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プロフィール
コメント数 178
性別 男性
ホームページ http://ameblo.jp/mabuse-tarou/
自己紹介 人にはそれぞれ言い分があるのです 。

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1.  キラー・インサイド・ミー
ジム・トンプソンを原作とした映画の最高作であり、ここ10年で最高のスリラーであり、「マルホランドドライブ」以降で最高のフィルムノワール。審美の罠に陥ることなく、かくも幻想的で、現実からの失墜感に満ちた映画はそうない。しかも相手は狂人だ。
[映画館(字幕)] 10点(2011-04-21 23:03:28)
2.  ギャザリング
元ネタは「グランド・ツアー」。このネタ一発から全編を構成したのが、よ~くわかるってのは作劇としてどうなのか。それにこのネタ、正直、面白いか?少なくとも映画にして面白いネタとは思えないがどうか。どうでもいい映画、ってジャンルが映画にはあると改めて思わせてくれました。ああ、どうでもいい映画。でも、イギリスの田舎町の雰囲気と、曇天での撮影、そしてクリスティーナ・リッチは楽しめる。それで充分でした。
[DVD(字幕)] 5点(2006-05-15 21:21:46)
3.  彼奴(きゃつ)を逃すな
コンクリートの土手を背にして一本の道が走っており、その両脇にはささやかな商店が並んでいる。このオープンセットが素晴らしい。主人公である若夫婦は、時に土手を背景にした閉鎖的な空間を背を丸めながら歩いてくるのだし、時には活気のある商店街を手をつなぎ闊歩する、あるいは警察の目を避け道を走るローラー車に隠れながら通りを横切る。このオープンセットは物語の要請に応じて、その背景や視点を見事なまでに変え、そのとき折々の登場人物を演出する。またこのオープンセットは物語上の現実を的確に描き出すだけではなく、超現実的な光景を繰り広げる場ともなる。「幻想」シーンではなく、あくまでも日常と地続きになった白昼夢の風景を現出させること。■このオープンセットだけでない。若夫婦の住む小さなアパートの廊下、やや俯瞰気味に捉えられた縦構図の素晴らしさ。二間続きの室内は、窓からの光によって妻の姿を逆光で捉え、あるいは灯りの有無によって寝室と居間の差異を際立たせる。さらに商店街からアパートへ続く運河沿いの道。■これらの場とその中での登場人物を的確に演出する鈴木英夫の才能は、クライマックス、若夫婦の経営するラジオ修理の店の室内でピークを迎える。暗殺者に迫られた夫は妻に「ニゲロ」というサインを机に描く。これを見た妻は、そのサインを犯人から隠すように、夫の手に自分の手を重ねる。サスペンスという現在の物語は、若夫婦の愛情の物語へと一瞬で変容する。サスペンスを構成していた様々な記号がくるりとその意味を変えていく。これには感動した。「疑惑の影」じゃないか、これは。
[CS・衛星(字幕)] 10点(2005-12-03 00:26:24)(良:2票)
4.  鬼畜大宴会
この映画を観る前、私は本当にわくわくしていました。連合赤軍を思想的、あるいは時代的な側面から描くのではなく、スプラッターとして描くこと。しちゃいけない何か、みんなそう思ってるけど言わずにすましておいたこと、意識的に誰もが封印していたことを、うへへへへとスプラッター化してしまったことに、本当にわくわくしたのだ。一体何を見せてくれんだ、と。■だから、映画館へ、渋谷のユーロ・スペースへと向かう道のりがこの映画の一番良かったシーンなのかもしれない。だって、見せ物なんだもん、映画は。見せ物としての映画の魅力を満喫すること。■その期待は途中までは満足できた。でも、後半、やはり、というかなんというか、どうも思想的になる。全然、思想でも何でもないんだが、中途半端にゲージツになっちゃうのな。でないとラストが迎えられないのかもしれないが、あの日本刀野郎はどうもいかん。■その中で、あの不細工な女性だけが最後までこの映画を醜悪にしていた。こうでなくては。「あの女、ほんとにファックしてたらしいよ」というホントか嘘か分からない裏話も含め、このテンションが最後まで持続していれば、ほんとに傑作になったのに、と思う。惜しい。
9点(2005-01-29 22:55:32)(良:1票)
5.  キリング・ミー・ソフトリー
あまりの点数の低さに義憤を感じての投稿。■犯人はすぐわかる、突っ込みどこも多い、確かに物語やシナリオはつまらない。せっかくハリウッドにやってきて、こんなシナリオ渡されちゃったよぉ、それじゃ、演出に気合い入れてみっか、とチェン・カイコーはきっと考えたはず。■シースルーの階段を室内中央に設け中二階につなげた大胆な美術、それを効果的に生かした演出、光源を画面内に配置した照明、など野心的かつ古典的な画面の連続に、うむ、その意気や良し、といった感じ。■つまり、職人に徹しながら、作家性を垣間見せること。■お話がどってことない分、画面に集中できる、演出が際だつ、監督の才能がみえる。あんまり「お話」が面白いってのも、映画には困りもの。映画は「お話」じゃないんですね。
10点(2004-10-20 08:27:32)(笑:1票) (良:1票)
6.  曲馬団のサリー
グリフィスが素晴らしいのは、1ショットの美しさのために物語を語ることを放棄したこと、1ショットという概念を原初的に提示したこと。初期の短編にみられるドキュメンタリー的な美しさは、失われたアメリカの風景を捉えている、といったノスタルジックな文脈とは遙かに異なり、1ショットの持つ力に拘泥し物語を無視してしまったことによる。物語に奉仕する「クロス・カッティング」と、「リリアン・ギッシュの美しさについ近くに寄ってしまった」から発明された、いわば物語から逸脱するための「アップ」、その相反する技法を共に生みだした作家グリフィス。この映画はグリフィスの一方の集大成であるかのような映画、「アップ」だけの映画、キャロル・デンプスターの美しさだけを描いた映画です。寝床代わりのパン釜に入り、鏡を取り出すキャロル・デンプスター。そのロングショットから同軸上でアップつなぎ、逆光に煌めく髪をとき、化粧する美しい表情を捉える。これは、そんな素敵な瞬間だけで構成され、物語はそれを紡ぐ口実でしかない。それってヌーベルバーグじゃん!物語の作家、「クロスカッティング」の作家グリフィスと、物語を無視する作家、「アップ」の作家グリフィス。その両者の幸福な出会いがエリック・ロメールだ。
10点(2003-12-08 01:51:11)(良:1票)
7.  キューティ・ブロンド/ハッピーMAX
中身が何もない映画。動物実験もアメリカの自由も演説も、この映画ではただ空虚な入れ物、物語の題材でしかない。ありがちな物語をいかに感動的に語るか。この映画が素晴らしいのは、その語り口であり、演出であり、撮影であり、編集であり、照明…、つまり「映画」の本質だ。で、それが素晴らしいんですわ、これが。単一の光源を生かした照明と、それを前提にした人物の動き、主演女優を美しく撮影すること、切り返しをしっかりと撮ること。古典的な技がこんなに光る映画を、今の世の中、そう簡単に観ることはできない。傑作です。泣きました。
10点(2003-12-07 21:25:57)
8.  木と市長と文化会館/または七つの偶然
ロメールで一本を選べ、そんなこと言ったって…。今日の気分ではこの映画です。たわいない政治談義を適当に撮ったのに、どういうわけか、カメラはここに置き、この台詞でカットを割るのが唯一の正解に思える。映画史がそうしなさい、と言ってるかのように思えるのがロメールの凄さです。しかもミュージカル映画だっつうんだから、何だか、黄金時代のハリウッドはロメールにしか継承されてないみたいです。
10点(2003-12-03 22:00:41)(良:1票)
9.  疑惑の影(1943)
ヒッチコックで1本を挙げなさい、そう言われたら、私は迷わず「疑惑の影」を推す。図書館へ走るテレサ・ライトの運動感、「悪」の哲学を語るジョセフ・コットンの顔、そして、階段、指輪、窓、扉、ヒッチコック得意の舞台装置が完璧に作動する。サスペンス?そんなものどうでもいいじゃん、と思う。完璧な映画ってものがあるなら、これだ。
10点(2003-12-03 21:49:50)
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