1. カノン
あのおっさんは平均的な男であって、我々の周りにもごろごろいると思います。臭くてだらしない格好して昼間っからぶらぶらしつつ、頭の中では「おれが本気出せば革命だって起こせるんだ」とか、すこし気に食わないことが起こると「今に見ていろ俺が本気出して切れたらどうなるか思い知らせてやる、俺は若い頃柔道やってたんだぞ!」とか、じつは殆んどの人間はそういう考えを抱いていると思う。こういう視点から見ると、現代社会は本当に幸せなのかと悩んでしまう。けれど、最終的に幸せを見つける。それはやはり我が子の存在。Je t'aime! でもさ、このおっさんはあんなにかわいい娘がいるから本当に幸せだと思うよ。カルネのころの様子を見るに無口で返事もない娘かと思いきや、涙を流すお父ちゃんを優しく抱くじゃないですか!この幸せものめ!って思いました。一方、娘はおろかなーんにもなくなってしまっているおっさんとか、この世にはゴマンといるだろうに。確かな幸せをつかんで生きていきたい。 ていうか、おれはギャスパーノエ被害者の会の一員なんですが、カノンは切なくなって泣いてしまった。アレックスみたいな映画創る鬼畜野郎だとばかり思っていましたが、愛についてもお心がおありな様ですね。みなおした。ようは、アレックスを観るには当時の俺はまだ若かったのでしょう。 9点(2004-11-14 14:25:46) |
2. カルネ
アレックスでギャスパーノエ被害者の会になった僕は、またも災難に遭うことになるとは、でも今回は映画として観れた。「BOM!」という効果音で進む映画。カメラの急接近撮影は、アレックスの惨劇を呼び起こす。でかい字幕はかっこいい。屠殺シーンは映像的に貴重な気がする。無口な女の子ってなんだかそれだけでエロい。 (後日書き加え)カノンを観ました。この映画の続編という奴。カノンがとても好感でしたのです。そうすると、カルネの価値が自分の中でグーンと上がりました。なるほど、ギャスパーノエ、恐るべし。でもやっぱりアレックスは嫌だ。 9点(2004-03-02 14:50:26) |
3. 髪結いの亭主
奥さんの決断も理解できないが、だんなさんが働かないで座っているだけというのもまた理解できない。働け働け。あるいはあんな夫だから奥さんは何かしら自殺に追い込まれていたのかも知れない。理解できないゆえの切ない深みがある。 8点(2005-01-17 19:42:09) |
4. カフカの「城」
《ネタバレ》 あの分厚くて字ばっかりの小説を2時間の映像に翻訳したことは偉い。だけども、面白くはなかった。途中から小説のディティールの再現にやりがいを感じ始めたのだろうか、肝心の映画の面白さが遠のいていった。まあハネケだからそれでいいのだろうけど。 あのラスト、続きはどうなるんだろうか、すごくロマンを感じる。 [DVD(字幕)] 6点(2010-11-28 23:12:03) |