1. アフター・アース
《ネタバレ》 本作に「アバター」のような大作っぽさを期待すると確実に裏切られます。 何せ、ストーリーは「危険な状態になった地球で、息子がちょっと離れた場所におつかいに行き、父がそれをサポートする」というだけです。 舞台は「人類抹消のために進化した地球」という設定ですが、そんなすごそうなもんじゃなくちょっと危険なジャングル程度の印象です。 登場人物も両手で数えられる程度で、それほど劇的な展開はなく、かなり地味な映画と言っていいでしょう。 こうなったのは、ストーリーの原案が(本作で主演も務めた)ウィル・スミスであることも関係しています。 さらに本作は「幸せのちから」と同じく、ウィルとそのリアル息子のジェイデン・スミスが共演している作品でもあります。 つまり、ウィルの「息子に役者として成長して欲しいなあ」という願いが込められた親バカムービーと考えて差し支えありません。 「親に反発していた息子が成長する」という要素なんて、まんまウィルの「理想」としか思えませんもの・・・ でもわりと面白かったのは、登場人物の「内面」を丹念に描いているからです。 親が子を想う気持ち、子が親を疎ましく想う気持ち、自身のせいで肉親を失った苦しみ・・・そうしたものを大切にしているのです。 個人的に印象的だったのは、サイファーがモニター越しに、バースデーケーキのロウソクの火を消してくれと頼まれるシーンです。 このときサイファーは息を吹きかけ、ローソクは消えたように見えましたが、実際に火を消したのは見えないところにいたキタイでした。 父は家族に影響を及ぼしているのですが、それ以上に影響を与えるのは近くにいるものなのです。 息子のキタイが、父と同じような影響を与えることができる・・・そんな描写だと思います。 しかし他のサイトの評判が散々なのに、このみんなのシネマレビューではそれなりに高評価というところも、観る人の違いを感じて面白いです。 [映画館(字幕)] 6点(2013-06-29 15:41:12) |
2. アイアンマン3
《ネタバレ》 敵の魅力がなさすぎることが残念。今までの敵キャラはガッチガチの「機械」系で、アイアンマンと「鉄と鉄」のぶつかり合いが見れたのですが、今回はそうではないのです。戦闘がド派手な分だけ、敵が小さいものに見えてしまうのはもったいないと思います。<以下めっちゃネタバレ注意> 自分はエンドロール後に出てきた男が、ハルクことブルース・バーナー(マーク・ラファロ)であることに気づきませんでした。ハルクを演じていたのは「ハルク」ではエリック・バナ、「インクレディブル・ハルク」ではエドワード・ノートンと、役者がコロコロと変わっているためによけいにわかりにくくなっています。メガネもしていないし。 「僕は忍耐力がないんだ」というセリフは、まさにハルクならではですね。 壮絶な物語が実は「男への独白」であり、しかも「寝ていて聞いてなかった」なんてオチをつけるだけでも十分面白かったです。 それにしても、トニーがアイアンマン軍団を次々に花火として爆発させるというのは勿体無い。 トニーは「気に入った?」と聞き、ポッツは「とっても」と笑顔で答えるのもなんだか違和感。アイアンスーツに依存していたことに悩んでいたとはいえ、トニーにとってアイアンスーツはかけがえのないもので、ポッツもそれを知っていると思えたので。 男の子心をくすぐるヒーローとしてのアイアンマンのラストバトルを見れただけでも、十分満足なんですけどね。 [映画館(吹替)] 7点(2013-04-27 22:46:20) |
3. アウトロー(2012)
「アウトロー」という思わせぶりな邦題になったのは、なじみがない日本人にも興味が持てるタイトルにしたかったという配給側の戦略なのでしょう。 しかし実際映画を観てみると、この邦題は本編のイメージとはそぐわないものでした。 「アウトロー」とは「無法者」であり、「危うさ」を感じることばです。 しかしこの映画に出てくるトム様演じる主人公は全然危険な印象がありません。 それどころかわりといいやつでした。 彼は定職にもつかず、宿はなく、必要最低限のものしか持ち歩かないニート・・・ゲフンゲフン寅さんのような男で、悪をくじき弱気を助けるいい感じのヒーローなのです。 しかも口ではなんだかんだ悪態はつくけど、実は知り合った者のことを何よりも想っているというツンデレぶり。 トム様が演じる新しいキャラクターとして、かなり好きになれました。 ストーリーはシンプルで、トム様と相棒の女性弁護士が突如起こった銃乱射事件の真相を突き止めるというものです。 冒頭のスタイリッシュかつ衝撃的な事件のシーン、それを反芻して見せるなど、「謎解き」にかかわる画はとても面白く、見ごたえがあります。 派手さはないのでトム様のアクションを期待すると肩すかしでしょうが、この大衆向けの映画とは思えない落ち着いた雰囲気も気に入りました。カーチェイスも迫力満点です。 そんな感じで前半は非常に楽しめたのですが、後半はびっくりするくらい面白くない。 展開がいくらなんでも雑すぎだし、目新しさはないし、悪役は魅力がないし・・・勢いでごまかそうとしているようにしか思えず、ラストバトルの無茶さはもう失笑モノでした。 ここまで最後に行くにつれてテンションが下がってしまうのはある意味貴重です。 トム様の50歳とは思えないステキな上半身裸が拝めるので、ファンは必見ですよ。 [映画館(字幕)] 5点(2013-02-17 15:08:36)(笑:1票) (良:1票) |
4. 悪の教典
《ネタバレ》 中盤、オーディンにつきそうワタリガラスのフギンとムニンの物語が紹介されます。 フギンとムニンは、神・オーディンへ様々な情報を伝える存在です。 本作のフギンとムニンが示すものとは、以下だと思います。 ①蓮実 蓮実が「裏掲示板」「盗聴器」などにより情報を集める様は、さながらフギンとムニンのようです。 ②序盤に登場するカラス 蓮実が家の外にいるカラスに異様なまでの敵意を燃やし、電流により殺していたのも、自分の行動を「神に告げ口される」のを恐れていたからなのかもしれません。 ③怜花 蓮実は最後に、怜花に向かって「オーディンによろしく」と言っています。 これは「蓮実は本当に狂ったふりをしているか?それとも、神を信じているか?」という観客への疑問の投げかけなのでしょう。 さらに・・・このとき、怜花の片目はカラスのように真っ白になっています。 なぜ怜花の目がカラスのようになったのか・・・これは怜花が新たにフギンとムニンの役目を担うものになったからだと思います。 続編があるとしたら、怜花は蓮実(もしくは蓮実の意思を受け継ぐ者)の凶行を止めるのかもしれません。 その行為こそが「神に告げ口をする」フギンとムニンなのでしょう。 [映画館(邦画)] 7点(2012-11-18 20:25:44) |
5. アシュラ(2012)
原作は残酷描写と人肉食のシーンがあったために、有害図書指定を受けたことでも有名でな作品です。 自分はこの原作は未読でしたが、映画は発禁処分を受けたとは思えないほど、道徳的な作品に仕上がっていると思います。 飢饉に見舞われた世の中で、10歳にも満たない子どものアシュラは生きるために人を殺し、その肉を喰らいます。 それは食べるものがなく、生きていかなければならないためなのです。 そして描かれるのは、アシュラが人喰いから「人間」へと成長していく物語であり、この上のないほどの悲劇でもあります。 アシュラの想いが痛いほどわかるので、涙を流してしまうシーンが多くありました。 声優を務めた野沢雅子さんが、(原作を)発禁にするなんてとんでもない、世界中の人に観て欲しいと宣ったことに完全に同意します。 流血シーンが多いのであまり小さい子には薦めませんが、子どもにも是非観て欲しい作品です(直接的な表現は少ないので、レーティングは全年齢指定です)。 今の飽食の時代では、こうして飢え、苦しむことのない幸せを忘れています。 この映画で描かれる飢饉、そして主人公が人を喰らうシーンは本当に気が滅入るものですが、作品には必要なものです。 そのことを、決して「綺麗事」ですまさずに教えてくれる本作は、確かな説得力を持っているのです。 本作の上映時間は短く、わずか75分です。 しかし下手に長い映画よりも、はるかに価値があると思わせる素晴らしさがあります。 本当に多くの人に観てもらいたい作品です。 アニメが好きな人だけでなく、映画からメッセージを感じたい方、心に残る映画を観たい人に是非おすすめします。 エンドロール後にも1シーンあるので、お見逃しなく。 [映画館(邦画)] 8点(2012-10-07 16:58:09)(良:1票) |
6. アベンジャーズ(2012)
会話シーンがかったるい。 序盤は仲間を集めるための「会話」が多く、中盤はとにかく「内輪もめ」が続き、そのやりとりは少々ダラダラとしています。 しっかりとキャラクターの内面を描いていることは本作の優れた点ではありますが、その全てが必要かといえば疑問です。「お祭りさわぎ」のような今作のコンセプトにおいて、中だるみ感が否めなかったのは残念ではありました。 まあそれにしてもラストの大立ち回りは大興奮! 最高クラスの「共闘」の面白さを堪能できます。 意外なキャラの組み合わせと活躍は、いままでのギャップも相まってかなり萌えます。 アメコミファンにはたまらないものでしょう。 そんなわけで今までのヒーロー映画を観た人は即効で映画館に行きましょう。 観ていない人は「マイティー・ソー」だけ観ておくといいかもしれません。 また、エンドロールの最後にもおまけがあるので最後まで観ましょう! [映画館(字幕)] 7点(2012-08-16 20:35:32)(良:1票) |
7. アナザー Another(2011)
酷い。なんだこれは。酷すぎる。 ①設定無理ありすぎ ファンタジーよりの作品とはいえ、あまりにも説得力がなさすぎ。 ②話が平坦すぎ そもそも無理がある設定を長ーい時間をかけて解説してくれます。 このせいで全く話がすすみません。 つまらない上に納得できない設定をグダグダ登場人物が話すと言えばわかりやすいでしょうか。 ③怖くない ホラーというよりはミステリーよりな作品であることはわかるのですが、この映画には本気で恐怖的演出が欠けています。 つーか本作のホラー要素はほぼ「ファイナルデスティネーション」のノリでした。 この「死のアイディア」は多少は工夫されていましたが、出来自体は本家の足元にも及びません。 ④CGのレベルが驚く程低い。 プレステのゲームかと思いました。 ⑤伏線を生かしやがれ 意味深な行動があったかと思えば、それ以降はその伏線は基本的にぶん投げです。 ⑥映画的演出がヒドい 陳腐すぎる演出は素人目に見てもキツいです。 この映画を観て、邦画のホラーの行く先が本気で心配になりました。 「貞子3D」(←個人的には大好物だけど)で十分すぎるほど信用を落としておいて、こんな二重にパンチを浴びせるようでは、そのうち誰からもそっぽを向かれるようになると思います。 [映画館(邦画)] 1点(2012-08-05 02:20:23)(良:1票) |
8. アメイジング・スパイダーマン
《ネタバレ》 作品自体はとても面白かったのだけど、どうしても気になることがあります。 それは、グウェンの父であり警部でもあるジョージの「もうグウェン(娘)には近づかないでくれ」という遺言をピーターが破ってしまうことです。 グウェンの後ろに座り、小声で「守れない約束もある」と言うピーターに嫌悪感しか覚えませんでした。 グウェンからのアプローチがあったのならまだしも、お互いが父の遺言を知っているのに、堂々と「やっぱり約束守れねえや」と言うのは・・・全く納得できませんでした。 ピーターがジョージの葬式に訪れないのも、「二度と近づくな」という遺言を行動にあらわしたものだったでしょうに、その後にグウェンに「もう会えない」と言ったのに、何故この結論に帰着するのか理解できません。 恐らくこれは、続編でもヒロインを継続させるためのものなのでしょう。 でもそのために、約束を破らせないでほしかった。 破ったとしても、彼女を絶対に守るという決意を見せて欲しかったです。 それでも今作のピーター・パーカーは魅力的でした。 頭脳明晰でしかもイケメンなピーターですが、伯父に父の責任感を告げられた彼は、「父さんは今どこに?」「父さんは責任を放棄した!」と、涙ながらに訴えるのです。 いままでは優秀っぷりを見せ続けていたピーターですが、ここではとても愛おしく思えました。 そんな彼が、橋で子どもを救い、自分が数式を解いたせいで博士を狂わせたことに対して「これは僕の責任だ」と言い、行動するのです。 なおかつ、ピーターは博士を殺すのではなく、あくまで説得を行い、解毒剤を用いて解決を図ろうとしていました。 最後に「卵を買ってきた」ことで責任感をあらわすのはちょっと笑ってしまいましたが、これもいいシーンであったと思います。 マンホールから地上に出たあと、マンホールをちゃんと戻す新生スパイダーマンが大好きです。 [映画館(字幕)] 7点(2012-06-24 23:26:36)(良:3票) |
9. 愛と誠(2012)
個人的には期待外れでした。 ミュージカルに使われる昭和の名曲の数々は、当時を知る人にとって感涙ものだと思いますが、これがフルコーラスでないにしろ、2番まできっちり歌うので、ものすごくテンポが悪く感じます。この「音楽のせいで物語が止まる」のは「モテキ」でも感じたジレンマ。 「嫌われ松子の一生」のようにミュージカルに沿って物語を語ったりはせず、数分間にわってシーンが変わることなく登場人物が歌って踊ります。 熱の入った歌唱も、ここまでくると少し胃もたれ気味です。 展開のワンパターンさも残念。 主人公の大賀誠が、とにかく暴れまくる・・・のはいいのですが、とにかく一人vs大勢の乱闘だらけ。 このせいで暴力シーンにさほど面白さを感じることができず、不良たちが現れるたびに「またか」と思ってしまいます。 しかし本作では役者の魅力が爆発していて、そこだけは大満足でした。 一番楽しかったのが、妻夫木聡のツッコミスキル。 まわり(特に武井咲)がボケボケで、このツッコミには完全に同意してしまいます。 武井さんのお嬢様も超ハマり役だし、余貴美子さんや、一青窈もすごい。 安藤サクラさんは「愛のむきだし」で大ファンになったのですが、今作でもどうかしている(褒め言葉)怪演。 そして素晴らしいのは、「岩清水」役の斉藤工さん。 まじめキャラへの没入感がハンパないです。 誠、愛だけじゃなく、彼を第3の主人公に数えてもよいくらいの存在感でした。 あと忘れちゃいけないのが、子ども店長(加藤清史郎)。彼の行動と、そのときのツラは爆笑しました(ひどすぎて)。 [映画館(邦画)] 5点(2012-06-21 20:11:31) |
10. アーティスト
《ネタバレ》 <すさまじいネタバレ注意>今までサイレント映画だったのに、トーキー映画に変わるというアイディアは「オズの魔法使」のあのシーンを思い出しました。 台詞のない映画を観ていて「これはこれでいいけど、やっぱり声が欲しいなあ」というジレンマは多くの人が感じることだと思いますが、これにアイディアで応え、ジレンマそのものをトーキー映画へと移り変わる時代を利用して描いていることが素晴らしいです。 この映画がオスカーを受賞したのは、単なる懐古主義に留まらず、温故知新の考えのもとで新しい映画を作ったことにあるのだと思います。 ◆こちらのブログhttp://kinoer.exblog.jp/15769867で知ったのですが、主人公のジョージは、最後にフランスなまりの英語を話していたそうです。これに気づくと「ジョージは映画でしゃべること自体に抵抗があった」と気づけるという・・・細かい設定に感服しました。 [映画館(字幕)] 8点(2012-05-01 22:33:42)(良:1票) |
11. アーサー・クリスマスの大冒険
これ最高です! この映画は「なんでサンタは世界中の子どもにプレゼントを配れるの?」という子どもの疑問にバッチリ答えてくれます。はじめのその「仕事」のシーンは「スパイもの」のノリで、すっごく楽しいんです。 しかも本作のアイディアはそれだけにとどまりません。最初から最後まで斬新orツボを押さえたアクション満載で実に楽しませてくれます。 「大人も子どもも楽しめる」というファミリー映画としても理想系です。 子どもには「サンタ家族の大冒険」 大人には「ダメ人間の成長物語+α」 として楽しめるのです。 映画を観てわかるのは、主人公のアーサーや、一見してやり手に見える兄、はたまた父のサンタまで、欠点ばかりを抱えた人間であること。 主人公はどう行動し、そしてみんながどう変わっていったのか─ このダメダメな家族の「変化」、その行動に、大人であればきっと思うことがあるはずです。 さらに言えば、この映画には「世代交代」に関わるドラマが内包されています。 明らかに父サンタの描写は、定年退職を迎えつつある大人をピンポイントで狙っているので笑ってしまいそうになりました。てか笑いました。 さて、今作の不満点は、作品そのものではなく ①「タンタンの冒険」「怪物くん」がすぐに控えている公開日 ②あんまり宣伝がされていない ③字幕版の公開がない ということ。 公開日は作中でも意味がある日になっているし、ねらいもわかるのですが・・・なんと興行収入は10位圏外という有様。 この作品の出来の良さに反した、宣伝への不満は「ヒックとドラゴン」を思い出しました。 しかし「ヒック」は口コミによって良さが広まった作品でもあります。 なので自分も本作を「本当に面白い」と言い続けたいと思います。 間違いなく「ヒック」にもひけをとらない大・大・大傑作なのですから! [映画館(吹替)] 10点(2011-12-01 01:27:54) |
12. アジャストメント
むしろ期待通りな大味サスペンスでした。 話の大筋は 「美女と仲良くなりたいマット・デイモンVSちょっと間の抜けたエージェントたち」 です。 まあ本当こじんまりとした印象ですし、「勝手にやってろよ」と思う人がいてもおかしくないような気がします。 大筋の話以外では、好きな部分が多かったです。 主人公2人の恋路も楽しいですし、「どこでもドア」のようなアイテムも面白いです。 対して脚本はもう初めからさじを投げたようにいきあたりばったり。 ちょっとご都合主義、というよりも「無理やりでも盛り上がらせてやろう」みたいなゴリ押しな印象は否めませんでした。 それと「調整局」のみなさまにカリスマ性どころか怖さが皆無なのはどうかと思います。 これじゃあスリルも何もあったもんじゃないでしょうよ。 サスペンスよりも、ラブストーリーを期待したほうが楽しめるでしょう。 ストーリーにとくに突っ込まずに、デイモン様の一途な恋バナを楽しめる人にはいい映画かもしれません。 [映画館(字幕)] 4点(2011-06-05 18:20:24)(良:1票) |
13. アンノウン(2011)
《ネタバレ》 どんでんがえし部分がわりと出来が良かったの対し、それ以外に突っ込みどころ盛りだくさんでした。主人公を狙う殺し屋たちが適当すぎます。 看護婦(無関係)の首をコキッとやる。主人公は後回し。 タクシー会社の同僚(無関係)はサクッと殺しといて、ジーナ(タクシーの女性、無関係)はなかなか殺さない。 窓の外に逃げた主人公は逃がすし、逆に注射打たれる。 派手にカーチェイス。目立ちすぎ。 写真展でニアミスするけど結局見つからない。 そしてやばいのは駐車場のシーン。 車をパクって飛んできた女の子にあっさり殺される暗殺チームってどうなんですか。 無抵抗に轢かれまくる下っ端と、無表情で車とともに落ちていくボスキャラに苦笑しか出ませんでした。 妻(じゃなかったけど)は主人公と写真展で堂々とキスするし!緊張感ねえなあ。 妻は暗号を残していましたが、これも「爆弾のパスワードでした」という面白くもなんともない結末に。 ていうかそんな誰でも解ける暗号にするなよ。 んで、その妻は「やべ、爆弾の解除間に合わなかった」で死んじゃうし。コントか。 記憶を取り戻した主人公と再会させたら盛り上がったと思うのに。 ラストも納得いかない。 タクシーの女性ジーナと楽しい旅にって・・・主人公の持っていた葛藤ってそんなもの? いままで人を殺した罪を悔やむんなら、ちゃんと償ってほしかったし、警察にも思いっきり正体ばらしたのにスルーですか・・。 大味な展開の映画は大好きなのですが、さすがにこれはいただけませんでした。 [映画館(字幕)] 3点(2011-05-12 21:20:50) |
14. 愛する人
《ネタバレ》 カレンは家政婦から聞いた母の言葉を知り「何故私に言ってくれなかったの」と言う。 彼女は自分の娘と言葉を交わすことができないばかりか、母親からも心の内を話してはもらえなかったのです。 カレンがギスギスしていたり、パコに気を遣わせてしまうのは、ずっと娘への思いがあったからなのでした。 娘のエリザベスが男から恐がられたり、一人でいるのが好きなのも、同じように母への思いがあったからなのでしょう。 パコの娘はこう言っています「血のつながりより、一緒にいる時間が大事」と。 そのとおりです。家族は一緒にいる時間が長いことが、絆にもなっていると思います。 しかし、最後のエリザベスにあてた手紙にはこうあります。 「今日、エラに会った。38年間を一緒に飛ぶ鳥のようだった。彼女は心のよりどころ(Peace)だ」と。 カレンはエリザベスに会うことはできなかった。 でも彼女の生んだ命に会うことはできた。 それは38年間の悲劇を飛び越えるほどの喜びだった。 子どもって、本当にかげがえのないものです。 原題の「MOTHER AND CHILD」に込められた思いが伝わる秀作でした。 ps:個人的に一番好きなシーンはルーシーの母が「あきれた人ね、あなたが子どもを育てる世界初の女性なの?泣き言いうんじゃないよ、母親になるんだから」と一喝するシーンです。 [映画館(字幕)] 7点(2011-03-24 17:33:44) |
15. 愛のむきだし
《ネタバレ》 愛ってなんだろう。それは純粋に相手を思う気持ちだったり、偏狭的に物事を見たりすること。 主人公は紛れもない変態だったけど、父親の愛を求め、「女神」とあがめる彼女のために必死に行動した。そのことに共感をしてしまうのです。あふれでるオリジナリティ、役者の演技、エンターテイメントとしての面白さがギュッと詰まった4時間は、まさに至高のものでした。 長すぎる?残酷描写などで見る人を極端に選ぶ?あまりに荒唐無稽?そんなの関係ない。これだけのメッセージをぶつける映画を、自分は俄然支持します。 単純な男女の恋愛や、薄っぺらなケータイ小説なんかよりも、愛するものを深く描けている映画だと思います。 [DVD(邦画)] 9点(2011-03-14 17:59:56) |
16. 悪魔を見た
いやあびっくりした。予告編などでは重圧でサスペンスフルな映画だと思っていましたが ふたを開けてみるとつっこみどころ満載でした。 はっきり言ってサスペンス映画としては落第点です。酷いと言ってもいいと思います。 スマートさのかけらも感じません。 さらに演出が大仰だし、 音楽はへんにボリュームが大きくて逆効果だし、 大体なんでこんなシンプルなストーリーに2時間24分もの尺が必要なのかさっぱりわかりません。 でも自分はこの映画がわりと好きです。 観ている間はその上映時間の長さも気になりませんでしたし(尺稼ぎっぽさは感じたけど) ビョンホン様が迫力満点なカメラワークで殺人鬼とバトルをしたり、凶悪なことをやったりするだけで楽しい気持ちになれます。 なによりどう見てもつっこみ待ちとしか思えない展開が素敵です。 変な韓国映画代表の「グエムル」が好きな人は是が非でも観に行くべきです(グエムル大好きなんです)。 でも、ビョンホン様目当ての女性にはまったくおすすめしません・・R18+指定なだけあって猟奇的なシーンや性的暴行のシーンがあるし、画面の半分くらいはきれいな顔のビョンホン様でなくて、汚い殺人鬼なんだから。 [映画館(字幕)] 6点(2011-03-03 19:16:39) |
17. アンチクライスト
やばい。暴力、性描写も凄まじいのですが、それ以上にデヴィッド・リンチの映画か?と思うくらい難解な映画になっています。 同監督の「ダンサー~」は個人的に好きな作品ですが、これは好きになれません。 なぜかと言えば、この映画では女性を「悪しきもの」ととらえているから(少なくとも自分にはそうとしか思えなった)。 女性にとって、この映画には嫌悪感ばかりがつのると思います。 Wikipediaによると 「この映画を作った自己弁護と釈明をしてください」と質問され 「世界一の大物映画監督と自称する監督による、女性嫌いの最たる作品」と非難された 作品ですが、この映画を観るとそれはよくわかります。はっきり言って死ぬほど不愉快でした。 おすすめしたくはありませんが(特に前述の通り女性に)、 画は暴力的でもどこまでも美しいですし、 主演女優賞を受賞した「彼女」役のシャルロット・ゲンズブールの演技も凄まじいです。 生半可な気持ちで観ると、後悔するかもしれません。 [映画館(字幕)] 5点(2011-03-03 19:08:30) |
18. あしたのジョー(2010)
《ネタバレ》 美術や配役、演出はとても良かったと感じます。 白木葉子役の香里奈さんだけはあか抜けない印象を持ちますが、香川さんも伊勢谷さんも役にはまっています。 一番の不安材料だった山ピーもチンピラっぽい雰囲気が悪くないと思います。 そして素晴らしいのは拳闘シーン。 スローモーションで ・パンチで顔がつぶれる描写 ・ほとばしる汗 ・「クロスカウンター」の形 これらを臨場感のあるカメラワークで魅せてくれます。 クライマックスの力石戦は本当に熱かった。 漫画の世界をこれほど違和感なく実写にできているのは感動的でもあります。 「ドヤ街」のセットもしっかりしていますし、過酷な減量をした力石の描写もいい。 ビジュアルは「よくやった!」と手を叩いて喜べる出来です。 しかし・・・お話のほうはだいぶひどい。原作のはエピソードの削除は仕方ないとしてあの「たんぽぽ」は何? なみだ橋のへりにさいてあるたんぽぽを見つめる。 歯を磨きながらたんぽぽに水をあげている。 白木葉子の肩をぐっと掴み「踏んでんだよ」とたんぽぽを気遣う。 最後にたんぽぽは力石の墓に!なんだこれ。 ジョーの性格を示すアイテムとしては安易すぎでしょう。 ウルフ金串なんてセリフすらないし、ドヤ街の開発の話も蛇足でしかない。 脚本で見事に台無しになっています。せっかくの撮影、役者の演技がもったいない。 [映画館(邦画)] 4点(2011-02-11 18:17:11) |
19. アンストッパブル(2010)
《ネタバレ》 イメージとしてはみんなで協力する『スピード』。 止める方法のアイディアが豊富で期待通りの面白さでした。 つっこむのは野暮なんですが、ひとつだけ言わせてください。TV局の対応がいくらなんでも早すぎます。 作中にも「TVに教えてもらうのか?」という上司のセリフがありましたが、全ての発端のメガネデブの写真の公開や、主人公が怪我したときに(穀物が散乱して良く見えないはずなのに)すぐに「負傷した模様です」って実況、なにより状況を説明するためのクオリティ高すぎなCGなど本当早い。 この事件で本当に優秀だったのは鉄道会社の英雄ではなくて、TV局の人間だったってオチなら最高でした。 [映画館(字幕)] 7点(2011-01-08 23:13:05) |
20. アタック・オブ・ザ・キラートマト
《ネタバレ》 バカ映画を期待するとつまらなさに悶絶するであろう作品。「トマトが人間を襲う?」というバカさで突っ走ればいいのに、秘書の恋路の物語とミュージカルが邪魔すぎて目も当てられません。さらに困るのが中毒性抜群の主題歌(軍歌?)これを観た直後何度人前で「あた~っくおぶざきらーとめぃとぅ」と口ずさみそうになったことか!観ない方がいいと思う。 [DVD(字幕)] 1点(2010-07-14 18:28:23) |