1. 苦役列車
最後の最後に貫多はやっと変わることができた。それは月日が流れたからでもなく、殴られて裸で捨てられたからではない。同類だと思って憐れんでいた高橋が夢に向かっていたからだ。変わる機会はいくらでもあった。正二に「お前はいい奴だよ。」と言われた時。康子に振られた時。高橋が怪我した時。元彼女とあった時。正二に見放された時。そして父親が性犯罪をした時。僅かな気持ちの変化はあったけど、人生を諦めていた。三年後、映画の冒頭と同じで、ソープから出てくる。努力をするわけでも、父と同じように犯罪に手を染めるわけでも、自殺するわけでもなくただただ漫然と不満を抱えながら過ごしていた。でも、最後に変わることが出来た。パンツ一丁で本を書くシーンは原作にはありません。山下監督はどんなダメな奴でも、運が悪いやつでも変わることができる。人が変わることは本当に本当に難しいけど、変われる。変わっても99%無駄に終わるけど、成功するかもしれない。監督はそういう希望を表したかったのだと思います。原作を書いた西村賢太は映画のリメイクを厳しく非難しています。彼は人生の不条理さを徹底的に表しています。変われない人は一生変われない。負け組だと。辛いけど、原作の方が現実だと思います。人はそう簡単には変われない。でも、そんなのは嫌というか、真っ向から立ち向かってやりますよ。若いうちぐらい夢を見てやりますよ。そして、絶対、叶えてやるし。 [DVD(邦画)] 7点(2014-03-08 18:38:34)(良:1票) |