1. アサシン クリード
《ネタバレ》 久々にひどい映画を観た。役者は主役脇役共に中々に豪華。スタッフの顔ぶれを見ても映画ファンなら見たこともある名前がちらほら。金もかかってそうだし映像やアクションもそれなりに作っているのに恐ろしいくらいつまらない。 90分以下の映画の内容を引き伸ばして見せられているような感覚が続き、思わせぶりなセリフやアクションの決めポーズにすら段々とイラついてくるのが自分で分かってくる。ゲームの方は以前プレイしたことがあるが経験者に「で、こいつら何やってるんだ?」と思わせたら終わりでしょう。ストーリーが進んでいるのかもよく分からず終盤には「早く終わってくれ」「え?これで終わり?」と観る側に妙な葛藤をもたらす。葛藤は映画のドラマの中で産んでくれ。 こんな妙な作りなら現代のシーンはバッサリ捨てて暗殺者集団のドラマを娯楽活劇として描いた方が全然マシだったのではないだろうか。 [ブルーレイ(字幕)] 2点(2017-09-07 23:09:33) |
2. アメリカン・サイコ
《ネタバレ》 当時は若手だった俳優たちが次々と現れる。今こうして観るとなかなか豪華だ。 もっと衝撃的な内容かと思ったが意外と笑えるシーンが多い。名刺バトルに始まり、音楽のうんちくを垂れながら3P撮影、全裸チェーンソー等々。特に名刺バトルは秀逸で名刺のデザインにいちいち敗北感を覚えるところが実に滑稽でいい。 現実味に欠けたシーンも多くどこからどこまでが現実なのか。主人公はところどころで自分が人を殺しているという主旨の発言をしているが誰も気にせず流している。薄っぺらい人間関係の中で生きていて中には名前を勘違いしている人間もいる。要するに彼らは無関心なのだ。主人公ももちろんそうで結局は自分のことしか考えていない。「サイコ」というのは主人公だけのことではなくこの世界に生きている人間のことだと作り手は言いたかったのだろうか。 ラストの締め方が少し弱い気もするが一見の価値はあるかと。クリスチャン・ベイルも熱演している。 [インターネット(字幕)] 7点(2016-10-03 19:19:04) |
3. アデル、ブルーは熱い色
《ネタバレ》 この映画の原作がコミックだと知ったのは映画を観終わってからだった。コミックの主人公の名はクレモンティーヌ。映画ではタイトルにもなっているアデル。 なぜ主人公の名をタイトルにしたのかは映画を観ると察することができる。この映画が秀逸なところはアデルを演じるアデル・エグザルコプロスのいろいろな表情を自然に捉えているところだ。喜怒哀楽だけではない。恋人への視線に現れる期待や不安、近くにいるはずなのにふと感じる寂しさ、人物との距離感と彼らに向けられる様々な表情を極自然に捉えているように感じた。原作のクレモンティーヌではなく演じる女優と同じ名を主人公に与えたのはそういった演技を引き出すためだったのかも知れない。 レア・セドゥーとの激しい性描写が話題だが物語は普遍的なラブストーリーだ。一目惚れ、情熱的な恋、破局。それが運命的な恋だったとしても人生は続いていく。少女は大人の女性に変わりまた新たな恋に出会うのだろう。その過程を見事に切り取っている。きっと観る側の精神状態によってもいろいろな表情を見せる映画だと思う。もちろん多くの映画がそうだろうが特に本作はそう感じた。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2015-12-30 18:12:15) |
4. アナベル 死霊館の人形
《ネタバレ》 「死霊館」で強い印象を残した人形の経緯を描いたスピンオフ的な作品。 1969年のシャロン・テート殺害事件を起こしたカルト集団を絡ませてくるあたり「ローズマリーの赤ちゃん」をどうしても連想させ興味がわくのだが、いかんせん序盤以降はあまり怖くない。中盤あたりは退屈に思えて眠気さえ覚える。ホラーで眠気を覚えたらどうしようもないのだが中盤以降でいちばん怖かったのはミシンだ。ミシンをあれだけ強調すれば「ああ、刺さるんだろうな」とわかるのだがその直接的な恐怖にオカルト的な恐怖が勝てていないのが問題だ。 そしてラストの自己犠牲。たしかに娘はいなくなった。しかし、自己犠牲的な行動をするほどに追いつめられている状況にも見えず、そんな段階で「私が死ぬ」「いえ、私が」とやられても困惑しかないわけで。しかも自ら犠牲になったのは本屋で知り合ったただの知り合い。もちろんその女性にはその人なりの想いがあっただろうが明らかに描き足りていないため唐突な印象しか受けない。題材としては面白そうだったのに残念。 [ブルーレイ(字幕)] 3点(2015-08-22 19:58:46)(良:1票) |
5. ある日どこかで
《ネタバレ》 おそらく今まで観たタイムスリップ作品の中でこれ以上にふわふわしたものはないだろう。ふわふわしたというのはタイムスリップの方法もそうだが劇中で繰り広げられる恋愛劇もそうだ。何か地に足が着いた心地がしない。まるで夢でも見ているかのよう。それを作り手が狙ったのだろうか。 多くの感想の中でこれは彼の妄想なのではないかという意見は興味深い。これが彼の妄想だったならこのふわふわしたものの辻褄が合ってくる。自己催眠というとんでもないタイムスリップの方法も、彼の一方的過ぎる情熱に彼女が驚くほどすんなり応えてくれることも、彼の想像の産物ならありえる。 個人的には現代に戻って来てからもう一展開あればとも思ったがこれはそういう映画ではないらしい。これは悲恋なのだ。あまりのショックに衰弱して死んでしまう彼も悲劇だが、彼がいなくなって数十年彼を探し続けていた彼女のことを想像すると気が遠くなるし切ない。 それにしてもクリストファー・リーヴはスーパーマンのイメージが強いが背が高くハンサムで笑顔もまぶしく素敵な俳優だったと再確認。ジェーン・シーモアはあまり知らなかったがとても美しくこれなら一目惚れも無理はないかなと思わせる。 ホテルの彼女の写真が撮られたシーン。素敵な瞬間だった。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2015-03-12 23:24:50)(良:1票) |
6. アメリカン・スナイパー
《ネタバレ》 イーストウッドの映画はいつも過剰な演出が無い。この映画もクリス・カイルという一人のアメリカ兵に起こったことを描いているだけ。ただこの人にずば抜けた狙撃の才能があって戦果を挙げたため表面的にはかなりドラマティックなものになっている。 最初に狙撃したのが少年そしてその母親というところにこの人に忍び寄るものを暗示しているように感じる。敵から恐れられ莫大な懸賞金まで懸けられ、ムスタファと呼ばれる元五輪選手の凄腕に狙われるというまるでフィクションのような物語。だがそんな彼にも戦争の闇が忍び寄る。四度の出征の中で確実に彼の心は蝕まれていく。妻は止めるが彼は聞かない。それは「羊たちを狼から守る番犬になれ」という父親の教えを守っているからだろうか。それともムスタファを殺せるのは自分だけだという自負があったのか。ムスタファを長距離スナイプでしとめ彼は帰還する。その後の子供と戯れていた犬に殴りかかるシーンは象徴的だ。子供を守るために殴りかかろうとした相手は「狼」ではない。 この映画はアメリカでは3億ドルを越えるというどこかのアメコミ映画のようなメガヒットを叩き出している。こういう題材では信じられないくらいの大成功。その反応には賛否もあるみたいだが英雄視する人、反戦映画だという人、アメリカ万歳映画だという人、いろいろな思いを持った人たちが映画館に押し寄せた結果なのだろう。 個人的には英雄を讃える作品というよりは戦争で傷ついた一人の兵士を描いた作品という印象を強く持った。PTSDの元兵士に射殺されるという最後も皮肉すぎる皮肉だ。 それにしても84歳が撮ったとは思えない作品。過剰な演出も無いが娯楽的に観られるようにもしてあって、イーストウッド作品に大きなはずれが無い(あくまで個人的な印象だが)のはそのバランス感覚によるところが大きいと感じた。 [映画館(字幕)] 8点(2015-02-22 16:54:16)(良:1票) |
7. 阿修羅のごとく
《ネタバレ》 向田邦子にも詳しくないし、テレビドラマも見ておりません。 父の浮気を機に4姉妹それぞれの心の揺れを描く。姉妹間の嫉妬等のやり取りはリアルだがあまりドロドロした印象は受けない。 面白いやり取りも端々にあるのだが、全体で見るといつ着地するのだろうと感じる。やはりテレビドラマ向きか。 演技で印象に残るのは仲代達矢と八千草薫の安定感。八千草薫は昭和の母親像という感じだ。大竹しのぶと桃井かおりのやり取りはさすが。深津絵里の三女が実は一番印象に残っている。旦那の中村獅童はちと作りこみ過ぎか。 食べるシーンがかなり多く咀嚼音も聞こえるシーンは「家族ゲーム」を思い出す。鏡餅を割って油で揚げて塩をふるお菓子はうちでもやるので親近感。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2014-12-05 22:09:00) |