1. アンダー・ザ・シルバーレイク
《ネタバレ》 「イット・フォローズ」監督の新作。 ミステリアスなロードムービー的な雰囲気は決して悪くない。でも最後の最後に明らかになった真相がショボすぎ。あんな所で2、3日過ごしたら「やっぱり外がいい」と思うでしょ。絶対。 最初の方の打ち上げ花火は「集合」の合図だったんでしょうか。「子連れ狼」読んでますね。 かつての中流家庭の若者がセレブと現実に対して見る幻想。 「イット・フォローズ」レビューで鋭い分析をしてる方がいたけど、トランプが何故支持されるか、この辺りの感覚から紐解くと解りやすいかもしれない。 この監督、感覚は良いものがあるので、あと2、3作は頑張って作ってほしい。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2024-08-31 21:43:00) |
2. アメリカン・ユートピア
《ネタバレ》 舞台をネタにしたドラマかと思ったら、コンサートの様子をそのまま収録した音楽映画。 デヴィッド・バーンのニューアルバム「アメリカン・ユートピア」に併せた世界ツアーの評判が良かったため、ブロードウェイ舞台用に再構築した所、これも更に高評価を得たため映画化に結び付いたとか。 バンドメンバーは総勢12名。ヴォーカル、ギター、ベース、キーボード、ダンサー2名、あとはドラムスとパーカッション群。 アフリカや中南米の民族楽器を自家薬籠中の物として使いこなすさまは、さすがかつてのワールドミュージックの先駆者という感じ。 本作の目玉は楽器が全てワイヤレスで繋がれている事。キーボード、ドラム、パーカッション群は吹奏楽団のごとく楽器を肩からぶら下げており、全員が自由に動き回れる。 通常のライブだとギター、ベースのみがコードが伸びる範囲で動き回れるものですが、ここではメンバー全員の行動に物理的制限が無いため、様々なパフォーマンスが楽しめます。最後は全メンバーが演奏しながら観客席の一番最後列のを後ろをグルーッと1周して帰ってきたりする。 ただブロードウェイ・ショー用のプログラムの為、ロック的要素は希薄。寸劇、パントマイム、ダンス、マスゲーム等が新作やトーキングヘッズ時代からの代表曲を介して連なっていくという感じ。 ここに何でスパイク・リー監督が絡んでくるかというと、プログラムの最後の方に黒人差別反対の明確なメッセージを打ち出した曲があるため。冒頭から始まる「脳の仕組みの話」も、なぜ差別が生まれるかという話に収束していく。タイトルロゴで「ユートピア」の文字だけ反対になっているのは「現在はユートピアではない」というメッセージが込められているため。 この辺は個人的には、既存メディアの主張と言っている事が同じ過ぎてアートの表現としては微妙でした。黒人差別を無くすべきなのは当然だけど、アジア人である自分が心を寄せられる存在は、どちらかというと原住民族であるインディアン(ネイティブ・アメリカン)。彼等から見れば「白人も黒人も土地を返して帰ってくれ」というのが本音ではないのか・・等々と考えてしまい、これだけ「多様性」「多元性」が声高に主張される割には、表現が少し一方的・単線的すぎるような気がしました。 ただそれらを差し引いても、アイデアも音楽も面白く、クリエイティブな姿勢が清々しい。とても元気をもらえる映画でした。 ダンスパフォーマンスと言えば忘れもしない、気色の悪い白塗り舞踊(朝鮮の「病身舞」だとか?)を敢行し、日本のみならず世界中の元気を奪い取ってしまった東京オリンピック開会式。あんな事やっておいて、演劇に客が入らないので国の補助金よこせ云々言ってる模様だし。関係者達に本作の爪の垢でも煎じて飲ませたい感じ。 そもそもかつてバーンとともにアカデミー賞を共同受賞した坂本龍一って何やってるんだろう。YMOや「戦メリ」など何十年も前のカビの生えたような自慢話を繰り返しているだけのようで、今なお第一線級のクリエイティビティを発揮するバーンとはあまりに対照的。日本の音楽・アート業界って一体どうなってしまったんでしょうか。何故こうも違うのか。こっちの業界も今話題の在日と某教団に汚染されまくっているんですかね。 [映画館(字幕)] 8点(2022-10-08 07:04:30) |
3. アス
《ネタバレ》 ドッペルゲンガーと言っても鏡に映したような瓜2つが出てくるわけでなく、どことなく似ているというだけの一見全くの別人(俳優は全て1人2役だったそうですが)。「コイツら一体何なんだ」というワクワク感は新鮮でした。 ビーチの遊園地の安っぽい見世物小屋・・地下に降りていくと機械室やボイラー室があり、中に分け入っていくと巨大なエスカレーターが出現し、降りていくと広大な人工地下空間が現れる、何故かそこには無数のウサギが跳ね回っている・・筒井康隆辺りの幻想小説に出てきそうな情景。こういうセンス好きです。 ただ、もっと大迷宮のようなものを期待したのがそれほどでも無かったのが残念。 地下空間のバレエを上演している間にアメリカ大陸のどこかではロックコンサートあり、クラッシクコンサートあり、ジャズライブあり、ミュージカルあり、はたまたスタジアムではベースボールやアメフトの熱戦が行われている。アメリカ人の影全員を収容するには更に広大な空間が必要なはず。そういう点でもCGや書割駆使してもっと地下空間の描写に凝ってほしかった感じです。 もう一つ残念なのは、最後の取ってつけたようなオチ。こういう真相であればドッペルママの恨みは表の人類全体とかではなく「よくもこんな目に合わせてくれたわね」とリアルママ個人に向かうはず。どんでん返しで新たな違和感生み出されても。もっと伏線を張ってほしかったです。 とはいえ独創的なアイデアも相まって、お話そのものがとても面白かったので良。黒人版シャマラン狙ってますね。 それにしても黒人家庭でもお父さんって大変なんですね・・。 [DVD(字幕)] 7点(2021-05-11 23:13:59) |
4. アポカリプト
生贄の儀式というと「地獄の黙示録」の御牛様を思い出しますが、本作にははあのようなある種の神聖・荘厳な雰囲気が無い。一般的に生贄の儀式とは、大切なもの(例えば手塩かけて育ててきた家畜)をあえて無駄にしてしまう事に「神への捧げもの」としての意義があるんだと思います。そういう点、あんなに軽々とゴミを捨てるように次々殺してしまっては、有難味もへったくれもないような。どこまで歴史考証をやったのか知りませんが、「異教徒は野蛮人」という欧米式の偏見が抜けきっていないようで少々閉口しました。ファンタジー・アドベンチャーとしてみれば中々面白かったです。 [DVD(字幕)] 7点(2011-11-06 17:03:02)(良:1票) |
5. 悪魔のいけにえ
《ネタバレ》 ガソリンスタンドに逃げ込んで、あー助かった、で終わっても十分怖かったと思いますが、ここから先の展開が凄い。あの古屋敷に連れ込まれ、残り1人になって誰も頼れないのに、相手の方は異常な奴がどんどん増えていく…おそろしや。下の方も仰っていますが、終わり方がイイ。逃げ延びてほっとするのでなく、狂ったように笑い転げる主人公が絶妙でした。オープニングのコロナや、月のアップ、BGMはほとんど自然音等、アート的なセンスも仄かにあって良です。マイケルもジェイソンも居ない時代にこの完成度…やむにやまれぬ創作意欲にかられて作られた物はさすがに強度がありますね。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2011-10-16 10:56:57) |
6. ANA+OTTO/アナとオットー
《ネタバレ》 凛とした冷気の中に漂う人柄の暖かさ・・・というイメージで北欧は好き。後半の湖畔での生活シーンはそういう感覚を堪能できて良かったです。お話もよくできてると思いました。ただ、恋人に会うために貨物機を墜落させるのは幾らなんでも無茶過ぎ。その貨物機には様々な人が大事な人に宛てた手紙や小包が積まれていたかもしれないのに。そもそも普通に旅客機で来てればあんな悲劇になってない・・・と思うと少し微妙でした。 [DVD(字幕)] 7点(2011-06-23 22:58:42) |
7. “アイデンティティー”
《ネタバレ》 推理小説で言う所の「嵐の山荘もの」は好き。ただ今では「意外な犯人とくれば刑事のどちらかか、ひょっとして子供かなぁ・・・。」とか思って見てしまう。普通のミステリーだったなら「やっぱりそんなオチか」程度の印象しか残らなかったでしょう。その点、こういうアイデアで一旦収束して更にコレ、っていうのは斬新で良かったです。でも実際の所、その性格で現実に生活してないと多重人格とは言えないのでは。本当に女装してオレンジ畑を耕しているとか。現実に体験をして、それがフィードバックされ、考えて、行動して、また体験をして・・・その無数の繰り返しによって初めて人格が形作られてくるものでしょ。売春婦として幾多の男性遍歴を重ねた体験なんて、あの容貌でどうやって人格として取り込めるんだ。アレは単なる脳内妄想であって、それで連続殺人犯が無罪になってしまう事が一番ショックだったかも。 [DVD(字幕)] 7点(2011-05-29 23:49:02)(良:1票) |
8. アレキサンダー
空撮も多用しての戦闘シーンの迫力は今まで見た中でも屈指のもの。ギリシャ~アジア~インドの文化的な描写もそこそこ良かったです。ただし肝心の主人公アレキサンダーに大王としてのオーラというか魅力がないのが残念。ホモで気弱な普通のアメリカ人みたいです。ペルシャ大王はカッコよかったのに。 [DVD(字幕)] 7点(2009-01-12 19:54:30) |
9. 悪魔のいけにえ2
なぜブレーキかけない?なぜ警察が張り込んでない?なぜ銃器用意してない? …残虐さよりもツッコミすぎて気分が悪くなりました。地獄の遊園地のセットは迷路みたいで良かったです。 [DVD(字幕)] 5点(2005-08-28 22:32:12) |
10. 悪霊島
原作者の晩年にメディアにせっつかれて、アイデアが充分練りこまれてない内に世に出されたという感じの原作。「いまいち盛り上がらないなぁ…」と思いつつ読んでた記憶があります。映画も同様にいまひとつ何か足りないという感じ。横溝氏が生きておられれば他作品同様にリライトを繰り返し、肉付けがなされた上で傑作足りえていた可能性もありますが…残念。 映像は綺麗でロケーションやセットも良、映画全体のムードは結構好きです。「聖域」に辿り着くまでにもっと紆余曲折してほしかった気もします。 6点(2004-09-07 22:47:56) |
11. 悪魔の手毬唄(1977)
個人的に原作は「夏」的な印象ですが本作は「秋」。いかにも「晩秋」というイメージぴったりの映像が見事です。若山氏出演により暖かくも重厚なムードが醸し出されてイイ。基本的に善人である犯人があれだけの猟奇行為を行う動機が不十分な気もしますが、推理小説でそれを言っても仕方無いのかも知れません。 7点(2004-09-07 22:34:04) |
12. アナライズ・ミー
割合面白かったです。デニーロ、コメディやらせても一級品だなぁ。終盤の展開はちょっとお約束的すぎる気もしました。 6点(2004-09-05 12:28:13) |
13. アバウト・シュミット
日本と違ってアメリカでは老後の親と同居する習慣があまり無いそうだけど、そうなるとこういう人も居るんだろうなぁ・・・って感じ? ラストは救いなのか、或いは必死にやってきた挙句にこんな事しか残っていない悲哀を感じるべきなのか・・・製作者の意図が解らずリアクションに困った映画でした。 6点(2004-09-05 01:07:19) |
14. アザー・ファイナル
「世界最下位決定戦」なんて悪趣味か偽善の極みかと思ってましたが、全然違いました。製作者、選手達、関係者等の姿勢も素晴しく真摯。普段ほとんど見ることのないヒマラヤの仏教国とカリブの小国の文化・風習も大変興味深く見れました。こういう平和的な文化交流もサッカーの醍醐味の一つですね。(…そう思うとあの世界の祭典をエゴと贈賄で汚してしまった某国は改めて許せない。) 何気ない街角をサッカーボールが転がっていく等のスタイリッシュな映像も良。 滅多に見ることの無い映像・内容のため1点プラスです。 9点(2004-05-29 21:24:04)(良:1票) |
15. 愛と哀しみの旅路
ちゃんとアメリカ国籍持ってる国民を「日系である」という理由だけで財産を没収して投獄する…考えてみればスゴイ話。こういう話を他国の映画で初めて知るなんて、日本の教育って一体どうなってるんだろう…? 7点(2004-03-03 23:53:33) |
16. アザーズ
あらゆる面でよく出来たホラー映画だと思いました。豪壮なゴシック洋館のムードをここまで活かしきったのは見事。 光を浴びれない子供達の描写は、どこか子供時代のノスタルジー…台風前夜とか、夏休みの夜更かしとか…を刺激するものがあって良かったです。 同じオチで有名なシャラマン監督の映画がありますが、あっちはこのオチが無くても物語が成立するのに比べ、こちらはあらゆる要素がオチに収束される。密度の高いシンプルな構造美。映像的美しさも相まって個人的にはこちらに軍配です。 [DVD(字幕)] 10点(2003-11-29 01:52:09) |
17. アギーレ/神の怒り
《ネタバレ》 ジャーマンロックの異端児、POPL VUHの音楽が好きで関心を持ちました。成程この映像にあのサウンドか…という感じで納得。 指導者が狂っているので全滅は必至、その最後の一人になるまでを 淡々と描写。 ラストの情景が印象的で、そのまんまの結末なのに何故か満足度は高かったです。 7点(2003-11-20 20:28:09) |