1. KT
《ネタバレ》 阪本順治監督は、奇をてらわない骨太な演出で、魅せきっていると思う。ただ、荒井晴彦氏の脚本では、登場人物がより露骨に自身の政治意思を語っていて、非常に明快でわかりやすい。映画においては、台詞過多になるとしてカットされたのだろうか。表現不適切と現場で判断したんだろうか。また、富田が惚れる政美との関係も、もっと生っぽく描いてほしかった。なぜ、そこまで富田が政美に惚れ、執着するのか心情的に乗り切れない。2人の生っぽいシーンがあってこそ、最後の銃声で終わるシーンに切なさが響いたと思う。しかし一方で、富田と神川の関係はよく描かれていたと思う。二人のぶつかり合いのシーンが、インパクトを残している。なぜか、佐藤浩一と原田芳雄の演技もよかったが、日本人が、熱く自分の生きる思想や国を語ることが少なくなった今だからこそ、この2人の主張は見ごたえがあった。歴史を勉強しなおそうと思えた作品。 6点(2004-07-24 16:27:34) |