1. クリムゾン・タイド
一歩間違うとセガール系のトンデモ設定のアクションになりそうだが余計な蛇足はせずなんとか冷戦時代の戦争サスペンスにおさめた。アメリカ人が好きそうなマッチョ対インテリの典型的プロットで少し引いてしまい1点減点だが、面白さは折り紙付きで、潜水艦という閉鎖された空間の中で核戦争一歩手前の緊張感と内部の心理サスペンスを描いた傑作と言っていいだろう。 [DVD(字幕)] 7点(2012-09-06 08:43:45) |
2. グラン・トリノ
アメリカの古いタイプの愛国者という価値観と、家族、人種の間で揺れ動く人間的葛藤を描いた傑作。ハリウッドというアメリカ的価値観と人種、社会問題の坩堝のような所であり、またその旗頭でもある場所で生き抜き、その象徴にもなったイーストウッドだからこその解釈があるのだろう。非常に心を揺り動かされ悩まされる内容。 [DVD(字幕)] 8点(2012-05-11 05:57:22) |
3. クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦
戦国時代の男女の悲哀さは誰もが理解できるモチーフであるが、それをここまでしっかりとドラマ化した作品がかつてあっただろうか。さらにしっかりとした考証に基づいた合戦描写はそれだけでこの映画の価値。ドラえもんのび太の海底鬼岩城を見た時に感じた、かつてのドラえもん映画はあわよくば大人も楽しませてやる、泣かせてやるという気概があった。この映画のスタッフにはその気概がある。子供はこれを楽しめるのだろうか、というかなぜクレヨンしんちゃんなのだろうか。子供向けアニメということを忘れた大暴走、そして戦国映画屈指の名作。 [DVD(邦画)] 9点(2012-04-25 17:15:33)(良:1票) |
4. くたばれ!ハリウッド(2002)
ゴッドファーザーなどを世に出したハリウッドの名物プロデューサーの自伝を映画化。自伝ドキュメンタリーにも関わらずさすが映画人という感じで観賞に耐えうる長さにまとめてある。しかし各映画の裏話なんかはもの足りない部分が多くもっと聞きたかったかな~。ともあれハリウッドの裏側に興味があれば普通に楽しめる内容。原作を読みたいと思います。 [インターネット(字幕)] 6点(2012-03-15 10:12:40) |
5. グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち
才能は神からの授かりものだと考えるアメリカらしいサクセスストーリー。良い話ではあるけれど個人的には価値観のズレによる違和感が払拭できなかった。そういう点では、いかにも日本人的な価値観なのであろうが苦労や努力が絡むビューティフルマインドやルディのような話のほうが好きだな。 [DVD(字幕)] 6点(2012-03-12 11:57:26) |
6. グッドナイト&グッドラック
実話モノとしてストーリー自体は興味深いが、アメリカ人でもなく予備知識がほとんどないため裏で自動的に流れていくストーリーについていけず、さらにこの終わり方は不満。もう少し外側からも「勝負」を描いて決着まで見せて欲しかったな [DVD(字幕)] 5点(2011-10-07 02:31:16) |
7. ぐるりのこと。
法廷画家という主人公の職業を通して宮崎勤や宅間守、お受験殺人、オウム事件等の裁判を傍聴させるという描きかたが秀逸。同時に欝の妻と社会変動に振り回される妻の家族を描くことで、社会から逸脱し特異な犯罪を犯した犯人と、ごくありふれた日常の社会病理を平行して描き、いかに逸脱せずに生きられるか、現代社会の社会病理を鋭く突いた傑作の社会派作品となっている。特に裁判部分は有名事件の裁判の傍聴ものだけで一本作って欲しいほどの興味深さで、逸脱してしまった犯人の言動は時にコミカルですらある。それにしても木村多江、冒頭やたら明るい女性だったので木村多江が明るい役とか珍しいな!と思ったら案の定である。子供に戻ったかのように泣きじゃくる脅威の演技。ハリウッドにもあれほど汚い顔で綺麗な涙を流せる女優は居ないだろう。それにしても木村多江、化粧で整っているときより顔が崩れれば崩れるほど魅力が増していく謎な女だ [DVD(邦画)] 8点(2011-06-17 14:59:54) |
8. クィーン
ダイアナ妃事故死事件の際の実話を元に英国立憲君主制における君主、政治、マスコミ、国民の関係性を描いた社会派作品。と文字にしたらいかにもお堅そうな映画だが、冒頭いきなり寝室で普通に眠る女王の生活感あふれるシーンがあることからも分かるように、王室の「人間」性(「人間性」ではなく)という視点がよく描かれていることがこの映画の魅力だ。確かに英国王室も女王も首相もダイアナも、我々が知ってるのは人物ではなく「像」である。一面では虚像でもあるそれを、王室の生活の描写というある意味タブーを犯して1人の人間(人物)単位で描いた愉しい映画である。 [DVD(字幕)] 7点(2011-06-06 23:07:38) |
9. クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲
クレヨンしんちゃんを子供に見せたくないアニメに選ぶオトナに見せたいアニメNo.1!!今しんちゃんの真似をして半ケツで踊ってるような子供も大人になれば羞恥心を覚える。子供というものは何なのか、子供が大人になるということはどういうことなのかを鋭く描いたアニメ映画の決定版 [DVD(邦画)] 10点(2010-05-17 11:50:24) |
10. クルーエル・インテンションズ
ハーレクインハーレクインハーレクイン。ダラダラもせずさわやかにエロティック、ときどきサスペンス、ディスイズ深夜映画。 [地上波(吹替)] 6点(2009-11-01 06:24:44) |
11. クワイエットルームにようこそ
久々に良質なアイデンティティのある日本映画見た気がするな。しかしまあ内田有紀が素晴らしかった。こんな主人公のこんなストーリーをよく演じきれるな。汚いシーンや下品なシーン、内田有紀の健康的イメージと綺麗さが無ければ評価は変わってしまったかもしれん。彼女の底抜けの明るさと男勝りの強さ、かつそういうシーンでなくても漂う色気は自然体で、素の彼女もこんな感じなのかなと思わされる。日本のキャメロン・ディアス(しかもキャメロンより上品だ)。シニカルである部分社会派でエロティックでシリアスでしかもコメディ。「ユニーク」な登場人物の数々。8点級だがもっと長く見ていたいと思えた希有な作品なので+1 [DVD(邦画)] 9点(2009-06-04 06:48:41)(良:3票) |
12. クライマーズ・ハイ(2008)
日航機墜落事故をベースにした物語だが、テーマはむしろマスコミ内部の物語と別にある。『突入せよ!あさま山荘事件』はあさま山荘事件をベースにしながら、メインテーマとして警察内部の抗争のシニカルさが愉しい作品であったが、こちらはどちらかというとハードボイルド寄りの『大統領の陰謀』を思わせる内容で、どっちつかずの内容となってしまっていて、プロットは悪くないが中途半端な作品に終わっているのが残念。ノンフィクションを謳っているわけではないのだから、原作に拘らず「日航機事故とマスコミ」というテーマを生かす方向に持っていけばもっと良くなったんじゃないかと思う。 [DVD(邦画)] 7点(2009-04-10 11:23:13) |
13. グッド・シェパード
時間軸の複雑さと登場人物の多さで「映像の意味を理解する力」がないと若干混乱するかもしれないがマフィア映画やスパイ映画好きならそれほど難解ではなくむしろ丁寧でわかりやすいので大きな問題なく楽しめる。ゴッドファーザーPARTII(コッポラ)を意識しながらもやはりスコセッシの影響も隠しきれないデニーロの演出は興味深かった。いかんせん真面目に重厚に丁寧に作りすぎた感はあり、サスペンスとしてはものすご~く楽しめるのだが万人受けするかというと疑問。脚本も丁寧すぎるほどに丁寧で、下手に気を衒うのではなく素直な方向に盛り沢山なのでこのテの話が好きな人にはお勧めできます。 [DVD(字幕)] 7点(2008-08-26 05:10:13) |
14. グッバイ、レーニン!
シリアス、感動、ラブストーリー、ファミリー、コメディ、政治、風刺などの要素がここまで絶妙のバランスで組み合わさった映画は見たことがない。そもそも東の体制が一種の壮大なお笑いのネタみたいなものだったからこそこんな映画が存在するわけだが、西も同時に皮肉る(むしろ皮肉はそちらに対してが多い)バランス感覚も素晴らしい。シリアスな部分を笑えるというのは凄いことだと思う。 [DVD(字幕)] 9点(2006-11-12 14:02:31) |
15. クイズ・ショウ
いわゆる一つのヤラセだが、元々番組が圧倒的な支持を受けたのは、それこそが視聴者の求めるものであったからであってこの事件のケースは視聴者が何らかの不利益を被っているとも思えず、一種のエンターテイメントであるという見方をすればそれほど問題とも思えない。まだテレビが全面的に信じられる時代であったからこその騒動であろう。それよりも大きなテーマは、テレビにとって数字は魔力であるということ。日本テレビのプロデューサーが数字を金で買っていたなどという事件が日本でもありましたがテレビの人間にとってはそれが全てであり、そのためにはどんな真面目一徹の人間ですら悪魔に魂を売ってしまうこともあるのだ、という様子がよく描けています。 [DVD(字幕)] 7点(2006-08-09 15:42:31) |
16. グッドモーニング,ベトナム
グッドモーーーーーーーーーーーーーーーニングビェエトナーーーーム!!アメリカンジョークのオンパレードで少しも笑えなかった。そこがキモの映画なだけに少し辛い。ベトナムの空気を書ききれていないのも少し残念。俺はアメリカンジョークで笑えるという自信のある人専用。ヒロインの女の子はかわいかったね~。何人か知らんけどどこで見つけたんだろ [DVD(字幕)] 5点(2006-05-15 15:55:52) |
17. クリスティーナの好きなコト
お下品。それにしてもスターになってもなおこのテの作品に出続けるキャメロンはさすが。6なんてつけてるけど面白さ自体は8です。だって万人に薦められんでしょこれ [DVD(字幕)] 6点(2005-11-17 16:05:51) |
18. グランド・ホテル
MGMスター勢揃いの豪華キャストで贈るグランド・ホテル形式というモノまで生み出した一箇所にたまたま集まった人間による群像劇。主に主題として描かれているのは個々の人生観だが、様々な伏線を張り巡らせ、最終的に1本の線へと集約し全ての物語を昇華させるという現在のグランド・ホテル形式映画の基本がまだ確立されていないのは、まだこの形式が珍しかった当時を考えると仕方がないか。個々の物語がAとBのストーリー、CとDのストーリー、AとCのストーリーというように最後まで別々に展開し、そのストーリーの間につながりが欠けている。また他のキャストも豪華にすることで薄らげようとしているが、ジョン・バリモアとグレタ・ガルボという二大スターのラブストーリーが強烈すぎて脚本を食ってしまい、他の物語が霞んでしまっている。一つの形式を創った古典だということは評価できるがストーリー自体はそれほど面白くはなかった。 [DVD(字幕)] 6点(2005-08-26 11:42:03) |
19. グッドフェローズ
組織のルール・価値観が全ての世界で全員の利害に合う仕事をしていれば身分は保障され組織の均衡を乱すと突如死が待っているマフィア世界を描く。マフィアの華やかさを前半で描き続け観客がこの世界も悪くない思い、デニーロ、ジョーペシらの個性にこいつら愉快な奴らじゃないかと錯覚しかけた所で突如暗部へ触れていく転換が衝撃的。個人の視点から描くことで観客にまるで組織の一構成員になったかのように思わせる臨場感が秀逸。 [DVD(字幕)] 10点(2005-08-24 21:14:17)(良:1票) |
20. クール・ランニング
スポーツコメディの最高峰。各人性格がバラバラでそれぞれ役割があり、漫画原作的で史実というよりは脚色が強いのだが、ジャマイカの社会や各人の人生をしっかり書いてる所が良い。カルチャーショックネタの数々が笑えた。ジャマイカンなノリでテンポよく進み、コメディあり、ヒューマンドラマあり、社会風刺ありと飽きさせない。大人から子供まで楽しめる傑作 [地上波(吹替)] 9点(2005-08-24 21:13:33) |