1. 怪物(2023)
面白かった!つか、圧倒された作品。 正直、一回めの閲覧では分からない事が多い。 言わばパズルのピースを全部取り出して広げただけ…のような。 けど数回観る事でパズルのピースの意味合いと、その組み合わせで全体像がつかめて来るだろう。 正直、そんな不思議な感覚の映画だなーと思う。 ただ、ぶっちゃけ…非常に良く創ってるけども雰囲気も含めて、一回観ただけじゃ伝わり切らんかったかな…俺には。 あ、でも悪い意味じゃなく…終ったあとは「あー、美しい映画だったな…」とか「子供の頃にこういう事があったな…」とか、そんな事を考えた美学があった。 恐ろしいのは、最初の母親のターンを見ている時に「ああ、この人は間違ってないだろうな…」と刷り込まれるが、話が進むとそれも錯覚だと気付かされる。 そして、観終わってから電車内や家で色々と考えてしまうだろう。 あの回収されてない伏線らを回想すると、若干…心がゾワゾワし出す…もう一回行って脳裏で組み合わせるしかない。 映画の視点は「親」「教師」「子供」の3視点で描かれる。 ただ、怖いのと共感したのは…三者間それぞれの着眼点と価値観が映像にされているところで、そこはあくまで自分視点であり、正義感や価値観が強引に引っ張られてしまう…いや、その恐ろしさよ。 言わば、戦争の価値観なんて…己の言いたい事、己の聞きたい事、己が正義と信じてるが故に言わない事。 もう、戦争をしてる国家間なんて、このような視点かも知れない。 これが恐ろしくて、更に最後のシーンの映像が素晴らしくて…ただ懐かしい回想と共に映画が締め括られてゆく。 ともあれ、己を貫くってのが一般的な価値観かもだけど、誰かの上に立ったり、団体の長になる人間には、自身の考え方の変化になるかも知れないので、是非とも観て欲しいなと思う次第。 あー、観てない人間にネタバレしないように書くと…この程度かな。 . [映画館(邦画)] 7点(2023-06-06 04:24:59) |
2. ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー VOLUME 3
《ネタバレ》 今日は、ネタバレを聞きたくないの映画に行ってきた。 シリーズ通して「安定の出来」を誇ってて、俺自身もこの映画のシリーズは好きだったりする。 ――ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー/VOLUME3(2023) 映画を観る前にDisney映画の予告編。 恐らくは「ピノキオ」と「ピーター・パン&ウェンディ」…共に実写映画、そして映画の予告でも「リトル・マーメイド(2023年)」でも、人種の入れ替えがあって…少しばかり「おや?」と思った。 普段なら若干の違和感を得る程度だっただろうが、立て続けに3つも観てしまうと、大きな輪になって脳裏に残ってしまった。 まぁ、今の「スパイダーマン:ホームカミング~以降(2017~2021)」でも、MJの人種が変化したが、演技力や本人の頑張りも有って…今では概ね受け入れられているのも頭に入れおく。 けど、それを前提で……何だろう?この胸で渦巻く違和感は? 気になる「問題(懸念)点」は――この2つ。 ■コンプライアンス(コンプラ)■ ■ポリティカル・コレクトネス(ポリコレ)■ まぁ、作家さん達の問題とか、役者さん達の在り方とか、ユーザーの位置なんかは、敢えて此処ではスルーする。 そこがネックになると、映画とはまた違ってきて、上のステージの根本的な問題となると思うからだ。 尚、ファンの論争については一切問題はないと俺個人は思う…言い方を変えれば、その論争も”ファン間の楽しみ”の一環だと考えるからだ。 まぁ、代案の無いままクリエイターを気取られたり、批判の足並みが揃って無くとも…それも一種の愉しみだろう。 取り敢えず、個々に判断の基準ではあるだろうけど、そこまで止めるのは無理だろうし、問題としては(今のところは)小さいと思う。 一体どうなるんだろうね?この違和感は…将来的に。 クリエイターでやってる人…特に情熱を込めていると相当に面倒だろうなーとは察しがつく。 ただ、アレだ。 それら困難はクリエイターでやってるなら、版元やメーカーから…ドンドン落下してきて、否が応でも受けねばならない状況はズーッとあった。 時に理不尽、時に面倒であったとしても「クリアしなきゃ出せない」のなら、やるしかないのが俺達の道だ。 色んな困難の中でも、クリエイターは「未来に繋ぐ道」を考えつつも、まずは「生き残るために頑張り続ける」だけなのだ。 と…以上の事を考えつつ、だ。 待望の「VOLUME3」の上映が始まった。 とは言え、上記の「コンプラ&ポリコレ」について、ずーっと考えてたんで、劇中の人種(つか、星人?)のミックス具合が果てしなく心地いい。 ああぁぁ―――――――っ!! ネタバレは書けない!書かない!書いて堪るものですか! これは是非是非、時間を作って観て欲しいと思う! 日本人が好きなモノ、色々と集まってて超賢い(ズルイとも言う)要素ばっかり! 結論から言うと、アレだ。 やっぱりジェームズ・ガンは好きな監督だなぁー…マジで。 作風は、「人間の友愛」に触れつつも「人間の不快感なモノ」も確りと分かってる作家だな、と思う……その上で、その両方を毎回毎回、丁寧に見せてくれるのが流石だ。 作品的には脚本をしていた「ドーン・オブ・ザ・デッド(2004年)」とか「スーパー!(2010年)」辺りから超注目してたんだが…毎回「胸糞悪いシーン」とかで痛烈なインパクトを残して、俺の心に刷り込まれてきた。 ともあれ、人によって好き嫌いはあるかも知れないが…俺は凄く心が躍った作品だった。 前回の「ザ・スーサイド・スクワッド“極”悪党、集結(2021)」も、色んな穴はあるにせよ…「人の観せ方の上手さ」とか、ジェームズ・ガンらしい作品として…言わば「好きな映画」として加えて置きたい逸品だった。 作品の今後についても敢えて書くのを辞めよう。 ただ、胸に刻まれた度合いが…今回は、マジで半端ない。 いや、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」は勿論、シリーズ通して素晴らしい。 ただ、それよりも…ジェームズ・ガンの監督っぷりが最高だったね…本当に。 いや、MARVELもDCも最高だ! 今後も…うん。 その弾けっぷりを刮目して観る! * * * それと… 30年以上も待ってたキャラ。 色々想い出して泣きそうになったわ。 . [映画館(字幕)] 9点(2023-05-05 01:34:39)(良:1票) |
3. カリートの道
《ネタバレ》 ブライアン・デ・パルマという監督を知っているか? いや、今日は久しぶりに本作を観た。 人は生きてると、追いつめられる事がある… そんな時こそ、これを観て欲しいと思う映画だ。 仕事でもそうなんだ。 ――「こんなはずじゃなかった…」 ――「あの時、ああなったから…」 ――「アイツが居なきゃ…」 時間が経過すりゃ反省する事もあるが、こんな思いになる事があるだろう。 俺も、多分…過去はそうだったと思う。 けど、早いうちに、俺は最悪と共に「その考え」を変える事が出来た。 それは、過去…癌に掛かった時だ。 癌に掛かると逃げ場のないエリアに追い込まれる。 散々、癌の時にも上記の事を散々考えた。 けど、どうにもならず…頭に描かれたのは信長公の言葉。 ――是非に及ばず。 要は、仕方ない…そう考える事だ。 そりゃ、文句や言い訳もあった…無限に。 けど、考えて考えて考えて…何度も何度も思考は辿るが、結局のところ自分なのだ。 結局は、人は変えられないが自分は変えられる。 この思いを含めて更に考えてみる。 世の中には自分しか居ない訳じゃない。 そして、天候が変われば晴れや雨にもなるのが道理。 素晴らしい世界がたくさんある代わりに、想うように進まない事が殆どと知るべきだ。 けど、諦めるって意味じゃなく、どこを基本に置くか?の問題。 そう――是非に及ばず、だ。 人生は、考えていた基本形で物事は進まず…色んな事件が付加したり、様々な人間が絡んでくる。 その突発的な出来事すらも絡めて、物事を進めていく…それが人生であり”道”なのだ、と思う…。 さて、カリートの道。 尊敬する監督…ブライアン・デ・パルマの逸品だ。 監督の作品を辿れば…ヒッチコックに導かれたような数々の名作を知り、ジャンル問わず時代を駈け廻っていたと知る。 いや、様々な娯楽映画を創りながらも中でも、俺は「スカーフェイス」や「アンタッチャブル」が大好きで堪らない。 険しく切ない…男の道。 そして…時に現れる怨敵と困難の世界。 回避すべき世界を壮絶に観せて男が葛藤する…それが名将がデ・パルマ監督の作品だ。 デ・パルマの世界に触れるだけで俺は震える。 言わば、アレだ。 人生経験よりも時には得るものが多い。 俺にとって、だけど…そんな名画を創る監督だ。 さて、簡潔にカリート・ブリガンテの人生を辿りたい。 元麻薬王のカリートは友人弁護士の力で出所し、自力での更生を誓う。 正しく生きる為、周囲の誘いも断り…悪しき道に通ずる関係を断ち切ろうとした。 けど、現れる困難。 殺しの現場、悪意への誘い…その度にカリートは思う。 「この困難は、先に進む為に仕方ないことなんだ…」と。 だが、人としての義理、己の信念を果たそうとすれば、周囲や状況はそれを許さない。 一体、彼の進む道は…どこに向かうのか。 そして、彼の進みたかった道は何なのか? ただ、一生懸命に道を歩きたかった…カリート。 ――更生後の素晴らしい世界。 ――愛する者と一緒に居る世界。 人を裏切らずに暮らそうとする彼が…疑念で敵に追われる様が…観ていて、ただ苦しかった。 きっと「これは俺の道じゃない…」と思いながら藻掻くカリート。 逃走せずに、己の道を探す彼…そこが「カリートの道」なのだろう。 想えば、カリートの道も、スカーフェイスもそんな映画だった。 例えようのない困難、人による鬩ぎ合の中で巻き込まれてゆく…そんな不条理の嵐…その嵐に立ち向かって生きてゆく。 けど、一方のアンタッチャブルはどうか? 財務官のエリオット・ネスは出向先の警察に散々裏切られ苦汁を飲む。 けど、そんな中でも彼は決心する。 己のプライドを捨てて、敢えて警官の中に飛び込んだ。 そして、マローン、マローン、そしてストーンら仲間を得て、命を賭して…暗黒街の王アル・カポネを追い詰めたのだ。 この突発的な出来事も人生だ。 受け入れる。 困難も祝福も、すべてすべて受け入れる。 そして時に振り返り、こうつぶやくのだ。 これが俺の道だ、と。 そう――是非に及ばず。 . [ブルーレイ(字幕)] 8点(2023-02-15 12:23:47) |
4. カメラを止めるな!
《ネタバレ》 前もって聞いていた口コミ情報を一切遮断。 それでも無理矢理に聞こえてくる「良かったよ」の報。 いや、間違いなく良かったんだけどね。 採点は7だけど、これは2つの要素の平均値として。 その1つ目は「単純に映画として」…5点。 んで2つ目は「クリエイターとして」…限りなく10に近い9って感じ。 まず1つ目の「単純に映画として」の評についてだけど… なぁーるほど、シナリオはよく出来てると思うし、じっくりと練られてる。 それにカメラワークも秀逸なくらい計算されてて、そこは単純に驚嘆の域でリスペクト。 ドラマ…すなわち物語としては素晴らしい。 もはや(誰が考えたかはさて置き)発明に近いくらいのシナリオでしょうな。 ただ、ただ…映画のスケール感じゃない。 俺自身は「よく出来たドラマ=よい映画」とは個人的に思ってないからだ。 俺的にいい映画とはジャンルを問わず、その場に滞在してるような…そんなトラベリングをさせてくれる。 そういった意味で、この映画は絵や空気感、構図などがTVドラマのチープなスケール感が最後まで拭いきれなかった。 資本的な問題じゃなく、映画としての威風堂々さが圧倒的に足りないのが残念だった。 それでもシナリオを含め、物語としては異常によく出来てるとは思う。 そして2つ目の「クリエイターとして」…だけど、うん。 これ、業種の違いはあれど、こんな事ばっかりだよな……クリエイターの日常って。 この作品って、凄いハプニング映画で面白くドタバタしてるように描きつつも、 大なり小なり「モノづくりってそんなもんだよなー」と日常の仕事を思い出して客観視できなかった。 つか、仕事の時の精神状態に切り替わってしまったわ、マジで。 ともあれ「続けること」と「やり遂げること」…その先にしか達成感はないんだなーと再確認。 そして、そのやっと得た達成感も…豪華な背景が描かれただけのマラソンのゴールのテープのような薄いもの。 渇望する栄光の到達点に見えて、そこはただの通過点で滞在など出来ない。 …終われば退くしかない一過性の場所。 それでも、しばし仲間との達成感を共有できれば… あの時の喧嘩も、あの時のトラブルも、きっとお互い心の財産になる。 うん、そうと信じて歩き出すしかない。 ゾンビのように遅い足取りで。 [映画館(邦画)] 7点(2018-10-18 03:38:20)(良:1票) |
5. カイジ 人生逆転ゲーム
暴言を書かせて貰います。クソ映画です。でも、そこそこ観れます。それは何故か? 理由は原作のオリジナリティーが素晴らしい程の濃密なため、多少薄めても十分なポテンシャルを発揮するからです。 原作に触れることなく観た人間にはそこそこ面白く見えるでしょう。イマドキのTVドラマライクに作ってるし。 しかし、原作を知ってる人間には堪らないクソ映画になってると思います。 まず「人生逆転ゲーム」って…こんな他力本願っつーか、漠然とした捕らえ方をしたコピー付けてる時点で原作の根幹を理解してない。 個人的に原作のカイジに戦慄するのはタイトルのような「搾取される側」の着眼点ではない。 「支配する側」の全て満たされたが故に人を人とも思わないゲームを思いつき、実践し、それを娯楽とする「支配階級」の着眼点なのだ。 …原作はギャンブルの形を借りただけの人間のカルマを描き、今の資本主義の中に成り立つ、野生の聖書とも言えるテーマを持つ。 絶対的絶望の世の中で残酷なほどの暴力を弱者に突きつけ、そこに救済の手すら伸ばす者の居ないリアリティー。 ”それ”が無い時点で既にカイジと銘打ってもまったくの別モノでしかない。 つか、純然たるテーマを保守せずにTVドラマのお気軽さで映画を作ってんじゃねーよ。 それよりも最近の日本映画って映画と言えるのか?TVドラマの最終回をスクリーンでやってるだけだろ。 そりゃ視聴率から観客動員数を見込めるのは分かってるけど、いつの時代もメディアが衰退するのはこの流れだ。 はぁー、娯楽が氾濫してるお陰で人の持ってる時間、集中力が無くなってる昨今… 娯楽を楽しむ体力の低下が、お気軽に楽しめるモノを「良品」と勘違いさせるのかねー。 [映画館(邦画)] 4点(2009-10-21 00:01:38)(良:3票) |
6. 仮面ライダー THE FIRST
仮面ライダーをこよなく愛する俺様ちゃんは、この映画をどれくらい待ってたか! 製作発表されてから楽しみで楽しみで…もうライダー世代の人間にとっては本当に待望の映画なのです! まずライダーのデザインが発表された時に、さすが出渕裕と思えるリファイン! もうライダーに対するリスペクトを十分に感じさせ、世界観もアレコレ想像させるのがファン心を擽らせる! そんな気持ちのまま映画館に足を初日に運びました! 川崎のチネチッタで見たんだけど、この映画ってその日一番人気だった。 そしてとうとう始まった!冒頭で流れるあの曲で鳥肌……そして観終わった… 感想…つまんねー!!最悪!!もうマジでムカついた!好きだから余計ムカついた! 突っ込みどころ満載過ぎ!その場で「違うだろ!」と思い、 代案まで出てくるくらい下等なシナリオと何も考えてない演出!もう本当にいい加減にして欲しい! 映画館でこのタイプの映画は必ず子供が喜ぶモンだけど、子供の歓声が一切しない。 これだけ沢山の親子連れなのに…かと言って大人が見てもつまんねー。 一体誰のためにこの作品を作ったの?と言いたくなる。 キャストもそんなに悪くないし、特撮もアクションも嫌じゃなかったから余計ムカついた。 The結論!「演出と脚本が穴だらけ!そのせいで良い作品に成れたかも知れなかったライダー映画を全てぶち壊している!」 仮面ライダーに愛情があるから、愛を込めてこの点数! ただストーリー上、期待してなかったがウエンツ瑛士と小林涼子は良かった。 (「感泣評価4点」は二人に贈ります) [映画館(邦画)] 5点(2005-11-27 02:29:40) |