1. カビリアの夜
《ネタバレ》 この映画は、どうしても普通にハッピーエンドではないと分かって鑑賞してしまいます。だからカビリアが喜々として家財を整理しているシーンあたりでも幸せそうに見えず、嫌な胸騒ぎを感じるのです。そして持参金を持って喜び勇んで現われたカビリアに対し、オスカーの曇った表情と流れ落ちる汗が不幸な結末を観る側に確信させ、後はどんな不幸な終わり方になるのかという絶望へと誘われていくのみ!と諦めつつ鑑賞してしまいます。ただし鑑賞後、逆にこれは何という後味のいい映画なんだろうと思わせるのです。それはやはり特筆すべきラストシーンが本当に素晴らしいからで、純粋なこの魂一つ、この魂のみが希望への道しるべと謳いあげます。何とも力強い生きる力と喜びさえ感じてしまいます。それにしても、この映画もジュリエッタ・マシーナだからここまでの傑作になったと思えるほど、圧倒的な表現力でした。 [DVD(字幕)] 8点(2008-06-08 11:24:40) |
2. カリフォルニア・ドールス
《ネタバレ》 純粋であり、大人であり、崖っぷちの本当に魅力的な二人の女子プロレスラーが貧乏、苦労の中でも健気やったもんやからタイトルマッチの入場シーン、あのたっぷり時間をかけた演出と超ド派手な衣装、やはり女性だからこそ、あの入場シーンこそがクライマックスに思えた。 何という感慨、'50年代のMGMミュージカルを観ているかのような陶酔、ぐちゃぐちゃとした色んなモンが一気に浄化されていくかのような素晴らいあの入場シーン。 [ビデオ(字幕)] 8点(2007-07-21 22:53:46) |
3. 影なき男(1934)
《ネタバレ》 なんかカクテルをやたらと飲みたくなる映画です。 ウイリアム・パウエルとマーナ・ロイの夫婦にベストカップル賞。ただでさえ多い登場人物に警察や新聞記者まで加わって、入り組んだストーリーを余計にややおしくしてるので最初ついていくのに必死でした。しかしベストカップルの甘くオシャレな会話に酔わされている内に、捜索やトリックが加わって、結局犯人は誰なんだ?って結末が予想不可でした。 ラストの容疑者を全員集めたパーティーは強引だけど、この作品の面白さをグンと引き上げましたね。 [ビデオ(字幕)] 7点(2007-07-08 11:33:48) |
4. 片目のジャック
《ネタバレ》 何度でも鑑賞したくなる異色の西部劇、圧倒的なオリジナリティ。マーロン・ブランドのタメ、バナナ食ってると思ったら銀行強盗やわ、人を殺して保安官を待ってる間にゆっくり酒を飲むわ、大物の余裕ぶっこき。冷やかされたことに切れてテーブルひっくり返して、後ろ足で椅子を蹴り飛ばすシーンの凄み、泣きそうなベン・ジョンソンの顔。酒場のウルサイ男も、保安官助手も、執拗に観る者に不快感を与えまくった後にボコボコにする、この爽快感。 女房や連れ娘に怒りブチ切れるカール・マルデンのタコ面と、抑え切れない苛立ちがただ性急に吐き捨てさせた言葉と声の異常ぶり。そしてこの娘のキャスティングもちょっと凄い。中盤の裏切った旧友との再会を果たす海辺の家のシーンはタッド視点に切り替えられ、上っ面の会話と嘘で塗りたくられた友好なやりとりの緊張感。 途中、町の風景として度々映される噴水が、ラストの決闘の重要な舞台となる。撃たれた筈のブランドにゆっくり近づくカール・マルデン。背後からタタタ・・と走りくる音の後に人影が飛び出し銃声一発。万人受けするとは決して思えないが、異様なほど魅力的なシーンが全編に渡ってあちこちに散りばめられている。 [ビデオ(字幕)] 9点(2007-07-07 12:02:52) |
5. がんばれ!ベアーズ
《ネタバレ》 確か昔に観た筈なんやけど、所々懐かしいような感じもしたけど、おそらく今回初見です。やはり予想どおり大感動してしまった。とにかくアメリカ臭バシバシなんやけど、子供が人種差別とかシカトとかわがままとか全部子供らしくって、基本的に日本も同じやと思えました。そんでウォルター・マッソーもええし、テイタム・オニールなんか子供やけどセクシー、あのレオタードが一番いけてへんかったくらいで他全部サイコーやった。そやけどやっぱりMVPは悪ガキ、ケリー。あの髪型とグラサン、女の子を誘うコンサートがストーンズ(ここらの感覚と土壌は日本の子供は敵わん)チームワークとか描いてる映画やけど、集団の中で突出してる奴は絶対にこんなタイプだと見せ付けられる。補欠の子がフェンス際の大ファインプレーをした瞬間と同じくらい、ケリーが監督の指示に躊躇し始めたシーンが胸をうった。 [ビデオ(字幕)] 8点(2007-06-27 00:42:19) |
6. 艦隊を追って
《ネタバレ》 アステアが嫉妬してスネて煙草に火をつけたマッチを投げ捨てる、このシーンだけでカッコイイと思ってしまう自分がおかしいのか?演技巧いのか?むしろ大袈裟でしょ。ダンス巧いのか?専門家じゃないから分からないし。歌はジンジャー・ロジャースほど酷く無いけど上手いとは言えないでしょ?まぁ歌は声量がすべてじゃ無いしね。なんかええがげんな映画やなー、でも好きなんですよ。ダンスコンテストで実はあっけなく背中叩かれてるし、でも気にも止めない。すべてにおいて圧倒的な自信。演技にも歌にも、そしてもちろんダンスにもある意味自己陶酔がめちゃ自然で、そのあたりが僕のツボかも。映画として観るなら老いてからのカラー作品もいいけど、アステアを観るならやはりモノクロ時代の作品が魅力的だと思います。 [DVD(字幕)] 6点(2007-03-04 11:44:02) |
7. カサブランカ
この映画の独特の雰囲気はたまりませんねー。それにしても、ここまでキザでいながら女々しい序盤から中盤のボギー、潔いとは言えない僕が観てもあまりにも女々しすぎです。しかし、あの一瞬、ラズロに負けたと思った一瞬によってリックが変わる。自分本位の間はねちっこいけど、完敗を認めるとによってのみ、清々しくなれる。そう、この映画は酒場とジャズピアノと敗者の美学に彩られたモノクロの思い出のような作品です。リックはきっとこれからは"時の過ぎ行くままに"を自ら封印しなくても大丈夫でしょう・・・たぶん。 [DVD(字幕)] 8点(2007-02-13 00:07:45) |
8. 海外特派員
《ネタバレ》 ヒッチコック作品の中でも指折り数本に入る面白さ!あの風車小屋なんて一見ショボイ感じですが侵入してからの内部の構造と撮り方や、飛行機撃墜から漂う海上でのドラマまで全く目が離せません。帽子、雨、傘、知らん、暗殺、逃亡、傘、カーチェイス、帽子、風車小屋、替え玉・・・見事、見事なり。 [ビデオ(字幕)] 8点(2007-01-21 08:17:25) |
9. 外人部隊(1933)
《ネタバレ》 ラブシーンも含め、女の撮り方がエロチックで巧い。運命に翻弄される自己チュー兼アル中ピエールの成れの果てを暗示するラスト。泣き崩れるのはフランソワーズ・ロゼーのみ。 [ビデオ(字幕)] 6点(2006-09-30 22:21:03) |
10. 勝手にしやがれ
このタイトル・邦題を聞くとき頭に浮かぶのは、最初はジュリー、次にセックス・ピストルズ、そしてゴダールのこの映画へと変換していった(実際の順番逆ですけど)そのそれぞれが自分にとって素晴らしいものとなった。この空気と台詞、たわいも無い1シーンが脳裏に焼きつく。ジャン=ポール・ベルモンドとジーン・セバーグがいて、ベッドがあればそれでいい。そしてクシャクシャの新聞紙。こんなカッコよさは他に探し様が無い。 [DVD(字幕)] 10点(2006-08-19 16:50:35) |
11. カイロの紫のバラ
鑑賞後に月日が流れても、立ち止まり、その結末に想いを廻らせる、味わい深く素晴らしい作品。スクリーンを行ったり来たりするとこなんか完璧ツボ突かれまくりで、まさに夢見心地。 [DVD(字幕)] 9点(2006-05-30 00:05:44) |
12. 會議は踊る
この1曲、"ただ一度だけ"胸躍る永遠のメロディ。何度観ても心はずむ、あのシーン。大切な宝物のような作品。 [DVD(字幕)] 9点(2006-04-16 23:20:18) |