2. 華氏911
この映画の出来不出来をとやかく言うつもりは全くない。5点というのはあくまで便宜的な点数である。彼の主張がどうであれ、ぼくはマイケル・ムーアの立場を尊重する。この映画が作られたことの正当性を擁護する。100の大きな言説よりも、5秒なり10秒なりの映像のほうが衝撃的である、ということを改めて感じる。イラクで傷つき、死んでいった罪なき子どもたち、行きたくもない戦争で命を落とした兵士たち、パンクを聴きながら人を殺すことに快感を見出す兵士、エトセトラ。映像の持つ力は計り知れない。だが、その映像も流されないことには何の意味もない。今まで何度も見たWTC倒壊の映像のシャワー。それがアメリカ人たちを烈火のごとく怒らせた。直接9・11に関係のなかったぼくたち日本人さえも怒らせた。だが、アフガニスタンの映像は。イラクの映像は。卑劣で、残虐な戦場の映像は、ぼくらの上に豪雨の如く降り注いだか。ぼくらは怒っただろうか。マイケル・ムーアは怒っている。本気で怒っている。これだけ怒っている人がいるのを、久しぶりに知った。その怒りをぼくは決して批判できない。 5点(2004-08-30 01:26:10)(良:6票) |