかったことを後悔しています。 勝手な私の想像ですが、作者はある日「突然の大雨で雨宿りしたら、バッタリ会ったのが思いがけない人だったら……」とか閃いたと思うんです。さらに、それが狼と羊だったら…ねえ、監督、どう? このアイデア? それからは先の話は「ロミオとジュリエット」「ウエストサイドストーリー」と同じ構成です。 でも、狼と羊でしょ?……どうしても無理があります。 で、結局これ何が言いたいの?って感じの、感情移入できないアニメでした。 [CS・衛星(邦画)] 2点(2009-08-12 04:08:00) |
64. 歩いても 歩いても
ディスクのタイトルの下に、原作、脚本、編集、監督という肩書で名前が出ていたので、よほどの自信作なんだろうなと思って鑑賞しました。 確かに面白い。女性監督には出来ない計算された伏線がいっぱい詰まっている。 最近の映画は、のんびりしたストーリーでも、2時間を平気で超すものが多くて嫌気が刺していたが、約110分、なんとか最後まで鑑賞出来た。 複線もしっかり、セリフもちゃんと含みを持たせて、なかなかとは思ったが……。 正直言わせてもらうと、山田太一、倉本総、向田邦子のドラマを見つくした私には「もう、こういう映画はいいかな……」という感想しか残らなかった。 ホームドラマを見たことがない人にとっては新鮮さを与えるかもしれないが、同じような映画は過去に山ほど作られていることを訴えたい気持ちになる。 [DVD(邦画)] 5点(2009-07-08 00:33:09)(良:2票) |
65. あの子を探して
《ネタバレ》 学校から突然いなくなった子供を探す13歳の先生。児童が一人でも少なくなったら、賃金が貰えない。でも、映画の中では、その理由はあまりハッキリさせず、探し続ける賢明な少女の姿だけが描かれている。町へ居なくなった少年も含めて、子供たちはただ生きることだけに必死なのだ。 チョーク一本にどれほどの価値があるのか、痛いほど伝わってくる。 前列左に座っている少女は要チェック! ちょっとした仕草がめちゃくちゃ可愛い。 映画とは関係ないが、先週、中国のある田舎の18歳の少女のドキュメンタリー番組を観た。この番組は5年前も少女を追いかけていて、高校に行けず仕事の手伝いに明け暮れていた少女は、同情した日本の視聴者の協力で高校進学できたものの、今は勉強についていけずに中退して、仕事もなく、村では居心地悪い存在に扱われている。 本作は10年前の作品だが、中国が北京五輪で盛り上がろうと、貧しい農村の現状は今も全く変わっていないのが、とても悲しい。 この映画にはメイキングDVDが存在するが、その中で、チョイ役の女の子が、この映画でギャラを貰って家族のために家を建てたいと言った言葉が、とても切なく思った。 映画自体は決して暗いだけのストーリーではないので、メイキングも含めて必見! [DVD(吹替)] 10点(2009-05-21 13:27:04) |
66. アメリカの友人
《ネタバレ》 満足した「都会のアリス」に続いて鑑賞し、期待してしまったせいか、イマイチパッとしなかった。 展開の変化とクライマックスの盛り上がりに欠ける。 ストーリーは死の宣告を受けた主人公が家族のために殺しを引き受けるといったところだが、つかみどころのないシーンの連続に退屈する人が多いかと思う。 一応、西ドイツ映画でフォルクスワーゲンも使われるが、英語のやりとり(デニス・ホッパー)もあるせいか、ヨーロッパよりアメリカの雰囲気が漂っている。 クレジットではデニス・ホッパーが主役のようにみえるが、実際は「イージーライダー」と同じようなポジション。次元大介である。 殺しのシーンは敵の抵抗もほとんどなく淡々と実行されていく過程が冷酷さを増してアクションとは違うスリルを味わった。しかし、一つ言わせてもらいたい。本作を観て「太陽がいっぱい」の続編と気付く人間がどこにいるというのだ?! [レーザーディスク(字幕)] 5点(2009-02-16 08:25:14) |
67. 暗戦/デッドエンド
「男たちの挽歌」以上、「インファナル・アフェア」以下に位置していると思う。 どちらか一方でも満足された方は必見の娯楽作品。 いかにも「香港!」という感じのコミカルな要素もあるが、小道具や伏線がかっこよく、スピード感あふれる展開に観る者を退屈させない。 アンディ・ラウが香港の映画祭の金賞を取っただけあって、やはり見どころは彼の存在と言っていい。 それから90分でまとめた監督の実力を付け加えたい。 [DVD(吹替)] 7点(2009-02-09 15:02:50) |
68. 悪魔スヴェンガリ
《ネタバレ》 タイトル、ジャケット共に損してる感じ。悪魔といっても、子供だけが楽しむような話ではありません。こういう悪魔だったら誰の周りにも何人か必ずいます。 ヒロインの女の子は、ジャケットの横顔は顎がシャクレていますが、実際はメチャクチャ可愛いです。シャクレてなんかいません、絶対に。それからヌードまで披露しています。 このヒロインのトリコになり催眠術で洗脳するのが、気色の悪い髭のおじさんなんです。 本題はどちらかといえば「決して叶わぬ恋の話し」なんですが、戦前の作品とは思えないレベルの特撮とスリラーを味わうことができます。 「天井桟敷の人々」の雰囲気もあります。 [DVD(字幕)] 6点(2009-02-01 06:56:17) |
69. 暗殺者の家
他のレビュー通りの作品。でも女の子がすごく可愛いし、76分という短い上映時間の中で、スリルと感動を最低1つは味わえると思う。 DVDの冒頭で流れる淀川長治の解説は何故か「レベッカ」の話(ネタバレ注意!)だけで、この作品については何一つ語られていない。 これ以上の作品を望むなら、メルギブソン主演の「身代金」(オリジナルは『誘拐』)がお勧め。 [DVD(字幕)] 5点(2009-01-26 21:47:33) |
70. 赤毛のアン/アンの結婚〈TVM〉
原作未読。本作は、キャラクターだけを使い、時代背景も変えたオリジナルストーリーとのこと。作者のモンゴメリーは天国で何と言ってることでしょう。きっと森進一の「おふくろさん騒動」なんか比べ物にならないくらいのショックを受けているだろうと思います。 この映画には周囲の人たちを惹きつける想像力豊かな少女アンの面影は全く描かれていません。 前2作の生き方を完全否定したかのようなセックスと血生臭い匂いがプンプンします。 「ターミネーター3」と同じような感想を持ちました。「なんなんだ、これ?」って感じです。 そのうち製作者側から「この作品はなかったことにしてくれ」と言って4作目が作られるかもしれません。 でも考え方を変えれば、これは原作者の書いたものではないから1作目のアンは永遠なんだと割り切ることができます。 ホント、かなりのコケ具合です。 「赤毛のアン」を餌にして、確実な興行成績を狙っただけの作品。 俳優陣は出演を拒否すべきだった。 [DVD(吹替)] 3点(2009-01-20 00:17:39) |
71. 赤毛のアン/アンの青春 完全版〈TVM〉
原作未読。2日間で3部作鑑賞。1作目に比べると、ドラマの荒さが目立ち、たとえ未読でも話が飛んでいるのがわかります。でも面白いです。4時間は決して長く感じませんでした。原作を読んでみようというきっかけを作ってくれます……この第2部までは。 ミーガン・フォローズは本当に魅力的で、彼女以外にアン役は考えられません。原作も沢山あるのですから、大河ドラマみたいに50話くらいにして完全なものを作れなかったのかと残念でなりません。 [DVD(吹替)] 9点(2009-01-19 23:57:05) |
72. 赤毛のアン/完全版〈TVM〉
昨年、NHKで「赤毛のアン」が頻繁にヒューチャーされていたので、とりあえず…という感じで鑑賞してみたのですが、この作品は私の今後の人生感を変えてくれるものになりそうです。冒頭からエンドロールが流れるまでの約3時間、悲しみ、笑い、喜び、そして感動…涙のフルコースを味わってしまいました。 この作品に出会えたことを神様に感謝します。 今年のマイブーム第一位は、続編を加えて、繰り返しの鑑賞、それから原作本の読破で決まりでしょう?! 因みに、アンの世話役になる二人の吹き替えが、波平とフネの声優さんだったのは違った意味で笑えました。 [DVD(吹替)] 10点(2009-01-19 02:20:28) |
73. 相棒 -劇場版- 絶体絶命!42.195km 東京ビッグシティマラソン
《ネタバレ》 このサイトは比較的辛口で客観的なことから、登録前から参考にさせていただいていたが、本作については平均5~6点と、意外に高い評価(?)で驚きである。 以前から、ドラマ版のファンであるが、過去観てきたエピソードの中でも本作はワースト3に入る。 宣伝でアピールしていたマラソン大会、盛り上がっているのはスタートする時だけ。事件はおよそ開始90分で解決しているのに、それから30分近くもダラダラと会話劇が続く。 テレビドラマを知らない人のために、気を配った説明台詞が随所に散りばめてある。脚本家の腕は買うが、既にドラマを観ている者にとっては、やはり倦怠を感じさせずにいられない。 テレビに出てたというだけで握手を求めにいくような薄っぺらい人間たちがいる……そんなミーハーな連中が観客動員数に貢献しただけのはなしである。 「ヒット作」=「面白い作品」ではないことを、ここでハッキリと言っておきたい。 テレビドラマの方は面白い。 [DVD(邦画)] 3点(2008-12-10 06:45:52)(良:1票) |
74. アフタースクール
まず予備知識なしで鑑賞することを勧める。コメディタッチのサスペンスで完全娯楽として観るべし。どんな一流のサスペンスにも欠点は存在する。作品のアラ探しをすることでしか満足できない人間にはお勧めできない。 監督は前作から何年もの歳月と苦労をかけて製作させたようだが、もし直接お会いすることができたら「あの映画(本作)、すごく面白かったですよ!」って声を掛けたい。 肩肘張らずに観ることができるが、台詞の一つ一つに深い意味があるので、二度鑑賞する時間を作っておいたほうがいいかも。 役者は最高の演技をしてくれているが、音声解説の大泉洋は少々うるさい。 [DVD(邦画)] 7点(2008-12-10 00:13:31) |