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【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  ありあまるごちそう 《ネタバレ》 
食のグローバル化の矛盾点を突いている。農業を大規模灌漑、遺伝組み換え技術等で工業化すれば、低コストで大量の農産物が収穫できる。多少味が落ちようと、多少健康不安を感じようと、安くて見栄えのよいものに飛びつくのが消費者心理だ。地元での消費量を越えた余剰農産物は、遠くに運ばれて、さらに輸出される。運ばれた先の土地では、安い農産物が大量に入ってくるので、農民は作っても売れず、生活が立ち行かなくな。そこでEUでは農家に補助金を出す。農家の収入の三分の二が補助金だ。こうして余剰農産物が大量生産される。余剰農産物は、昔は捨てられていたが、批判を受けて、今では大幅に値下げして、発展途上国等に輸出される。輸入した発展途上国の農業は荒廃の一歩をたどる。対等な国家間では自由に関税がかけれるが、発展途上国は先進国から資金や技術援助を受けているので、関税はかけれず、EUの言いなりだ。生活できなくなった農民は、働き口をEUに求めて、低賃金労働者となる。これがEUの“歪んだ”食のグローバル化が、飢餓と貧困を輸出する仕組みだ。珈琲などの輸出向農産物の価格は、ネスレなどのメジャーが価格を決めてしまうので、生産者の利益は低く抑えられてしまう。従って、末端の労働者は、いつまでも貧しいままだ。本作品では、その一端を見せているに過ぎない。食の輸出入は適度に抑えて、地産地消するのが望ましい。生産競争、輸出競争しだすと、結局、資本のある会社が一人勝ちするのだ。「安い肉を食べれるようになる」ことは一見喜ばしいことだが、その背景には様々な矛盾や問題が存在する。農作物を強引に輸出される国、農作物を強引に低価格で輸出しなければならない国の実状が描けていればもっとよかった。
[DVD(字幕)] 7点(2014-11-29 14:35:43)
2.  アレキサンダー 《ネタバレ》 
アレキサンダーの幼少からその死までを丁寧に描き、知られた挿話をほとんど盛り込み、大王の足跡を辿るだけでなく、心の内面にまで迫ろうという姿勢には好感が持てる。CGによりガウガメラの戦い、バビロンの街並み、インドでの密林戦などが見れただけでも満足で溜飲が下がる。特に鷹の目線を交えて大俯瞰で描いたガウガメラの戦いは見応えがあった。しかしながら人物像に関しては違和感があった。大王の言動があまりにも現代的過ぎるのだ。「自由、人種の融合」など理屈っぽい上に、よくしゃべり、よく悩み、よく泣く。人物像の真に迫ろうとするあまり、表現に力みがあるように思える。新解釈で描きたいという気持ちは分るが、所詮古代の人物である。数少ない資料から人物像を掘り下げるのには限界がある。現代の価値観で解釈を加えたところで説得力に乏しい。両親の愛に餓え、腹心の裏切りに怯えるという英雄の弱みを強調するより、英雄は英雄らしく描いた方が受け入れられやすいのは自明の理だ。蛇信仰に熱中して夫を憎む母の狂気や暴力的な父に対する反抗心や男色趣味を殊更強調しても意味はほとんどなく、混乱をもたらすだけだ。大王の東征が「人種の融合と調和」なのか「征服と支配」なのかを映画の中で解釈する必要もない。東征の遠因を「母から逃れるため」「父を乗り越えるため」と精神分析的に捉えるのはよいが、それは示唆する程度に留めておけばよい。一義的な解釈を押しつけても反発されるだけだ。こういう人物だと決めつけても、畢竟詮無いことだ。曖昧模糊たる「アレキサンダー大王伝説」を多元的に描き、笑いを交えるくらいの余裕が欲しかった。描き方に余裕が無いので観ていて疲れる映画だ。事実を羅列するにとどめ、解釈は観客に委ねるのが好ましい。各地に築いたアレクサンドリアの様子や如何に統治したかが描かれていないのが不満だ。軍事面だけでなく政治面も描いて欲しかった。大王の妃やペルシャ王妃をわざわざ醜女に描く意図が不明だった。
[DVD(字幕)] 8点(2014-09-03 05:09:43)(良:1票)
3.  アイガー北壁 《ネタバレ》 
ドイツの山岳猟兵で登山家のトニー・クルツとアンディ・ヒンターシュトイサーの二人が主人公。山岳猟兵とは山岳部の国土防衛隊。アイガー北壁は未登頂で、ナチスは国家の威信を誇示するため、登頂者にはオリンピックの金メダルの授与を約束、登頂争いはいやが上にも盛り上がる。アンディは楽観的で挑む気満々だが、トニーは悲観的で登頂は不可能と断定する。そこへルイーゼが登場して、二人を説得する。彼女はベルリンの新聞記者で、二人の幼馴染。トニーとの間に淡い恋があったようだ。トニーは最初は否定するが、最終的に挑戦を決断、「自分のために登る」と言い切る。ここにこの二人と、ライバルである二人のオーストリア人との登頂レースが開始される。登山の描写、殊にロック・クライミングの描写は圧倒的な迫力で、この映画の魅力はここに尽きる。過去の山岳映画を寄せ付けない、最高峰だ。現地ロケと大冷蔵庫を使用したスタジオ撮影の融合は観る者を惹き込む、実に見事な仕上がり。まるで自分が主人公になったかのような寒気を覚えた。自然の美しさと、人間に牙を剥いたときの残忍さとが対比。精も根も尽き果てて、宙吊りになって息絶えていく姿は悲劇の影そのもの。荘厳な気持ちにさせられた。映像力の勝利だ。 映画は登頂レースの他に、ルイーザとトニーの恋、ルイーザと上司の関係、命より話題を優先するマスコミ、登山レースを見学する観光客等を挿入し、登頂レースの意味を浮彫にし、文明批判めいた奥深さを出そうとしているが、成功していない。トニーとルイーザの過去の描写がほとんどなく、どんな関係だったか、想像するしかない。だから最後にルイーザが上司から冷たい言葉を言われて会社を去る決意をしても心に響かないし、彼女が一人で救出に向かうなどの無理な演出もマイナス要因だ。 もう一つ。登頂の最中に、ライバルであったオーストリア人との友情が芽生えるのだが、この演出もいただけない。オーストリア人は最初から雑魚扱いなのだ。彼等に対するリスペクトがあれば、名作の類になっていただろう。
[DVD(字幕)] 8点(2013-11-24 17:32:07)
4.  アルゴノーツ 伝説の冒険者たち(TVM) 《ネタバレ》 
ギリシア神話を基底とした旧作「アルゴ探検隊の大冒険」をリメイクしたTVミニシリーズを再編集したもの。ビデオ版は120分、DVD版は180分「完全版」。ビデオ版にて鑑賞。TV版ながらVFXの質は高めで、テンポもよく、有名俳優が目白押しなので観て損はない。 旧作では、人間は神々の恣意によって踊らされる存在であることが強調されていたが、本作では神々の登場は最小限に抑えられていて、人間による冒険譚として落ち着いて観れる。もっとも半神ヘラクレスが同道して大活躍するが、実に人間臭く描かれているので感興を削がれることはない。ただ短縮されているので、神が突如登場するなどの混乱はみられる。 神話では王道である貴種流離譚。高貴な血筋を引く者が、何らかの理由で両親や国から遠く離れた場所で暮らしていたが、やがて冒険や旅を通じて、本来の自分の地位、姿を取り戻すというもの。 本作品では弟の反乱により王が殺され、王の子のジェイソンは親衛隊長によって辛うじて城を脱出し、半獣人の国に住んでいたが、あるとき記憶を取り戻し、冒険の旅に出る。旅の目的は、何でも夢が叶うという黄金の羊毛を獲得すること。旅の仲間は、ヘラクレス、泥棒、驚異的な視力を持つ青年、元親衛隊長、野獣をも宥める音楽を奏でる楽士、ジェイソンを慕う幼馴染の女など多彩。クリーチャーは怪鳥ハービー、火を吐く巨牛、通る船を沈める島、骸骨剣士、羊毛を守るドラゴンなど、一部旧作と違っている。黄金の羊毛を守護する女魔術師がいるのだが、ジェイソンに恋をして味方につき、最後には結婚するところが目新しい。 ところで人間の夢を何でも叶えるという究極の宝であるはずの黄金の羊毛だが、最後になってどんでん返しがあった。ジェイソンが唐突に、「毛皮に魔力はない。みんながあると思い込んでいただけだ。そんなものに頼らず、運命は自分で切り拓け」などと言い出すのだ。肩透かしをくらうこと請け合いである。伏線が全くないのだから。無事王位に着き、結婚して、めでたし、めでたしの大団円で物語は終るが、中途半端な印象はぬぐえない。あえて黄金の羊毛の能力をちゃらにするのなら、何らかの事情で能力が失われたとすべきだろう。
[ビデオ(字幕)] 6点(2013-06-12 02:21:33)
5.  アズールとアスマール 《ネタバレ》 
特筆すべきは、水際立った美術だ。イスラムの様式美を至妙に取り入れた功がある。緻密なアラベスクとカリグラフィーの連続する壁、敷き詰められたタイルアート、ムカルナスで装飾された円天井、中庭を取り巻く列柱、庭園の水…、なるでアルハンブラ宮殿を歩いているようだ。樹木や岩などの自然も幾何学的に表現しているのも面白い。独自の神話的世界観を創り出すのに成功しており、精神の優雅さを感じる。時に陶酔さえ覚える出来栄えだ。2Dの背景に3Dの人物をあしらう手法は清新で、神秘的雰囲気を醸し出すのに一役買っている。影絵を思わせる動きの少なさと相まり、想像力をかきたてられる。異国情緒漂うイスラム的楽曲も好い。物語は、妖精伝説、育ての母、母恋の冒険者、奇妙な相棒、賢者、やんちゃ姫、山賊、奴隷商人、真紅のライオン、鳳凰もどき、謎の二つの門と、ファンタジー冒険活劇の要素が一杯詰まっている。が、冒険や謎の解決が、あっさりというか、ありきたりなところが玉に疵。物語にしても人物の感情にしても、総じて起伏に欠ける。生命が危機な場面でも危機感が伝わらない。顔の表情や動きの少なさに基因するが、監督は静的で詩的な表現が得意で、ダイナミックで躍動感のある表現は苦手なのだろう。ユーモアに欠けるのも監督の気質だろう。異色なのは異民族間の宗教・文化の偏見、差別という難しい問題を扱っているところ。アズールは、仏国では貴族の御曹子だが、他国では青い眼が徒となり酷遇される。アスマールとその母ジェナスは、仏国では貧しかったが、母国では成功者となる。立場、価値観の逆転がある。難しい要素を含むので、童話につきものの予定調和な大団円的結末とは一線を画す。主要人物が鳩首凝議して、打開策、解決策を話し合うのだ。ある意味斬新だが、意外性はなく、限界を感じる。ファンタジーと現実問題を融合させるのは至難の業だ。 結局妖精ジンの正体は何か、囚われの呪いとは何だったのかは、不明のまま。憎しみや相剋を乗り越えた崇高な魂を持つ者だけが、勝者として妖精ジンを救い、永遠の愛を得ることができたということだけはわかった。 開始早々、小人妖精が眠った二人をあやす場面があるが、これは省くべき。本当に妖精の国があるかというサスペンスを観客に持続させたい。アズールに母、アスマールに父がいない、アズールの父がどうして傲慢か、などの伏線も回収して欲しかった。
[DVD(字幕)] 8点(2013-05-26 19:23:15)
6.  ATOM 《ネタバレ》 
脚本が非常にちぐはぐで興行的に失敗したのも納得。物語は4つの要素で成立。①天満博士とアトムの親子愛。博士は息子を亡くした喪失感からアトムを産みだす。だが息子の代用にならないことを悟りアトムを拒絶する。戻ってきたアトムの優しい心に触れ(トビーになれなくて御免)、最終的にアトムを認め、和解する。特に問題はないが感動もない。②新エネルギー、ブルーコアをめぐる大統領の陰謀。ブルーコアは地上軍と戦うロボットの為に必要らしいが、地上軍は登場しないので詳細不明。天満博士が戻って来たアトムからブルーコアを取り出すが、大統領に渡すのを拒否し又戻す。その動機が不明。③ハムエッグのロボットに対する酷い仕打ち。ロボットは人間の奴隷と考える。天満博士を憎むあまり、アトムをデスマッチに参加させる。一方でロボットを修理したり、子供たちの親がわりになる優しい面がある。優しい人と見せて実は悪人という意外性を狙ったのだろうが失敗。キャラが確立していない。④アトムが成長して自己同一性を確立。人間でないことを知り、悩むが、最終的に人間、ロボットともに仲間ができる。天満博士にも受容される。自分の居場所を確立。極普通。◆世界観が描けていないのが最大の欠点。空中都市と地上との関係は?地上が汚れて空中都市を作ったにしても交流が全くないのは不自然。それに地上は緑豊かに見える。お金持ちしか空中都市にいけないという発言があったが、お金があれば住めるのか?廃棄ロボットはリサイクルすれば良いのに何故地上に捨てる?地上軍の存在の有無が不明。又何のために戦争するのか?結局両者の対比がうまくできていない。地上は自然と共生する素朴社会、空中都市は高度な文明などにすればよかった。デスマッチなどは空中都市の住民がすること。◆アトムは自己犠牲精神で、大統領ロボットとの相撃ち自爆を図るが、あれではロボットに握られた車中の子供や町が爆発に巻き込まれてしまう。思慮に欠ける行為である。それに町を破壊しすぎ。◆アトムは落下する空中都市を支えるが、あの小さな体ではどう考えても無理だし、都市の反対面(地上側)は全滅している。◆地上の少女が空中都市の両親と再会するが、どういう経緯ではぐれたのか不明。◆ロボット革命団は登場シーンが多いのに物語の本筋に絡まない。◆ロボットものは造詣が全て。かっこ悪いロボットばかりでげんなり。
[DVD(吹替)] 5点(2011-12-01 13:40:21)
7.  穴(2001) 《ネタバレ》 
悪女の奸計と狡知により完全犯罪が成功したわけでなく、総て偶然ととっさの嘘の産物。こういう映画を作った関係者を付け上がらせてはいけません。どんどん突っ込みましょう。 ①リズはマイクに片思い。リズの親友フランキーとジェフはラブラブ。野外研究授業をさぼって四人でシェルターで三日間過ごす?あんな不気味なところ誰が行くか!野外授業の方が絶対楽しい。 ②リズが鍵を閉めたわけだが、そのことに誰も気づかない。自然に鍵が閉まるわけがないのに。 ③10日目にフランキーが食道の血管の破裂による心臓麻痺で死亡。それでも言い出さないリズ。水と食料がわずかで、死体と一緒に過ごす方を選択をする理由がわからん。 ④コーラを黙って飲もうとしたジェフをマイクが殴って過失致死。ちょっと不自然。 ⑤18日目リズが扉を開けると、真相を知ったマイクが激怒。リズを殴りにはしごを登って墜落死。マンガだね。 ⑥電燈が徐々に消えてゆき、トイレの水も流れなくなるけどどうして? ⑦警察に電話したときキャーと叫ぶのは芝居? ⑧警察に真相を言えないリズ。とりあえず男友達マーティンのせいにする。すぐにばれる嘘をつくな。 ⑨警察はリズに「どうやって出てこれたのか?」を追求すればよかったのに。誰かが鍵を開けたのは明白。身体検査をすれば鍵は発見できた。 ⑩マーティンは釈放されるとリズの家に。リズを糾弾するが逆襲に遭い殺される。鍵をポケットに入れてダムから川に投げ込まれる。弱い男だね。そもそもマーティンは警察に監視されていた筈だが。 ⑪警察はマーティンを自殺と判断するけど根拠がない。そもそもリズ発見の日にはマーティンは海外にいた。どうやって鍵を開けられる?また犯人だとして、いつまでも鍵を持ってないでしょ。捨てるでしょ。 ⑫精神科医にシェルターに行きたいと言い出すリズ。意味不明。勝手に中に入る二人。そこで真相をしゃべるリズ。不自然、不可解。 ⑬精神科医の同僚がやってきて「マーティンが自殺した。まずいことになったな」と精神科医を責めるが、なんでそうなるの?精神科医はマーティンとは接触してないのに。 ⑭「彼は年老いることも私を裏切ることもない、永久に。いつまでも理想の恋人のまま」勘違いも甚だしい。お前が殺したんだ! ⑮誰も手記を残すことを思いつかなかったのか。 ⑯扉の傍ならケータイつながるでしょ。
[DVD(字幕)] 3点(2011-01-25 07:44:16)
8.  赤い月 《ネタバレ》 
「満州で酒造りに成功した森田、その夫で自由奔放な性格の波子、波子の元恋人の大杉中佐、軍の諜報員の氷室の四つどもえの愛憎歴史群像」を描きたかったことがかろうじて分る作品。「愛」とか「生きる」とか観念的な言葉や教訓じみた理屈がやたら飛び交うが、言葉で説明されても困るのだ。人物の存在感、生き方、情熱などが伝わってこそ、初めて感動が伝わる。感動の要素が詰まっているのに感動が伝わらない典型的な映画。ある意味、こう作ってはいけないという他山の石の教材として鑑賞価値がある。 ◆満州鉄道が単線として描かれていることに違和感がある。車両数も少ない。CGによる機銃掃射、空爆場面は安っぽい。低予算なのだろう。 ◆昭和19年夏の森田の演説で「聞けば16機のB25が本土を襲い、戦局は予断を許さぬ状況」とあるが、それは昭和17年4月のドーリットル空襲のこと。監督も脚本家も歴史には疎いようだ。 ◆後半、波子と氷室の恋がメインとなる。が、氷室は氷のように冷たい諜報部員で、多くの中国人を殺し、ロシア人を拷問した上アヘン中毒にさせ、恋人のロシア人エレナの首を刎ねた人物である。この人物のどこが好きになるのかわからない。感情移入などもっての他だ。氷室は終戦になったとたんに、人が変わったように軍部批判や人生訓を口にする。お笑い草である。この人物が何をしゃべっても嘘っぽく感じる。人物が生きてないのだ。「あなたを愛していることが、今の俺を支えていてくれる」戦前の軍人がこんなことを言うだろうか。 ◆恋多き女、波子。子供がいるのに大杉と縒りを戻すことを考え、氷室とエレナの関係に嫉妬する。夫が亡くなって間もないのに氷室と昼間から愛しあう。「生きるためには愛する人が必要なの」ああそうですか、ご勝手に。主演女優に華がない。 ◆森田こそ悲劇の主人公なのだが、ぞんざいな描かれ方しかされていない。氷室のアヘン中毒の場面が無駄に長いので削って、その分森田を描くべきだった。 【ツッコミ】①エレナは子供たちに何を教えていたの?ロシア語?②おかゆを食べさせるのに口移しはないだろう。③スパイを捕まえた場合、すぐ殺したりしない。情報を引き出すことが重要だからだ。④大杉の漫画のような突撃死に苦笑。⑤森田は大杉と波子を引き合わせた。なのに波子が戻ってくると嫉妬のあまり小指を切断。
[DVD(邦画)] 3点(2010-11-20 01:27:44)
9.  アマルフィ 女神の報酬 《ネタバレ》 
大作気取りで内容が浅く外連味たっぷり。はくさい映画賞の最低脚本賞。真保裕一は脚本クレジットを拒否。導入部は謎めいており成功。見どころは営利目的誘拐が実はテロ目的、紗江子の友人の藤井が犯人だったこと。悪くない展開。最大の欠点は保安会社のシステムジャックのために紗江子に実行犯をやらせること。これは無理。犯人の女が潜入して映像加工までしているのだからその女がすればいい。監視映像見せるためだけに外部の人間を会社の中枢部に案内はしない。ビデオを渡せば済む。保安会社を疑わせるためにわざと監視カメラに映させるなんて笑っちゃう。計画は手が混んでいる割りに成功の見込みゼロ。テロの動機は大臣が外国で邦人の死を揉み消したこと。しかしそれは不可能。遺体があるのだし。具体的にどうしたのか?ツッコミ:①誘拐だが、子供がトイレに入ったのは偶然。他に人がいなかったのも偶然。犯人の掃除人も偶然居合わせたように見える。②子供の写真から、子供のいた部屋をすぐに特定できたはどうして?これも計画の内?③偽札が新聞紙。警察が用意するのだから本物に近いものの筈。④第三者に鞄を盗ませたが、どういう意図?混乱が目的?⑤題名の由来。英雄ヘラクレスが妖精アマルフィの死を悲しんで死体を埋め町を作った。凡人は悲しみを背負うしかない。凡人が英雄になろうとした。報酬=死なずに計画が成功したこと?⑥犯人は招待客に化けて潜入したが、安易すぎる。⑦黒田が藤井を説得するが内容が浅い。藤井はこの手の犯罪をするには高齢。⑧人間ドラマが希薄。藤井と紗江子の関係、黒田の人物像など。⑨警察はばればれの場所で見張っている。⑩藤井は何故紗江子を選んだ?外相の日程と紗江子の旅程が合ったのは偶然?⑪黒田はテロ対策要員とはいえ、表の顔は外交官。愛想がなさすぎる。どうして日本帰還を拒んだの。⑫紗江子は気が弱い看護師。天海はミスキャスト。看護師なのにたばこを吸う。彼女は黒田に日本に行く予定はないといわれたとき「やっぱり」と答えた。その心は?⑬イタリア刑事が黒田を部下になるよう誘うが、日本人がイタリア警官になれないと思う。⑭サラとイタリアの関係は?オペラ座はパリだけど。コンサート中に乱入する展開ならよかった。⑮アウトロが長い割に、藤井らの消息が不明。新人女が手袋を見つけてはめるけど、黒田の手袋?⑯EDで新年を祝い大喜びする群衆。ハッピーエンドではない筈。 
[DVD(邦画)] 4点(2010-06-15 00:34:04)(良:1票)
10.  相棒シリーズ 鑑識・米沢守の事件簿 《ネタバレ》 
相原は本当に刑事なのか?捜査のイロハがわかっていない。ただやみくもに怪しそうな人物にぶつかってゆくだけだ。熱血漢ではなく、愚か者です。したがって「推理物」としての魅力はない。さりとて、コメディでもないし、社会派ミステリーでもない。底の浅い、中途半端なものだ。犯罪が1つしか発生しないのが中だるみの原因です。米沢は言う。「物証がすべてですから」だが、やることは証拠を求めてビルに侵入すること。「羊頭狗肉」「言行不一致」とはお前のことだ、語るに落ちたな!と、言いたくなるほどの作品でもない。もともと思い入れがないので、期待値が低いわけです。ある意味得をしている映画かもしれません。で、侵入現場に課長が現れて、証拠品が見つかるという展開は、火サス以下の展開。二人は犯人を誤認しており、真犯人が口をすべらせたのは全くの偶然。犯人があの人だったとして、女が盗聴器を仕掛けますか?殺人を犯した犯人が、刑事が調べ手に来たとき、よけいなことペラペラしゃべりますか?「意外な犯人」を無理やり作った印象がぬぐえません。被害者の日記を保存しておいたのも不自然。税金の無駄遣い、天下り、セクハラなどが浮き彫りにされた青防協の課長や理事長の行く末は暗示されるにとどまっており、カタルシスを得られない。社会派ドラマとしても中途半端。異質の夫婦愛を描くのには成功していると思います。ただそれも顔がそっくりで、名前も同じ、元女房という「偶然」の上に成り立っているもので、安っぽいですね。やはり「あっと驚く物証」で勝負してほしかったです。
[映画館(邦画)] 4点(2010-05-08 04:14:54)
11.  アバター(2009) 《ネタバレ》 
キャメロン監督は前作「タイタニック」のあと、ドラマ「ダークエンジェル」を製作して一線を退き、3D技術の開発に意欲を燃やした。苦節10年で技術が完成、ようやく製作された本映画。予告ではダメ映画の予感がしたが、実際観てみると驚嘆するほどの出来栄えに溜飲が下がる思いがした。脱帽である。娯楽性と芸術性、人間ドラマが融合した完璧に近い脚本に拍手。バランスの取り具合が絶妙なのだ。ハリウッド娯楽SF作品によくあるジョークやおしゃらけなど微塵もない真摯な作品で、どちらが善悪ともいいがたく、自然と共生するとはどういうことかを深く考えさせる哲学的な要素が作品に深みを加えている。脊髄損傷で歩行できない主人公が、アバタープログラムにより、自由に動けるようになり、新し人生に踏み込むという設定がよい。それだけでカタルシスを得られるのだ。トルークマクト(大龍)や父から貰う弓矢などの伏線もうまい。そしてキャメロン監督が得意な、しつこいほど続く戦闘シーンも健在で嬉しくなる。これが成功の第一の要因。次は美術。異星の多種多様な生物群、自然景観が美しい。どれも独創性が高く、大変洗練されている。龍に乗った飛翔シーンだけも一大スペクタクルである。これを見るだけでも価値があろうというもの。そして3D技術の見事さ。映画史上に残る金字塔を打ち立てたと思う。3D元年と言われるが、これを超える作品がいつ出てくるのやら。2Dを含めても、何年も待たされそうだ。■不満もある。「もののけ姫」「ナウシカ」「ダンスウィズウルブス」のいいとこどりのように見える。大佐やおばか上司など悪者キャラが典型的すぎる。もっと人間味を出せばずっと良くなった。彼らの言い分に斟酌すべき要素を持たせ、時に良心の呵責を起こさせるなど人間臭さを出すべきだったろう。これでは「もののけ姫」「ナウシカ」の表面しかなぞっていないと言われても仕方がない。力と力の戦いになりすぎているのは残念。自然と人間との戦いという要素がもっとあれば、壮大な抒情詩になっただろう。樹同士のネットワークや女博士が死んでエイワと一緒になったなどの伏線は張られていたのだから。動物たちが援軍に来るだけでは物足らない。最後は大団円というわけではなく、あれではまた地球から攻めてくるなと不安が残る。続編への伏線なのだろうか。■文句なしの10点。この映画を映画館で見たことを誇りに思います。
[映画館(字幕)] 10点(2010-03-03 11:53:31)
12.  アイアンマン 《ネタバレ》 
荒唐無稽なヒーローものはかっこよさがすべて。そういう意味では合格点。この監督は見せるべきところを心得ていますね。天才エンジニアが敵に捕らえられて、洞窟の中で二人でトンカチやりながらアイアンマンを完成させるのはいくらなんでも不可能でしょう。設備がないのに核融合のリアクターの小型化にも成功しているわけですし。監視している敵が気づかないわけないですよね。(まあ、原作がそうなっているのでしょうね)その野暮ったいデザインに脱力、続けて鑑賞する気を失ったほどです。しかし、それも洗練されたデザインのものが完成してから一変しました。完成へのプロセスを丁寧に紹介しているのに好印象。イラクで敵兵をあっさり倒すシーンなどよかったです。最大の敵が身内にいたわけですが、これもありがちですね。(秘書による機密書類のダウンロードシーンは、他の映画で何度見たことか)あの年寄りが中に入っていると思うと萎えます。もっと精悍な人物にすべきでしょう。最後、敵を倒すために核融合施設を爆発させるのはむちゃすぎます。アイアンマンの知恵と装備で倒さなきゃだめですね。 しかし、主人公が酒、博打、女好きで、疲れた顔しているという設定はどうなんでしょうかね。秘書との恋愛も中途半端のままですし。(秘書はスタークの遊ぶ女の世話もしているので、真の恋愛に発展しずらいですね) 昔の「ロボコップ」を思い出しました。最後にブラック・サバスの「アイアン・マン」が流れたときには苦笑するしかありませんでした。確信犯ですね。
[DVD(字幕)] 7点(2009-03-10 09:45:23)(良:3票)
13.  アイ・アム・レジェンド 《ネタバレ》 
ネビル博士は人類で唯一の生存者。ダークシーカー化している人間を救うために血清を作り出そうと研究している。この設定だけでも疑問がいくつも出てくる。どうやって人類が滅亡していったのかがちゃんと描けていない。人類滅亡の過程を詳しく紹介すれば見せ場の一つになったのに。ネビルは銃と拳銃と犬を持ちながら、鹿狩もできない。車で追っかけてどうする。待ち伏せか、トラップを使え。知能がない凡庸な人間として描いてあるので設定と矛盾する。ダークシーカーの罠にひっかかるわけである。博士は自分に免疫力があるのを知っている。ならば、それで血清を作ればいいのである。ダークシーカーを救うためといいながら、彼らを車や銃で殺しまくっている。捕獲も麻酔銃ですればいいのに。 人類が滅亡しているのに電気、ガス、水道が完備しているのはどうして?ラジオ放送までできるではないか。 ネビルはどうしてニューヨークに残ったのか?これも描けていない。ウイルスを作ってしまった女博士を主人公にすれば感情移入できたのだ。自分の責任なのだから必死に研究するはずで、それが自然の流れである。 ダークシーカーは知能があり、統率も取れているのだが、何を食って生きているのだろうか?すでに人間はいないのだ。ゾンビ犬を飼いならしているのには苦笑するしかない。なに、紫外線に弱い?ちゃちい設定だ。UVカットの服を着たり、日焼けクリームを塗ればいいではないか。 人間、犬、ネズミは感染するが、鹿、ライオンは感染しないのだろうか?ゾンビライオンやゾンビ鹿を見てみたかったぞ。 犬との愛情物語はよかったが、人間が出てくると彼らとコミュニケーションがうまくとれない。男の子は何もしゃべらない。女は「すべては神の計画よ」「どこそこにサバイバル村がある。理由はないけど知っているの」などと完全に電波系である。ゾンビが出てきても震えているだけ。よく生き残ってこれたものだと口あんぐり。(それにしてもあの侵入ゾンビは、なぜ天井を破壊していたのか?下を探せよ) ラストシーン、ネビルは自爆する必要なし。シェルターに朝まで隠れていればOK、ハッピーエンド。
[DVD(字幕)] 6点(2009-02-03 01:26:03)(良:1票)
14.  アサルト13 要塞警察 《ネタバレ》 
まあなんていうか、可もなく不可もなくといったところ。 完全武装のSWAT隊が簡単にやられすぎ。 単純に攻め込んでいっては、撃たれ負け。 どっちらけです。 催涙弾、閃光弾、手榴弾をどんどん投げ込んで、逃げてきたところを狙い撃ちすればOKです。 火をつければ外にでるしかないですし。 最後のおじさん警察官の裏切りは腑に落ちない。 囚人たちが心を合わせて悪徳警察官と対決するという構図をもっと 鮮明にだせばよかった。 でもまあ、そこそこの緊張感は持続してます。
[地上波(吹替)] 5点(2008-06-01 23:36:41)(良:1票)
15.  相棒 -劇場版- 絶体絶命!42.195km 東京ビッグシティマラソン 《ネタバレ》 
あ、マラソンはほとんど関係ないです。ダミーの爆弾がしかけてあるのみ。 犯人は何故そんなことをしたのかは最後まで不明です。 犯人の目的は表彰式で拳銃を持って元首相に近づき、逮捕されることだからです。 相棒二人はマラソンが狙われていることを知りながら、何故か、たまきと美和子に出場させました。(愛情ないのかな) あ、岸谷吾郎が妙なところに出てきますが、これはご愛嬌。 右京が犯人とチェスの試合をして、その終了棋譜でマラソンコースを発見しますが、これは不可能です。(ちょっとやりすぎですね) 前半はネットの処刑リストによる連続殺人事件ですが、犯人が判明した後半はお涙頂戴ものになってゆきます。 主犯にどんな動機があるにせよ、三人を殺し、一人を殺人未遂し、実行犯を爆死させたあとでは、何を主張しても遅いです。 脚本家は、犯人が病死することでバランスが取れると考えたのでしょうか。 犯人の最終目的は裁判での外務省の機密文書の暴露ですが、それが一ジャーナリストの手によって簡単に入手されていまします。(ご都合主義な展開) 殺された三人は機密文書の存在を知らずにテレビで発言しただけですから、処刑される理由がありません。 主犯の動機と行動に整合性がないのが脚本の最大の欠点でしょう。 豪華出演者と演出がうまいのでうまくごまかされてしまうのでしょうね。 冷静に観ればだめだめ映画です。 最初の「無差別劇場型連続殺人事件路線」でゆけばよかったのです。  
[映画館(邦画)] 2点(2008-05-03 09:48:29)
16.  アンフェア the movie 《ネタバレ》 
えっとー、犯人グループの目的は、警察の裏金をあばき マスコミに知らせたいということですね。 そのためだけに病院を占拠し、細菌テロで脅すというのもバランスが取れないなあ。 SATが犯人というのもしらけるし、それがSAT別働隊をどんどん殺しているし。 警察のトップはあんな馬鹿じゃないでしょ。 警察官が見たら怒るわ。 黒幕の江口が乗り込んでいっていろんな人を殺すけど、 ついでに雪平も殺せばいいのに。 雪平の娘がご都合主義の象徴だな。 都合よく車爆発に遭遇し、都合よく入院していた病院が占拠され、都合よく隔離病棟に入り、 都合よくワクチンを打ってもらって助かる。 江口が最後まで握っていた文章だけど、 あんな内部文章なんていくらでも作れるよね。 証拠能力ないんじゃないのかな。 そして江口を射殺した犯人は不明のままジ・エンド。 結局金はどーなったの? 
[ビデオ(邦画)] 2点(2008-04-14 19:30:55)
17.  明日への遺言 《ネタバレ》 
退屈な映画の典型ですね。 GHQ側は、名古屋空襲の際、日本軍に撃墜され、B29からパラシュートで脱出した捕獲搭乗員38名を裁判なしで即斬首した責任を取らせたい、 岡田中将は、無差別空襲自体が違法であるから処罰しただけと主張。 岡田中将の意見など通るわけもなく、当然死刑。 岡田中将は全責任は命令したわたしにあり、部下には責任はないといったが、 それは当然のこと。 これを美談として描きたかったのかねえ? 戦争の悲惨さを描きたいのなら、空襲の場面、機銃照射の場面、孤児院が焼ける場面などをていねいに描けばいい。 それなのに予算がないのか、全くの手抜きで、証人に証言させるだけ。 空襲の様子などは絵で見せるだけ(失笑) ぐだぐだと証言だけすすむ法廷の密室劇では、感情移入などできるはずもない。 TVドラマでももっとましに作るとおもう。 岡田中将は裁判時56歳くらいなのに、役者がえらく年取っていて違和感ありあり。 あんなよぼよぼで年寄りくさい中将なんてありえない。 もっと軍人らしく壮健であったはず。 まちがっても若者は見に行ってはいけない。 題名の明日への遺言もなんのことか不明。 こころに何も残らないむなしい映画です。 
[映画館(邦画)] 1点(2008-03-11 01:43:14)
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