1. ガンファイターの最後
《ネタバレ》 良心とは何か。 利にさといだけの政治家の皮を被った商人、確固たる思想はなくなんとなく 世間の空気にのるだけの新聞屋、安全な場所でおびえるだけの小市民、 己の欲に従順なだけの小悪党、力まかせだけの前時代的保安官、 見て見ぬ振りするだけの聖職者。そして性に多感な青年。 反戦気運が高まりつつある1969年のアメリカという時代背景を考えると、 この作品は当時の現代風刺にありふれている。 保安官が法やペンではなく銃で撃たれたところが、とくに皮肉が効いている。 結局は力だろと。 観るのは2度目で、1度目は昼のBSでお決まりの西部劇くらいしかなかったが、 監督がドン・シーゲルで作られた時代が60年台後半と思うと、 ただならぬ気骨のある作品だ。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2023-04-28 15:32:38) |
2. 学校
《ネタバレ》 「学校」といえば田中邦衛がオグリキャップを熱く語る印象しかなかったけど、 年とともに見方が変わる典型だろうか、BSでなんとなく観始めたら席を立てなかった。 午後の学校に西田敏行が出勤する風景から引き込まれるものがあった。 情景描写はその場の雰囲気で決めると監督は言うが、映像作家としてもはや単なる匠を超えた 巨匠の域なんだろうと思う。夜の病院の待合室から見える東北の雪とかも印象的だった。 そして内容もお涙頂戴的な印象だったのが、今見るともう落語の世界。 田中邦衛の役は悲劇の標本みたいな役だけど、演者が達者なだけに 滑稽さがにじみ出て笑いがうまれる。西田敏行の授業なんてもう高座でしょ。 人間くささゆえの人情味とぞっとするほどのシニカルな視線がある。 萩原聖人に「イノさんから競馬を取れば何が残るんだよ」と言わせたり そんな萩原聖人へ「話が合わない」と言わせる中江有里のセリフの凄さ。 字を書けることと同じように人は幸せになるのが当たり前という風潮の時代で 幸福について考えること。あの場面は蛇足だったと思う。 楽しいことも悲しいことも長くは続かないし日常は変化していくものだと思う。 その日常のヒトコマに幸せがあって、何気ない放課後の風景だとか、砂の城だとか、 郵便ポストの下で声をかけてもらうこと、オグリキャップのラストランを生で観戦、 答えはすでに出てたはず。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2018-11-30 20:04:15)(良:1票) |
3. カールじいさんの空飛ぶ家
ラピュタ、ロードランナー、ついでにわんこ好きにとってはたまりません。 [DVD(吹替)] 9点(2011-05-09 21:40:47) |
4. 風の谷のナウシカ
ナウシカは、欧米から見れば神であり、アジアから見れば風であり、2次元世界から見れば俺の嫁なんでしょう。 [地上波(邦画)] 8点(2010-02-19 23:36:59) |
5. 崖の上のポニョ
世界はいつだってぼく次第っていう趣がいい。 [DVD(邦画)] 8点(2009-08-19 23:44:41) |
6. カイロの紫のバラ
悲観も楽観も本質は変わらないということを本能的に教えてくれる。 [DVD(字幕)] 8点(2008-08-05 00:31:55) |
7. ガスパール/君と過ごした季節
いい男だ。 [DVD(字幕)] 7点(2008-07-02 13:21:23) |
8. かもめ食堂
もう少しまだ観ていたいような、早く終わってほしいような。 [DVD(邦画)] 7点(2006-11-05 13:00:18)(良:1票) |
9. カナリア
《ネタバレ》 あざとい。 俗世間から身を守る象徴としてのドライバー。 母親を失くしたショックで白髪になるラストシーン。 これが監督が言う「フィクションとしての強度」だろうか? あざとく、説明的な映像と演出にみえた。 主役の石田法嗣は泣き叫んだり、何かと走るシーンよりも 感情を抑えた演技の方が集中力があってよかった。 『月光の囁き』で注目していた塩田監督だけど どうやらこの監督は、倒錯した性というジャンルにおいて 力を発揮するようだ。 [DVD(邦画)] 4点(2006-04-07 12:32:42) |
10. 花様年華
トニーレオンの九・一分けとマギーチャンのボディライン。艶かしい色彩と掴み難い展開は鈴木清順を彷彿させる。 6点(2004-11-12 23:55:47) |
11. 陽炎座
松田優作は原田芳雄側のキャラを演じた方がもっとらしさが出ていただろうと思う。 7点(2004-10-08 23:50:15) |
12. 華麗なるヒコーキ野郎
このころのレッドフォードは本当にブラピによく似ている。 底抜けに明るいレッドフォードがとても魅力的だ。 飛行シーンは命がけでよく撮れていると思うけど、 カナシイかな(無粋かな)CGやアニメで見慣れているせいか ちょっと物足りなかった。 6点(2004-07-25 18:26:09) |
13. 家族ゲーム
若き森田監督の野心と松田優作のユーモラスが化学反応。 2020/11 BSで10数年ぶりに観た。長いこと本作は若き森田監督の野心味あふるる作品かと思いきや、 今見ると、印象的なシーンは伊丹十三のアイデアではないかと思える。その後の、職業監督的な森田作品と 攻めている伊丹作品の『たんぽぽ』がなによりの証左ではないか。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2004-03-19 01:30:52) |