3. クリムゾン・タイド
《ネタバレ》 冒頭から最後まで無駄な場面がなく一本の映画を撮り切った感がある作品です。タランティーノの脚本とトニー・スコットの演出は相性がいいのかも。たたき上げの上司とエリート部下の葛藤という昔ながらのフォームを使いながら潜水艦内の活動をしっかりリアリティを追及して描き、核戦争を引き起こすかもしれないという緊迫した事態の中で艦長派と副艦長派という周りの部下の人間関係もしっかり絡めて狭い空間内の権力闘争というドラマを見せて飽きさせません。一番感心したのは最後の査問委員会以降のやり取りですね。上層部は艦長に対してかなりシンパシーを抱いているが、当然組織としては今回の艦内の擾乱は到底見過ごすことはできない。しかし、彼らは結果は出したのでどう処分すべきか悩むところだが、今回の件で艦長自らの引き際を理解し引退を申し出、さらに副艦長に後を譲るという提案を容認し、そう決定を下した。登場人物の感情の流れと物語上の軍規違反の裁定が見事にシンクロしているエンディングはまさに体操競技での着地も決まり満点という感じ。ただ一つリアルじゃないのは潜水艦に犬は絶対ないだろう・・ただそれだけ。 [地上波(吹替)] 9点(2020-11-08 23:06:30)(良:1票) |