1. CUT(2011)
《ネタバレ》 西島秀俊演じる秀二にとって、映画とは自分そのものということか。彼は古き良き映画の亡霊というよりかは、もはや彼自身が映画なのだと思う。そんな彼は決してキレることなく地団駄を踏み、必死にサンドバッグの如く耐える。あれほど忌み嫌ったお金の為に、耐える。奇声を上げて、存在を強烈にアピールする。守り抜き、後世に伝えたいと切に願う映画の消費世界真っ只中の姿のようである。忘れ去られてしまった、かつての耐え忍ぶ日本人の在り方かもしれない。映画好き、ともかく、血の通う人間ならば、ボロボロになりながらも、それでも、思い描く未来を見据え、生に執着する姿に心が微塵も動かないということはないはずだ。そして、彼は死ぬことなく、逞しく生き残るのだ。 とりあえず、巷のクソ映画とは違うのだと謳うだけの真の映画らしき皮を被ったファッション映画とは一線を画す出来であることは間違いないと思う。それこそが断罪すべき真の消費映画そのものだと思う。 ただ、金は受け取るより、拾う方が絵的に良かった感じもするのだけどな。あと、フィルムの沐浴みたいなのは狙い過ぎで、白けたかな。 [DVD(邦画)] 7点(2015-10-16 19:30:39) |