1. 飢餓海峡
《ネタバレ》 5回目の鑑賞でも、最後まで目をくぎ付けにさせるのは、内田吐夢監督の練られた映像と役者の重厚な演技によるものと思う。現代の映画のようにあわただしく騒がしく早口で何を言っているのか聞き苦しい映画ではなく、それこそ水上勉の小説をたんたんと読むような感慨がある。三国の映画をすべてみた訳ではないが彼の代表作ともいえる名演技だし、伴淳の朴訥とした味のある名刑事役は高倉健もかすんでしまう。惜しむらくは、女を強く抱きしめるだけで死んでしまうのかという疑問と、犯人が船からたやすく飛び降り自殺できるのかという疑問が残りますが、それらをおしてまでも、見るものを最後まで堪能させるという映画本来の使命を十分満たしており、必見の価値があります。 [CS・衛星(邦画)] 9点(2021-02-09 10:05:03) |