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1.  飢餓海峡 《ネタバレ》 
重厚で緻密な描写はいいのだが、妙に間を持たせた冗長で長いシーンも散見され、もっと尺を短くしたほうが、スリリングで緊迫感も増したのにと感じた。 あと、ラストが納得いかない(原作は未読)。 見終わって考えると、北海道に行きたいと懇願したのが、船上から身を投じるための演技と解釈できないわけではないが、元刑事のお経で発作的に身を投げた感じもし、突然打ち切られてしまったような未消化感。 まあ、これから更に北海道紀行をやってたら、さらに尺が長くなるんだろうが、、  高倉健は刑事というよりやっぱりヤクザのほうが合ってるな。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2014-05-11 19:11:11)
2.  銀座カンカン娘 《ネタバレ》 
中途半端なミュージカル仕立て、ストーリーに捻りもなく、深い人物描写もなく、あっけらかんと明るく脳天気。 何じゃこれって思っていたのだが、映画しか娯楽のない当時のアイドル主演ドラマなんだと考えると、人気歌手や落語家を脇に配し、高峰秀子の魅力をしっかり引き出してるなあと、それなりに納得できる。 戦後間もないという時代背景を頭に叩きこんでおけば、娯楽という映画の大事な役割はしっかり果たしていると思えるし、今見ても、当時の世相が垣間見えて興味深い。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2013-01-03 00:58:54)
3.  祇園の姉妹(1936)
この時代にこれだけの表現力で描写したのは凄い。さらに当時の風景、時代背景を残す歴史的資料としても貴重。安っぽいシナリオだと最後にもうちょっとドラマを入れて見るものにウソっぽい感動を与えて終わりとするのだろうが、この映画では、姉、妹のそれぞれの憤りで終わらせており、その救いようのなさがより物語にリアル感を与えている。姉、妹のどっちの立場が正しいのかと考えながら見続けるうちに、結局、男社会の身勝手さが一番の問題であることが、このラストからひしひしと伝わってくる。現代社会に置き換えても充分成り立つシナリオだと思う。安易にホストクラブやキャバクラを華やかな世界に見せるような現代社会こそ、このような映画を見て反省すべきだと思う。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2012-02-05 13:41:37)
4.  CUTIE HONEY キューティーハニー 《ネタバレ》 
 最初からB級作品であることを覚悟して観たので、それなりに楽しめた。   サトエリの演技は小っ恥ずかしくてみてられない、他の役者も個々にはいい味を出しているのだが、全体としてテンションがシンクロしていない。   しかし、テンポはそれほど悪くなく、アホらしい設定や大げさな演技も、アニメの実写版のB級と割り切れば、そこそこ許容範囲。   そもそも、原作はコミック、アニメでこそ生きる、エロティックコメディーヒーロー物という独特のもので、どんな監督でも、その実写版をまともに作れるわけがない。どんないい役者を使って、どんなにお金をかけても、大真面目に作ったらほぼ確実にコケるだろう。   となると、はなから名作「映画」にしようとすることは捨てて、B級映画に徹した作りをして、CGやアニメで映像的な冒険をふんだんに盛り込もうとするのもありだと思う。   サトエリは、本来この映画で見せるほどの大根役者ではないが、スタッフ一同、この脚本、演出で名演技ができる程うまい役者でないことは分かっていたはずであり、これをドンピシャでやれる名俳優が他に居るとも思えず、わざと大根に見える脚本、演出にしたとしか思えない。   サトエリを他から完全に浮いてしまうようなキャラ設定で大根演技に見ることで、あたかもサトエリのファンのためのアイドル映画のように作ったのも、狙ってやったものと思えてくる。    映画としての評価は低くならざるを得ないが、B級お馬鹿映画として、突っ込みながらそれなりに楽しめ、アニメ実写化にまともに挑戦してコケた痛い映画よりずっとマシ。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2011-02-05 23:43:29)
5.  銀座化粧 《ネタバレ》 
 当時の普通の町並み、風景、生活を自然に感じられる歴史的価値満点の映画。しかし、映画としての構成力も素晴らしい。   画像、音ともに現代の映画と比べるには、あまりにも土俵が違いすぎるし、ストーリーも粗筋を書いてしまうと凡庸なのだが、風景を映し出す構図がしっかりしており、演出も日本人の琴線に触れる人情とか感情とかが自然に表現されて、しっかりストーリーに引きこまれてしまう。   画像や音がチープな分、画面構成、演出、編集の力量だけが問われるわけで、この時代にこれだけの映画が作れるのはすごい事だと思う。   成瀬巳喜男監督の作品を気を入れてしっかり見たのはこれが初めてだが、さすがに、日本映画史に名を残し多くの作品を撮り続けた監督の力量を感じる。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2011-01-16 02:08:04)
6.  斬る(1968) 《ネタバレ》 
 反体制精神を目一杯こめながらも、娯楽映画として、テンポ良くコミカルに創り上げた快作。   「椿三十郎」とストーリーも似ており、尺も短く気楽に見られる軽妙時代劇として同じような娯楽作品であるが、まさに、黒澤監督と岡本監督の作風の違いがハッキリと見て取れる。   黒澤監督は、コミカルで軽妙ながらも静と動を使い分け、どこかに重厚さを感じさせるのに対し、岡本監督のこの作品は、テンポよく流れるようにラストまで持って行くように作られている。映画を芸術として捉えると黒澤監督に軍配が上がるが、身構えずに見る娯楽として捉えると甲乙付けがたい。   岡本監督のエッセンスがふんだんに詰まった作品である。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2011-01-09 19:38:28)
7.  恐怖の報酬(1953) 《ネタバレ》 
ストーリーだけは知っていて古いアクション映画だろうと思っていたら、いい意味で期待を裏切られた。   前半は全くアクションはなく人間ドラマばっかりなのだが、主人公たちの置かれた立場や背景を良く描いており、かつ飽きの来ないシナリオと演技で一気に見せてくれる。   後半のアクションも、派手な場面で見せるのではなく、あくまで、主人公たちの人間ドラマがあることで緊張感を保っており、派手なアクションシーン流行の最近の映画も見習って欲しいと思う。   ただし、ラストシーンだけは納得できなかった。途中で何か伏線を張って納得のいく結末にして欲しかった。   トータルでは良くできた映画であり、名作であると思うが、スカッと楽しめる映画ではないことも事実。  
[DVD(字幕)] 6点(2010-07-01 01:45:53)
8.  キングコング対ゴジラ 《ネタバレ》 
この作品からカラーのシネマスコープで、完全に怪獣がメイン。  人間ドラマは現実味のないコミカル路線で、製作の意図が明らかに興行成功狙い。  怪獣の動きも、さらにリアリティや恐怖感が薄れ、「怪獣」目当ての子供の人気取りの意図が見え見え。ここで、怪獣=娯楽、B級という価値観が定着してしまった。   ただ、南の島の住人(全員日本人役者なのは一目瞭然だが、、)に怪しげな現地語を喋らせて、通訳を連れて行くという設定や、潜水艦の中の会話がすべて英語で字幕スーパーなところに、僅かにリアリティを持たせたいという意地と努力の片鱗が感じられて泣けてくる。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2010-07-01 00:54:58)
9.  ギララの逆襲 洞爺湖サミット危機一発 《ネタバレ》 
 往年の怪獣映画を彷彿とさせつつ真面目っぽくおチャラけるという、お馬鹿映画です。  ゴジラは、シリーズを続ける中で、その時々の状況で、テイストをさまざまに変えて続けておりました。  平成ガメラは、昭和シリーズの尻すぼみにダメ担った点をことごとく排除し、特撮、CGを各段に向上させ、シナリオ、見せ方にリアリティを持たせて一級品の特撮映画に仕上げました。  今回のギララはそれらとは全く違った方向で、初代ギララがゴジラ、ガメラにあやかって見事にこけた突っ込みどころ満載のダメダメ映画であることをちゃんと意識して、初めから狙って突っ込みどころを満載させる作りに仕上がっており、狙って作ったダメダメ特撮映画です。  でも、嫌いではないです。  コミカルな見せ方で茶化しながら進んでいくという、この監督特有の作風は、初代ギララのこけっぷりとゴジラ、ガメラの昭和シリーズのテイストを知っていると、非常に楽しめることでしょう。  同じく突っ込みどころ満載のガッパも、復活させて欲しいものです。
[DVD(邦画)] 6点(2009-12-30 22:57:41)(良:1票)
10.  銀河ヒッチハイク・ガイド(2005)
かなりお馬鹿な設定、お馬鹿な展開のハチャメチャSF。映像もチープな中にも見せるところはしっかりとスケール感たっぷりに見せ、計算されたコメディーSF映画で、モンティパイソンっぽいところがいかにもイギリス風? 笑いどころも突っ込みどころもしっかりあって、最初から狙って作ったB級大作である。 単純に娯楽SF作品としてこれを見たらきっとかなりがっかりするとは思うが、最初から突っ込みを入れる準備をして映画を見るB級ファンには、結構楽しめる映画である。
[DVD(吹替)] 6点(2009-12-14 02:12:33)
11.  木更津キャッツアイ ワールドシリーズ
客観的に見ると単なるドタバタなのかもしれないけど、テレビシリーズ、日本シリーズと見て、その背景を知っていて感性にマッチした人がターゲットと考えると、最高の映画です。昨今の続編や特別版とかは、過去のファンのそれぞれが抱いてるイメージや感覚とずれが生じてるのに、何とか元の人気で支持されとりあえず興行成績、視聴率を稼いでるパターンが多いが、これは、従来のファンの感覚を裏切らず、後日談としてファンのほとんどが感覚的に納得でき、感動できるシナリオ、演出になっており、一段とクオリティを高めたクドカンの感性、脚本の良さに感心してしまった。背景を知らない人を排除するようなストーリーは「映画」として正当かどうか賛否両論はあるとは思うが、その潔さもまたクドカンの感性と捕らえるとやはり凄いなと感心してしまう。この映画は絶対、テレビシリーズ、映画版日本シリーズを見て、ある程度はまった後に見るべきです。  
[CS・衛星(邦画)] 7点(2009-07-26 14:34:36)
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