1. 銀河鉄道の夜(1985)
宮沢賢治は児童文学の巨匠とされるが、「児童」の頃何作か読んだ印象としては、筋は追えるものの、感性的に難解でひどく置いてけぼり感をくらうイメージが強く、この映画の原作も、その例に漏れなかった。長じてからストーリーをぼんやりとしか覚えていない状態で本作を鑑賞したわけだが、意外なことになんともすんなりと世界観が入ってきたのである。またこれも意外だったのだが、この「猫」のアレンジで感情移入しやすくなってたのにも驚いた。鑑賞後、原作を読み直した。映画はなかなか忠実に、そして実に解りやすく世界観が映像化されてるのが解った。あの置いてけぼり感はもう無かった。そして何作か他の宮沢作品も読み返してみた。のめりこんだ。私は宮沢賢治の童話は「大人のための童話」なのだと思う。無論感性の強い子供が読んでも入り込めるのだろうが、大人が触れるとあの世界観がまた違った感覚で入ってくるような。この映画は原作を愛する人のイメージを損ねずかつ、作品を解りやすくするという、ある意味での「映画」としての機能を果たしている作品のように思う。宮沢賢治の世界への「導入」として打ってつけなのではないか。子供も大人も、宮沢作品をどこか敬遠している人に、かえって勧めてみたい映画。 [地上波(邦画)] 7点(2009-03-27 13:12:09) |
2. キャスパー
子供と「カワイイ系」を愛する女性向け、そう思えばよく出来た映画。キャスパーは昇天させた方がいいと思うが、最後の最後は感動系にせずにライトなのりにしたってとこだろうか。個人的には「カワイイ系」を愛する女性ではない(というかキャスパーが可愛く思えない)のと、メリー・ポピンズの時代のものから実写・アニメの合成ってあまり肌に合わないので、もう1つ。本作でも、透けてみえるCGは当時は斬新な技術だったと思うけど、その技術に感心するよりも、ああ、俳優さんたちは何にもいないところに向って演技してるんだなあ、結構大変だなあ、とかそういうことばかり考えちゃって・・・。ただクリスティーナの方はかわいいし、やっぱり演技も上手。 [CS・衛星(字幕なし「原語」)] 5点(2009-03-21 16:07:51) |
3. 疑惑(1982)
多分3回くらいは観てるから、初回時以外は結末は分ってたんだけど、大人になるほど面白くなりました。脇役含めてこれ以上のものは無いと思えるキャスティング、ぐいぐい引き込むストーリーとテンポの良さ。法廷での戦いと、クマ子と女弁護士の正反対のキャラの戦い、もう最高でした。あの桃井かおりの腹立つ口調、ちょっと真似したくなっちゃいますよね。証言の核となる“クマ子は悪い女だ。でも私は愛している。”・・・そりゃあ、そんな父の言葉は無かったことにしてしまいたかったわな~。少年はかわいそうでした。女のコワさが分る映画だけど、男の弱さにため息が出てしまう結末も秀逸です。 [地上波(邦画)] 8点(2009-03-20 13:27:05) |
4. キスト
海外暮らしでケーブルTVを見ているが、ひと頃まではWOWOWの配信があり、日本語字幕に感激していたものだ。ただ、放送コードが日本よりきついこの国では「その手」のシーンになると(私たちの感覚ではそれほどどってことないシーンでも)ぱっと映像が切れ、真っ暗な画面になって待つこと数分、なんてことがしばしば。が、これは手作業でやっていたとみえ、職員の怠慢か、時々もう散々うつってるのに、慌てたようにいきなり暗くなったりすることも。こんなWOWOWは厄介な存在だったらしく(米の映画チャンネルHBOなどでは始めからカットされている)、この国で3社ほどあるケーブルTV会社で時を合わせ、ある時全てぷっつり配信が無くなってしまった。淋しい限りであったが・・・前置きが長くなったが、これはこちらに着てからWOWOWが配信されていた頃にちゃんと日本語字幕つきで見た映画の一つであり、担当者が居眠りでもしてたのか、全く黒い画面になることなく全編観ることが出来た貴重な(笑)映画。 ネクロフィリア。このおぞましきテーマでこの美しさ。カナダはやるねえ。そのものズバリ(女性の行う屍姦シーン!)もあるが、とてもキレイ(←あ、下で書いてる人いるけど、一回だけで短いので期待してはダメね)。でもちょっと考えると、「ネクロフィリアは究極の愛の形」なんてふうに描かれてもなあ。芸術じゃないでしょう、要はサイコパスの1つなんだし。ちゃんとグロくジェフリー・ダーマーの世界のような現実を描け!とは言わないが、映像美で強引に説得されているようで、違和感はあるね。。。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-01-29 13:14:53) |
5. 紀元前1万年
なんとなく注文が多くつきそうな映画だなあ、と思いながら観て、鑑賞後ここを含め各サイトのレビューを見ると案の定。伝説調でも歴史を題材にする以上(なにせ題名が紀元前一万年だ)、突っ込まれるのはやむなし。ただ、こういった「突っ込みどころ満載映画」は数多いが、それが許してもらえる映画とそうでない映画がある。そして、これは後者なんだろう。突っ込みどころを凌駕する勢いやストーリー的面白さが足りないということになるか。でも私はまあ楽しめた方。大体、設定に関しては10,000 B.C.頃の知識がないので、そんなに突っ込めず(笑)、あんなトラやトリがいたのかーとか、太古は大陸がくっついてたから(実にいい加減な知識)寒冷山岳地帯からアフリカに出るのかなあ、とか思って観ていた。ピラミッドは変と思ったが。あと、ヒロインが魅力的という冒険ものの必須条件をちゃんと満たしている。かわいい女優さんですね。ま、「損も得もしていないっすね」の5点で。 [DVD(字幕なし「原語」)] 5点(2009-01-27 13:16:17) |
6. 危険な情事
《ネタバレ》 公開当時に観ました。その頃はサスペンスを見慣れてなかったこともあってか、怖かったあ、最後あー助かってよかった、って凡人の感想でしたが、友人2人(共に女性)が大激怒だった記憶があります。友人A「全然怖くないじゃん!ウサギのとこだって、そりゃこの中に入ってんだよーって、判り安すぎるし!」…ホラー映画じゃないんだけどね、一応。友人B「酷すぎ!何?最後にあの幸せそうな家族写真で締めちゃって。一方的に化けもんみたいに悪者にされて、あの女の人、可哀相だよ!」…まあでも、男は痛い目にあったんだからさあ、一応…。と、私は一応、一応といいながら2人をなだめ、なぜかこの映画を擁護しておりました。いや、よく出来てるんじゃないでしょうかね、実際。世の男の浮気防止にもよさそうだし。 [映画館(字幕)] 6点(2009-01-19 13:43:49) |
7. 禁じられた遊び(1952)
深く悲しい。子供の頃から放映されるたびに観て(ほとんどがNHK教育字幕)、その度に泣いた作品。でも好きではなかったのだ。子供にはあの結末は可哀相過ぎて、何とかハッピーエンドにならないかと思ったりした。あの頃の思いは今もあるが、何故あのラストなのか、が解るので大好きな映画だ。戦争の直接描写は最初だけなのに、きっちり反戦映画となっている。二人の子役は素晴らしいとしか言いようがない。予算が足りなくなってギター一本のバック・ミュージックになったというエピソードは驚き。映画音楽含め名作だが、怪我の功名?だったとは。「嘘つき!場所を言ったらうちで引き取るって言ったじゃないか!」の辺りからラストにかけいつも号泣。 [地上波(字幕)] 10点(2008-12-23 15:12:24)(良:1票) |
8. キャプテン・スーパーマーケット
1、2も好きですが、もうここまで来ると本当に敬意を感じます。やってくれるぜサム・ライミ。伝奇ヒーロー・アクション・コメディ・ホラー(一応)映画、と。そんなジャンルあるんだろうか。とにかく勢いだけで最後まで突っ走ります。続編でがっかりしなかったのは、ターミネーター2とこれだけです。アッシュもよりおバカに、しかしより強くカッコ良くなりました!ブルース・キャンベル、最高!! [DVD(字幕)] 7点(2008-12-11 18:28:43) |