1. 鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎
冒頭から中盤までは現在と過去が交差したり登場人物が多かったりと情報量が多く、のめり込むまで時間がかかった。 一方で終盤はダークな展開もありグイグイと話に引き込まれた、ほろ苦さのある幕引きも好ましく、この物語を忘れがたく印象的なものへと昇華してくれている。 そして何より特筆すべきなのは墓場鬼太郎1話との繋がりだ、鬼太郎の原点の物語からここまで壮大な話を作り上げたことと、墓場鬼太郎への綺麗な繋がりを両立させた秀逸なプロットには、ただただ感服させられた。 [映画館(邦画)] 7点(2024-01-25 05:45:02) |
2. 漁港の肉子ちゃん
《ネタバレ》 この映画では劇的なことは何も起きない。 だけど、友人との関係に振り回されたり、変わりものの異性が気になったり、 そういった些細な出来事の一つ一つが思春期の心情を思い起こさせ、見ていてとても心地が良かった、 主人公のキクリンにシンパシーを感じる部分も多く、終盤のシーンに至ってはボロボロと泣かされてしまいました。 最後の方で二宮の指摘によって明かされるキクリンの癖もいいですよね、 これどういうことだろ?と思っていたことに納得がいくとともに、2人を引き合わせる切っ掛けにもなっていて、 秀逸な仕掛けと魅せ方に感心しました。 それにしても公開当時、この映画をスルーしてしまったことが本当に悔やまれる、 制作がSTUDIO4℃ということで気になってはいたけれど、明石家さんまプロデュースということで高をくくってしまった…、 さんまさんごめんなさい、この映画を作ってくれて本当にありがとうございます、自分にとっては紛れもない傑作です。 [ブルーレイ(邦画)] 10点(2023-07-22 23:50:54) |
3. 君たちはどう生きるか(2023)
《ネタバレ》 個人的には事前情報を徹底してカットした今回のアプローチはとても良かった。 鑑賞後に物足りなさを感じたのは事実だし、人に勧めたくなるほど面白い訳でもなかったが 上映開始に至るまで完全にベールに包まれている映画の鑑賞というのは、 めったに出来るものでは無いし、このドキドキ感を味わえただけでも良い経験が出来たかなと思う。 前述した通り、事前情報無しがこの映画の良いところの一つなので 未鑑賞者はこの先で述べるネタバレ感想は見ないことをおすすめする。 ※ネタバレ感想 「異世界に迷いこみ数々の試練を乗り越え、精神的に成長して現実世界に戻ってくる」 こういった筋書きはジブリだけで見ても、既に「千と千尋の神隠し」と「猫の恩返し」でもやっているが このテンプレートでしかない安直な構造の物語を、何と宮崎駿の最終作でもなぞっている、 もっと端的に言えば時代背景と登場人物を変えただけの千と千尋のセルフコピーのような印象すら覚えてしまった。 この既視感によるマイナス要素を除いたとしても、そもそもこういった異世界を舞台にした物語は 荒唐無稽な展開が許されてしまうし、いくらでも話の折り合いが付けられるため 見ていてあまりのめり込めず、自分はどこか白けて見てしまい、 登場人物に感情移入したり、作品世界に没頭したりといったことが出来なくなってしまう。 物語にこそ馴染めなかったが、異世界の描き方については宮崎駿の健在さを感じさせてくれた。 死生観を感じさせる荘厳さと、夢の世界かのような珍妙さ、そして不気味さがない交ぜになり 奇想天外でユニークだった、まあこれも千と千尋の良いところをそのまま挙げたようなものなのだが…。 [映画館(邦画)] 6点(2023-07-19 17:49:51) |
4. 君の名は。(2016)
オープニング、エンディング含め劇中挿入歌は全4曲。 その全てがここぞというタイミングで流れ出し、まるでミュージックビデオのような映像と音楽が物語の高揚感を倍加させ、感情を揺さぶってくる。 これを観たせいで単にエンドロールで流れる主題歌では満たされない身体になってしまった。 [映画館(邦画)] 9点(2016-11-08 19:20:21) |
5. 桐島、部活やめるってよ
《ネタバレ》 同じ日の出来事を別角度から何度も描く手法が新鮮。 でもそれが仕掛けとして機能しているかというと微妙なところ。 一応別々の視点が最後には重なり合うけど、劇的な展開を見せる訳でもなく、 むしろ主役を定めない作りが、誰に感情移入していいのか分からない弊害になっている気がする。 キーパーソンになっている人物も最後まで出てこないし、釈然としないまま終わってしまった。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2014-08-12 15:47:49) |