1. きみの色
《ネタバレ》 お話自体は実に普遍的な青春映画ですね(「きみは何色か」はそのまま「きみは何者か」でしょーから)。かつ、その中で感情の起伏やストーリーの抑揚とゆーのはかなり振れ幅小さくて、諸々と実にゆるやかに彼・彼女らは季節を巡ってゆく…という感じだと思いますし、その語り口としてもまた諸々を決して語り過ぎるコトもない…という感じでもありますね。繊細な映画だと思います。ただ個人的には、そのお話=描かれるモノ自体についても、確かに繊細な質感ながらも最後まで観ると実に見事に繋がってったジャン…とは思えてまして、青春映画としてもシンプルにごく非常に優れた作品だったと思います(⇒自分が何者かを知るべき人に、勧めるとしたら現時点で第一候補になり得る…かとも)。 重ねて、特に前半は(+その後も終盤手前位までは)、例の「何を描くか」よりは「どう描くか」の方に遥かに寄ってっている…て方の作品かとは思えて居たのですケド(⇒上で書いたとおりその認識は最後まで観たら好ましく覆されもしたのですケド)、とは言え圧巻なのはやはりその表現のクオリティ=画と色遣いの端的な素晴らしさ、に在るのだとは思われます。アニメ映画を逐一追っかけている身ではないモノの、最近ってこのレベルがスタンダードなのですか?と、ちょっと信じ難いな~て眼で終始観入ってしまって居ましたね。どのショットも、ど~見ても監督のこだわりとゆーか美学とゆーか今までに貯め込んだ蘊蓄とゆーか、選び抜いた・磨き上げたって感覚がひしひしと感じられる様な見事なる「一幅の画」ばかりだった様に思えて居ります。傑作かと。 [映画館(邦画)] 9点(2024-09-05 21:51:19) |
2. キングダム 大将軍の帰還
《ネタバレ》 4作目は徹頭徹尾、王騎大将軍=大沢たかおさんの話でしたね。ココまで来ると最早、漫画原作のバトル・アクション…の範疇を超えた、実に見事な「人間の物語」を観せて貰えたという思いにもなります。漫画原作なのだから単にリアル…とゆーのとも違うとは思えども、体格含めた外形的な表現に加えて迸る内面的な役づくりの質も含めて、邦画では(⇒否、その範疇のみならず)近年稀に見る…と断言してしまうべき素晴らしき男優の演技だったと信じて已みませんです。中盤の一騎討ちが個人的には最高でした⇒スクリーンサイズもそーですが、このシーンに関して言うなら音響の方にもこだわった劇場での鑑賞を全力でオススメしたいです(凄まじい臨場感・空気のそのものとゆーか)。今年最高の邦画になるって気も大いにしておりますので、是非劇場で。 [映画館(邦画)] 9点(2024-07-13 20:02:15) |
3. 銀河鉄道の父
《ネタバレ》 この映画でも、クライマックスでは引用されていますが、宮沢賢治の『雨ニモマケズ』って何度読んでも本当に善いコト言ってるよな…と思うのですよね。だから、根本的には彼の伝記映画である今作も、そのテーマの部分については誰しもが絶対、全く興味が無いなんて在り得ない、とも言って好い様な普遍的で手堅い題材だ…とまずは思います。加えて、今作はそれを明示的に彼の家族の「複数視点」から語る…というコトで、2時間の映画のドラマとしてもまた確実に手堅く仕上がっているとも思いますし、タイトルにある通り彼の父親=役所広司さんに対しては特に、感情移入も非常に容易で、だから全体としてもより観易い…とも言えるかと思うのですね(⇒たぶん、宮沢賢治本人というのは、こういう場合に必ずしも感情移入し易くて+2時間を眺めてゆき易い、という人物でもないのかな~とは思ってますよね)。 再度、観易く分り易く共感し易い宮沢賢治の伝記映画…という時点でその価値は十二分だと思ってはいるのです。ただ、観易い一方で(逆に必然)賢治本人に対する掘り下げや解釈は浅くなっている様に思えたのも確かで、此処は完全にトレードオフとして致し方無い部分かも知れませんかね。全体としては演者のクオリティもごく行き届いていたコトも踏まえて(⇒役所広司さんはやっぱ凄いな~とまた思いましたが、菅田将暉さんの安定ぶりも負けず劣らず、プラス森七菜ちゃんもアクセントと言うか要所で立派に美味しく目立っててこのコもやっぱ凄いな~とは思わされてしまいました)いったんこの評価とさせて頂きます。また、宮沢賢治作品を色々読みたくなってしまいましたよね。 [DVD(邦画)] 6点(2024-03-09 16:22:01) |
4. 吸血鬼ブラキュラ
《ネタバレ》 ブラックスプロイテーションというジャンルが在るのだそーで、コレはズバリ黒人観客に観てもらう為に黒人のキャスト(+スタッフ諸々)を起用したった…という意味でのエクスプロイテーション(⇒B級映画)の一種だってコトらしいのですね。ただ、だとするとソレを「~プロイテーション」と言ってしまうのは(少なくとも)「余計なお世話」にも思えるとゆーか、ソレはナンなら全部そージャン!という気がしてしまうのも確かですね。なので、最近はこーいうのは「ブラック・ムービー」って言っちゃった方がより適切なのかも知れません(⇒ジャンルの用語としてはやや範囲が広がって+曖昧になってはしまうのですケド)。 今作は、その70年代初頭の「ブラック・ムービー」の中でも比較的有名、かつつくりがしっかりしてる方…とのコトで、観ると確かに当時(とゆーかちょっと前)のハマー・フィルムの怪奇映画…位の質感は間違い無く有していると(私も)思いました。とは言え、筋書き自体は結構ムチャクチャではありまして、何故かルーマニアのドラキュラ伯爵の城に奴隷貿易を止めさせに来た部族の長が、逆にドラキュラの呪いを受け棺に封じられ⇒そして現代のロサンゼルスに復活する…みたいな(ワリとトンデモな)ヤツですね。多少面白いのは、流石にロサンゼルスはトランシルバニアの山奥ではねーのでブラキュラがちょっと血を吸うと⇒結果的に吸血鬼がドンドン増えていく…みたいなゾンビ的要素のある種の先取りがされているコトと、そして何よりクライマックスで思ったより潔く死んでゆくブラキュラのキャラクターそのものですね。そーなのです、ブラック・ムービーだからって主役のドラキュラをブラキュラにしちゃってるってのは、よく考えるとナンか変じゃね?(逆じゃね?)みたいな気がワタシ最初っからしてたのですケドも、ソコはフツーにチャンとしてました…てコトかと思います。結論、隅々まで中々に物珍しくて面白かったので(+終盤は結構派手に盛り上がってフツーに面白く観れて居たので)ココは一点プラスしておこうかと思います。お暇ならそのうちどーぞ。 [DVD(字幕)] 5点(2024-03-05 21:34:16) |
5. 忌怪島/きかいじま
《ネタバレ》 うーん、ごく序盤から、かなり高度に「ナニが起こってるのか分からない」という風情なのですが、この感じだと逆に、ソレはソレとして(分からないコトそのものが)立派に一種のホラーだ…と言いたいヤツなのかもな、と(⇒だとしても、題材に比しても比較的かなり古風な構造のホラーだよな…と思ってはしまいますが)。だから、結構我慢してそーいう観方を=この分かり難さには意図(意味)がある…という意識を最後まで持ち続けてみたのですケド、結論的にはそーいうコトではなくて単に映画づくりが下手だったダケ、というコトに見えてしまいました(途中、部分的にはやや即物的で分かり易くて、それ故に陳腐…みたいなトコロもありましたし)。今回もご愁傷さまであります。 なので、まァ~~冒頭から意味・意図・意義がサッパリ分からないナンやらカンやらが出て来まくるのですケドも(+ソレがま~た消化不良のまんまドンドンドンドン積み重なってゆくのですケドも)、個人的にイチバン意味不明だったのが主役ふたりのキャラクターと、その関係性(+それがどのように展開してゆくか・どーしてそう展開してゆくのか)だったのですよね。特に、山本美月ちゃんは相変わらず可愛いのですが、彼女の西畑くんに対する態度・掛ける言葉ってのがどーにも場違いとゆーか飛躍しまくってるとゆーか、今回はソコにナニよりもココロ動かされてしまいましたよね(恐れ慄いたり爆笑したり…とワリと忙しなく)。 [DVD(邦画)] 3点(2023-12-16 22:37:04) |
6. 逆転のトライアングル
《ネタバレ》 極めて非常に、人間性のほぼ総てに対してごくシニカルな映画でありますね。邦題は原題からちょっと変えて「逆転」となっているのですが(原題は直訳すると多分『悲しみのトライアングル』かな?)観ると確かに、人間社会における有形無形の様々な「相対するナニか」を描いておいて⇒それらが「逆転」してゆくサマをブラックなコメディに仕上げた(煮詰めた)作品の様に思えます。相対する…とゆーのはそれこそ、女と男とか・金持ちと貧乏人とか・支配者と被支配者(=強者と弱者)とか、なのですが、これも突き詰めると「善と悪」って最も根本的な二項対立に帰着してゆく様にも(やっぱり)見えてくるのです(=要は「神と悪魔」という、この世界の最も原始的な解釈だ…な~んて)。んで、前述どおり今作は結局、それを何処かしらで一切合財「引っ繰り返す」作品なのですよね⇒だから必然的に、最初は少しは善人であっても最終的には(何らかは or 幾分は)全員悪人…みたいなコトになっちゃってるのでありまして、ですね。。 個人的には、そーいうのマジでホントに大っ嫌いなのですよね(⇒殊に、それダケ言って終わっちゃってるトコロがもう…)。「人間なんて皆こんなモン」てコトなのでしょーケド⇒そんなんオマエに言われんでも(誰でも)薄々気付いてるわ!とゆーのと、ままズバリ「で?(怒)」とゆーのと、あと一つ、やっぱキョウビ「二項対立」なんてモ~流行るワケねージャンか!てェのも結構強力に思ってるトコロなのでありましてですね。。(世の中スパッと正義と悪に割り切れるなら誰も苦労なんかしねーよ!と。。)再度、こーいう「人間(人間の世界)」に絶望してる”ダケ”の映画とゆーのは、私はハッキリ嫌いだと言いたいのです。以上。 [DVD(字幕)] 4点(2023-11-20 22:11:34) |
7. 銀平町シネマブルース
《ネタバレ》 内容自体はね~今までも幾らでも観てきたよーな(在り来りな)代物ではあるのですが、ゆーて別に時と場合に依ってはいつでも・いつまででも十分に「アリ」になるヤツだ…とは言えるでしょーね。でも、とは言え、監督さんにせよ脚本さんにせよこんなん撮る・書くのはま~だ早いんじゃね?と(少しダケ)思ったりはしますケドね。時と場合…という意味でのソレになり得るのは、当然主演の小出恵介というコトになるのでしょーかね。復帰第一作というワケではねーのかと思いますが、にしても完全に「まんま」ですからね⇒役者ってのはコレがあるから…と思ったりもします(好くも悪くも)。ただ、彼の仕事は率直にごく控えめな方だったかとも思われてまして、むしろ矢鱈と豪華な老若男女の助っ人勢が揃って渋い演技をカマしまくってた…とゆーのがより強い全体の印象になります。構成としても、小出くんの話+銀平スカラ座の話+宇野祥平さんの話、の三本立てみたいな感じだったかと思うのですが、ソコでやっぱ吹越満さんとその宇野祥平さんが(ナンならワンツーフィニッシュで)好かったんじゃねーかな、とも。モチロン、小出くん+他の方々も悪くなかった⇒ので全体としても全然悪くはなかったかと思います。ごく手堅い映画だと思いますので、機会が在れば是非。 もう一つ、ナンなら一番好かった「登場人物」とゆーのは、実はナニより銀平=川越スカラ座なんじゃねーか…とやっぱし思ってしまいますよね。一回ダケ実際に映画観に行ったコトあるんですが、確かにメッチャ好い(ノスタルジィ全開!て)雰囲気ですからね。こちらも機会が在れば是非。 [DVD(邦画)] 6点(2023-11-03 00:18:43) |
8. 禁じられた遊び(2023)
《ネタバレ》 「エロイムエッサイム」って、実はナンのコトやら(ドレのヤツだか)全然分からないままで観に行ってしまったのですよ。後から調べると根本的には、私が微妙に世代じゃなかった…てコトなのでしょーかね。でもそれはつまり、本作を全部観てもこの言葉がどーいう意味のナンなのか?てのが(驚くべきコトに)作中では説明されてないってコトだとも思うのですよね。 要は、今作ってそもそも最初のトコロでまず2つあるのでして(⇒ソレ自体が実はちょっとイミフ)何かってソレは①件のこの呪文+②嫁さんの妖力の出ドコロ、なのですよ(少なくとも、私には絶対にそう見えるのですよ)。で、その2つがホントに随分と終盤までマジでナニも説明されないまま話はズンズン進んでゆくのですが、結局嫁さんの件はラス前に(ゲボ出ちゃうレベルで)超ありきたりなコトだったと判明して⇒加えてこの呪文の方は実は別に何でも好かった=言葉に意味は無かった(=唱えたヤツ自体が実はヤバかった)てコトらしいのですよね。まずは何より、個人的には「そんなんアリ?」と思ってはしまいましたケドね。 ※だってそもそも、この言葉って日本人はまだともかく、説明抜きだと例えば海外とかでは全く通用しない=ピンと来るハズの無いヤツじゃあねーのでしょーか?(グリモワールに載ってる呪文…とゆーて、でもフツーの人は多分知らんでしょ)⇒ソレが、実は意味なんて無かったんだから説明もしないで終わりますよ!って…⇒あ、そもそも今作なんぞは輸出する気自体が微塵も無い?⇒まあ、輸出したトコロで誰もナンにも幸せにはならねーだろーから別に好いか⇒納得。。。 本題に戻りますと、いちおうホラー的なコンセプトとしては我が国古来の「生霊」を主題とした作品、で監督の前作(なんちゃら森?とかゆーてたヤツ)と同様にやや若年層がメインターゲットかな?てな感じの質感を擁しておる作品ではありますね。しかし、正直そんなんはどーでも好くて、今作ってとにかく、いわゆる映画におけるプロットと言うべき種々の「因果関係」の整理が実にこの上無く好い加減な作品…というコトに見えてますね(⇒端的に「何故・何が・どーなる」というトコロの辻褄が終始ごくテキトー極まりないままで進行し続ける)。先に結論を言っちゃうと率直に、映画として評価するべきレベルに全く達してないと思いますよコレ。この中田某という方と、もう一人清水某なる御仁とゆーのは、最近は(モノの見事に)須らく全部が全部こーですね(⇒ココまで来るとやっぱシンプルに「ナメてる」&「ナメられてる」と思ってしまいますよね)。 その、終始まるで腑に落ちない状況がひたすら続くという意味ではフツーに最初から最後までごくヒドい状況だったと思いますが、ま~た案の定ラスト付近が超コッ酷い有様でしたすね(⇒正直「なんかオレ途中で無意識のうちに気絶してたのか?」とすら)。一番はやっぱ結局、あの雷ってナンだったんですかね?と。あとね~クライマックスに関してはもう一つダケ、この手のお化けのラスボスで、攻撃タイプが物理!(得物が手斧!)てのはやっぱし、一体全体ナニがどーしたらそーなっちゃうの?×1億としか思えませんよ…(だって、序盤から中盤から延々と散々に遠隔でサイキックで攻撃して来てたジャン!と…) 結論、一応、点数はこの位にしておきますが、別に0点でも何の問題もありませんです。マジで、そろそろ流石に卒業しちゃおうかな、、とも…… [映画館(邦画)] 3点(2023-09-26 17:06:37)(良:1票) |
9. キングダム 運命の炎
《ネタバレ》 確か2と同時撮りだったのですかね?なので、質感自体はかなり前作と近かったと思いますし、内容もまま似てるとゆーか前半が嬴政の過去エピソード+後半は2と同じよーな大合戦、という感じですかね。どちらかとゆーと個人的には2よりもバランスは好かったかな…と(⇒前半がまあまあ面白く観れたので)。でも、後半の合戦部分は逆に2の方が好かったかな~とも(⇒100人の飛信隊がメインなので途中がチョイ地味かな…)。あと、いよいよ更に更に人間離れしたヤツが出始めるので、全体的にもより一層「漫画チック」な質感の方に近付いて来た様にも思われましたね(⇒そのコト自体は、コレも個人的には「やり過ぎると冷めちゃう」という感じではありますね)。ちょっと悩みに悩みつつ、前作の評価との整合性を鑑みるとこの点数くらいかな、と。もう一つダケ気になってるのは、このシリーズって何作までつくる積りなのでしょーかね?(⇒別にあと5,6作品くらいはフツーに付き合う気で居ますケドも…) [映画館(邦画)] 6点(2023-07-30 21:29:16) |
10. 君たちはどう生きるか(2023)
《ネタバレ》 現実の世界・歴史と強固に繋がっている物語ではありますが、ジャンルとしてはごく純粋なファンタジーですね。前述の構造も含めて、ジブリだと『トトロ』とか『千と千尋』に酷似しているとも思いますが、個人的にはよりプリミティブな『不思議の国のアリス』の様なお話だな…とはいちばん最初に感じたトコロです。表現としては、誰しも「コレがジブリだ!」と膝を打つ様な監督固有のアニメーションが見事に健在だったコトに加えて、今作では炎や水といった抽象的な部分の(おそらくCGによる)表現に更に磨きをかけて⇒ソレを前述の手書き風アニメにより完璧に融合させている様子もまた見事だったと思います。もう一つ、コレは確実に意図的に監督の過去作=嘗てのジブリ作品中の種々の風景・象徴的要素を物語の中に非常にふんだんに織り交ぜてゆくのですよね(⇒観れば誰でもスグに気付くというレベルで)。でも、正直なトコロ、全体として非常に示唆的・比喩的に見える物語ではあるものの、話の内容や個々の描写・台詞自体にソコまで高度な意味が積まれている様には見えなかったor 少なくとも1回観たダケで分かる様にはつくってない(or 最低限私にはソコは伝わらなかった)という、控えめに言ってもごく「難解な」作品だとは、確実にそー思われましたですよね。 でも、しかし、じゃあナニも伝わらなかったのか?とゆーとそんなコトは全くないのですね。むしろ、私個人としては観終わった瞬間、コレは監督がもう、有りと有らゆるモノ全てを完全に肯定している作品だ…という実に暖かくてポジティブな感覚に包まれたのです。前述のセルフオマージュが意味するモノは監督の映像作家としての人生そのものだ、とも感じましたし、ソレも含めてナニかを次の世代に引き継ぐこと・或いは引き継げずに新しく真っ新に始めてゆくしかないコト、悪意の無い世界に生きるコトが叶わず、夢破れて斃れてゆくコトも有りうるというコト、すらも、全て一切合財が此処に至ってはこの世界の美しさに見えるのだ…と。重ね重ね私には、今の今、最後に監督の心の中に残って居るのであろうあの懐かしい風景の数々が、また今も尚こんなにも美しく+その感覚を全世界の人々と確実に共有可能だ、というそのコトこそが、映像作家としての監督の最も尊い部分なのではないか…と思われたのですよね(途中、ワリとウンウンと唸りつつも、今作を観て最後にはそう思うに至りました、と)。 この予想が外れてもナニも哀しくも・悔しくもありませんが、私自身はやはり、今作が監督の(正真正銘の)最後の作品だと信じておるのですね。そして、今作がその最後の作品であって本当に好かった…とも、また信じているトコロではあるのですね。 [映画館(邦画)] 9点(2023-07-14 23:06:54) |
11. 禁じられた抱擁
《ネタバレ》 ホルスト・ブッフホルツ&カトリーヌ・スパーク&ベティ・デイヴィスがメインのイタリア映画、なのですね…(皆イタリア語で喋ってる⇒スパークちゃんはともかく)しかし、デイヴィスにせよスパークちゃんにせよほぼほぼ「固有の属性」に近い役をま~た演らされてるダケなワケで、んでブッフホルツがごくこーいう感じ…となると流石にちょっと「締まらない」ですかね。。いわゆる件の悩める「高等遊民」ってダケだろ!とゆーか、でもこのタイプの男に共感できたコトなぞ個人的には人生で一度も無いですケドね!(しかもまたイケメン!と来りゃあ…)正直、私自身もスパークちゃん以外には見ドコロは無かったと言っちゃいたいです。凡作かと。 監督の前作『禁じられた恋の島』が、文芸映画としてもネオレアリズモとしてもごく非常に面白かったのでコッチも観た…という経緯なのですね。しかし前述どおり全体としてもイマイチ+その二つの観点からもごく微妙…かと思いましたです。そもそも『禁じられた恋の島』はとにかく高度にネオレアリズモ!で実に好かったのですが、今作とて同一の監督&製作もどっちもカルロ・ポンティ&イタリア・アメリカ合作なのも同じ、だのに何故にこんなに雰囲気自体が違うのでしょ?(コッチは正直、かなりアメリカ映画的な感じで…)ベティ・デイヴィスの所為、なのかしら。。 [インターネット(字幕)] 4点(2023-06-15 21:15:33) |
12. 恐怖のまわり道
《ネタバレ》 大昔の、そして非常にシンプルなノワールですね。暇潰しには持って来い!ですが、重ねてごく純粋なサスペンスなので(同時に)ドラマにも成っている…とは言えないって感じでもありますかね。個人的には、第二の「死」の顛末は多少トリッキーだと言えるかとも思うのですが(⇒そんなコトがホントに起きるかは別として意外ではあった…と)翻って第一の「死」には結局ナンの仕掛けも無かった様なのですし(⇒現代的な感覚では、だったら素直に警察に行ってれば好かった…と)そしてその後に女と出会ったのも偶然なのであれば出来すぎ…かとも思われますかね(⇒何らか合理的な理由とゆーのをもう少しハッキリ説明して呉れた方が好かった…と)。でもでも、前述どおり、シンプルでコンパクトなので暇潰しになら(やはり)絶好だとも思いますかね。アマプラでタダですので、お暇なら。 [インターネット(字幕)] 6点(2023-05-23 23:09:36) |
13. キングスマン: ファースト・エージェント
《ネタバレ》 いちおう、今作は前日譚で(だから)扱いとしてはスピンオフであり、現在オリジナルシリーズの方で第3作が準備中、というコトのよーですね。正直個人的に、そのオリジナルの方は2作とも全くハマって居ないのですが(殊にその「悪趣味」が故に)、逆に今作のこの「全然別物」な感じは所ドコロでかなり好みでしたすね(ある種、ナニか意外性が感じられちゃった…とでも言いましょーか)。そもそもキョウビのスパイものって根っこのトコロでどーしたって「無理」が在るとも思ってますし、その意味でも100年前という時代設定自体がごく好みだったりもするのですよね(アクションとて、銃撃戦よりはこーいう肉弾格闘・チャンバラの方が絶対に好きなワケですし)。んでココは監督のセンス!とゆーか、比較的シンプルながらやはりドコか独創的なアクション自体の出来はまずまず悪くなかったとも思いますし。 ただ、評価自体は(かなり迷いましたが)低めの方に寄せておきました。最大の理由はシンプルに(個人的にま~たイマイチ)レイフ・ファインズが魅力的に見えなかった⇒なのにハリス・ディキンソンを途中で退場させてしまった…という(第1作と同じ)過ちを繰り返しているコトですね。なんなら、どー考えてもポリーの方が(⇒彼女じゃねーにしてもまだショーラの方が)全然キャラとしては魅力が在りますよね。ソコとかも、彼ら英国紳士ども(=貴族には滅法弱いという封建制の亡霊たち)との「感性の違い」だったりする…のでしょーかね(知らんケド)。 [DVD(字幕)] 6点(2023-03-21 23:25:56) |
14. 君は永遠にそいつらより若い
《ネタバレ》 第一に、シンプルな作品だな…と思いましたが(以下、私の感想も実にシンプルなコトを言ってるダケに為ってしまいました)同時に(素直に)好い映画だな…と思いましたし、個人的には主役の佐久間由衣さんにも(比較的高度に)共感してゆけたのですね。ゆーて、どーしたって(女優さんなんだから)フツーにカワイイ娘だよな…(=コレで彼氏出来ない~とか言われても…)とも思いはしましたが、それでも、オマエに児童福祉士なんて無理だ!と言われて落ち込む辺りとか(⇒残念ながら私もソコは「確かに…」と思いましたし)あとは決してキャラにそぐわない「攻めた」髪色をしているトコロのワケとか、必ずしも悪い意味ではなくて「分り易くて」好かったな…と思いました(ソコは)。 でもまあ、そーいう「外見的」なコトとも(=コトとすら)あまり関係も無く、その「自己肯定感」の確立ってのは誰しもにとってやはり中々に困難なコトだ…とは思うのですよね(そもそも、ソレが自分には簡単「すぎた」てのもソレはソレで…と思いますし)。で結局、ソレって(=自分の「価値」って)やっぱどーしたって自分では決められない=ひたすら他人がソレを決める、とも思ってるのですね。だからその意味でも、いずれは必ず誰もが社会=人の海=友人関係だの恋愛関係だの仕事関係だの、の中に出ていくしかないのだと思うのですケド、その時にも多少の自己肯定感を予め装備しておかないとその泳ぎ出し自体が実に苦しい…てのが一種の「悪循環」だとも感じられるのですよね。今作でもテーマとして少し触れられてはいましたが、その「初期装備」ってのは基本は親・家族との関係性の中で育まれるモノだとゆーのも、作中からは十分に汲み取れた⇒より深い共感に繋がる「分り易い」物語の構成だった、と思います(⇒だから、またその意味でも子どもの虐待とゆーのはとても罪深いのだ、と)。 ※あと、コレは『まともじゃないのは君も一緒』を観た時にも(大いに)感じたコトですが、自分の周りの「普通の人々」と自分を比べて一喜一憂する…なんてのも決して全くオススメできるコトじゃあないと(個人的には)思ってますよ。ごく真っ当な人で在れば在るホド隣の芝なんてのは青く見えるモノなのですから、どーしたって「分が悪い」ですよね。そーいう「普通の人々」が普通に備える(と言われる)個々のアビリティを全項目完備してる人間なぞハッキリ「超人」だと、寧ろその他人が皆偉く見える自分自身の劣等感こそが(⇒他人の「善い」トコロを全力で評価する)貴方の「優しさ」と「謙虚さ」の顕れだ、とでも思っておく方が余程健全だと思いますね(「思い上がれ」と言いたいワケではねーですケドも)。 個人的な理由となって恐縮ですが、点数は(また実は)かなり迷いました。直前に観た『ひらいて』との前後関係で言えば、個人的にはアッチの方が好きだとゆーのは(私としては)「固い」トコロなのですよね⇒ソレはいったん、文芸映画としての「文学性」の観点が主たる要因だ…というコトにしておきます。ただ一方で、じゃあ今作を1点(マデ)下げてしまうのが正しいか…という点にもかなり違和感が在った(⇒前述どおり非常に高度に共感して観てゆけた身からすれば)のを重く見て、ココは高めに寄せて置きました。以上です。 [DVD(邦画)] 8点(2023-03-10 01:13:14) |
15. キラーカブトガニ
《ネタバレ》 諸々と、どー見てもB級コメディ・ホラーにしか見えませんし、実際にも確実にそーいう類いの作品だとは思うのです。ただ、更に細かいトコロまでよ~く見てゆくと、意外に結構丁寧につくられた映画だ、とも感じるのですね(⇒肝心なキラーカブトガニの造形とか、主要人物たちのキャラ設定&関係性のつくり込みとか、中でもオーラスの巨大怪獣バトル!とかなんか特に悪くない出来だったりで)。しかし、そんな風にだいぶん丁寧に(=手を抜かずにこだわって)つくっているにも関わらず、率直なその観た感じとゆーのは全編通しても実にまろやかとゆーかキレが無いとゆーか、ま~た不思議な位に盛り上がらんのですよね。そして、実はその敢えての「緊張感がイマイチ感じられない質感」こそが、今作において最も「B級」な要素だった…とも(私には)思われたのです。 個人的な結論、今作は「B級映画をB級映画として最も美味しく食べるには」という或る一つの試みだったのではないか…と。例えるなら、ペヤングをご自宅にフツーにある追加の調味料・器材のみで「ペヤングがペヤングであるコト自体は決して否定せずに」どーしたら最高に楽しめるのか…という(趣味人の高貴なる)遊び、とでも言いましょーか。私としては、その意味での本作の「完成度」は実はワリと高い方だったのではねーか、とも思います。やはりどこまでもオフビートではあるものの、ナンだカンだ肝心なマニアック映画としての「芯」を外していないこの感じは、正直ワタシまあまあ好きな方のヤツなのですよね(オマケでこの評価としておきます)。 [映画館(字幕)] 6点(2023-01-29 23:01:20) |
16. 恐怖と戦慄の美女<TVM>
《ネタバレ》 この頃売れていたカレン・ブラックを前面に押し出してのテレビ映画(3作品のホラー・オムニバス)であるが、時代&フォーマットを考えてもかなりシンプルな(≒陳腐な)話が雁首揃えている印象。コレで肝心なそのカレン・ブラックが絶世の美女!だとか言うなら現代でもま~だ観る価値が在るのかも知れないが、そーとも言い切れない正直微妙なルックスの方でして…ただ、ソレもあってかホラーとの相性はそもそも好さそうな女優さんだとも思いますし、どの話も結局彼女が黒幕…てヤツなので(3話めも結果的には最後の彼女の顔が一番ブキミなワケで)キャスティングの意図自体は間違ってないとも思いますケドね。 1.ジュリー(26分) 意外性重視(なダケ)のオチが全てという作品で、不可解ではあるが筋は全く通らない…というある種古風なホラーかも知れない(キョウビあまりこーいうのも観なくなったな…と)。物理的描写にも全くホラーっぽいのが皆無なので、実に薄味…とゆーか無味無臭だよねコレ。まあ、結論から先に言ってしまうとこの3作だと『アメリア』をトリにするしかなくて、じゃあこの『ジュリー』を1話にするか2話にするか…だったらまァ1話かな、と思ったりも。 2.ミリセントとテレーズ(21分) ホラーとゆーか根本的にはミステリーだし、だから『ジュリー』よりも更に波風が立たない(静まり返った)お話。そして、流石に現代に至っては(否、おそらく当時でさえも)最初のシーンでミリセントがあーだこーだ愚痴ってるのを聞いてるダケでもオチの予想はなんとなく付いてしまうのだし、で次のシーンでテレーズが出て来た瞬間ソレは確信に変わるのである。悩ましいが、コレを効果的にやりたいなら少なくともテレーズは顔を終始隠しとかないといけなかったのではねーか…と。まあ、カレン・ブラックに色々やらせるってコンセプトからもずれちゃうのでやっぱ微妙(無理)なアイデアだな…とも思うのですケドも。 3.アメリア(24分) 3作目は比較的しっかりホラーしてくれてるものの、本当に本当の意味でワンシチュエーションでしかないので、現代の一般的なホラー映画だったらコレで引っ張れるのは精々10分である、が今作ではソレを20分位繰り返し繰り返しやったってるので、ま~冗長なコト!(何部屋あんだよ、と)ただ前述どおり、オチのカレン・ブラックの顔自体はまあまあ気持ち悪かったので、3作の中では一番印象に残る作品なのは間違いないか、とも。とゆーか、コレも1・2作目みたいなのだったら正直ヤバかったと思いますね(ナニが『TRILOGY OF TERROR』や!と)。 [DVD(字幕)] 4点(2022-10-08 21:23:02) |
17. THE GUILTY ギルティ(2018)
《ネタバレ》 言い尽くされているコトだとは思いますが、何とも素晴らしいアイデアのサスペンス・スリラーですね!そしてココまで徹底して主人公の様子のみ・同じ室内の映像のみにこだわってやるってーと、確実に低予算な映画ながら作品の「格」が諸々と一段上に上がる、という気もします。サスペンス(スリラー)としても、電話口のほんの一言で(一瞬置いて)空気が一気に張りつめる感覚がモ~結構たまらなかったのですね。結論、かなりオススメできる作品ですよね。 しかし、コレも言い尽くされているコトだとは思いますがやはりツッコミどころは無くはないかな、とも。何よりやはり、当初から女性の誘拐事件という高度な強行犯罪であるコトは明らかなのに、窓口となるオペレータがずっとワンオペでやり続けるというコトはあり得るのでしょーかね?(そもそも、緊急通報指令室にだって流石に上司にあたる役職者がひとりは詰めているモンじゃねーかとも思いますし)。まあ、大勢でゴチャゴチャ騒ぎながらやられても、或いは主人公が全く感情的にならずに淡々と通話を続けられても(ソレは流石に)映画的に画ヅラが面白くなさ過ぎるかな…とも思いますケドね。正に典型的な直情径行型とゆーべき主人公の風情は、コレもデンマーク産の『特捜部Q』のカールを思いっ切り思い出してしまいました。 [インターネット(字幕)] 7点(2022-08-20 22:58:33) |
18. キングダム2 遥かなる大地へ
《ネタバレ》 続篇としては比較的大胆だな…とも思いましたが、Wikiを見る限りおおまかには原作どおりの流れ、とゆーコトの様です。前作の主役級では長澤まさみは実質出て来ず、吉沢亮と橋本環奈さえ大半で蚊帳の外…という(大沢たかおはともかく)。かつ二昼夜程度の合戦をひたすら描くという内容なのでこのコンテンツの全体の物語からしてもお話的にもほぼ進んでないんじゃね?という感じすらします。しかし、ソレでいて(=話の内容が無いワリに)見応えとゆーのは十二分でした。いや~、技術の進歩とゆーのは実に喜ばしいとゆーか、邦画の娯楽作でもやれば出来るジャン!とゆーか、ボリュームが命の歴史的戦争映画でココまでのモノが観れるなんて、モ~善い時代になった…としか言えませんね。次回作も確実に映画館で観るでしょう(少し甘めですがこの評点で)。 前作でも思いましたが、今作でも山﨑賢人は好かったですね。暑っ苦しい位にひたすらに熱い感じも私は全然好みですし、アクションシーンの動きのキレも素晴らしかったです。他、俯瞰的合戦シーンの中でも騎馬のシーンがまたボリューミーかつ壮大で、楽しくテンションアゲアゲで観れました。次回作は(打って変わって)政治的・謀略的なお話かも…とも思いますが、この感じのアクションもまた観たいトコロですね。 [映画館(邦画)] 7点(2022-07-17 16:09:24) |
19. 吸血鬼ノスフェラトゥ(1922)
《ネタバレ》 今回鑑賞出来たのは「アメリカンバージョン」というヤツらしく、クレジットやインタータイトルは全て英語、かつ登場人物の名前もブラム・ストーカー版に準拠したものに変えられている様です。ソレも含めて、まず原作の内容が頭に入っていればサイレント作品としてはごく観易く・分かり易く観れる作品だろうと思いますね。で、極初期のホラー作品として(今でも)ヴィヴィッドに怖いかと言われれば決してそーでもないかな…と思うものの、肝心のノスフェラトゥ自体のヴィジュアルに代表される禍々しい物理的表現、或いは登場人物の恐怖や狂気の表現(演技)とゆーのは、コレは決して現代のソレと比べても(エッセンシャルな部分では)全く引けを取らないモノかな…とも思えました。特にやはり、ノスフェラトゥ自体の画ヅラ・雰囲気なんかは実に強烈なマデに不気味だったですね(⇒コレとて似た様なヤツは現代のホラーの中にだって今だ幾らでも見い出せるかと)。結論、機会が在れば観ておいて損は絶対に無いと思いますね(かなりオススメ)。 [DVD(字幕)] 6点(2022-07-16 23:54:42) |
20. 恐怖のいけにえ
《ネタバレ》 ま~たテキトーなタイトルで、もはや意味も通じないすよね。。とは言え今作、内容はま~た確かに『悪魔のいけにえ』系のツーリストものではありまして、しかしその側面はごく非常にシンプルな展開運び+直接的なショック描写も(質・量ともに)かなり控えめで、率直にそれら含むホラー要素に関しては現代に至ってはかなり手緩い…という感じかと(エロも在るには在るのですケドごくささやかなワンシーンのみで、だから中盤までは正直間延びも感じられるし、全体的にも時代相応にかなりテンポ自体が緩めだったかと)。でもその一方で、お話の根本部分は近親相姦(とソレが産んだ異形)がもたらした悲劇…というモノなのでして、逆に現代ではちょっとコンプラに引っ掛かるカモ?てレベルでインモラルでも(あるっちゃ)あるかなと。でも重ね重ね、その肝心な異形(と彼の犯行たるショックシーン)の描写そのモノとてやっぱソコまで高度にグロいってワケでもなくて(原題が『The Unseen』なダケあって終盤まで彼は全く姿を「見せない」てコトだったりもしましてですね)コレもやはり直接的な意味での「パンチ」は弱め(⇒ムムム…とつい唸っちゃう位に)ではありますかね。。 でもでも、そのまた一方で(≒その替りにとでも言いますか)個々のキャラクターの造形+ソレを表現する俳優の演技自体はかなり重厚につくり込まれているのでして、終盤にかけて劇的なシーンが展開してゆくに連れてソコはどんどん迫力を増していき、結果相当に観入ってしまった…という感じであったりもするのですよね(ある種、その人間ドラマ的な部分の質感はコレも少し「クラシカル」にかつ優れたモノであったと言っても好いかもなと)。肝心の異形を演じるのはスティーヴン・ファーストですが、率直に彼の演技はかなり真に迫ったもので多分に恐怖の対象たり得、かつ仄かに茶目っ気や無邪気さも感じられる奥深い多面的なモンスターてのを見事にリアリティ豊かに成立させていました。その父親(=諸悪の根源)を演じるシドニー・ラシックも、何処となく息子に通じるような茶目っ気も醸しつつ一方で高度な凶悪さ&狂気をも十二分に体現する演技がコレも見事でした。母親役のレリア・ゴルドーニとて、悲哀・絶望に塗れる悲惨な境遇の中でも最後に魅せつける毅然たる人間性がコレも率直に素晴らしかったかなと。そして主人公のバーバラ・バックもまずは美貌が冴え渡ってましたし、また叫びっぷりもまずまず素晴らしくてホラーヒロインとしては上々だったかと思います。結論、中々どーして掘り出し物と言って好い優れた面を持つ作品だったという気がしてますね。 [DVD(字幕)] 6点(2022-06-23 00:56:14) |