1. 家族を想うとき
《ネタバレ》 労働者の権利向上に伴い、経営者は労働者のためにいろいろな手間やお金をかける必要が出てきました。「こんなの面倒くさいし、コストもかかるしなんとかならないかな」と経営者は考えに考え、ある日、あるアイデアがひらめきました。そのアイデアとは「そうだ、皆経営者にしてしまい、対等な立場という体にしてしまえばいいんだ!」というものでした。これが今作のテーマです。 本当に、毎回毎回引退をしようとするケン・ローチを引き留めようとしてるのかどうかはわかりませんが、面倒くさいことを省いて稼ぎたいと考える経営者の思考は、ほとんど犯罪者の思考と変わらないですね。 残念ではありますが、ケン・ローチには死ぬまで、人間から人間性を奪おうとする社会の歪みをどんどん映像化して我々に問題提起していただきたいと本当に思いました。 絶望しかない物語なのですが、その中で主人公の家族だけは崩壊させずに終わらせたところに、ケン・ローチが持つ「あきらめない」姿勢を感じました。 [DVD(字幕)] 8点(2021-02-22 23:46:26) |
2. カメラを止めるな!
《ネタバレ》 まず、まだ見てない人は、余計な情報は入れずにまず見てください。そして、どんなに自分に合わないと思っても、途中で止めずに我慢して観てください。 (以下ネタバレありの感想) まあ、最初は「なんじゃこりゃ」としか思えなかったのですが、後半からはまさに映画業界版「下町ロケット」もしくはジョン・ウォーターズ「セシルB」日本版のような展開で、映画製作に関わる人たちの情熱を感じることができ、本当に面白かったです。 あと、この作品の秀逸なところは、構成ですね。だから、ネタバレをちょっとでも見てしまうと面白さや感動が半減してしまいます。 [DVD(邦画)] 8点(2019-02-09 23:05:04) |
3. カスタムメイド10.30
《ネタバレ》 夕暮れ時の広島市民球場の美しさ、奥田民生 の歌そして存在感、若き木村カエラ のみずみずしさ、そして脇を固める豪華キャスト・・・これだけ素材がそろってのに、何でこの仕上がりなのか・・・・・まあ、簡単に言えば失敗作です。奥田民生や木村カエラのファン以外にはお勧めできません。 [地上波(邦画)] 4点(2018-03-08 00:52:40) |
4. カリフォルニア・ドールス
《ネタバレ》 女子プロレス版『ロッキー』という印象を受けました。華やかな女子プロレスの世界の陰にある様々な悲哀が泥臭く描かれていますが、観た後は爽快感が残ります。リングシーンも迫力がありました。 [DVD(字幕)] 8点(2015-07-11 10:13:13) |
5. 海炭市叙景
《ネタバレ》 ドラマティックな展開は殆ど無いのに、約2時間半ついつい見入ってしまいました。 退屈と漠然とした不安が漂う地方都市に住む市井の人たちの日々の呟きを、上手く切り取ってつなげ、一つの作品にしてしまう佐藤泰志の才能と、80年代に創られた原作を今の時代に持ってきて上手く映像化した熊切監督の技量が上手くマッチしています。 地方都市が80年代に「変わりゆく日本」に乗っかろうとしながらもどこか取り残されていく姿が、現在「変わりゆく世界」に取り残されそうになっている「日本」にどこか被っているように感じられ、この作品が現在再評価されているのも理解できます。 内容については、やはり最初の物語のエピソードに漂う虚無感がこの作品のキモなので、そういう意味で、谷村美月と竹原ピストルのキャスティングが見事にハマっていて作品全体のクオリティも引き上げていると思います。 後は、とにかく「猫を抱いた婆さん」のインパクトの強さですね。この人を見つけてきた熊切監督の眼力に感服しました。 [DVD(邦画)] 7点(2014-10-04 10:07:16) |
6. かぞくのくに
《ネタバレ》 「ディア・ピョンヤン」を観た時にも思ったのですが、我々は同じ国に生きている「彼ら」を知っているようで、実はそれほど知っていない。この作品は、そのことを気づかせてくれ、そして等身大の「彼ら」を我々に伝えてくれます。キャスティングも素晴らしく、特に井浦新が演じる主人公の兄の激しい内面の葛藤を力づくで抑えこんだ静かな振る舞いは心に響くものがありました。 ヤン・ヨンヒ監督の今後の作品にも期待したいです。 [DVD(邦画)] 9点(2013-07-22 23:53:23) |
7. 監督失格
《ネタバレ》 これまでほぼフィクションでしか描けなかった「愛と死」のリアルが奇跡的に映像化されている作品。人間は絶対1日でも長く生きる努力をしなければならないなと思わせる作品でした。 [DVD(邦画)] 8点(2013-02-02 09:52:59) |
8. 家族の庭
《ネタバレ》 非常に優しい雰囲気に包まれた作品でありながら、人生の厳しさを鋭く描いています。なんというか、日本で見ても何の違和感もない設定で、どの国でも皆抱える悩みとか問題はそんなに変わらないのだなと思いました。 しかしまあ、終盤の展開のシニカルさはちょっとハートに堪えましたね・・・・・。 [DVD(字幕)] 7点(2012-11-11 01:59:31)(良:1票) |
9. 哀しい気分でジョーク
《ネタバレ》 たけしが呟く「そういうことか・・・」のセリフにこの作品の全てがつまっています。人気コメディアンが抱える「業」のようなものを、実際に当時人気絶頂であったビートたけしが見事に演じています。 キャストをはじめ全体的に80年代初頭の雰囲気に満ち溢れた作品でしたね。途中、シドニーの観光案内が出てきたのは笑ってしまいましたが(タイアップなんでしょうけど)。 しかし、たけしは全然歌唱力はないんだけど、味のある歌を聞かせてくれますね。 [DVD(邦画)] 7点(2012-04-28 23:45:20) |
10. 化石の森(1973)
《ネタバレ》 結局は近親憎悪でした・・・ということなんでしょうね。 憎しみの感情をぶつけても何も良いことはないことはわかってるんですけれども、でもぶつけたくなるのが人間の感情の難しいところですね。 [DVD(邦画)] 6点(2012-02-19 13:45:36) |
11. 悲しみのミルク
《ネタバレ》 どこの巨匠の作品か?と思わせるぐらいの非常に完成度の高い芸術的な作品でした。2作目にしてこのクオリティは凄いですね。まあ、トラウマからの脱却を静かに淡々と描いているので、ちょっと睡魔に襲われかけましたが・・・・・ただ、時折それを見越してか、激しい音が鳴り響く場面を時折入れているのも中々見事でした。 [映画館(字幕)] 7点(2011-08-18 08:59:17) |
12. 母べえ
《ネタバレ》 反戦映画であり、「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」という日本国憲法第19条の精神の重要さを強く訴える映画でしたね。 吉永小百合のキャスティングはドラマとしてはちょっと違和感(年齢的に)がありましたが、山田洋次が自分の考えを伝えるためにはどうしても彼女でなければならなかったのでしょう。 母べえが死ぬ間際に、死んだ夫にあの世でなんか会いたくない、生きている夫に会いたいという台詞は非常に考えさせられましたね。「綺麗事」に人々を縛り付け、自らも「綺麗事」に殉じようとする風潮(美徳ですけどね)に対するカウンターであるように感じました。 鶴瓶がいい味出してました。 [地上波(邦画)] 7点(2011-08-18 00:53:50) |
13. 神々と男たち
《ネタバレ》 「神の沈黙」というフレーズが浮かんでくるような、殉教者の葛藤、そして覚悟を極めて美しく芸術的に描いた作品です。 素晴らしい作品であることは間違いありません。「白鳥の湖」が流れるシーンは本当に見事でした。ただ、アルジェリアとフランスの過去から現在にいたる関係を考えると手放しで賛辞を送るわけにはいきません。 たとえば映画の中で修道士がイスラム教徒の過激派に「キリスト教とイスラム教は隣人だと言ったりしてますが、かつてフランスがアルジェリアを植民地支配をしていたときにはイスラム教徒を押さえつけてたわけですからね。 それに、あまりにも「修道士たち=神に殉じた崇高な男たち」、「イスラム過激派=野蛮で無知なテロリスト」という構図が明確に打ち出されていてちょっといかがなものかと思いました。 [映画館(字幕)] 7点(2011-07-30 11:41:37) |
14. 樺太1945年夏 氷雪の門
《ネタバレ》 樺太でこのような悲惨な状況になっていたことを知ることができただけでもこの作品を観た意味があったと思いました。ソ連の将校の「敗戦国に国際法など無い」というセリフが、戦争というものの本質を体現しているように感じましたね。 大空襲や原子爆弾で多くの民間人を虐殺しても、日本の無条件降伏後も戦闘・殺戮を続け、捕虜をシベリアで奴隷のように働かせて死に至らしめても、勝者であるが故に裁かれることは無く、敗者のみが徹底的にその罪を糾弾される・・・・・(まあ罪は糾弾されるべきなんですが)。非常に理不尽さを感じますね。 非常にいろいろなことを考えさせられる作品でした。 [DVD(邦画)] 7点(2011-07-20 00:36:20) |
15. カラフル(2010)
《ネタバレ》 主人公と同世代の若者だけでなく、大人が見ても心が温まるファンタジー映画ですね。 中学3年生という、心身共に成長期を迎え、しかも義務教育最終年で進路を自分で決めなければならない難しい時代の感情の動きを見事に描ききっている作品でしたね。 大人の世界に足を踏み入れながらも、子供の純粋さを捨てきれず不安定な感情に翻弄されてしまう中学生たちの姿は恐らく誰もが共感できるものではないでしょうか(忘れてしまっている人もいるでしょうけど)。 何十もの異なる色を一つにしようとしてもそこには暗黒しか残りません・・・・ [DVD(邦画)] 8点(2011-07-05 23:14:12) |
16. 悲しいボーイフレンド
《ネタバレ》 「悲しいボーイフレンド」ってもう25年前の曲になるのか・・・としばし呆然となりました(当時渡辺美里にはまってたんですよね・・・)。自分の年の取り具合を感じさせてくれる作品でしたね。まあ、寺脇康文が37歳というのはちょっと無理があるように思えましたが・・・・。 阪神の日本一も25年前なんですよね・・・・・。 [DVD(邦画)] 7点(2010-09-25 21:36:32) |
17. 風が吹くとき
《ネタバレ》 ほのぼのとした絵柄と夫婦の会話が逆に核の恐ろしさを我々に伝えてくれます。はっきり言って悪趣味で残酷な作品であるともいえます。 主人公夫婦の姿は決して呑気なわけではなく、核の力の前では人間は全くの無力であることを教えてくれます。 「だから核兵器は絶対に使ってはいけない!」と思わせてくれる作品でした。 [DVD(吹替)] 7点(2010-09-14 23:55:15) |
18. 海角七号/君想う、国境の南
《ネタバレ》 観る前は、日本と台湾の関係を軸にした悲しく切ない恋愛映画かなと思ってたのですが、実際はコメディ色が強くて全然違ってましたね。でも、そのコメディタッチの中に台湾社会の様々な問題が散りばめられていて非常に興味深かったです。 田中千絵演じる友子が台湾の人たちから見た日本人の姿なんですかね?外国人から見た日本人像は中々面白いものがありますね。 [DVD(字幕)] 7点(2010-08-28 16:29:03) |
19. 陰日向に咲く
《ネタバレ》 「不幸」や「日陰」を連想させるエピソードを羅列して、いわゆる「感動作」に仕上げましたという印象の作品。はっきり言って薄っぺらさが目立つしテーマの割には綺麗すぎてリアリティに欠ける面が目立ちます。それぞれのストーリーも尻切れトンボのようになっていて中途半端ですし。 でも決して嫌いじゃないんですよね、この映画。冴えない人生を送っている人間たちへの応援歌のようで好感が持てました。 [地上波(邦画)] 6点(2010-07-13 23:40:06) |
20. 彼女の名はサビーヌ
《ネタバレ》 サビーヌのあまりの変わりように衝撃を受けました。 サビーヌの人生を、同じような病気の人たちを救うために生かすことが何よりも大切だと思いました。また、目を背け、見えないところに彼女たちを閉じ込めてしまうような政策や風潮は改めなければならないとも思いました。 [DVD(字幕)] 7点(2010-02-07 20:39:16) |