1. がんばれ!!タブチくん!!
私は原作の熱烈なファンだった。タブチくんよりも、ヤスダさんよりも、あの哀愁漂う応援団長が好きだった。彼はヤクルトを応援する。雨の日も風の日も。しかし、当時のヤクルトは弱くて弱くて弱くて負けてばかり。その日も応援むなしくヤクルトは負け、彼はいつもどおり呆けたようすで家にたどり着く。そんな彼を、やはりいつものように何も言わずに迎える妻....。いしいひさいちの、日の当たらない人間に対する優しく慈しみに溢れた視線を感じる場面だ。長島でも王でも山本浩二でも星野でもなく、タブチくんが主人公なのは、おそらくいしいひさいちがそういう人だからなのだと私は思う。 4点(2004-03-04 09:52:56) |
2. 隠し砦の三悪人
7点(2004-01-08 16:07:39) |
3. 風と共に去りぬ
7点(2004-01-08 16:04:43) |
4. 蒲田行進曲
6点(2004-01-08 16:02:23) |
5. カッコーの巣の上で
素晴らしいレビューの後なので気が引けるが...。精神病者もマクマーフィも規定の枠に収まりきらないアウトローとして,同じように差別され同じ扱いを受けるのを見てショックを受けた。もちろん,その酷さそのものにもショックを受けたのだが,もっとショックだったのは,自分が「人間らしい」マクマーフィをこのような酷い目にあわせるなんて!といつの間にか感じていたことだった。よく考えてみれば,ラチェッド婦長が非人間的,マクマーフィが人間的,と切り分けるとき,私は私の「常識」によってそれを行なっている。しかし,その常識が「規定の枠」となり,今日のマクマーフィを檻に閉じ込めないという保証はどこにもないのだから。私にとって,精神病院は自分の感覚や常識といったものの象徴だ。そして,そこから飛び出すチーフの背中を羨ましく見るのである。 10点(2004-01-08 15:30:31)(良:1票) |
6. 風の谷のナウシカ
よくも悪くもジブリ宮崎映画の印象を決定付けた作品。ナウシカに登場する人物は皆優しいと思う。「こいつは心から憎い」というキャラクターは皆無で、蟲にすら惜しみない愛情を注ぐナウシカは、優しさを通り越して神々しく見えるほどだ。まさに、こういう「優しさ」や「愛」こそが宮崎映画の最大の長所なのだろう。しかし、よく考えてみれば、それはいわば「日本風」の「優しさ」であり「愛」で、ナウシカの無国籍(というか非東洋風)な舞台設定とはほとんど関係のないのがこの映画の最大の欠点であることに思い当たる。最近は日本を舞台にした宮崎作品が目立つが、それは恐らく「ナウシカ」のような映画では、優しさや愛が「どこか遠い場所」にあるもの、自分とは関わりのないファンタジーの世界にあるもの、あるいは逆に人類に普遍なものだという捉えられかたをされかねないと思ったからではないか。もし日本が舞台ならば、観客は「優しさ」や「愛」が自分の生まれた場所や環境と切り離せないものだと感じるだろう。誤解されそうなので言っておくが、「優しさ」とか「愛」なんてものを、文化や歴史や生活の影響抜きに、それだけを取り出すことなんか出来ないと私は思っている。西洋には西洋の、アラブにはアラブの「優しさ」があり「愛」があるはずだ。ナウシカの「優しさ」をポンと中央アジアに置いたとしても、それはあくまで日本の「優しさ」であって中央アジアのそれではないのである。「子供だから難しいことは抜きに・・・」という向きもあろうが、私は子供だからこそ、誤解を招くようなメッセージを送ってはいけないと強く思う。宮崎監督の優しく愛に溢れたこの世界は、映画の中の光景がどうであれ、はっきりと日本の風土から生まれたものである。もしそれを自覚させないのなら、あの鬱陶しい「アメリカ正しい」と同じ無邪気さ傲慢さを持つ子供が育っても不思議はないだろう。 8点(2004-01-08 15:30:16) |
7. カクテル
4点(2004-01-08 12:28:31) |
8. 仮面の男(1998/ランドール・ウォレス監督)
全然期待してなかったのだが、楽しい映画だ。吹き替え版で観たのがよかったのかも知れない。三銃士とダルタニアンの「気持ちの良い男達」ぶりと活躍を、こなれた演出でテンポ良く見せる。というか原作の面白さを殺さなかったのが巧い。あの難しい役にディカプリオは?だけれども。レビューを見ると、ディカプリオを差し置いてオジサマ連が多くの女性ファン?を獲得しているのも当然と思うが、彼らを「カッコいい!」と思う気持ちは、男性でも同じなのではあるまいか。まさに「我らはひとつ!」。嗚呼、銃士隊。突然だが、あなたは誰が好きですか?忠誠を貫く誠実なダルタニアン?知的で敬虔なアラミス?陽気で力持ち、かつ女好きのポルトス?みんな魅力的ですよね。でもね、私はアトスが好きなんです。地味だが男気のある、息子を失った悲しみに耐える優しいアトスが。思えば私は幼少の頃からバイプレーヤー好き。ゴレンジャーで言えばミドレンジャー、ガンダムで言えばランバ・ラルを愛してきた。そんなひねくれ者も、彼の涙に思わず涙。あれは反則だと言いたい。 7点(2003-12-30 22:26:57)(良:1票) |
9. ガタカ
前半はストーリー,キャスト,映像が見事に釣り合って「これは!?」と思わせるが,殺人事件が起こるあたりからいわゆる「普通の話」になってしまい残念。前半の勢いを保つか,あるいはあっと言わせるような斬新な展開であったなら,ブレードランナーと並ぶSFの傑作になったかも。スタイリッシュな映像と造形で,無機質な未来観を表現するA・ニコルのセンスとキャストには感心する。 6点(2003-12-24 13:26:47) |