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プロフィール
コメント数 188
性別 男性
自己紹介 ・・・・最初に投稿してから4年近くたとうとしています。
これからも、細々とでも投稿してゆきたいと思っています。

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1.  グラン・トリノ 《ネタバレ》 
イーストウッドの作品はこれまであまり好きではなかったけど、この作品は、ほんとうに凄い作品だと思いました。・・・・主要なテーマは、人生を終えるに際しての赦しのこと、遺すもの。・・・・赦し、贖罪の問題は、非キリスト教徒である私たちにはわかりにくいのですが、イーストウッドは、朝鮮戦争での自分の行為について、どうしたら赦され解放されるのかをずっと悩んできているわけです。彼が問うているのは、教会で制度を通じて与えられる形式的な赦しではなく、真の赦し。・・・・それは最後に果たされました。このシーンは、十字架上のイエスとイーストウッドが重なり合います。・・・・・遺したのはグラントリノ。そしてそれは家族の枠を越え、自分の意思を継ぎうるものに渡されます。・・・・・・それにしても指で拳銃を模すシーンが何度も登場します。イーストウッドが何本も撮ってきた西部劇の数々のシーンを想起させると同時に、この映画の最後のシーンの伏線にもなっています。なんという重層性でしょうか。・・・・・あと何十年か経過したら、ミスティックリバーの方が高い評価を受けているかもしれませんが、イーストウッドの作品を同時代のものとして見てきた私たちにとっては、この作品こそ、彼の最高傑作だろうと思えのるです。
[DVD(字幕)] 10点(2010-05-26 21:56:26)
2.  ぐるりのこと。 《ネタバレ》 
子どもが死ぬまでは、非常に退屈な映画です。そこまで30分、危うく途中放棄するところでした。・・・・この映画、男性の見る目と、女性の感想とでは、もしかしたら、かなり違うのかもしれない。というのも木村多江の感情の動きが、確かに、こういうのはあるだろうけど、自然なものには思えないから。・・・・・ということで、リリーフランキーにしてみると、仕事は最低、自分の態度も最低、奥さんも最低、奥さんの母親も薬事法違反の行為で金を稼いで最低、奥さんの兄も殆どヤクザで最低、兄の嫁も最低、法廷画家の仕事も最低の内容、そしてこうした犯罪者も最低なら、それを生み出す社会も最低。・・・こんな最低の周囲に対して、どう接したらよいのだろう。木村多江は、最低の部下に対して、結局自分が破壊され、仕事を辞めた。フランキーの父は、自殺した。・・・・この映画、そうした態度を「逃げる」と表現し、逃げてはならない、と説く。最低の周囲環境から逃げることなく、無理に戦わず、適切な関係を取って生きて行けば、木村多江の失踪した親父のように、最後にこの上のない微笑みを保つことができるのでしょう。拒否するのでもなく、かといって、全面的に受け入れるのでもなく、最低な周囲の存在を承認するけど、自分はそれに染まるわけではない。・・・・それにしても、こんな大人の日本映画があり得たのだ、とびっくりしました。
[DVD(邦画)] 10点(2009-03-29 23:32:19)(良:2票)
3.  クライマーズ・ハイ(2008) 《ネタバレ》 
冒頭、土合の駅の484段の階段を、堤真一が、一歩、一歩、ゆっくりと登るわけですが、これは彼の60余年の人生の歩みを象徴するだけでなく、事故で死んだ520余人の一つ一つの命と重ね合わせているわけです。そこに静かにピアノのテーマ曲が流れて、なんだか、御巣鷹の尾根の慰霊碑にまずは手を合わせてから映画が始まる印象でした。・・・・・原作などは未読ですが、映画でのテーマは、「決断」、つまり100%の確証が得られないスクープを載せるのか、断念するのかの決断に設定されているように思います。もし掲載を決断していれば、これは記者たちのスカッとした英雄譚になるわけですが、堤が載せないことを決断するために、本当の勇気とは何か、というような、なんか渋い話しになります。ただ、最後のテロップが存在することで、堤の決断も、一つのあり得る決断だったのだなという臨場感が伝わります。・・・・・・ニュージーランドのシーンは余計なシーンには見えるけど、人間、最後は仕事を離れて一個人として生きなければならないのだから、納得できないことはありません。・・・・とにかく、新聞社の中の、人と人とのぶつかり合い、そしてそれぞれの言い分が説得的で、非常に面白い。原田監督という人は、娯楽性を保ちつつ、考えさせる映画を作るのが上手です。
[DVD(邦画)] 10点(2009-03-11 22:43:44)
4.  クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲
面白かったです。デパートのシーンが好きです。特に尿意じゃなくて「屁意(hey)」というあたりは笑いました。・・・・・・・だけどこの映画の主題って、過去を懐かしむのはいいけど、ほどほどにして今を生きろよ、っていうことですよね。・・・・そして最初から、缶蹴りしたり、縄跳びしたり、メンコしたりするおとなたちが、明らかに滑稽に描かれていて、子どもの頃を懐かしむ様子をちょっとばかし茶化しています。・・・・そういう文脈で流れてくる吉田拓郎、ベッツイアンドクリスも半ば嘲笑的な雰囲気を伴っています。だから、素直に、懐かしいなぁという気分にはなりにくいですね。・・・・・・・・ところで、大正ロマンも昭和30年代回顧も、(1)実際のその時代の「一部」を、(2)今この時間を楽しむために、懐かしんでいます。だから、実際の大正時代や昭和30年代を知っていると、そういうノスタルジーには違和感があるし、一緒に楽しんだりしにくいわけです。・・・戦争で手足を無くした人が街頭で物乞いをしていたし、多くの人達が貧しかったし、夜は真っ暗で、コンビニも自販機もないし、ビデオはないし、テレビだって一家に一台あるかないか、子ども達で野球をやるっていったって、全員が自分のグローブを持っているわけでもなく、、、、。ということで、この映画が楽しめるのは、20代、せいぜい30代前半までじゃ、ないかなぁ。その年代って、まだまだ先が見えにくいし、毎日毎日、結構苦しいことは多いし、自分の思うとおりにはなかなかならないし、、、、ふと、どこかに心の安らぐ場所を見つけたくなるわけです。・・・・・・全体として、よく計算されたアニメだと思いました。 
[DVD(邦画)] 6点(2006-09-15 10:48:50)
5.  グッバイ、レーニン! 《ネタバレ》 
東独のニュースをでっち上げるところとかいいですね。社会主義圏のニュースの作り、内容がいかに安っぽいものであったのかの皮肉になっています。それだけでなく、ニュースを虚構的に構成することで、今、私たちが真実と思って接しているニュースでさえ、けっこう虚構的なものではないかということに気付かせてもくれます。、、、、また、別の世界から、私たちの世界を反転させて見せようといった趣向は、例えば、コカコーラを東側がどうみたかというあたり、あるいは壁の崩壊を西からの難民と説明したりするところにもうかがえます。、、、、、あと、統一から15年経過して、かつての東独をどのように捉えるのかというところにも面白い変化が出ていると思いました。あの空色の自動車、パルプでできていたというトラバントですよね。ドイツの人たちは、みんな「懐かしいなぁ」と思って見たんじゃないでしょうか。つまり、以前にはあったような、社会主義体制に対する痛烈な批判は、ある意味、いうまでもないこととして背景に退き、むしろ社会主義体制に対しての、ある種のノスタルジアみたいなものが全面にでるようになっている。そうした懐かしさを、どう評価するかは意見の分かれるところでしょう。、、、、、、ただ、映画、ストーリーの作りとしては、まだ十分に練れていないとは思いました。また、もし亡命したのが父ではなくて母で、全体も父子の物語として構成されていたら、皆さんがどう評価したのかも興味深いところです。
[DVD(字幕)] 7点(2005-04-01 08:55:58)
6.  グロリア(1980)
地下鉄の中で、ホテルの部屋で、タクシーからガキを捜しながら、グロリアさんは、きっと、あたしは何で、こんなバカなことしているんだろう、ってずっと苦笑いしているんでしょうね。、、、、、、、一番好きなのは、ギャングのボス達のいるホテルに乗り込んで、白いテーブルで煙草を吹かしながら、一対一で話すシーンです。この時、グロリアさんは、自分はバカなことをしているとは、もう、きっと、思っていません。自分の命と引き替えにあの子を救う、という決意と緊張感に満ちています。私は、拳銃を撃ちまくるグロリアさんよりも、この時のグロリアさんの方が数段かっこいいと思いました。、、、そしてぐっと赤ワインを飲み干す。ああ、これがグロリア流の最後の晩餐なのかと思ったのですが、、、、、。ところで、お前には母性本能は似合わない、ほにゃらら、とギャングに語らせています。誰が見ても、母性の目覚めと見えるのに、わざわざそう語らせているということは、グロリアさんは、決して母性の目覚めから子どもを助けようとしているのではないという、作り手からのメッセージに受け取れました。、、、、、ともに一人ぼっちになってしまった孤独な魂のふれあいということなのでしょうか。、、、、確かに、そんなのが時代の空気だったのかもしれません。木枯らし紋次郎とか、中村雅俊の「ふれあい」って、この頃でしたっけ??(何、関係ない?、お後がよろしいようで)
8点(2005-02-20 23:23:45)
7.  紅の豚
(1941年生まれの宮崎監督がどのように意識しているかは知りませんが)、、、、、昭和40年代のサンデー、マガジンでは、戦記物が重要なジャンルだったようです。「ちばてつや」といえば、あしたのジョーじゃなくて「紫電改のタカ」だし、あと「ゼロ戦隼人」とか「大空のちかい」とか、、、、、60,70年代って、昼下がりのラジオからは「バラ色の人生」とか「パリの空の下」とか、シャンソンが流れていた時代でした。フランス映画もしっかり健在だったし。、、、、60年から70年は、安保闘争、東大闘争の時代で、若者は髪の毛長くして、みんなで肩組んで反戦フォーク歌って、デモって、アジっていて、加藤登紀子といえば、その頃、自由と反体制を象徴する歌姫の一人でした。、、、、、そんで時がたって、会社入ってスーツ着て、毎日忙しくて、昔の仲間と酒飲むと、「南の島でのーんびりしたいよなぁ、、、、。」、、、、「紅の豚」というこの映画は、そんな思いが全て贅沢に、ふんだんに盛り込まれています。、、、、加藤登紀子のシャンソンが流れてくると、学生の頃、仲間の下宿で安酒を飲みながら議論したこと、デモの隊列の中で凛として輝いていた娘のこと、様々に降りかかってくる現実の中で理想を少しずつ忘れてきたことなどなど、、、、が静かに、走馬燈のように、、、、。(以上、かなり想像も入ったおじさん達の心の内側でした)、、、、という世界が全くわからんっという場合は、たぶん、とてもつまらない映画だと思います。また、こういう世界は知らないけど、カラオケ行くと「イチゴ白書よもう一度」とか歌っちゃうという人には興味がわくかもしれません。、、、、、、そしてこういう世界の一端を知るものにとっては、かけがえのない映画です。はい。 
9点(2004-11-05 12:14:11)(良:1票)
8.  クリムゾン・タイド
途中から、ジーンハックマンの顔が、ラムズフェルドの顔と重なってきた。、、、、、おそらく、アメリカの軍隊、共和党支持者の殆どは、ジーンハックマン的なメンタリティを持っているのだろう、ということがわかったのが収穫でした。、、、、頭の固いサディスティックなレイシストということです。、、、、、映画としては、エンディングが最低。両者とも正しく、かつ誤っていただとぉ!! ・・・・(追記)末端の兵士もパソコンを持って走っている時代です。衛星、情報収集機(艦)からの情報が瞬時に末端にまで伝わるというのに、軍隊が、卑弥呼の時代のような上意下達の指揮命令に依存していたのでは目標を達成することは難しいでしょう。それは民間企業でも同じです。(というか、軍隊の方が、民間企業よりも、より合理的な組織原理が常に追求されていると思います。)・・・・・・ということは、その場の指揮官の判断力が圧倒的に重要ということです。ジーンハックマン演じる艦長は、自分の頭で判断していただろうか。・・・ミサイルの発射が極めて重大な事項であること、命令に変更可能性のあること、を考慮すれば、艦長は、犬の指揮命令をする立場には適していても、大量の人々の生死を左右する地位に相応しいとはとても思えません。よって、現代的視点に立てば、軍隊の論理によっても、艦長の行動は正当化できない、というのがわたしの考えです。
6点(2004-09-25 22:55:56)
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