1. ゲド戦記
前評判ほど悪くない。確かに宮崎駿は天才すぎる。同じ絵で息子のを見せられると、どうしても比較して物足りなく感じるのは然りだろう。しかし一番評判が悪いストーリーに関しては説明不足とか起伏に乏しいとかは特に気にならなかった。そもそも原作だって暗くて重苦しくて哲学的で…、決して子どもが手をたたいて喜べる、面白くてページをめくる手が止まらないといった類の作品ではなかった。 個人的な話をすると、原作の『ゲド戦記』と言えば小学校の図書館で1、2巻にはまり、第3巻を親にねだって買ってもらったという結構思い入れの強い作品。この映画の正直な感想を言えば「原作のストーリーと全然違うくね?」という、何ともまあ残念な気持ち。影とかテナーとかいった主要キャラは確かにちゃんと使っているが…。本当はもっと原作を大切にして欲しかったし、ルグウィンの気持ちを考えると、親父さんが撮るのが筋だろうと思う。 しかし息子さんも頑張ってくれている。クモや竜のキャラ造形は結構良いし、絵の雰囲気も作品の世界観を損なっていない。ストーリーを追う映画ではない(そういう映画も沢山ある)と思えば、普通に鑑賞できるレベルには仕上がっていると思う。素人が初めて監督したと思えば軽く及第点なのでは。監督の次作があるならぜひ映画館に足を運んで、その成長を見てみたい。 [地上波(邦画)] 5点(2008-07-12 12:13:13) |