21. 君の膵臓をたべたい(2018)
《ネタバレ》 実写版を見てなければ、も少し楽しめたかもね。 迫ってくるモノが実写版ほどではない、なんとなく軽めな印象を受けたのは、見ているこちらとキャラとの距離が実写版よりも遠く感じたから。 作画はキレイだけど、シャープでありがちなデザインのキャラが、ちょっと冷たく感じられて。も少しキレイなだけじゃない、アクセントのあるデザインだと良かったかな。コレこそがアニメ版『キミスイ』のキャラ!っていう、愛着っていうか、個性っていうか、生命感っていうか、そういうのが足らない感じがねぇ。 あと、実写に比べるとアニメのキャラはどうしても存在感に限界があるんで(実写版の浜辺美波と北村匠海が印象的だっただけに)、それを補う映像の工夫があれば、って思ったわ。山田尚子監督レベルの表現力を求めるのは酷だろうけど。 桜良の家でのちょっと際どいコトになるシーンなんか、劇場版『マクロス』のミンメイのシーン思い出しちゃって、進化してないわねぇ、っていうか、妙にオヤジ臭い視点でヤだわぁ、って思っちゃたわ。 アニメ版の喪失感の弱さなんかは、実写とアニメの違いだけではなくて、脚本や演出の差にもあったようにも思って。アニメ版はちょっといじり過ぎちゃってたかも。『星の王子さま』なクライマックス、アレは「死んでませんよー、生き続けてますよー」って主張してるようで、だけどそこ曖昧にしたから救われるってハナシじゃないしねぇ・・・ でも、実写版には無かったエピソードが色々あって、実写版と合わせて『君の膵臓をたべたい』の世界を更に深く味わうことができたってカンジ・・・やっぱり切ないんだけどね・・・ [映画館(邦画)] 7点(2018-09-06 19:41:24) |
22. 銀魂2 掟は破るためにこそある
《ネタバレ》 『センセイ君主』の浜辺美波と、この映画の橋本環奈と、立て続けに可愛いコの怒涛のヘン顔集を見られて眼福ね。 さて『銀魂2』、前作のノリは健在。沢山スターが出ていて、その中の一部(大半?)の人はとてもおバカな事をしていて、色々とアブナいネタが散りばめられていて、声を出して笑えて。 そして、構成やテンポがイマイチなのも相変わらずで。 福田雄一監督の個性や拘りが、メジャーな作品になっても『女子ーズ』や『薔薇色のブー子』の頃と変わらなくて、それはテンポ崩してまで必要なの?みたいなネタが、主にやっぱり佐藤二朗を中心に。 クライマックスがなんかダラダラと長いなー、って思っちゃったのも前作と一緒。戦いが展開する舞台がかなり分散した状態で、それをバランス良く見せる、ってのはあまりに高度なテクニックだったかな? アクションシーンはCGも含めてハリボテ感がしちゃったのがツラめだけど、それでも汽車とカーアクションなんかは頑張ってた方かなぁ。邦画にしては。ちょっと悲しいフレーズね、「邦画にしては」って。 今回は真選組が中心の物語で、万事屋銀ちゃんのメンバーはフォローに回ってる感じなので、その点は物足らなさを感じたり。特に菅田将暉演じる新八は出番少なめ? その分、真選組メンバー、特に柳楽優弥と三浦春馬はとても印象的な、いい感じの存在感で。柳楽優弥の極端な2つの個性の演じ分けが凄いなぁ、って。笑わせて貰いながらも感心しちゃった。三浦春馬は「GACKTみたい」って思ったけど、物語が進むにつれてなかなかに。 全体のバランスを考えると、将軍のお忍び部分がかなり余分な気がしないでもないけど、アレがあってこその『銀魂』だしねー。アニメ版で見てるのでネタは新鮮とはいかなかったけれど、でもあの面々のキャバ嬢っぷりは「実写でやってくれてありがとう」みたいな、実写だからこその面白さで溢れてたし。 でも、ちょっと長かったかなー。もう少し短くても良かったかも。お金かかっててスターもいっぱい出ていて、勿体ないのは判るんだけどさぁ。 [映画館(邦画)] 7点(2018-08-19 19:00:39) |
23. キングコング: 髑髏島の巨神
《ネタバレ》 映画が始まってわりと早期にヘリ軍団を壊滅させるコングは、複葉機の機銃で殺されたRKO版コングやヘリのガトリング銃で殺されたラウレンティス版コングとは違う生物、つまり怪獣なんですよ、って宣言しています。通常兵器では殺せないのが怪獣ですから。つまりこれは怪獣映画としての『キングコング』。 演出が単調な気がします。アクションパートもドラマパートも同じリズムで刻まれてゆく、一本調子な感じ。肝心のここが見せ場ってところまで。そこはもう少しタメてバーン!って見せようよ、とか思ったり。 だけどドラマパートが極端に退屈だったレジェンダリー版『ゴジラ』に比べれば、ヘンにドラマに重きを置かずにどんどんすっ飛ばしてゆく分、潔いと思います。誰が死んだの?ってくらいに顔も覚えないうちにどんどん殺されまくっちゃいますけど。 物語に目新しい部分はありませんが、そもそも怪獣と人間ドラマは水と油なので、怪獣がドタバタ暴れてる間、人間はただ逃げるのが正しい訳で、その点、ちゃんとしてます。 そこかしこに怪獣映画のニオイを漂わせている中でも(『地獄の黙示録』な一方で、高島忠夫と藤木悠が出てきてもおかしくない世界観)、私が特に東宝特撮モノを思い出したのは東洋人がメイクしてますって状態の原住民。「ワザとだよね」みたいな。あと、意外とラウレンティス版の2作に対するオマージュ入ってませんかねぇ。『キングコング2』なんかにオマージュ捧げる映画ってあんまり無さそうですが。 あと、せっかくなら中国人のおねえさんも色んな事情でただ出てるだけ、じゃなくてちゃんと見せ場を作ってあげて欲しかったもので。ハリウッド映画に中国資本が入って、その分、中国の方を向いてるってのはもう慣れましたしね。 あっちの世界観に合流して更に続きますよ、っていうのがエンドロール後に宣言されますが、どうかヘンに気取らずにレジェンダリーチャンピオンまつりとして、頭の悪い映画で喜ばせて頂きたいものです。 [映画館(字幕)] 7点(2017-03-26 22:37:47)(良:1票) |
24. 君が生きた証
《ネタバレ》 息子を亡くしてなかなか立ち直れなかった父が、息子の遺した歌を通して人と触れあい、人間性を取り戻してゆく、そんな感動的なお話しだと思っていたら。 途中でこれ見よがしではなく、さりげなく入ってくる1カットで、それまでの思い込みが根底からひっくり返されます。それまでに心の中にイメージした、死んだ息子や遺された父母のそこに至る経緯、背景、心境に大幅な修正が必要になる、頭の中にそれまで刻んだこの映画の姿を1から書き換えてゆかなければならなくなる、上下動の激しいジェットコースター人間ドラマ。 その構造はその事実に触れた登場人物達の心境にもシンクロします。 人生を狂わされるとはどういうものなのか、そして自分の人生を生きるとはどういうものなのか。他者の影響と自我と。 真実に翻弄される登場人物同様、見ている側も人の生について向き合う事になる、そんな仕掛けを持った作品。 ウィリアム・H・メイシーはこの素材を時にユーモラスに、時にシリアスに、でも決して大仰に盛り上げるような事はせずに誠実に描いていて、ゆえに後半からラストはじわじわと切なく染みてきます。 感動しました、であっさりと終わらせる事のできない、後に様々な思いを残す、一筋縄ではいかない映画でした。 [映画館(字幕)] 7点(2015-04-06 22:56:57) |
25. 近キョリ恋愛(2014)
《ネタバレ》 「女子生徒に手を出す高校教師のお話」という、もう基本中の基本が絶対的にダメダメな物語なのですが、その基本が腐ってるような設定を元にして、いかにちゃんとした恋愛映画に昇華してみせるか、というところに腐心している感じで。結果的には意外と良かったという印象。 これもまたマンガが原作のシネスコサイズ恋愛映画ですが、こちらはフレームの切り取り方、ライティング、色彩、どれもキレイにまとまっています。タイトルが出てくる画面の構成なんか、上手いなぁ、って。 物語は少女マンガらしいおなじみ「すれ違いの物語」。でも、本音をぶつけ合うのではなく、各キャラクターがお互い常に相手の事を思って本音を現さない、行動に出ないゆえのすれ違いという点で共感を得やすい感じがします。 映画は表情の無い、感情を表さない主人公ゆにの心の揺らぎに寄り添い、その内面の大きな変化の波をすくい取ってゆきます。ゆにの無意識な仕草による感情表現の多くは初期にセリフによって説明されているので判りやすい、単純な記号と化しているようにも思えます。だけど言葉や表情ではない、その仕草がゆにというキャラクターに魅力を与えているように思えます。 全編に渡って繰り返される、ぎゅっとスカートを握りしめるゆにの手のアップ、これがラストシーンで解き放たれた時、それがベタであると判っていながら感動してしまう、それは仕草の描写の積み重ねがあればこそ。あの描写こそは他のどのキャラクターでもない、ゆにのみに与えられた独自の解放の表現であるのです。 櫻井は教師という大前提がある以上、ダメな大人。嫉妬する幼なじみの教師も、ゆにを預かり腫れ物のように扱う教師も、同様にダメな大人。そのダメさ弱さをダメなりに見つめているように感じました。 肝心のクライマックスで大学生になったゆにの微妙なメイクや服装、そして不自然さ丸出しの夕陽の合成によってハリボテ感が出てしまったのが残念ですが、小松菜奈の魅力を上手く捉えた、爽やかな一編になっていました。 [映画館(邦画)] 7点(2014-11-14 22:44:20) |
26. キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー
《ネタバレ》 「いい加減アメコミ映画見るのやめちゃえよ!」ってくらいに毎回見に行っちゃ文句タレてばかりなのですが(いや、昔から娯楽大作好きで公開されるものは必ず押さえるって感じなんですが、最近のハリウッド映画の娯楽大作がアメコミものばっかりなモンで)、今回のコレは結構楽しめました。 アベンジャーズメンバーの中でもかなり地味~な存在のキャプテンですが、今回はそれが逆にプラスに転じている感じ。 超人的なパワーがあってそれに見合う敵を設定しなくちゃならないためにどんどん荒唐無稽なあり得ないファンタジーワールドに突入してっちゃうって感じのアメコミものですが、彼はその地味な能力ゆえ、話も敵もそんなには荒唐無稽にならず、カーチェイスや肉弾戦、銃撃戦が主体のアクションを繰り広げてゆく、孤軍奮闘でなくチームプレイとなる事で人間中心のドラマになる、って感じで。 また、キャプテンは正義ってモンに対して一本筋が通ってますからヘンな迷いとかないですからね。そこからぐなぐなと苦悩したりとかってヘンな脇道に入っていかないの。 それになんと言ってもスカヨハのブラック・ウィドウの出番いっぱいですしね。 クライマックスではSHIELD内の大規模な戦いになってゆくのですが、正しい事をしようとする側の人々の描写が結局は殆どおざなりになっちゃうのが残念。もっとみんなが頑張りました、って描写が欲しかったですし、あのデカいヘリにどれだけの人が乗っていたのかもスルーされちゃって。3つとも落ちて大惨事状態になっていた筈ですが。 つーか、仲間いるのに砲撃したとかしてない? ちゃんと降りてた? 前作や『アベンジャーズ』を見ていないと話にならないっていう点では大いに難がありますし、ラストの二度に渡る「まだまだ続きがありますよ」って毎度のパターンにはいい加減ウンザリさせられますが(冒頭に「エンディング後も映像があるので最後まで見てね」ってテロップ出るけど大半が一度目を見て帰っちゃいますな)、主人公の性格を反映してまっすぐな物語でまっすぐな娯楽映画だったのは良かったと思います。 にしてもレッドフォード老けましたねぇ・・・ [映画館(字幕)] 7点(2014-04-24 21:36:48)(良:1票) |
27. 桐島、部活やめるってよ
《ネタバレ》 【注!激しくネタバレ】優秀でモテるバレー部員桐島という存在は最後まで作中に登場せず、つまりはマクガフィンなのですが、これはそのマクガフィンについての映画なのですね。登場人物達にとってはとても重要な存在であるのだけれど、物語に対しては仕掛けとしての要素でしかない存在。つまり学校生活というものがそんな感じで。傍から見たらくだらない事、どうでもいい事だけれども本人にしてみれば一大事であったり真剣な苦悩であったり。それぞれが抱えた全く別々のピリピリとした自我同士が接触する事で簡単に傷つき簡単に傷つけ。自分にとって大切な事と他人のどうでもいい事、自分に付いた傷、他人に付けた傷によって少しずつ他人の「どうでもいい事」(あの隕石が秀逸な象徴となっています)の価値とコミュニケーションの術を学んでゆく・・・。多感な時期の姿を多角的に描いていて楽しませて貰いました。開幕からしばらく続く『バンテージ・ポイント』のような構成が何かを解き明かしてゆくのかと思ったのですが、それぞれの立場・校内でのポジションの紹介といった感じで、そんなには効果的に機能していなかった気がするのは残念ではありますが。あれ、どうせならもっと徹底的にやった方が強い印象を残したと思います。登場人物に過度に思い入れるようにはなっておらず、どのキャラにもそれなりにイヤな面が存在している点を晒している状態は大変良かったと思います。もっとも自分自身は高校時代、映画研究会というヒエラルキーの底辺に存在していた訳で、あのリアクションの薄い面々にシンパシーを抱く事、大でしたが・・・。 [映画館(邦画)] 7点(2012-08-12 17:33:00)(良:1票) |
28. 君に届け
まるで70年代の少女マンガのような物語世界で、映画は80年代のプログラムピクチャーのような世界。どんだけ古臭いセンスで成立してるのよ?って感じ。物語・脚本のツッコミどころは満載。翔太が学校の場所が判らずに迷うのは彼が転校生だから?と思ったのですが、そうではなくて高校一年初登校の日だから、と、でもそれが判るのはずっと後。桜が咲いてるので一学期だというのは判るにしても。でも、ヤツは自分が通う事になる学校を始業式の日に初めて訪れたんか? 爽子がああいう存在になってしまう経緯は安直過ぎるし、モノローグから始まる事で宣言される爽子視点の映画、なハズが唐突に翔太のモノローグが入り込んで視点ブレるし。担任とタメ口で話している経緯・理由は判らないし、爽子の二人の親友は絶対に高校生には見えないし、ライバルのコの感情のドロドロっぷりは今時コメディレベルだし。時代性とか今日性とかにまるで無頓着で、なんかもうめちゃくちゃ。マンガを起点とする映画の難点が網羅されているような作品、今の日本映画の問題点を露わにしてしまっている映画。で、だけどその問題は根が深く、簡単に改善される事はないだろうと思わせてしまうのは、これがそれでも楽しめてしまうからなのですよね。あり得なさ炸裂の甘酸っぱい恋愛友情ファンタジー世界に酔えてしまうワケです。セリフで安易に感情が語られる世界だからこそ判りやすくドラマが成立し、リアリティが欠如しているがゆえにクサさすらも許容できてしまう、と。日本人の脳と心にはマンガフィルターが存在していて、マンガ的なるものを安易に許容できてしまう、それは映画にとっては明らかに問題であると思うのですが、それが国民性であるとも、中身がどうであれ、その許容こそが時代性なのだとも言えてしまうのかもしれず。うーん。今回は未華子嬢のあり得なさっぷりを、つい思いっきり楽しんでしまった私の負け。 [映画館(邦画)] 7点(2010-10-04 21:50:10)(良:2票) |
29. 96時間
《ネタバレ》 96時間ってのがとても根拠の薄い、いい加減なタイムリミットだったのがビックリ。一緒に誘拐された友人は96時間以前にアレしちゃったじゃん。娘と友達の運命を分けた違いがあったのは事実だけど、父ちゃんのかつての同僚はそこまで知ってて計算したんか? あと、予想したのと違って、最初のボスには早々に辿り着き、次々ボスが替わってゆく(別に真のボスがいるワケじゃなく、単に対象が変わるだけ)って展開はサスペンスとしては大変に雑。経験を生かして頭脳使うのかと思えば殆ど体力勝負だし。だけど悪いヤツをボコボコにやっつけてスカッとするアクション映画としてのキモチ良さはかなりのものでした。かつてCIAの工作員で今は世拗ね人な男がさらわれた娘を助けに行って悪いヤツを片っ端からボコりまくり、ってセガール映画みたいですが、面白さ的にもセガール映画のソレと同じようなモノで。リーアム・ニーソンレベルの役者が最近めっきり動きがニブくなってきたセガールの後継者でいいのか?とも思いますけど、そしてリュック・ベッソンがこんな映画を製作していていいのか?とも思いますけど、まあ面白かったからいいや。 [映画館(字幕)] 7点(2009-08-25 22:19:41)(笑:1票) |
30. キートンの蒸気船
《ネタバレ》 ドタバタコントの有名な元ネタ映画ですね。映画的な物語の繋がりが弱いとか、転ぶ引っかかる落ちるっていうのを延々と繰り返すコテコテした笑いはキートンにしろチャップリンにしろ、あんまり好きじゃないとかあるんですけど、嵐が来てからの怒涛の展開は、見世物としての原初的な映画の運動が連続していて無駄な理屈など不要な凄さを見せています。純粋に観客を楽しませるために体張って命かけて動いて大がかりなセットを組み上げて壊して沈めて。彼らの努力が世界中の多くの人を惹き付けたからこそ、今の映画がある、そう考えると敬意を表さない訳にはいきません。もっともいちばん可笑しかったのは、ハデなアクションもスペクタクルもない、主人公の「晴れ姿」を見た船員が父親に黙って銃を渡すシーンですが。 [DVD(字幕)] 7点(2009-04-13 01:38:10)(良:1票) |
31. キングコング対ゴジラ
子供の頃、何回も見た筈なのですが、あらためてDVDで見直すと覚えのないシーン沢山(テレビ放映じゃあちこち切られてたりしますしね)。こんなに盛り沢山な映画だったとは。基本がコメディなので「あはは」と笑って見てられる一方、ゴジラが現われて電車から避難するシーンなどは、ゴジラがどんどん迫ってくるぞ、って恐怖感が結構あったりして、ああ、今だに見る「怪獣が来るぞ!」って悪夢はここらあたりが原点かぁ、と。『ラドン』もそうでしたが、地球温暖化って、この頃既に取り沙汰されていたんですね。ここでは冷凍化されて閉じ込められていたゴジラが目覚めるきっかけとしての要素、って程度の扱いではありますが。日本人が黒塗りメイクしてるアダモちゃん(古いか・・・)みたいな原住民とか、懲りずにいちいちピンチに陥る浜三枝とか、対戦をさっさと諦めちゃうキングコングとか、ゴジラにキングコングを対戦させちゃおうと真剣に作戦組んだりとか、平田昭彦の博士がいちいちもっともらしい事を言うけど役には立ってないとか、狙ってるんだかマジなんだか判らない面白さが楽しく、退屈せずに見られました。もっとも、ここでキングコングに影響されちゃったのか、ゴジラのボディランゲージが出始めておりまして、以降は随分とゴジラも人間的な仕草をするようになっちゃいましたね。 [DVD(邦画)] 7点(2006-07-18 00:26:45)(良:1票) |
32. キングダム・オブ・ヘブン
《ネタバレ》 最初の方は波乱万丈、怒涛の展開でホンマかいな?って状態なんですけど、中盤以降は良くも悪くも、それなりのポジションに落ち着いてきます。んー、正直に言っちゃうとリアルで良くできた「ロード・オブ・ザ・リング」。「ロード・オブ・ザ・リング」にはまだ『CGです』『ミニチュアです』っていうのがモロに出てしまっている映像があって、それが風景を狭く感じさせてしまっていたりしたのですが、これはもうどこまでがロケでどこからがCGなのか、ちっとも判別できない状態。雄大な風景の中で展開する活劇はさすがのダイナミズム。一方で美しい映像も沢山あって、落ち着きのないカメラワークとさっさと切り替わるカット割りが残念。でも、この映画最大の問題は、ファンの方には申し訳ないのですが、オーランドに主役を張るだけの魅力が欠けてる気がする、って事ですね。これを、もっと強いオーラを放つ人が演じたならば、脇までも輝かせたと思うんです。リーアム・ニーソンにしろ、ジェレミー・アイアンズにしろ、主人公との繋がりに強いイメージが湧いてこないんですよね。ヒロインもなんだか影の薄い感じですし(時々ミニー・ドライバーやジャニーン・ガラファロみたいに見えたり)。リドリーの映像美とダイナミズムを描く力によって、「史劇ぃ?ラブロマンスぅ?」という私をあんまり刺激しない題材が、とても見応えあるものに昇華されていましたが、いかんせん、主役がねぇ・・・。つーか、あの厚みのあるカブリモノみたいな髪型だけでもどーにかならなかったのかなぁ。そうそう、自作のパロディをワザとやってるでしょ?みたいな映像満載だったのですが、流石に「エイリアン」や「ブレードランナー」はないよなぁ、と思ったら・・・笑いました。 [試写会(字幕)] 7点(2005-04-14 00:06:52) |
33. CURE キュア
《ネタバレ》 萩原聖人のキャスティングは、果たしてこれでいいんだろうか?とか、何故負の意識、闇の意識を刺激する事が即殺人という形に結びつくのだろうか?とか、見ている間は色々と疑問に思ったのですが、見終わってみると、何やら冷たくザラついた、イヤ~なモノを飲まされたような感触が残り、恐ろしさがじわじわと染みてきました。人が壊れてゆく境界は曖昧で、ほんの少し背中を押されただけで越えてしまう危うさを感じます(それを感じているうちは大丈夫なのかな?)。意識して避ける事ができるのならばいいのですが、その引き金は日常の中に潜んでいて、日常の風景が歪んだように顕在化する、そんな怖さを監督は決して表層的な表現、即物的な表現に頼る事なく、象徴的な映像を通して内側から上手く引き出していたと思います。ただ、幸せポイントの全くない映画なので、もう結構でございます。ごちそうさま。 [映画館(邦画)] 7点(2004-06-16 01:37:04)(良:1票) |
34. 金融腐蝕列島[呪縛]
総会での展開が出来すぎじゃない?とは思いましたが、時代にしっかり斬り込む映画、堪能させて頂きました。ダメになった会社を、ダメと自覚した上で、腐敗した体制に反旗を翻してみせる姿勢、それに賭ける男達の姿が爽快です。もっとも、現実には、この映画が示してみせた事を理解して実践してる業界の人って少ないようですけどねぇ。だってねぇ、銀行屋は税金投入してもらっても自分の腹は痛めないようなのばっかりでねぇ。バブルの崩壊だ、金融危機だって、なんか変わったのか?って言えば、合併を繰り返して名前ばっかりコロコロ変わる程度のもんで。 [映画館(邦画)] 7点(2003-12-01 21:45:39) |
35. キューティ・ブロンド
ロースクール世界でも司法世界でも、真摯になりながらも、どピンクワールドをあくまで曲げずに貫くリースが好き。価値観が変わって成長、って物語じゃなく、自分の価値観でぐいぐいと切り込んでゆく姿に快感を覚えます。でも、ホントはいじわるセルマが大好き。どピンクなリースに当時のiBookのカラーが微妙に合ってなかったのが残念。アップルはこの映画用に、どピンクのiBOOK作ってあげれば良かったのにね。 [映画館(字幕)] 7点(2003-12-01 14:42:03) |
36. ギャング・オブ・ニューヨーク
ニューヨークの土に流される血。その民族と宗教の戦いの歴史は、過去のものへと流れてゆくものじゃなくて、今も形を変えながら、繰り返されている・・・皮肉な事に、9.11が、この映画に重たい意味を与えてしまった感じです。ラストショットを見て、何も感じない人は、まずいないでしょうし、それが映画の内容に符合してしまっていて、憂鬱な気分になります。常に勝利を命題に掲げた人々の虚しい世界の映画、ですね・・・。 [映画館(字幕)] 7点(2003-12-01 14:29:03)(良:1票) |
37. キスト
R指定版『禁じられた遊び』な映画でした。ヒロインの気持ちに同調する事はさすがにありませんでしたが、見ている間、彼女の「それ」に対する思いを色々と考えていました。生命の抜け殻、生きた証しの最後の姿、もの言わぬゆえの純化された存在、崇高にしてエロティックな造形物・・・。理解するのはムリなんですけど、そのフェティズムもまた、ひとつの愛のかたち。気持ち悪さはなく、美しさが印象に残る映画でした。ただ、私、『アナスタシア』からハシゴしてこの映画を見たために、2つがごっちゃになって、アナスタシアがフェティズムに走る映画が頭の中に出来上がってしまったのにはマイりました。一日4本でも平気な私ですが、同ジャンル(一応、両方ラブストーリーですよね)の連続はマズい、という事に気付かされました。 [映画館(字幕)] 7点(2003-12-01 00:18:52) |
38. キルミー・レイター
セルマ・ブレアが主演でなければ、せいぜい5点ってところですねぇ。そのくらい、彼女の魅力に支えられている映画。あの、愛想なさそーな、恨めしそーな三白眼、その「媚び」とは正反対を感じさせる部分こそが彼女の最大の魅力。冷たい融資係役なんてピッタリ。映画は色々なコトしてる実験的な映像や音楽がアングラ、オフビートの世界を感じさせながら(それに見たのがかの有名な銀座シネパトスだし)、映画全体の姿がハッキリと見えてくると実は古めかしい「いつか王子様が」物語だったりするので、ちょっと気持ちが萎えてしまいますけど(そうなってしまうと単に音痴で笑えないラブコメ映画)、普段、名脇役状態のセルマがずっと見られる貴重な映画ではあります。 [映画館(字幕)] 7点(2003-11-21 20:52:33) |
39. キングダム 運命の炎
《ネタバレ》 ひたすら戦いに終始した前作は単純に楽しめたのだけど今回は物足らなさが残ったわ。映画を見終わってのいちばんの感想は「え~?そこで終わりぃ?」だったわね。 まず嬴政の回想シーンが思いのほか長くて、ああつまり回想って言ってもそこがこの映画の前半の見せ場ってワケね、っていうのはもちろん見終わってから判るコト。回想シーンの中に更に回想があるっていう(嬴政の回想の中に紫夏の回想が入っちゃうという人称のブレっぷり)のはたとえ原作マンガがそうだとしてもミスね。そこも本体であるならば回想というカタチは取らない方が良かったんじゃないかしら。 で、そこから戦いへと向かってゆくのだけど、たかおの王騎はもちろん最高として前作で活躍したキャラはそーんなには目立たなくて結局は信と羌瘣よね~みたいな。そしていよいよここから、ってところで終わっちゃう。物語として映画として、なんか食い足らなさハンパないんだけど。龐煖とか楊端和とか出すだけ出してはいはい今回はここでおしまい、って物語があんまり転がっていないわ。『帝国の逆襲』くらいには物語転がしてよ。 あと前作同様イマジナリーラインめちゃくちゃね。回想シーンでの荷馬車チェイス、追われる側と追う側がそれぞれ一体どっち向かってるのよ?みたいだったわ。 まあなんだかんだ言いつつも豪華キャストで繰り広げられるスケールの大きな娯楽映画、次が楽しみなんだけどね。っていうか河了貂の出番少ないわよ。 [映画館(邦画)] 6点(2023-09-05 16:14:22) |
40. 君は月夜に光り輝く
《ネタバレ》 明らかに『キミスイ』の柳の下のドジョウを狙ってるのが見え見えで(監督と主演が一緒だし)、だけどそれでも映画に酔えればいいのだけれど、『キミスイ』には及んでないわ。かなり劣るカンジ。 この映画の最大の欠点は永野芽郁を病院の外に出せないこと。その分、北村匠海が動いてゆくことになるのだけれども、彼の単独行動じゃどうしたって映画のキモチは永野芽郁から離れていっちゃう。永野芽郁も一緒に連れ出さないといけなかったハズなのね。それはもちろん病院から連れ出せないっていう基本設定は守った上で、彼女のキモチとか想いとかを連れてゆく、という。だけど、ソレをクライマックスの感動的な見せ場の仕掛けとして設定しちゃったものだから、そのテを使えず、永野芽郁はコマ切れで登場する状態になっちゃった。 その上、エピソードがいちいち単発状態で繋がりがちゃんとしてないので(もう娘に会わないで→間無し→会いに行っても平気、もう来ないで→間無し→会いたい)流れが生まれず、話が盛り上がってゆかないの。エピソードのコラージュ状態で描いてゆこうとするならば、もっともっとエピソードを重ねるべきだったのかもしれないわ。 架空の病気はあんまりな合成状態でヘンだし。っていうか、二度目の発光はアレ、匠海はもう彼女を逝かせてあげたいと思ったワケ? 屋上出るとヤバいってのを承知の上で光らせたみたいなカンジなんだけど。 それでも見られる映画だったのは北村匠海と永野芽郁って二人の実力、それ以外の何物でもないわ。北村クンは『キミスイ』とキャラカブり過ぎだろ!って状態ではあったのだけどさ。 [映画館(邦画)] 6点(2019-06-06 21:30:22) |