1. 海外特派員
ハラハラドキドキシーンが寄せ鍋の具のように豊富な映画。新聞社の屋上の地球儀、アムステルダム郊外の風車、飛行機のプロペラなど、回るものづくしの遊び心が発揮されている節もある。主要な登場人物が使う乗り物は、ロンドンのタクシー、アムステルダムでの自家用車、ケンブリッジへ向かうオープンカー(ヒッチコック作品に頻出するが、この映画でもクールビューティ系がオープンカーを運転するシーンがある)、ドーバー海峡を渡る船、イギリスからアメリカへ飛ぶ飛行機、大西洋の荒波を走る軍艦と多種多様。暗殺あり、カーチェースあり、危険な場所への潜入あり、落下あり、砲撃あり、墜落あり、漂流ありと息をもつかせぬ展開が国境を越えたスケールで繰り広げられ、上映時間の長さをほとんど感じさせない。当時なかった言葉ではあるが、ジェットコースタームービーの元祖的な作品と呼んでもよいのではないかと思う。 [ビデオ(字幕)] 8点(2005-12-18 19:40:16)(良:1票) |
2. カサブランカ
最初に見たのは多分中学生の時。当時流行っていた「ベルサイユのバラ」で今のフランス国歌がどのようなものなのかをかじっていたので、歌合戦のシーンで熱くなったのを覚えている。その後何度も観ているが、現在の私にとっては、これは、俳優ではなく、酒場が主役の映画。個人的な感触では、酒場の映画と聞いてこの映画をあげる店主が開いている店にはまずはずれがない。突っ込みどころとしては、確かに美人なのだがスウェーデン出身の大女をどのように撮っているかが面白い。バーグマンはボガートより身長が若干高いはずなのだが、フランスにいたころの回想シーンなど、二人が並び立つシーンでは、ボガートの方が背が高く撮られている。多分、上げ底の靴を履かせたか、「雪洲」させたか、何がしかの工夫がされたのだろう。ラズロ役に身長190cm以上の役者を配したり、最後の飛行場のシーンのように、男二人はまっすぐに、女は斜めに帽子を被らせたりなど、なんとかしてバーグマンの背の高さを目立たせないような演出をしているところに作り手の苦労の跡が見える。 [ビデオ(字幕)] 8点(2005-09-11 16:54:05)(良:1票) |
3. 飾窓の女
5000ドルのやりとりがある映画にハズレ無しと個人的には思っていて、これもやっぱり面白い。ただしこの作品は、自分がシャレが通じる人間かどうかのリトマス試験紙のようなストーリーなので、怒ってしまう人もいるかもしれない。1944年といえば、大戦中で、こちらが一億火の玉とかなんとかいっているときに、あちらではこんな映画がつくられていたんだ、と考えると、勝てる理屈はなかったと思う。お産で実家にしばらく引っ込むとか、海外への出張とかで夫を家に一人にしておくときに、この映画を見るようさりげなく目立つところに置いて出かけるのが、現代的な賢夫人のたしなみといえるだろう。 8点(2005-02-24 00:20:43) |
4. 華麗なるヒコーキ野郎
《ネタバレ》 第一次大戦を生き抜いたヒコーキ乗りという特殊な人種の生態を描いた秀作なのだが、前半のコメディタッチの部分が、アニメではなく、映画だと、正直シャレがキツイのを通り越していて笑えない。実際、池の不時着シーンも、縄梯子乗りの激突シーンも、アニメなら笑って流せるが、映画だと映像がなまなましくてほんとに操縦士の身を案じてしまう。また、この監督の女の人の撮り方は他作品も含めて総じてあっさりしているのだが、メリー・ベスの扱いはとりわけあっさりしすぎていて、さすがに呆然とさせられる。また、ウオルドが助かる見込みの無い、丸焼けになりつつある仲間を、苦しませないために止めを刺すシーンなどは、コメディタッチの出だしと、どうにもバランスがとれない。最後の数分間が圧倒的に素晴らしいだけに、もう少し何とかならなかったのか、というのが正直なところである。 6点(2004-10-02 17:26:15)(良:1票) |
5. 風と共に去りぬ
普通にレビューしようと思ったのですが、書きたいことが既に十分すぎるほど書かれてしまっているので、実用面についてちょっとだけ。この作品、実はダイエットをやめようかどうしようか迷っていて、やめる方向に背中を押してもらいたいときに最適の映画です。ばかばかしくてダイエットなんかやってられるか、という気分になれること必至です。昭和の昔、この映画の劇場帰りに、あんみつをおかわりした乙女がかなりたくさんいたのではないかと私はにらんでいるのですが、、、。 9点(2004-03-09 01:23:33) |
6. カラー・オブ・ハート
面白い。発想のすばらしさに目を白黒させながら観た。何の予備知識もなく観始めて、最初、「これはアメリカの"Pleasantville"というTVドラマを見ていないとつらい映画なのか?」と心配になったが、全然そんなことはなかった。そのかわり、子供のころに読んだ「ハックルベリ・フィンの冒険」のストーリーを半ば忘れている自分には烈しく自己嫌悪した。色使いが目立つ映画であったが、忘れてならないのは、題名以外のページが白紙だった本の中身が蘇ってくるところ。色の変化だけでなく本の変化を並行的に見せたことで、ファンタジーながらも妙にリアルな説得力のあるストーリーになっていた気がする。一番のみどころは、やっぱり裁判のシーンで町長が主人公の挑発にのせられてしまい「色をなして」怒るところであろう。 9点(2004-02-11 16:19:07) |
7. 華氏451
本好きでないとこの映画はあまり面白く観ることができないだろうが、逆に、本好きには耐えられないような映像が頻出する映画であるのも事実。その意味ではMっ気があり、かつ、本好きな者向けの映画といえる。焚書を指揮する消防署の隊長が実は一番の読書家のようにみえてしまうのがエスプリという奴なのかもしれない。 7点(2004-02-09 15:55:34) |
8. カッコーの巣の上で
主も脇も役者陣の演技が完璧なので、精神病院の中の出来事 というちょっと引きたくなる設定にもかかわらず前半はストー リー展開に引き込まれる。これだけ出ている役者がうまければ 普通は最後まで楽しめるはずだが、ラストにかけて自分にとって はストーリー展開が「えっ、なんでこうなるの」ということばか りで全くの消化不良に終わった作品。ウーム、わからん。 4点(2003-12-16 09:39:54) |
9. 眼下の敵
かわぐちかいじの「沈黙の艦隊」の出だしに影響をあたえたのではないかと思ってしまう作品。ジャッカルとルベルのそれに匹敵する知力を尽くした1対1の対決モノの秀作。女がひとりも登場しないのもストーリーからすると当然とはいえ好い。あと、戦闘配置につくまえの両艦の中でのなにげない会話がいいんだよなー。 8点(2003-12-01 00:02:52) |