1. 帰郷(1978)
冒頭のビリヤード場は本当の帰還兵だそうで生々しく興味深い会話のシーンになっている。なぜ戦ったかを力説する男に、「戦ったことが無駄だと思うとやりきれないから、あれこれ理由をつけてやったことを正当化しようとして自分に言い聞かせているだけ」と反論する男の言葉は多分真実をついている。 心身ともに傷ついた帰還兵を通して、戦争は無意味で敵味方なく人を傷つけるだけ、、という反戦のメッセージを伝えてくる。会話や個々の話にとてもリアリティがあり、演じる俳優たちの力演もあって訴えてくる力が強い。 その他にも障害を負って荒れていたジョン・ボイドがジェーンとの出会いで立ち直る、というラブストーリーもロマンティックで美しい。ラストのブルース・ダーンの海辺のシーンは寂しくて悲しいが、ジョンのスピーチのショットも交え印象深い余韻を残す。 8点(2005-03-26 23:25:50)(良:2票) |
2. キューポラのある街
映画は時代を映す鏡でもある、ということで、↓そうそう、こんな時代もあ~ったねと♪(byみゆきさん)つい強調したくなる。この映画が作られた昭和37年というとまだ高度成長期前で大方の人が生活に余裕もなく貧しさも当たり前だった頃。 暮らしが大変だからこそ大人も子供も困難も多く頑張らざるを得ないのだけど、それが悲惨とか暗いというのではない。 そういう時代なんだしそういう中でも夢や希望もある。前向きで明るいジュンのようなしっかりものや逞しく頑張る子供たちの姿は時代が一変した今見るといっそう感動的。特に弟のタカユキと彼を「親分」と呼んで付き従う朝鮮人少年とエピソードの数々が生き生きとしてて素晴らしい。今なら北朝鮮へ帰ったあのサンキチや家族には過酷な運命が待っているだろうと分かるが、この当時はそんなことを知るはずもなく希望を持った帰郷だと誰もが信じてたわけで・・・ いろんなエピソードも登場人物の誰もが見事に調和し、前向きに一生懸命生きる素晴らしさを力強く訴えてくる。 9点(2005-01-30 21:42:08)(良:2票) |
3. キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン
実話という話自体が面白いしテンポもいいので楽しく見られる。次々繰り出される詐欺は犯罪なのにあまりに話がすごくてびっくりなのでかえって痛快。逃げるレオを追う捜査官のハンクスの人情味もいい感じ。レオが生き生きと楽しそうに見え、パイロット姿はかっこいい。60年代パンナムの人気はここでも絶大で威力を発揮。やっぱり面白かったので8点。 8点(2004-10-08 22:26:31) |
4. 虚栄のかがり火
登場する人物達はT・ハンクスも含めて共感できる者はほとんどいない。最後に演説をぶつ判事のM・フリーマンとハンクスの父あたりのみがまぁまともな人物といったところ。人間の汚いくて嫌な部分をことさらにみせるので見ててもまるで楽しくはないし好みでもないのだが、これが結構ブラックジョークに見え興味深かったりする。 5点(2004-04-28 19:08:17) |
5. キャット・バルー
若いジェーン・フォンダがスタイル抜群で美しい。まじめな教師になるはずがお尋ね者になるというのをコメディタッチで見せる。見所はやはりリー・マービンの変身ぶり。酔いどれの汚いオヤジがかつての名ガンマンになるために酒絶ちして再訓練、髭も剃っていざ変身。上下パッチに次々身に着けていく過程を重々しく見せるのがかえっておかしい。話よりも彼を見るような作品。そうそう、狂言回しの二人の歌も良かった。 6点(2004-02-26 16:04:40) |
6. キクとイサム
戦後はこういう話はたくさんあっただろう。混血児は今よりずっと差別され、奇異の目で見られていたと思う。キクとイサムの母親も父親も出てこない。しかし捨てられたようなこの黒い混血児たちに暗さや惨めさはない。明るく堂々として気持ちが良いくらいだ。二人の子供が実に自然でいい。祖母の北林谷栄はこの頃から今と同じくらいな老婆役をこなし実にサマになっている。これ1本で彼女の大女優ぶりが分かる。弟が養子に行く時泣いたキクだが、すぐに立ち直りラストシーンで大きな体をゆすって野良仕事に行くところなどは逞しい。終戦後の混血児問題を取り上げながら深刻な部分をことさら描かず、前向きで明るく生きる子供たちを中心に描いて気持ちのいい後味になっている。 8点(2004-01-18 22:09:40)(良:1票) |
7. キング・コング(1933)
今からちょうど70年前の作品ですよね。う~ん、もうびっくりを通り越して感嘆するばかり、、CGもなく46センチのミニチュアモデルの人形と張りぼてで、これだけの映像が作られたというのがすごい!まさに映像マジック!!ドクロ島での各種恐竜との戦いはジュラシックパークにも引けをとらないリアルさ。クネクネ動く恐竜のしっぽなんぞとても人形とは思えない。翼竜まで登場するこの映画は一連のスピルバーグの恐竜映画の元になっているに違いない。それだけじゃなく、たいていの怪獣、ゴジラなどのおおもとがこれなんでしょう。コングの表情が非常に良くできていて、美女を見てにやりと嬉しそうだったり、怒る顔、エンパイアステートビルのてっぺんで飛行機に攻撃され負傷して悲しそうに傷を見たりと、とても人間くさかったりして面白い。恐竜をやっつけて、死んだかな?と首をゆすってみたり口を開けてみたりと芸が細かく愛嬌もあっておかしい。今見ても驚くのに、当時リアルタイムでこれを見た人々の驚きはどれほど凄かったことだろう。コングは確かに大暴れして悪役だが、だいたい孤島に暮らしていたコングをニューヨークにつれてきて、金儲けの道具にしようなんて考えるからこんな大騒ぎになったんで、コングの最後は哀れにも思う。今もこのコングはユニバーサルスタジオにあるそうです。 10点(2003-11-30 15:58:26)(良:1票) |
8. 鬼畜
話が話だけに強烈なインパクトがあるが、とても怖くて辛いものがあるので何度も見たいという気にはなれない。岩下志麻と小川真由美の迫力がすごいが、二人の役を変えてもまた違う凄さがあったかも、、優しいのに気の弱い父がだんだん追い詰められていく様を見せる緒方拳もリアル。苛立ちややるせなさを暑苦しくじっとり滲む汗で表現しているようだった。子捨ての北陸の旅のロケーションやラストの子供には「砂の器」を感じた。 7点(2003-11-26 18:55:12) |
9. 去年の夏
もう30年以上前になるのに、これは凄く印象に残ってる作品です。夏の海、4人の若者(高校生くらい)、苦い青春映画です。美しくてエゴイスティックな女の子と男の子二人が夏の海岸で知り合う。そこにちっとも綺麗じゃないけど真面目な女の子が混じって4人の交友関係が始まる。女王様気取りの女の子のたくらみで、綺麗じゃない女の子は悲惨な目にあわされてしまう。その若さの暴走する残酷さ、やるせなさ、ちょうど同じ年頃の私はすごいショックを受けました。音楽も良かったんですよ。いかにも夏の終わりの海、という感じでした。残酷なラストシーンにこの音楽は今でも忘れられません。この4人の俳優さんのうち、バーバラ・ハーシー、ブルース・ディヴィソン、リチャード・トーマスはこの後もたまに見かけるたびに、この映画を思い出します。 8点(2003-11-26 18:28:36) |
10. ギフト(2000)
演技派のケイトにキアヌ、ヒラリーと豪華なメンバーをそろえたのに、いかんせんお話の展開がまずいのでどうも見ていていらついた。こういう霊能者の話は興味深いので好きなんですが、犯人が見えるまでだらだら引っ張っていくのがもったいぶってて気に入らない。(他でもやたらもったいぶってる)でもラストの可愛そうなバディとの友情にほろりとしたのでプラス1点。 5点(2003-11-26 10:51:34) |
11. キネマの天地
映画初期の頃の話は興味深い。主役の有森さんはたしか代役で、モデルは田中絹代さんでしたかね。日本映画の歴史的映画なのだから、もうちょっと印象深いエピソードなど工夫したら面白くなったかも、、せっかくの題材なのになんだか印象が薄いんですよ。 5点(2003-11-23 20:54:30) |
12. 教祖誕生
たけしが教祖かと勘違いしてた。 祭り上げられた萩原聖人が霞んじゃうくらい強烈な印象があった。胡散臭い宗教界の裏側を赤裸々に見せる発想は面白かったが、どうもいまひとつ盛り上がらなかった。こういうのを伊丹監督がマルサ風に撮ったらもっと面白くなったかもしれない。 5点(2003-11-22 10:20:30) |
13. 奇傑ゾロ
サイレント時代のアクションスター、ダグが見られるだけでも貴重品。近作のホプキンス・バンデラスとはまた違ったゾロだが、印象的なのはゾロでない時の青年は弱々しくてまるで別人になってること。マスクをつけたとたん、かっこよく強い男に変身する。 7点(2003-10-16 18:58:12) |
14. 奇跡の人(1979)
サリバン先生といえばアン・バンクロフト、ヘレンといえばパティ・デュークというくらいイメージが定着。そのパティがサリバン先生、ヘレンは「大草原の小さな家」のメリッサ・ギルバートでしたっけ?話はおなじみだから演技力を比べられやすい。なかなかいいですよ。だいたい誰がやっても感動的な話なので、結局感動して泣く、と言うおなじみのパターンでした。 8点(2003-08-30 21:36:23) |
15. 禁じられた遊び(1952)
戦闘場面は全く描いてないのに、深く戦争の悲しみを感じる。いつでも真っ先に犠牲になるのは子供をはじめ弱いもの。静かに無言で抗議する監督の声なき声が聞こえてくるような気がする。戦争孤児になってしまった子供たちの哀れを一層誘うのが繰り返し流れる「禁じられた遊び」のイエペスのギター。あのメロディを聴くたびに条件反射で泣けてしまう。ラストの雑踏で迷子になって「ミッシェール、ミシェール・・」と呼ぶ女の子の姿がかわいそうでまた涙。 10点(2003-02-27 23:54:53)(良:2票) |
16. 疑惑の影(1943)
《ネタバレ》 久方ぶりのおじさんの帰郷を喜ぶ家族、でもだんだんおかしい、、と思うのは勘のいい姪のテレサ・ライトだけ。疑惑ばかりが膨らんでくるが、母や家族のショックを思うと誰にも話せない。彼女は大丈夫か・・と最後まではらはらさせるが、写真捜査やもう一人の容疑者の扱いなどやや疑問も残る。 6点(2003-02-27 23:41:36) |
17. ギルバート・グレイプ
《ネタバレ》 よかったですね~、大変な家族をかかえて自分の思うように生きることもできない長男のディップ、次男のディカプリオも感動的で、、亡くなったけど鯨のように太りすぎて運びだ出せない母親は家ごと燃やして弔い、長男の恋人を加わえて新たな家族での旅立ちという希望の見えるラストは清々しい。 9点(2003-02-23 21:58:01) |
18. キャラバン(1999)
ヒマラヤの過酷な自然風景でロケしたカメラマンや出演者などはさぞ大変だったろうな~とか、よくこんなところで暮らしてるな~とかの感想がまず一番。 ロケーションが素晴らしいです。 厳しい自然環境の中で暮らすには、長老の意見を尊重するという生活は自然の知恵なんだろうと思います。 7点(2003-02-23 21:34:33) |
19. ギャラクシー・クエスト
お話:B級、出演者:A級のハイクラス娯楽コメディ。宇宙人は純真でかわいいのがおかしい。落ち目の俳優たちのキャラクターも面白い。 7点(2003-02-23 21:26:17) |
20. キャバレー(1972)
むかーし見たのに記憶にかなり残っている。印象が強かったのね。ライザ・ミネリのショーの場面とか、白塗り司会者の様子とか。ミネリはこの映画で迫力ある歌とダイナミックな踊りで輝いてた。ショーの場面だけで言えば10点ですが総合するとこのくらいか・・・ 8点(2003-02-23 21:17:44) |