1. この世界の片隅に(2016)
《ネタバレ》 【先行上映会にて鑑賞】 今年は「こうの史代原作の初のアニメ化」という事で、期待やら不安やらクラウドファンディングやらと忙しく過ごした2016年でした。期待というハードルはエベレスト山頂よりも高くなり、それと同時に発生した宇宙空間よりも広く深い漆黒に染まった不安と、日々やんごとなく格闘する私でした。 「ブラックラグーンの片渕監督やし、原作モノのアニメ化は巧者なはず」「キルラキル以降ヒット作のないMAPPA製作やけど、大丈夫なんか(キルラキルはトリガーだよ!と、2017/10/07に気付く)」「主演は能年…あまちゃん観た事ねぇけど、どうなんやろ!」…等々の、期待と不安。 それでも、呉を舞台にするアニメを作る下準備の惜しみ無さを、ほとんどストーカーかよ!というレベルで観察させていただいたせいでしょうか。当時の風俗、流行、背景などの設定の緻密さ、丁寧さに、驚かされるやら呆れるやら。私の不安など霧散させる監督のコダワリっぷりには、まったく脱帽です。 しかし…アニメは総合芸術。準備期間の長さやコダワリなんぞと、作品のクオリティは決してイコールではありません。 「結局めっさハードル上がってるやん!うおおおおどうしよ!ハードルどころか、幕、上がってるやん!」と、期待と不安に駆られた満員の劇場、そして私。 「かなしくて~かなしくて」コトリンゴ手がけるオープニングが流れ、動き出す世界。この時の静かな高揚を、どう言い表せばいいのか、わかりません。喜怒哀楽のすべての感情が、静かにふるふると蠢動していたように思います。 鑑賞後「拾いそびれたエピソードが惜しかった云々」「こうの漫画の起承転結の巧さが、長編アニメにそぐわない気がしないでもない」などと、つらつらと思い耽っていましたが 「この世界の片隅で…生きてきて良かったなぁ 生きる意味、あったなぁ」で、締めくくられていました。 製作陣のすべての人に、惜しみない拍手と賛辞を。クラウドファンディングに参加できたこと、それ以上に、この映画に出会えた事を、私は一生誇りに思います。 蛇足ですが、聖地巡礼は済ませました。公開前なのに! [試写会(邦画)] 10点(2016-11-05 03:26:36)(良:1票) |
2. 言の葉の庭
《ネタバレ》 雨の日の四阿でゆっくりと逢瀬を重ねる見知らぬ二人。下手をすれば嫌味で陳腐なロマンスにしかならないような展開を、臆することなく描きあげて洗礼させた新海誠のセンスに脱帽するほかない。 「あなたは子供で、私は大人でしょ?」と、孝雄との距離を置こうとする百香里が、ラストに見せた結末、そこにに差した陽の光が奇跡的に美しく、愛しい。 圧倒的な美術と繊細な脚本という新海誠の真骨頂を、これ以上なく堪能できる奇跡的な46分でした。新海作品の信者である私にとっては、この点数以外ない。 [映画館(邦画)] 10点(2013-06-03 06:56:56)(良:1票) |
3. 告発
囚人と弁護士。2人のやり取りが本当に美しい。そして手に入れた勝利は、輝かしい。100人いれば100人に勧めよう!必見。 10点(2003-04-02 16:41:23) |
4. 告白(2010)
倫理観やトレンド的なものに対して一切の配慮もなく、氏の構想するエンタメに対して真っ直ぐに撮りきった監督の心意気が清々しい。映像と脚本の破綻しない寄り添い方も、見事としか言いようがない。 松たか子、木村佳乃という「別に何の期待もしていない」役者陣でしたが、個々の実力以上としか思えない演技にも、驚かされました。 初見ですが、中島哲也。恐るべし。 [DVD(邦画)] 9点(2012-06-04 23:14:36)(良:1票) |
5. 河内山宗俊
「任侠に妙なファンタジーを感じちゃっている」人には是非観て貰いたいスタンダードなクラシック任侠物。昨今の極道モノにありがちな生暖かいナルシズムも、嘘臭いカタルシスも、この作品にはエッセンスですらない。某○シネ系極道物シリーズを何億本製作したところでこの高純度には及ばないだろう。真っ当な人情物エンタテイメント作品として古さを感じずに楽しめた。 [DVD(字幕)] 9点(2006-05-30 12:44:40)(良:1票) |
6. コンタクト
トンネル(?)を抜けていくJ・フォスターの台詞(すんごい名台詞・シーン)を聞いて、「宇宙飛行士は、詩を学ぶべきかもなぁ」と、同感した。詩人を連れて行く訳にはいかないしね。日本の描写の可笑しさはは、もう慣れた。突っ込む所とも思えないので減点対象とはしません~。傑作。 9点(2003-10-19 12:12:02) |
7. GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊
押井守の精一杯のエンターテイメント。混沌とした世界観といい、テーマ、音楽、脚本、全てにおいて上質。最近攻殻~はテレビシリーズも好調なので、嬉しい。 9点(2003-05-20 18:52:05) |
8. コクリコ坂から
港のシーンや、台所のシーンなど、飛び降り後の「ずぶ濡れボーイ・ミーツ・ガール」なシーンも含め、全編なんしか、瑞々しい。 特に「肉屋まで乗せてってやるよ」とチャリンコ二人乗りで坂道を下るシーン、そしてその肉屋でコロッケをシェアするシーンなんて、瑞々し過ぎて卒倒しそうになりました。 その「瑞々しさ」だけでなく、若さゆえの葛藤や切なさ、勢い、などの心情描写も、非常に旨い。 1960年代の横浜や、コクリコ荘、特にカルチェラタンなどの舞台設定も、実に旨く機能していて、面白かった。 蛇足ですが、左官屋の娘が哲学部のムサイ男の前で漆喰を器用に滑らせるシーンと、ちょっとズレた美大生っぽいメガネ女子・ハルに、宮崎吾郎の「萌えどころ」を垣間見たような気がするのは…気のせいだろうか。(超個人的な萌え所を、ひとのせいにするな!) [映画館(邦画)] 8点(2011-08-20 06:06:27) |
9. ゴールデンスランバー(2009)
国家権力という巨大な怪物に、平凡な男の特別でない能力と、その彼と人との縁が勝ってしまう。 それを愚にもつかないファンタジーだと、感じるかどうかは人それぞれだと思うが、私は痛快だった。ちょっとしたご都合主義も、ご愛嬌。 [DVD(邦画)] 8点(2011-08-01 03:12:00)(良:1票) |
10. コマンダンテ
フィデル氏にO・ストーンが好き放題インタビューするという、社会派らしいドキュメンタリ。O・ストーンのズケズケとした質問に、やや難色を示すものの真摯に受け答えするフィデル氏のかね合いが面白くも興味深かった。ある程度の近代南米事情の予備知識がないとあまり楽しめないのも事実で、一見さんには少しツライ内容。 しかし、O・ストーンのズケズケ度も面白かったが、次はM・ムーアあたりにズケズケ行って欲しい。 って、そんな企画モノじゃないか。 しかし、こんなにも面白オカシクも真面目なドキュメンタリ作品が上映禁止だなんて、アメリカという国は、未だ何に怯えているのか。まったく、病んだ国である。 [DVD(字幕)] 8点(2008-08-25 21:53:13) |
11. ゴジラ(1954)
昭和29年に「娯楽大怪獣映画を作ろう!」という勢いで、(当時にしては)ココまでビックでスケールのデカイ作品が出来たという事に感動。伊福部サウンドの「ゴジラのテーマ(?)」も、良いな。格好良いな。ステキだ!水中酸素破壊装置(オキシジェン・デストロイヤー)を沈めるラストは、ウッカリ泣いてしまう感動シーン。名作だよねぇ…。 8点(2004-08-28 11:44:44) |
12. コレリ大尉のマンドリン
この映画はドイツ人が悪役なのではなく、戦争が悪役なのだと僕は思う。<ネタバレ>銃殺シーンは嫌なシーンだった。伊独両者ともに。 8点(2003-05-04 21:44:35) |
13. ゴールデンボーイ(1998)
<ややバレ>ブライアン・シンガーの名前で観た。ユージュアルサスペクツ程では無かったにしろ、まあまあ面白かった。どうやら原作殺し?な、映画らしいが、原作はもっと怖いんだろうか・・。気になるなぁ。ちなみに私の中での「身の毛のヨダつ自殺シーンのランキング」では堂々一位。 8点(2003-03-16 11:20:18) |
14. GO(2001・行定勲監督作品)
一緒に見た在日のツレは、「ど~かな~?もっと軽く、そんで誠実、な感じに扱ってくれても良いんじゃないかな~・・・」との事。むむむ。そうか。俺はこれもアリなんじゃないかな?と、思ったが。俺には解らない俺と君との一寸した隔たり?とでも呼ぼうか。それを減点してこの評価だ! 8点(2003-01-29 21:43:16) |
15. この素晴らしい世界に祝福を! 紅伝説
《ネタバレ》 奈良のアクセス難な劇場、しかも公開終了時間が22:00越えという大阪市民に対する嫌がらせみたいなスケジュールで公開されていたので、足を運び鑑賞。 おかげで終電ギリギリでしたが何の呪いですか「このすば」劇場版! 経緯はさておき、感想。んー…大画面スクリーンとド迫力音響で、めぐみんの爆裂魔法をヒタスラ堪能し、愛でるため「だけ」の映画でした。 細かいアラが気にならない訳ではないですが、余は満足です。 徐々にアガっていく高橋李依の呪文詠唱が、カッコイイ。 [映画館(邦画)] 7点(2019-12-08 01:53:15) |
16. 心が叫びたがってるんだ。(2015)
《ネタバレ》 長井監督×岡田脚本×田中キャラというタッグの、ほぼほぼ間違いのない青春群像劇。 ラストの「俺、成瀬に告ってくるわ」は、ちょっと賛否の問われる蛇足感ではあるが、個人的には「フラレて弱ってるときが狙い目だと思うぜ田崎!」と、胸熱。ゲスい中年の共感と、笑わば笑え。 エンディングの乃木坂が、画龍点睛を欠きまくり。ヘンなシガラミやら広告代理店やらトレンドやらに振り回されてねーで、ちゃんと仕事しろアニプレックス。 [DVD(邦画)] 7点(2016-04-16 03:19:55)(笑:1票) |
17. GODZILLA ゴジラ(2014)
《ネタバレ》 「今を生きる我々が、次世代の為に何を残せるのか」という堅苦しいテーマと、超大型怪獣の乱闘というエンタメ性が、結構悪くない程度に寄り添えていたように思う。伊福部サウンドを意識したような重圧なサウンドも、カッコイイ。 蛇足だが、英語圏で言うところのGODZILLA(ガッジーラ)を、頑なに「ゴジラ」と呼称した渡辺謙は、やはり立派だと思う。実写版「北斗の拳」で、ケンシロウの事を「ケンスィロ」と呼称していた鷲尾ゆり子はちょっと見習うべきなのではないかと思ったが、そもそも格が違うか。(いろいろな意味で) [DVD(字幕)] 7点(2015-05-03 02:19:02) |
18. 交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい
《ネタバレ》 総集編でもなく、まったくの別世界という訳でもない、正しく「もうひとつのエウレカセブン」ですね。しかし、テレビシリーズの「エウレカ」という下地の知識が無いと、かなりわかり難い物語で、展開もすこし駆け足気味かな。一見さんに対しての目一杯の配慮を感じつつも、門外のお客様にはちょっとまだわかり難い物語です。 テレビシリーズでは何度も何度も泣かされた「エウレカ」ファンの私としては、申し分ない作品なんですが。 私的には6~8点、一見さんには3~4点くらいかな? キャラクター心理の明暗を見事なまでに演じきった名塚香織の才能に、とりあえず驚愕。 おまけで一点。 この作品がきっかけになり、テレビシリーズに興味を持ってもらえたら…という希望を含んでもう一点。 蛇足ですが、ウォズとケンゴーが17歳という設定は、ちょっとナシだな…と感じた。 [DVD(邦画)] 7点(2009-07-03 03:08:01) |
19. 攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society〈TVM〉
《ネタバレ》 この監督との相性は滅茶苦茶良くないんですが、この作品は楽しめました。神山作品は攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX(複雑な展開のワリに面白さはソコソコ)→2nd GIGS(選民意識というかスーパーマン思想バリバリの最終回にカチンとくる)→本作と観てきたんですが、この作品は面白かった。バランスがイイというか、ナルシズム薄い目というか、アクションシーンはやっぱカッコエエな!な所だとか。老人問題や児童虐待問題などに無理矢理絡んできた感もするが、ちょっぴりエンタメ寄りで悪くない。音楽のクオリティは相変わらず高い。(というか、小器用というか。イイ意味で。) [DVD(邦画)] 7点(2007-01-10 17:03:32) |
20. 恋の門
幾ら好みの男前だからって、初めて会った日に自室に誘うオタク女子はいません。笑。しかしオタクゆえの業や、異次元と言ってもいい位に境遇の違う男女二人が互いの溝に腐心する様、そして大袈裟になりつつも展開されていくストーリーや演出は、流石松尾スズキ。面白い。原作ファンの視点としても、シャク的にみてキチンと収まっていたと思います。超豪華な友情出演も、コアな漫画マニアには堪りません。オタクにとってもマニアにとっても(二つは別物ですから…笑)豪華すぎます。面白かった。で、脚本がクドカンっぽいと感じるのは、両氏とも「大人計画」という劇団在籍(松尾スズキ団長)ですので… [DVD(字幕)] 7点(2005-12-12 00:38:51) |