1. この世界の片隅に(2016)
《ネタバレ》 原作未読。戦争を背景に広島の呉に嫁いできた18歳のすずと家族の物語。相当なリサーチをしたという昭和の広島の風景や軍港であった呉の景色と、彼女の視点から描かれた戦時下における家族や庶民の慎ましく何気ない日常が美しい。優しく暖かなタッチの画とユーモアを交えたとても丁寧な演出で描かれており惹き込まれる。コトリンゴによる音楽と彼女の透明感のある優しい歌声がまた作品にマッチしていて心地良かった。その幸せな日常を奪おうと日一日と迫りくる戦禍と遂に来てしまう原爆投下。無音と閃光によるそれの表現は息を飲むほどの衝撃だった。ぼんやりと生きてきたすずの居場所を奪っていった戦争。居場所を見失ってしまったすずは見つけ出してくれた周作に救われ、母を亡くして居場所を無くしてしまった孤児はすずと周作に救われた。あの世界の片隅で居場所を取り戻したすずたちはどう生き抜いたんだろうなと思った。 主役すず役のん(本名:能年玲奈)。「この世界の片隅に」というタイトルに境遇が似てしまっているが、天然でノンビリとした性格のすずを演じるための試練だったのかなって思うくらいにハマっていて上手かった。それに負けじと他の声優陣も頑張っていたな。容赦ない描写もあるけどぜひ劇場で観てもらいたい一本。 [映画館(邦画)] 10点(2016-12-06 21:40:42) |
2. 告白(2010)
《ネタバレ》 原作未読。娘を殺された女教師の告白と復讐なのかと思いましたが、関わった人間のそれぞれの視点からの告白という形態で、誤解や偏見による見解の相違や論理感で悲劇を生みだし進んでいく展開は中島監督の演出の巧さもあってグイグイと引き込まれるモノがありましたね。編集や間の取り方、子役も上手いし音楽も良いな。 学生時代を思い出しながら観ましたが、「いるよなぁ、このタイプ」と思うような生徒達と無駄に熱血で話を大きくする先生、現実を直視できない母親、子供が思うようにいかないと切れる母親などリアルを感じました。 感情が死んだのかと思わせるような淡々とした口調で告白する森口。彼女は理論的で理詰めで精神的に追い詰めるやり口で怖かったな。最後の「なぁ~んてね。」って台詞は色々なトコに掛けているような解釈ができるので深みが増した。 学級崩壊、いじめ、徒党を組み場の雰囲気に流されノリで悪さを繰り返す少年法に守られた冷めた子供たち。守られていると解った上で軽々しく人の命を奪うのは稀な例だが、命の重みを理解するには自分の大事なモノが壊されないと、ってのは感じますね。全てお遊び感覚なんだろうな。日本の未来はどうなるんだろう。 まぁこの無軌道な子供たちやその親に鉄槌を喰らわすような作品をよく撮ったし、凄いなとしか言えませんわ中島監督。これに対して観た人がちゃんと理解し、向き合うかはその人次第だろうけどね。 [映画館(邦画)] 10点(2010-06-08 22:26:59)(良:1票) |
3. 荒野の用心棒
イーストウッドのカッコ良さにシビレた。あのアイテムは隠し味。 8点(2003-10-26 17:24:31) |
4. コーラスライン
ミュージカル映画として良く出来ている。 8点(2003-09-19 01:27:48) |
5. ゴースト/ニューヨークの幻
歌で騙されてる気もするけど、死後も恋人を守るパト、ウーピーの好演が良かった。 8点(2003-09-13 20:41:08) |
6. ゴーストバスターズ/アフターライフ
《ネタバレ》 疎遠だった父の遺産の寂れた農場を相続したシングルマザーのキャリー一家。さっそく屋敷を探検して回る息子トレバーと娘フィービーは奇妙なハイテク装備や車を発見。兄妹は祖父がゴースト退治の専門家だったことを知る、という流れ。 駄作の続編にありがちな余計なモノを入れずにこの家族を中心に物語を作っていったのは大正解。その家族と仲間が片田舎の寂れた町で世界を救うという大きな話なんですが子役の子たちはみんな演技が達者で良かったんです。特に祖父の血を継いでいる天才理系少女フィービー役のマッケナ・グレイスと相棒ポッド・キャスト役のローガン・キムが可愛くてやりとりが微笑ましかったな。 途中でレイ(ダン・エイクロイド)が出てきたので彼は助っ人で来るんだろうなとは思いましたが、まさかメンバー全員勢揃いとは思いませんでした。亡くなってしまったイゴン(ハロルド・ライミス本人も故人)は守護霊としてそれとなく娘と孫を見守りつつ、終盤には姿を現し初代メンバーとの再会はグッとくる展開だった。父親であるイゴンと折り合いが悪いと思っていた娘キャリーも、ゴーストと戦い続けるために距離をとっていただけで実は愛されていたと判明する下りや再会シーンも良かったです。それぞれ距離があった親子3世代全てが丸く収まる綺麗な終わり方でまさか感動させられるとは思いませんでした。オリジナル同様にユルいユーモラスな場面も多く、みんな大好きなマシュマロマンをはじめとしたゴースト達や音楽や小ネタなどオマージュも満載で上手く絡めていて終始雰囲気が良かったです。1と2が大好きな人は安心して観られる内容だと思います。オリジナルの監督アイバン・ライトマンの息子ジェイソン・ライトマンが監督だったというのも数奇な運命を感じましたが、オリジナルへの敬意と愛が溢れてましたね。 [映画館(字幕)] 7点(2022-02-13 22:21:08) |
7. ゴーン・ガール
《ネタバレ》 原作未読。フィンチャーらしく演出に切れがあり編集が上手いのでどんどん引き込まれた。特に消えた妻エイミーの綿密な計画の回想シーンは、細かいカット割りの巧さもあり完全犯罪成立で勝者になりえるくらいの勢いだった。気の緩みから小馬鹿にしていた低所得者に目を付けられ大金を奪われるカウンターを食らうという自爆や向ける矛先がなく枕に発狂したりする辺りは可愛げもあったが、立て直す唯一の手立てだった元カレの元に転がり込むも軟禁状態にされ、どうすっかなと思考中に旦那の媚びた会見を見て気が変わり、元カレを虐殺して練ったシナリオを強引に修正するあたりは恐ろしさを感じた。まあ、隙もあるけど子供という人質も取られてしまい、この女には生涯勝てそうもないなと思いましたね。 エイミー役のロザムンド・パイクが圧倒的な存在感で素晴らしかったけど、旦那役のベン・アフレックもお人よし風で愛想良くするだけで一見人畜無害のぼんやりした男を好演したかな。人によってはホラー、人によってはブラックなコメディの要素もあって面白かったですね。結婚間近のカップルや倦怠期の夫婦の方が観たら色々と面白そうな気がします。彼や彼女は理想の男や女を演じているだけなのかもしれません。あなたは隣にいる人の事をどこまで知っていますか?結局は相手を信じるしかないんだよねえ。 [映画館(字幕)] 7点(2014-12-14 01:00:31)(笑:1票) |
8. 恋とニュースのつくり方
《ネタバレ》 恋に仕事に奮闘する女性のサクセス・ストーリー。お決まりのコースでベタベタではありますが、主演のレイチェル・アダムスはいつも一生懸命で周りも活性化されるし、仕草や笑顔がとってもキュート。彼女を見ているだけで元気が湧いてくる気がしますんね。 脇を固めるプライドの高い伝説のキャスターにハリソン・フォード、そのプライドの高いキャスター曰く「元ミス・カッペ」でゴシップ好きなキャスターにダイアン・キートン。両者は余裕綽々で普段とは違うキャラを楽しげに演じており、抜群に良い味を出していた。ハリソンはクールにダイアンは笑顔を浮かべながらも、終始やりあう皮肉の応酬は面白くニヤニヤしっぱなしでした。片や気に入らない事はやらない、片や視聴率アップのために何でもやる、その二人が最後には…って落ちも面白くもあるし、当然主役のレイチェルも恋も仕事もゲットしてハッピーエンド。ちょっと妬ましく思っちゃった方もいるかもしれませんが、「頑張ろう!」って気になるし、みんながハッピーになれる映画は良いなと思いました。 [映画館(字幕)] 7点(2011-03-03 23:44:50)(良:2票) |
9. コララインとボタンの魔女
原作未読。この原作者のゲイマンって、クレア・デインズやロバート・デ・ニーロが出たファンタジー映画「スターダスト」の原作者なんですね。アレが原作つきとは全く知りませんでした。 奇妙で不気味さを漂わせつつも可愛いらしさもある極彩色のダーク・ファンタジー。つまらない事ばかりの現実の世界ともう一つの楽しい世界、実はその楽しい世界は…という昔からある題材ながらキャラクター、美術、音楽と抜群な雰囲気を備えててちょっと怖いけどワクワク感がいっぱい。惜しむらくは吹替え版のみの公開で主役の声かなぁ。戸田恵子はさすがだったし、劇団ひとりや他は好かったが主役はちと微妙だった。でも絵本のように分かりやすいので大きなお友達だけではなく小さな子にも観せてあげたい作品ですね。 それにしても手作り感にあふれ愛を感じるストップモーション・アニメは良いわ。気の遠くなるような作業だし、CG全盛の世の中じゃ需要は少ないかもしれないけど、この分野を絶やしてはいかんと思います。 [映画館(吹替)] 7点(2010-03-04 21:59:27) |
10. GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊
原作の濃縮さを残しつつ、上手く短くまとめて見ましたって感じかな。映像のレベルは高いですね。 7点(2003-11-18 00:07:00) |
11. コミック雑誌なんかいらない!
内田裕也は映画に出てもロックしてるな。 7点(2003-10-18 21:35:55) |
12. GONIN
みんな良いけど、たけしイイねぇ。 7点(2003-10-16 00:33:26) |
13. コマンドー
人間味のあるスタローンと違い、機械的な無敵ぶりはここから。 7点(2003-09-19 01:08:09) |
14. ゴースト・オブ・マーズ
このチープさがカーペンターの真骨頂。 7点(2003-09-12 20:02:34) |
15. ゴーストシップ
幽霊船ってあんまりなかった設定も盲点を突いていて楽しめた。演出も良かった。あとホラーにロックは必須だなぁと。曲のかかるタイミングも落ちもグッド! 7点(2003-09-12 17:44:01) |
16. ゴジラ キング・オブ・モンスターズ
《ネタバレ》 前作サンフランシスコでの惨劇被害者家族をメインに据えてましたが邪魔で仕方がなかったですね。夫婦は生体音を流して怪獣を操作出来るという不思議システムなオルカを開発した元モナーク幹部だそうですが、「人類は地球の寄生虫。怪獣を蘇らせ滅ぼす」という「どこのサノスだよ」的なマッドサイエンティストのような思想で環境テロリストとともに行動しギドラを目覚めさせる嫁。それを止めようとする旦那、「こんなのイヤ」と逃げる娘が怪獣バトルの合間にことごとく延々と繰り返すのでテンポが悪かったです。怪獣を操れる超兵器と言っていいくらいの能力を持つオルカはただの端末で誰も監視しておらず何度もかっぱらわれるザルっぷりだし、人類を滅ぼそうとしたくせに終盤は娘捜しに躍起になっているというブレっぷりでアホかと思いました。『死霊館シリーズ』で好演しているヴェラ・ファーミガでしたが残念な役回りでしたね。モナーク側もテロリスト側もキャラが豊富に出てるわりにキャラが立っておらず凡庸な人だらけ。そんな人間パートの中で渡辺謙はさすがだったかな。初代ゴジラと逆で長年研究してきた盟友ゴジラに人類生存の願いをこめ「さらば友よ」と身を捧げて復活させる道を選択した芹沢は良かったです(ただまあ核の扱いは相変わらずですし、なおかつ日本人に特攻させるのはどうかと思いましたけども)。 ゴジラの造形は背びれを初代のような形に修正してきましたが相変わらずでっぷりとしててダメでしたし、伊福部昭の曲をアレンジして使ってましたが変な合いの手が入っててスゴく萎えましたが、キングギドラの光線がギザギザだったり神々しいモスラの美しい羽ばたきがあったり飛翔で衝撃波がでるラドンがいたり、今回は逆な役回りでしたがオキシジェン・デストロイヤーを持ってきたりバーニングゴジラになったりとオマージュ満載だし、怪獣プロレスのバトルはとても良かったです。最後はギドラの首が出て来ましたが単独じゃとても敵いそうにないコングのために細胞を使って何を作るのかな。 [映画館(字幕)] 6点(2019-06-01 18:40:04) |
17. ゴースト・イン・ザ・シェル
《ネタバレ》 予告を観てヤバいなとしか思えなかったんですがビジュアルや世界観を含め想像より良く作り込まれてますね。押井版の美味しい場面を忠実に再現しつつ哲学的な面を抑えエンタメに振ったオリジナル作品になっています。ただ、一般向けな作りになっているので、そういうメッセージ性を期待して行くとネットにダイブしないという真逆な落ちにもなっているのでガッカリするかもしれませんね。本国アメリカじゃ昨年のアカデミー賞の人種差別問題からの流れで主人公の白人化(ホワイトウォッシング)とやらで叩かれててましたけど、その理由づけも出来てるとは思いますので文句がある方はとりあえず観てみてはどうでしょうか。まぁ電脳の要素薄いなとか使い方が変だなとか、たけしのセリフが聞き取れないし電脳なら後でアフレコでいいんじゃ?とか所々突っ込みたいシーンはありましたがコレはコレで悪くはなかったです。 [映画館(字幕)] 6点(2017-04-09 01:08:32) |
18. GODZILLA ゴジラ(2014)
《ネタバレ》 日本の第一作目をベースに色々と付け加えたリニューアル?ハリウッド版ゴジラ。原点回帰的な内容なので概ね満足できる出来なのではないでしょうかね。ギャレス・エドワーズ監督は『モンスターズ/地球外生命体』で脚光を浴びてましたが、アレと同様に焦らして焦らして寸止めという演出なので、ゴジラ登場シーンはテンション上がりました。ただ、デザインに関しては前のマグロ大好きなアレよりはマシなものの、かなりメタボリックなのが残念。顔つきもそうだけど、胸から首回りなんかは太すぎて甲羅をとられたワニガメにしか見えなかったし、足が映った時はガチャピンかと思った。あと、背びれが徐々に光を帯びて放射熱線をぶっ放すトコは燃えましたが威力イマイチ。格闘も正攻法的なのでもっと圧倒的な強さを見せて欲しかった。荒々しさがなく優等生らしいのは、ゴジラの役回りが天災じゃなく平成ガメラっぽい地球の守り神的な存在にしたからなのかな。まあ地球の守り神でも常に人類の味方とは限らないし、今後どうなるか楽しみではありますね。突っ込みどころが満載なのは秘密。 [映画館(字幕)] 6点(2014-07-25 23:54:18) |
19. 恋するマドリ
新垣はこんなノンビリほんわかした感じの作品が一番あってる気がしますね。美術や衣装も綺麗にまとまってて雰囲気が良かったです(まぁ着てる人が良いんだろうけども)。中西はからくりテレビくらいスムーズに出来なかったのが残念。どんどん若い才能が出てますが大九監督も期待かな。 人生いろいろありますがこの映画みたいに【にっこり】前向きに行きたいですね。 [映画館(邦画)] 6点(2007-09-09 18:48:25) |
20. コンスタンティン
《ネタバレ》 予告編やCMはアクション満載に見えるが実際はほとんど無い。ちょっとアクション要素のあるエクソシストにデビルマン(永井豪原作漫画版)+ブレイド+マトリックスのビジュアルといった雰囲気。全体的に詰めが甘く余力十分なまま終了といった不完全燃焼な感ありあり。各キャラ個性的で面白かっただけに残念だが今回は序章的なもんかな。よく観ておかないと置いて行かれるので注意。特にキリスト関係を知らないとキツそう。サタンは性格がひん曲がってて面白かったが、アルパチーノだったら最高だった。この手の天使だの悪魔だのという宗教的なネタは扱いが難しいがシリーズ化するんだろうな。 [映画館(字幕)] 6点(2005-04-16 23:01:08) |