1. 告訴せず
日頃、女房や身内に顎でコキ使われているパッとしない入婿が、衆院選に立候補している義兄の選挙資金三千万円を持ち逃げする。ところが表沙汰になるとマズい裏金だけに、入婿を告訴しようにも告訴できない。そんな主人公の入婿を演じているのが青島幸男だけに、方向性としては風刺喜劇。水増し領収証を請求する大臣、大金の出所がわかると身を引く警察署長、動物の骨で吉凶を占う神主などなど社会風刺をそこかしこに効かせており、話しはどう進みどんな結末が用意されているのか最後まで興味は尽きない。熟女・お篠を演じる江波杏子の脱ぎっぷりも良く、西村晃、加藤嘉など脇を固めるクセもの揃いの役者陣もこの風刺劇をしっかりと盛り上げてくれた。シニカルな余韻を残すラストも印象的。 7点(2005-03-01 21:46:44) |
2. コレクター(1965)
男女の違いにより視点も受け取り方も異なる傑作、名作は数多くあるが、この作品ではそれが著しく表われるのではないだろうか。この映画でのテレンス・スタンプ演じる主人公の男、おそらく幼い頃からイジメられたり仲間はずれにされたりで、一人孤独な生活を送ってきたに違いない。美しい蝶の収集だけがすべてを忘れさせてくれる唯一の楽しみなわけだが、やがて一線を大きく越え狂気の世界へ入ってゆく。視線を斜めに反らしややうつむき加減に歩く姿は、男である私の心情からするとむしろ哀れみを誘い気の毒でもある。(もちろん監禁は許されぬ犯罪です) 監督は万人が認める名作かつ大作である「ローマの休日」「ベン・ハー」などで有名な名匠ウィリアム・ワイラー。しかし個人的には、本作を含め「必死の逃亡者」など社会の闇の部分を斬新な視点と切り口で格調高く描き切る作品こそ偉才振りを発揮していると思うし、また好きですね。それは、常人と常人ではない人間(常人と紙一重かもしれないが)とを対峙させることにより生み出される独特の緊張感、そして監督ワイラーならではの異色心理劇、とでも言えばよいかもしれない。本作に於いても、見る者を困惑させる意外なラストは当時斬新だったに違いなく、それはあたかも将来起こるべく犯罪を予見しているかのようである。ラング作「M」、ヒッチコック作「サイコ」などのお手本があったにしろ、サイコ・サスペンスの傑作であることに疑う余地はない。 9点(2004-10-22 15:50:11)(良:1票) |
3. この森で、天使はバスを降りた
神秘的な森の雰囲気と、生活感漂う人間ドラマを上手く融合させており、まるで大人向きの絵本を見るような作品。そうそう胸に染み入る音楽も印象的で、ミステリアスな味付けも充分。しかし脚本と人物描写に、粗っぽさが目立ちましたね。作文コンテストのところで?マークが点滅。100ドルという決して安くはない応募金で、山ほど回収出来るというのは夢物語の世界。しかも後々、法的にモメるのでは? またラスト、ネイハムの壇上での告白にはズッコケてしまった。その一方、レストランでの親子対面のシーンにはヤラれてしまいホロリときましたけどね。この玉石混交のプロットは何なんだ? まるで寓話のような印象を受ける作品でしたが、脚本をもっと丁寧に仕上げて欲しかったネ(-1)。 7点(2004-07-16 10:42:47) |
4. コピーキャット
シガニー、逃げる逃げる。「エイリアン」のリプリーよろしく急転「ヘイ、カモーン!」で闘うヒロインになると思いきや・・・逃げの一手でした。オチに象徴されるようマズい脚本に役者頼みの演出。シガニー・ウィーバーにホリー・ハンター、二枚看板のおかげでかろうじて最後まで見れる凡作サスペンス。赤いドレスを着たシガニーの、トイレでの宙釣りシーン(2回見れるっ!)に5点。 5点(2004-04-30 13:44:32) |
5. GODZILLA ゴジラ(1998)
「GODZILLA」というタイトルに不満がある。アメリカ版「ゴジラ」というタイトルでも付ければ、日本でも話題を呼び、客がどっと入って来るぐらいに思っているのだろう。安くはない入場料を支払って、観客のがっかりした様子を思い浮かべてほしい。ただ「ゴジラ」とは何の関係もなく、タイトルを「イグアノドン現わる」とか「トカゲザウルスの襲来」とするならば、なかなか迫力のある映画だった。とくにニューヨークのビル街を疾走するシーンなんか。 5点(2003-08-23 23:36:17) |
6. コクーン
ロン・ハワード監督らしいヒューマン・タッチな作風は、ジーンと胸を打つ大人のファンタジー。テーマとしては重い老人問題で、誰しもやがては訪れる“老い”と“死”。 あまりにも非現実的なラストはまさに“おとぎ話”。 個人的には、老人達は神と出逢い“昇天”したと受け取りたいですね。 7点(2003-08-17 16:14:50) |
7. ゴジラの逆襲
前作の「ゴジラ」に比べると衝撃度や新鮮味が落ちるのは仕方ないが、何とも魅力のない演出にダメダメなストーリー展開。その一方で特撮はなかなか迫力があり、ラストのゴジラを氷に埋めるシーンは見応え十分(当時としてはネ)。本作では“売り”であるはずの怪獣格闘場面にやや満足感に欠けるが、史上初の試みということでそれなりに評価したく思います。特撮のみ評価対象で、6点。 6点(2003-08-02 21:51:04) |
8. ゴジラVSビオランテ
前作が前作だけに全く期待しないでいたら、これが信じられない位に良かった! ! 監督以下、スタッフが入れ替わると、こんなにも違うものか。本作ではオリジナリティ溢れるビオランテが最高に良かった。皮肉にも、ビオランテがゴジラの存在感と恐怖感を浮き彫りにさせた感さえする。とにかくビオランテの誕生過程がドラマ性を帯びておりゾクゾクさせてくれた。今を感じさせる遺伝子融合はもちろんのこと、天才科学者の悲哀と狂気をも絡めてあるプロットが素晴らしい。このビオランテほど、彩りと悲しさを感じさせてくれる怪獣はそうは無いだろう。《ネタバレ》またラストの、ゴジラの退却は見事な余韻を残してくれた。それは近代兵器に恐れをなしたのではなく、あたかも兄弟(兄妹?)であるビオランテに諭されたかの様であった。 8点(2003-07-27 16:16:24) |
9. ゴジラ(1954)
日本特撮映画史上の最高傑作! しかも、この映画ほどイマジネーションを働かせてくれる作品はそうはなく、傑作としての説得力は十分過ぎるぐらい持っている。“ゴジラ”という希有なキャラクターが日本のみならず世界中にその名を轟かすというのは、その存在がいかに激烈であるかの一言でしょう。とにかく想像上の生き物である怪獣“ゴジラ”を生み出したことが凄いし、素晴らしい。その山の様にとてつもなく巨大な生き物が白熱光線を吐き散らし、都市を破壊し尽くす様は想像しただけでも恐ろしい光景だ。個人的にはあまり理屈っぽく考えず、ただただ“ゴジラ”という巨大な生き物に恐れおののけば良いと思う。 9点(2003-07-27 00:05:08)(良:1票) |
10. コナン・ザ・グレート
ずいぶん前にテレビで見ましたが、復讐物の冒険ファンタジーという感じの映画でしたね。とにかく主人公の若者が、ターザン以来の見事な肉体美の持ち主で、どうすればあんな身体になれるのか、目を白黒させたのを覚えています。たしかこの当時、ボディー・ビルが大流行りで、猫も杓子も体道よろしくダンベルを上げ下げしていたものでした。しかし、あの無口な筋肉青年がシュワルツェネッガーだと知ったのは、「ターミネーター」を見てしばらくたってから。 演技派とは一線を画しているシュワの原点ともいえる本作に、う~ん…7点。 7点(2003-07-27 00:04:42) |
11. ゴーストバスターズ(1984)
何だかな~、笑いに対する日本とアメリカの文化の違いというものを感じるわで、どうも合わなかったですね。ところで「エイリアン」の闘うヒロイン、シガニー・ウィーバーが嘘みたいな役で出ていたのには驚いたよ。 4点(2003-06-07 14:51:12) |
12. コンタクト
ラブストーリーを絡め、本格的なSFドラマを狙ったという感じ。この映画、とくに語り出しが素晴らしい。饒舌から静寂 ……そして、後の伏線となる大好きだった父親との回想 …。純粋で真面目な女性科学者エリーを、ジョディー・フォスターはきっちりと演じ切っているのはさすがで、デヴィット・モース、ジョン・ハートらも良い味出していた。実力ある俳優を中心に添え、メリハリのあるドラマを展開するという手腕は、さすがロバート・ゼメキス! ! 本当にうまい! ! また、コンタクトは実際にあったのか? なかったのか? 見る側に委ねるというエンディングもシャレていた。ただ惜しむらくは、マシュー・マコノヒーの登場するシーンは嘘っぽいラブドラマにしか見えず、この辺は何とかならなかったものか(-1)。 7点(2003-04-26 23:36:37) |