1. 桐島、部活やめるってよ
《ネタバレ》 これは……! とてもいい映画です! 私は原作も読んだしそれに感動もしたのですが、正直その映画化である本作がここまで秀作であることを期待していませんでした。 …原作を愛する読者がその映画化作品に満足すること、これは本当に難しいことで滅多にあることではありません。当たり前です、原作好きの人間にとってはその原作によって頭の中に築き上げられた世界こそが完璧であり、全ての愛読者の脳内世界を超える映画などどんな巨匠にも不可能なことなのだから。 だた稀に原作を超える映画も確かにあるのは事実です。でもそれは、断じて「原作に忠実に丁寧に作られただけのもの」であるはずがない…その映画には「原作とは違った魅力」という要素が含まれなければならず、それにより「同じでありながら全く別の作品」としての存在感が求められるのです。 この作品はそういう意味でほぼ完璧といっていいぐらいアレンジ上手い…そしてその結果この映画単品としての「味わい」を生み出すことに成功しています。…映画中にところどころ現れる原作と違う点(映画部の撮っている映画のジャンル、彼氏彼女関係、片思いの相手、新たに追加されたクライマックスのローエングリン)、全て不愉快な違和感を感じることがなく、納得して鑑賞できました。…いやむしろ原作よりいいわ、こっちのほうが… そんなわけでの9点献上(-1点は実果のストーリーは原作読まないとわかんないのじゃないかという老婆心から。もうちょっとうまくオリジナルな展開で映画に溶け込ませられそうなものだという気がしたものですから…)。 いずれにせよこんな映画が今の(TVドラマ、アイドル偏重の)邦画界に誕生したことに少なからず、感謝です! [DVD(邦画)] 9点(2013-08-02 17:06:20) |