1. アジャストメント
《ネタバレ》 冒頭15分は上院選に立候補する男の政治ドラマ。いやーいいね!このアメリカの選挙の感じすごくいい。このまま政治ドラマ続けてくれんかな~でもこれディック原作のSFなんだって?ディックもSFも好きだけどこれをぶち壊すのはもったいなくない? はいぶち壊されました。なんともありきたりなMIBが襲ってきます。そして偉そうなこと言います。当然主人公抵抗します。そして勝利します。理由はよくわかりません。 ディックSFのキモは普通の生活に突如侵入する異世界感だと思うのだが、その演出が上手くない。怪しい男たちがいかにも怪しげに登場してドジを踏む。いや人類社会がこんな奴らに支配されているわけがないだろう。役者の演技は主役のマット・デイモン以下みな素晴らしいのだが・・・。 各シーンは冒頭の選挙からどれも実によく作られていると思うのだが、中盤の白髪オヤジがぶっちゃけるシーンからカメラワークが怪しくなる。どうもこのあたりで製作陣がデスマーチ状態に入ったようだな。それからバタバタと話が進み、最後は「運命は自分で切り開くもの」的なナレーションで終わる。役者陣は頑張っているが映画自体の終盤の投げやりぶりがすごい。そしてエンドロールで急にハードロックかけてイイハナシダナーで終わらそうとしても駄目だろ! 監督のジョージ・ノルフィは初期からSFに関わっているようだが、成功したのはそれ以外の分野。やはりSFは上手くない。しかし現代劇を丁寧に構築する能力はあると思う。冒頭の「スラム育ちの青年が政治の世界でのし上がる」話をそのまま延長して政治ドラマ作ってくれんかな。タイトルは『アジャスト』とかで。 [インターネット(字幕)] 4点(2023-05-13 23:39:48) |
2. アベンジャーズ/エンドゲーム
《ネタバレ》 前作の終わりからどうなるのかと思ったら始まってから超展開に次ぐ超展開。先が読めないと言うより、まっすぐ読める先の先を行く展開。終わってしまえば前作終わりの超展開は増えすぎた人員の整理だったのかと思えるが、急に仲間が減って絶望の中で細々と暮らす寂寥感もいい。そのぶん全員集合のカタルシスも文句なしにある。「合戦」の最中に止まって会話しすぎという問題はあるが。 心身ともに憔悴したスターク、自堕落な生活でデブになったソーの描写はすごい(スタークは回復するがソーは最後までデブのままかよ!)。気に入ったのはソーママがロケットにとても可愛く挨拶するところ。こういうディテールはどこまでもすごく良く出来てる。 ここまで広げまくった話をまとめたのは一つの偉業ではないだろうか。そりゃ設定はおかしいが、もはやそれを言う段階は超えている。有無を言わせぬ物量もある。ナターシャとバートンのあれは意味分からなかったが。(お前らいつの間に?) 終わってみれば無理がある話だなーと思わなくもないが果汁と砂糖気とアルコール分で観てる間は存分に酔わせてくれる。そしてサイドストーリー以外にもう直接の続編は作らないよ、と宣言する終わり方。ラストシーンは長いがこれは仕方ない。ちゃんと終わらせるのは大事。 [ビデオ(字幕)] 8点(2021-08-15 22:57:10)(良:1票) |
3. アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー
《ネタバレ》 いや~~~びっくりしました。あれだけ世界観も前提も雰囲気も違う物語をこうも上手くまとめちゃうとはね。特に後発組のドクター・ストレンジ、ブラック・パンサー、そしてガーディアンズ・オブ・ギャラクシーはこのために作ってたのかと思うくらい。まあそうなんだけど。 特に冒頭の重苦しい展開からガーディアンズが登場するといきなりガラっと雰囲気が変わるのが面白い。それから隠棲してたキャップの髭面、ヴィジョンの普段顔、最後の砦ワカンダ、いつもどおりの顔と様変わりした顔、面識ある者同士と初対面、観てる方に人間関係をうまく説明する。そしてソー。あいつら単なる宇宙人じゃなくてやっぱり神だったんだな。やっと設定が飲み込めた。 しかしサノスの人間性(?)や苦悩(?)や愛情(?)を描くディテールははっきりくどい。そして「人口を半分にして全生命の存続を図る」という動機は現代ではいくらなんでも古すぎる。それを大義名分にして暴力衝動と権力欲を満たしたいというのならわかるが。でいうかそうなんでしょ? とりあえずこれだけの要素をまとめ上げた、それだけでこの映画は評価に値するでしょう。あとティリオン・ラニスターを「巨大なドワーフ」役で使うとかベタだけど気が効きすぎ。(『ゲーム・オブ・スローンズ』ネタ) [インターネット(字幕)] 8点(2021-07-26 00:27:19) |
4. アントマン&ワスプ
《ネタバレ》 これはお見事!MCUも回を重ねるごとにウェルメイドになってきてウェルメイド具合が鼻に付くくらいでこれもそうなんだが、全編細か~いギャグ満載なのでずっと楽しく観られる。それが良く出来ているから文句はない。ちょっと「父娘」話に偏り過ぎでは?と思うが、どの娘も可愛いし強いor賢いのでよーしお父ちゃん頑張っちゃうぞー!な気分は共有できる。 今回はとにかく全部のキャラが輝いている。FBIの東洋人、すっかりマブダチの元妻の現旦那、いけ好かないアホな悪役、引き続き愉快な仲間たち、そしてモーフィアス。(ローレンス・フィッシュバーンは何やってもモーフィアスに見える) それと女性陣が全員最高なんだよな。おい腐れ老害学者の嫁がミシェル・ファイファーかよ。タウリエルは相変わらず存在感が美しいし、ゴーストもイケてるし元嫁は美人だしキャシーの可愛さは今回も破壊的。あんな娘のためなら世のお父ちゃんどこまでも頑張っちゃうでしょ。 しかしそんな光輝いてるキャスト達にホワホワ~となってる最後の最後であの「引き」はないんじゃない?最後だけシリアスにしてどうする。そして今回はあのシンプルでちょっとお間抜けでダサかっこいいテーマ曲があまり鳴らなかったね。せっかく印象的なテーマを作ったんだからちゃんと使え。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-06-26 23:37:22) |
5. アントマン
《ネタバレ》 「小さくなる能力」なんかで一体どうやったらヒーロー物できるんだ??と思ってたら、あら上手いじゃない。ミクロの世界でしか表現できない造形は実に新鮮。町破壊するのとかいいかげん飽きてきたしなー。 映画全体は常に細かいギャグを入れていくスタイルだが序盤がやや重い。シリアスに見せて実は・・・という狙いだろうが、この接続はうまく行っていない気がする。ただでも設定飲み込むのにハードルがあるんだから序盤と中盤以降で雰囲気が変わるのは余計だ。主人公は最初からもっとふざけるべきだし連れのメキシカンは拳だけは硬いとか見せとくべき。あとクライマックスシーンの映像、途中までは良かったんだが「量子の世界」てもうちょっと容赦ない感じだと思うんでそこはもうちょっと科学的な想像力が欲しかったというか・・。 とはいえ文句はここまで。キャストは全員キャラが立って少し間抜けでチャーミング。ホープ役のエヴァンジェリン・リリーは美人じゃないが魅力と貫禄があってどちらの大女優様でしたっけ?と思ったら『ホビット』のタウリエルか。元嫁役のジュディ・グリアは綺麗だなーと思ったら1975年生まれでこの時すでに40歳か。あとキャシー役の子、向こうの子役は上手いというが、まだ永久歯揃わないのに上手すぎでしょ。 そして良いのはテーマ音楽。恐ろしくシンプルなテーマでシリアスなのにそのシリアスさに自分で吹き出すような、この映画にぴったりな雰囲気でいつまでも耳に残る。もっともこの映画がクソ映画だったら思い切り神経を逆撫でされそうな曲だが(笑)。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-04-25 21:59:38) |
6. アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン
《ネタバレ》 そりゃおかしなところはありますよ。あまりに人間的すぎる人工生命体とかだいたいスタークのせいとか。それでも僕はディテールの丁寧さとそこにかける労力、余計な説明を省いて詰め込みたいものは全部詰め込む熱に魅力を感じる。 MCUもたいがい各キャラを深堀りしているので見せ所と言うか見せなきゃいけない要素が山ほどある。それをちゃんと表現しきったのには感心する。全体のテーマはディープエコロジーとかトロッコ問題的なのとか、まあまあ普遍的な哲学に正面から取り組んでいると感じた。陳腐かもしれないが、真面目だ。この映画は真面目だ。 アメコミ世界は荒唐無稽ではあるが、マーベルは一応SFの範疇には収まるので世界観ができる。そしてスーパーヒーローの存在理由「人助け」をちゃんとやったね。この映画は与えられた命題に、とにかく逃げなかった。 [インターネット(字幕)] 8点(2021-03-27 22:01:00) |
7. アイアンマン3
《ネタバレ》 『アイアンマン』シリーズの1・2を、これはこういうもんなんだろうなー、まず受け入れないといけないんだろなーという温度で観ていた者にとって『3』は普通に面白かった。特に前半の暗さ、重々しさ、悪役の感じの悪さがとても良い。 いつも思うがアメコミ映画はSFとファンタジーを現代劇に突っ込むという滅茶苦茶な力技をやってのける。MCUの世界では科学は魔法と同義語だ。ゼスチャーで操作できる3Dスクリーンも観客を魔法の世界にいざなうための大事な小道具。実によく出来ている。 この作品ではとにかく演者がみんな良い。個人的にはトニー・スタークというキャラクターに初めて好感を持った。特に逃避行の際の感じの悪さが最高。あそこでいい人になってちゃ駄目でしょう。そして普通に喋ってても正視したくないガイ・ピアース、女刺客のステファニー・ショスタク、みんないい。 巷ではスーツが山ほど出てきたり遠隔操作するプロットを嫌ってる人も多かったようだが、こちとら特に思い入れはないので純粋に面白いアイディアだと思った。いろんな人に着せたりするのも。 全体的に重く始まったテーマをプロットで軽くしていくので後味が良い。なぜ思わせぶりな独白から始まるのか?と思っていたら・・・とか。 [インターネット(字幕)] 8点(2020-09-27 22:11:42) |
8. アベンジャーズ(2012)
《ネタバレ》 まず、とてもよくできた映画なので良いめの点付けます。そして正直な感想言います。 演者の「汚し忘れ」多いよねー。顔にはリアルな傷付けたり(特にアイアンマンスーツの汚しは偏執的なほど)と一応気は使ってるけど髪の毛が常に乾いてセットされてるし、だいいち汗を一切かかない。着替えてない気持ち悪さもない。ここまで荒唐無稽な話にリアリティを与えたいならそこは一番頑張らないといけないポイントでは?特にキャプテン・アメリカのスーツは最後までピカピカ。 話の無茶さは、そういう話なんだから別にいいでしょう。「神」っつったって要は単に宇宙人なわけだし。ただ『マイティ・ソー』のクリス・ヘムズワースが地上に降り立った瞬間から人間と尺度が違うスケール感を醸し出すのにトム・ヒドルストンのロキはあくまでセコくて「心の闇」を抱えた一般人のまま。いや、演技は上手いですよ?むしろ最高級ですよ?でも「神」のスケール感はない。 ホークアイとブラック・ウィドウという生身の人間がちゃんと活躍するのは良かった。でも、実際は無理だよね。そして結局はハルクが宇宙最強?マーク・ラファロは素晴らしかったがそれでいいの? 個人的にはどうもフューリー、サミュエル・L・ジャクソンが演じる、巷で評判の良い、この話の扇の要になる人物にどうも乗れないんだよね。なんかこいつ嘘臭くね?物語じゃなくて映画的に。そして話は別にいいと言ってはみたが、戦闘機に搭載できる核ミサイルで沈められる敵なんか、素の人類で十分勝てるよね? [インターネット(字幕)] 7点(2020-09-26 23:55:07) |