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1.  キリエのうた 《ネタバレ》 
黒木華の女性教師が、少女を探しに夜の古墳を登ってくる。かすかに響いてくる少女の歌声に惹かれるように、、。 となるはずのシーンで、肝心な彼女の歌声はBGMでかき消されてしまう。 人を惹きつける彼女の歌声、自身の人生の転機をもたらす歌声、それを印象づけるという本来ならば重要なシーンで 情景音楽のほうを優先させるという頓珍漢。 子役の歌だから、どうでもよかったのか。  とにかくBGMの垂れ流しがひどい。ヒロインの歌に割りこむようなメリハリのない用法も複数個所。 劇伴を目一杯流しておけば「音楽映画」だという音痴映画である。   警官との小競り合いも取ってつけたような安易さで、切実感まるでなし 
[映画館(邦画)] 2点(2024-02-14 00:20:58)
2.  キングスマン: ゴールデン・サークル 《ネタバレ》 
ストーリーの中に、水中に潜る・高所に登るなど舞台の高度差を組み入れてストーリーを構築するところが前作にも通ずる巧さ。 前作のスカイダイビングに相当するのが、今作でのゴンドラの滑落といった具合だろう。 上昇ー下降の動線を踏まえながら物語を作っているのがわかる。  冒頭の潜水や下水管の移動は、中盤の水攻めを通して前作との繋がりも強調する。  蘇生装置のギミックは、種明かしの説明だけでなく、実際に活用するシーンをつくって反復してみせることで より説得力を付与する。これも的確な処理だ。  追跡装置を女性に仕込むのに躊躇う主人公は後ろ手で装置を隠す。 その後ろ手は、クライマックスの宿敵との格闘で今度はフェアに戦う為の所作として昇華される という具合に、様々な反復のテクニックも充実している。勿論、輪投げやゴンドラなどのサークルのモチーフの変奏も。  それとこのシリーズでは、世界の危機なるものが、身体的な疾患の形で具体的に提示されるのもいい。
[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2018-02-24 16:01:23)
3.  gifted/ギフテッド 《ネタバレ》 
実父に見捨てられたと嘆く姪を病院へと連れ出し、他所の家族の出産場面に立ち会わせ親の情愛を説く叔父。 言葉を費やして彼女を慰め説得するよりは、視覚で納得させるという点で確かに映画的な処理ではあるのだが、 一方でこの行動は少女にとって逆効果ともなりかねないわけで、脚本の思慮の浅さとしても感じられてしまう。 脚本の都合でキャラクターの行動が規定されいる感が強いのだ。  叔父が姪のために慣れない料理をするとか家事をするとかの、生活風景がもう少し欲しい。
[映画館(字幕なし「原語」)] 5点(2017-12-02 00:53:12)
4.  君の膵臓をたべたい(2017) 《ネタバレ》 
図書室という舞台の、書架とその隙間を活かした立体的空間の迷宮的活用による 現在と過去との連携。直近では吉田康弘『江ノ島プリズム』の図書室の撮り方なども良かったけれど、 序盤だけとは云えやはりこのくらいは必須だろう。 校舎屋上から白い壁伝いの階段を登って青空を背にするヒロインが眩い。 旅行先の博多で川面を見下ろす2人。その川面に映る日の光の反射が カメラの緩やかな移動と共に、北村匠海と浜辺三波の二人を繋げ、包んでいく。 ロケーションと順光/逆光をうまく考慮活用したシーンが其処此処にあるのが好印象だ。 桜の舞う二本の橋の分岐点に佇む小栗旬のショットは当然、彼の心象の提示である。 中盤での雨も適材適所でいい。
[映画館(邦画)] 6点(2017-08-30 23:56:11)
5.  キングコング: 髑髏島の巨神 《ネタバレ》 
BGMを伴うヘリの編隊飛行。その中で執拗に強調されるローターの回転運動。空爆。ジャングルの暗闇を染める炎。水牛のイメージ。 無言の原住民。河を下るボート。L・B・ジョンソン。そして「王殺し」。 嫌でも連想されるコッポラ『地獄の黙示録』のイメージの数々である。  中盤でチームが二手に分かれると、南洋版『八甲田山』的な展開かと思わせたりもする。  その割に本家33年版への思い入れが少し稀薄であるのが物足りない。  対戦相手が次第に弱っていく断末魔の細かい動きとか、その死を念を押して確認する動きとか。そうした手の込んだ細部の描写による 映画的リアル感の演出のことである。やたらにピント送りで視線を誘導したがるのも鬱陶しい。  結局は帰還兵のエピソードを以てエピローグとなるが、個々のキャラクターのドラマも半端にすぎる。
[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2017-03-26 02:25:32)
6.  キセキ あの日のソビト 《ネタバレ》 
買い物袋を提げた女性が踏切を越え、街を見下ろす高台の階段を登る。父親が医者ということでの山の手住まいの設定なのだろうが、 後々に兄弟二人が車で走り抜けていく坂道がようやく活かされる程度で、そのせっかくの勾配も踏切もあまり効果的な画面を創ってはいない。  その分、明と暗に関する対比はかなり意識されている。 初舞台で華々しくスポットを浴びる弟と、それを暗い観客席後部で見守る松坂桃李と奥野瑛太。 バンドと学業の間で悩む菅田将暉は公園の木陰の暗がりの中、彼に背を向ける忽那汐里は陽光の下だ。 バンドに復帰する為、仲間を待つ菅田を左端、階段を下りてくる仲間たちを右端に捉えた校舎のロングショットの壁は 前者を黒、後者を白で分割している、という具合だ。 菅田が自室の机で「キセキ」の歌詞を書き出すシーンの机、椅子、スタンドライトの配置も「光に向かう」構図だろう。  前半に曇りがちの天候が多いのは有名俳優らのスケジュールの都合かと感じていたが、 菅田が復帰を決意して走り出す踏切のシーン、菅田と忽那が仲直りする公園のシーン、小林薫と麻生祐未の夫婦が兄弟を見送るシーンは しっかり快晴を選び、背景に肝心なグリーンを配置することも忘れてはいない。  しかし、日本刀を抜いて「成敗してやる」とのたまう小林薫のインパクトが絶大すぎて他の感動シーンまで霞んでしまうというのも、、。
[映画館(邦画)] 6点(2017-02-01 22:04:28)
7.  九十九本目の生娘 《ネタバレ》 
五月藤江の老婆がなかなかに怪演。モノクロとも相俟ってその不気味さは、子供が見ればトラウマになる事必至だろう。 矢代京子を獲物と見極める眼と口元の笑いが怖い。  若き警官役:菅原文太も初々しいが、「未開」の村民らのインパクトが強すぎていまいち影は薄い。  エロティシズムも控えめで、主な見どころは山間の高度を活かしたロケーションの怪奇趣味や、 その急峻な山奥の斜面を舞台とした、弓矢を使う村民と警官隊との銃撃戦となるだろう。 こうなると、和製西部劇の趣がある。  地名を特定するショットもあって、やはりソフトの再販は難しそうだ
[ビデオ(邦画)] 5点(2017-01-10 16:09:26)
8.  キング・オブ・エジプト 《ネタバレ》 
宇宙空間と地表の図とか、貢物を天秤にかける審判の場とか、ダークな画調の場面はいかにもアレックス・プロヤス監督らしいイメージが 全開で楽しめる。 冒頭から三次元的ダイナミズムをとことん活かしたカメラ移動が追求されており、まずもってアトラクティブであることが目指されている。 翼を持った神々の設定といい、立体性を活かした舞台でのアクション構築といい、デジタル3Dの見せ場作りを大前提としてストーリーが組まれている為か ドラマは前半・中盤と低調に感じてしまう。ドラマが要請するカメラワークではなく、空間・運動感覚を満たすためのカメラワークだから、 次第にそれに飽きてくるのも当然である。  それをようやく覆してくれるのが、クライマックスの高層建築上で主人公が下すある決断のシーンである。 それまでのアクションに強い感情が伴ったとき、キャラクターが輝き出す。 最終盤で、ようやく映画として盛り返したという感じである。
[映画館(字幕なし「原語」)] 5点(2016-09-14 20:36:38)
9.  君の名は。(2016) 《ネタバレ》 
その時間差などに関する整合性や疑問点を指摘し、あげつらうのは容易い。その弱点は作り手が一番自覚しているだろう。 それでも尚、現在ー過去の時間差にこだわるのは新海的な郷愁の風景を立ち昇らせるうえで重要なモチーフだからだ。  「仕掛け」をばらすに至るまで、時代差を意識させることなく二人の交流をテンポよく畳みかけることが出来たのは編集と省略の巧さでもあるし、 何よりも現実的な異界を舞台と出来るアニメーションの強みだろう。  その仕掛けによって島根の風景や事物や風俗が「過去の光景」であることが明らかにされたとき、その繊細に描き込まれた情景の数々は さらにかけがえなく美しくノスタルジックなものとして輝き、匂い立つ。  朝陽の中に光の粉として舞う羽毛、紅葉の山道を歩く三人の顔を流れる木漏れ日の斑模様の光。  すり鉢状の山頂でのマジックアワーでは、ショットごとに背景の空の色が繊細に描き分けられ、短く長い時間の推移が表現される。 キャラクターの影も4色使われているというこだわりようだ。  情景のみならず、映画のアクションもこれまでで最も充実している。 歩行する足、駆ける足、自転車を漕ぐ足、その足の表情が想いを語っている。  ローアングルからレイアウトされた、閉まる引き戸のショットが反復され、フェードアウトと共に断絶的なアクセントになっている。
[映画館(邦画)] 7点(2016-08-30 21:58:36)
10.  傷物語Ⅱ 熱血篇 《ネタバレ》 
あの字幕はゴダールを気取ったか何かだろうか。ただただ鬱陶しい。暗闇と雨と蒸気と、確かに「NOIR」かもしれないが、しつこい。 面白味の無い格闘に、面白味の無い会話のサンドイッチが続く。  『魔女の宅急便』で二木氏が原画を担当した細やかな草々のなびきには文化の味わいがあるが、 この無機質なCG草原の機械的な動きに感興を覚えるのは困難だ。  主人公共々さして魅力的でもないヒロインが下着を見せたり脱いだりというアレは一応エロティックなつもりなのだろうか。 ただただ醜悪でしかない。
[映画館(邦画)] 1点(2016-08-24 23:44:50)
11.  キャロル(2015) 《ネタバレ》 
テマティスム的には、色の主題なり、視線劇の充実が語られるのだろう。 デジタル・シャープネスが指向される今時に、この軟調画面の肌理と艶だけとっても「映画」を見た満足感を与えてくれる。 雨滴の乱反射や、窓ガラスの曇り、紫煙などがさらに画面を滲ませて一層味わい深さを増している。  リビングから玄関ドアに向けたカメラポジションが、奥の空間でやり取りする人物をさらに壁ラインでフレーミングする。 屋外からの望遠による二つの窓と、その間を移動しているだろう人物の見えない動き。 それら人物の見え隠れ具合が、こちらの視線を空間の中に自然と引き込んでいく。 こうした絶妙の構図取りもまた素晴らしい。  数ある視線のドラマの中でも、とりわけ極上というべきラストのケイト・ブランシェットの視線と表情は何と形容すべきだろう。 これはもう一度観に行きたい。
[映画館(字幕なし「原語」)] 9点(2016-02-14 20:37:29)
12.  狂走情死考 《ネタバレ》 
真白な雪の中、木に縛り付けられ、鞭打たれ、真冬の浜辺を裸で走りと、 俳優たちはかなりの無茶をやっている。ほとんど苦行だ。 夜の西新宿を延々と駆け続ける吉澤健の移動ショットから小樽の雪道を彷徨するラストまで、ひたすらの北上逃避行。 その風景の変遷が時代を鮮明に映し出している。  それは低予算を画面に露呈させない若松作品のしたたかな策でもあるが、その情景の力と身体の感覚は常に積極的な強みになっている。  殺したはずの警察権力が、いつの間にやら目の前に超然と姿を現し、、 という展開も実に寓意に満ちている。
[映画館(邦画)] 7点(2015-12-21 23:55:00)
13.  帰郷(1978) 《ネタバレ》 
チャップリンの『独裁者』の演説がカメラに正対してのもの(つまり映画を見る観客も含めた聴衆に対してのメッセージ)であるのに対して、ジョン・ボイトのスピーチを映し出すカメラはあくまで語りかけられる海兵隊志願の若者達と、語りかける彼の横顔とが中心となる。  同時に、そこでは無言のブルース・ダーンが軍服を脱ぎ捨て海辺に入水するシーンが対比的にクロスカッティングされ、 その慎ましい寸断によってスピーチは抑制的でより深みのある響きを獲得する。 同時にそこでは波打ち際という古典メロドラマ的モチーフが印象的に補強される。  そのスピーチもこう締めくくる。「there's a choice to be made here.」  これら品のある演出によって、そのメッセージ性も押し付けがましくなることなく心に響く。  全編に流れる歌曲は逆に少し雄弁だが。
[DVD(字幕なし「原語」)] 7点(2015-11-29 23:25:20)
14.  キプールの記憶 《ネタバレ》 
朝方、非常事態宣言下にある無人のイスラエルの街。陽の光の滲む地平線から姿を現すヘリ。 土地の空気を的確に掬い取るレナート・ベルタの撮影がやはり素晴らしい。  本物の雨なので雨滴は画面に映らないが、雨の質感と湿潤の感覚ははっきりと伝わってくる。  ヘリからの圧巻の空撮がある。戦車が残した無数の轍がぬかるみとなって緑の平原に延々と広がっている。 冒頭の絵の具塗りたくりにも相通ずる、緑と茶の網目状模様とその堆積が、戦乱の激しさとともに歴史をも意識させる。  あるいは、数人がかりで負傷者を運ぼうとするがなかなか捗らない様。そのもどかしい時間の重みこそ アモス・ギタイの伝えんとするものだ。
[DVD(字幕)] 7点(2015-11-18 23:56:11)
15.  岸辺の旅 《ネタバレ》 
並みの演出家なら、過去のフラッシュバックをジャンジャン繰り出すのだろう。その類は一切やらないところはさすが。 小松宅のシーンで、浅野忠信が「怖い夢だった。」と過去形の語りを始めるとカメラがゆっくりと彼の顔に寄っていく。 ほとんど回想突入のパターンなのだが、カメラは彼の背後にあるドアの曇りガラスに映る影のほうに対象を移す。  あくまで現在進行形でドラマを語る。これもまた監督にとっては倫理感みたいなものなのだろう。  これ見よがしでない実演奏の提示、三人のレイアウト、ショットの持続と照明が見事に決まったピアノシーンが美しい。  そして風があり、滝があり、カーテンの揺れがあり、森の霧がある。  直近の侯孝賢と比較してしまうのは酷だろうけれど、あの山を立ち登る濃霧を見せられた後でこの申し訳程度の霧はどうしても見劣りしてしまう。 『リアル』であれだけの霧をやっているのだから。  ドラマの性質ということもあろうが、カレンダーで年月を提示しつつも携帯電話を一切出さず、それでいて違和感をまるで感じさせないのも流石。 山麓のシークエンスでは、深津絵里はモンペ姿。ラジカセや時計印マッチや小学校のレトロ感がなんともいい味を出している。  そして監督がメロドラマと語るだけあって、ラストの浜辺で響く波音の演出が素晴らしい。
[映画館(邦画)] 8点(2015-10-03 22:35:11)
16.  きみはいい子 《ネタバレ》 
児童虐待を始めとする前半は観るほうも胸が詰まるが、撮る方・演じる方は尚更だろう。特に尾野真千子にとっては相当つらい芝居のはずだ。 虐待シーンの撮影(月永雄太)も子役に配慮しながらも、極力モンタージュに頼る事なく空間の単一性をできる限り持続させながらフレームと音を最大限に活用して痛ましいシーンを作り上げている。   尾野母娘の暮らすマンションの廊下、抑え気味の照明で統一された教室の内側から望む窓外、高良健吾がさすビニル傘。 前半の硬質気味の白を基調とした背景と、人物とのコントラストが印象深い。  不意にフレームインして尾野を抱きしめる池脇千鶴の動き。それまでの雨音が止んで、右手から日が差しこんでくるのが繊細な光の変化でわかる。 尾野の頬から涙が一滴したたり落ちると、太陽を映し込んだ校庭の水溜りに落ちた雨滴が水面に小さな輪を広げるショットに繋げる流れも憎い。 そこでの彼女の嗚咽、ラストの高良の呼吸など、生身の身体性へのこだわりも見える。  三者三様の抱き合うスキンシップがそれぞれ情感に満ちて素晴らしい。 高良が出した「家で抱きしめられてもらうこと」という宿題の感想を子供達が教室で語り合う、子供たちの表情が本当に素晴らしい。  そして、あのラストの暗転にも唸るしかない。
[映画館(邦画)] 9点(2015-09-27 20:25:40)
17.  キングスマン 《ネタバレ》 
タロン・エガートンが鏡に映る自分自身を見つめるシーンの反復。 当初の自虐と卑屈の入り混じった眼差しから、敵地に乗り込む直前の自信と尊厳に満ちた眼差しへ。 この視線のショットが細部ながらも彼の成長を物語って感動的だ。  クライマックスでは三段四段と状況を転がし、通路を駆け回りながらのガン・アクションでもアイデアを凝らした立ち回りと動きを披露する。 さらにはソフィア・ブテラとのアクロバティックな格闘もしっかりと見せ場にするあたり、サービス精神も抜かりない。 それらアクションシーンの露骨なコンピュータ処理もご愛嬌、ショット繋ぎのシャープなテンポによってケレン味十分に仕上がっている。  仲間は決して売らない、動物は殺さない、手癖の悪さに運動神経の良さ、そういう布石をあくまで主人公の行動レベルで 序盤から律儀に配置しておく語りも丁寧かつスマートだ。  時代はもはやグラス・タイプのウェアラブル端末。本作での携帯電話は大量破壊兵器となる。そのシニカルなアイデアも良し。
[映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2015-09-11 21:30:43)
18.  寄生獣 完結編 《ネタバレ》 
焼却炉の設定が、というよりこのシーンでの所謂「J・キャメロン・ブルー」を 採り入れたライティングこそがキャメロン的なのだが、このつまみ喰いでとってつけた感が山崎貴らしいご愛嬌だ。  炉のオレンジと反面のブルーに照らされる中で主人公たちが展開するクライマックスの舞台は映画向きの彩りある改変として申し分ない。  (「原作に忠実でない」だの「メッセージ性がない」だのといった原作崇拝的、テーマ・メッセージ依存型 批判は、それこそ映画が別メディアである原作に従属していない証であり、原理的に反「反映画」という事なのだから、映画にとって褒め言葉だ。)  宙吊りのアーム上でありながら垂直軸のサスペンスは淡白だし、陽炎や火の粉による灼熱の感覚が物足りないのも如何にも山崎貴だが、 動物園での三つ巴の対峙シーンやラストの屋上シーンなどと共に 高所を舞台に取り入れながら健闘している。  深津絵里の夜のマンションでは、風の音響はありながら画面上は無風状態 であったり、一方で画面上では彼女の髪を揺らしながら風音の効果音を省いていたり。  そうした趣向も彼女の異質性を際立たせており、面白い。
[映画館(邦画)] 7点(2015-05-10 08:00:53)
19.  96時間 レクイエム 《ネタバレ》 
宮崎駿のかつての『レイダース』批判ではないが、この作風のレベルで嘘をつくと 設定したならば、そのレベルの嘘は守られるべきだろう。  崖やエレベーターから落下する車から如何に主人公が脱出するか。 女子トイレからどのような経路で抜け出すか。  このシリーズの場合、その危機突破の描写こそ要であり、 そこをアクションとして如何にもっともらしく見せ、 如何に納得性を持たせるかにこそ手技を使うのであり、「冒険活劇を作る人間は 一番気を使わなきゃいけない」(宮崎)はずである。  ようするに名案がなかったわけで、 ご都合主義こそ映画とはいえ、これでは白けるばかりだ。 簡単なトリックは克明に描写しているのだから。  格闘アクションも例によって例のごとく細切れの乱雑編集でつまらない。  
[映画館(字幕なし「原語」)] 5点(2015-03-20 00:44:23)
20.  寄生獣 《ネタバレ》 
コミックなら、体質の変化した主人公の眼光に宿る獣性を描線によって描き分けて 表現するだろう。 映画ではそれを照明効果や、芝居の変化・差違によって表現するわけで、 そのための美術部員であることの設定であり、 バスケットボールシーンの軟弱でぎこちない動きや 恐怖に慄く姿の提示があるのだろうが、そこが具体的な描写として弱い。  なので、単に設定や説明台詞に頼っている感が強くなる。 後半、校舎の高層階から飛び降りるアクションなどももっと突出していい。  主人公らに迫る敵方というシーンも、あと何メートル、、何メートル、、 の説明一辺倒では描写となり様がない。単に意味を伝えているだけだ。 足音なり、影なり、カッティングなりをより駆使してサスペンスを 醸成するのが映画だろうに。  同じモーフィングでも、ジェームズ・キャメロンの液体金属のほうがまだ恐怖感がある。  それと終盤の染谷将太のシーンで、見るに耐えないひどい手ブレショットがあるが、 ああいうのは少なくともNGとして欲しい。  良かったのは、息子の窮地を咄嗟に救う母親の右手だ。 中盤で、無意識的に染谷と腕を組もうとする余貴美子の仕草などが 引っかかってくるのだが、 それらの小さな違和感をラストの際でしっかり感動に転化させるあたりはしたたかである。 剣道や弓道などの伏線の10倍は気が利いている。  
[映画館(邦画)] 5点(2014-11-30 23:16:17)
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