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プロフィール
コメント数 220
性別 女性
ホームページ http://plaza.rakuten.co.jp/maika888/
自己紹介 正直、生まれは平成じゃないです。かなり、昭和なムード。昔みた映画を思い出しながらレビューしますので、記憶がずいぶんあやふやかも。なにか変なところがあったら、http://plaza.rakuten.co.jp/maika888/のほうにツッコんでおいてください。

好きな女優
 「或る夜の殿様」の山田五十鈴、「近松物語」の香川京子
好きな男優
 「お茶漬けの味」の佐分利信
好きなキャラクター
 グレムリンちゃんとマシュマロマン

☆評価基準
10点:超絶。ほとんど奇跡。
9点:傑作。かつ大好きなんだもーんッ!
8点:傑作だし、好きデス。
7点:素晴らしいです。好みの映画です。
6点:まあ、悪くないと思います。
5点:なにか気になるものはあります(~~;

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1.  ゴーストバスターズ/アフターライフ 《ネタバレ》 
世評が低いので期待してなかったけど、想像をはるかに超える出来のよさに驚いた。最後のゴーザとの対決は、もっと派手に壮絶にすべきだったと思うけれど、そこへ至るまでの展開には何の不満もありません。ゴーストバスターズの続編はこうあるべきという模範的な内容になってる。実際に死去していたハロルド・ライミスを物語に組み込み、第1作の37年後の物語として納得感のある設定と物語になってる。悪くいえば、あまりにも模範的で「続編」の枠組みに縛られすぎともいえるけど、よく練られた脚本には違いないし、主人公の女の子もちゃんとハロルド・ライミスの孫に見えます。 第1作から解釈を進めた点があるとすれば、それは「幽霊」と「ゴースト」を区別したことですね。人間が死んだら幽霊になるけれど、それはオバケではないってこと。今作のCGの最大の見どころも、やはりハロルド・ライミスの幽霊をリアルに出現させたところだと思います。 子供達を活躍させるために広大なオクラホマへ舞台を移したのも良かったし、小さなマシュマロマンも可愛かったし、相変わらず口の減らないビル・マーレーも楽しかった。科学好きの学校の先生は、生徒たちと一緒に戦ってくれるかと思いきや、ほとんど役に立たず、あっさり鍵の神に憑りつかれたのは意外でした。主人公のお母さんは色気のある美人だと思ったら、シガニー・ウィーバーと同じ役どころだったんですね。でも、わりとあっさり黒人の女の子と入れ替わってしまった。そこらへんの顛末も、もうちょっとドラマティックに盛り上げるべきだったかもしれません。2時間超えの映画ではあるけど、終盤の展開にかんしては、あと20分ぐらい伸ばして派手に盛り上げてもよかったかな、とは思う。鍵の神が破壊したゴーストの封じ込め施設もちゃんと修復すべきだったし、アジア系の男の子にももうすこし終盤の活躍の場を与えてほしかったし、その他大勢のクラスメイトやバイト仲間たちにも終盤まで役割を与えるべきではある。 これはすなわち「死後のゴーストバスターズ」であると同時に「隔世遺伝」の物語でもありますが、チェコ系アメリカ人だったアイヴァン・ライトマン以上に、息子のジェイソン・ライトマンのほうが先祖返りして一層チェコっぽい奇想のセンスが強まってるように見えて、それもまた隔世遺伝かなと思いました。
[地上波(字幕)] 8点(2024-03-30 00:27:41)
2.  子供はわかってあげない 《ネタバレ》 
多用される長回しは、相米慎二みたいな「運動する身体」ではなく、むしろ「間」を含めた役者同士の掛け合いを時間ごと写し取る演劇的な表現です。この長回しの掛け合いがことごとく面白かった。何故こんなに面白いのか分からないけれど、微妙なズレが笑いを誘うのかもしれません。 タイトルは、おそらくトリュフォーを逆手に取って、子供のほうを主体にしてるわけですね。すなわち「わかる」かどうかは大人が決めるのではなく、あくまで子供が決めるべきだって話。そして、この場合の子供とは、たんに「生物学的な子」という意味であって、けっして「人格的に幼い」という意味ではない。人格的にはむしろ大人と対等だということ。 一緒に暮らしたことのない実父が新興宗教の教祖というシリアスな状況ながら、「真面目になればなるほど笑ってしまう」という少女の物怖じしない性格のせいで、何もかもがどう転んでも間抜けなコメディになっていく展開はユニークです。同時に、思春期の少女の話でありながら、萌歌の体格の良さと、ボーイッシュな容姿と、屈託なく逞しいキャラクターのせいで、男性監督の願望投影になりがちなロリコン要素をほとんど感じさせないのも清々しい。すくなくとも終盤までは恋愛要素をまったく感じさせないのも今っぽい。その意味で、萌歌の魅力と個性も存分に引き出せてると思う。 ただ、それだけに、終盤になって門司くんが小田和正みたいな音楽とともに走り出してからは、ありきたりな「思春期の少女の恋の物語」に収まってるし、その結果、ありきたりな「女子の成長と通過儀礼の物語」に見えてしまう。そのうえ「物分かりのよい子どもの物語」にもなっていて、たとえそれが原作どおりだとしても、ちょっと結末に意外性がなさすぎます。そもそも映画の中心主題は「父娘の交流」だったのだから、いきなり終盤で「恋愛の成就」になるのは唐突に感じる。途中までは9点つけようかと思いましたが、終盤の予定調和的な展開に1点減点。
[インターネット(邦画)] 8点(2024-03-02 01:10:45)
3.  ゴジラ-1.0 《ネタバレ》 
この映画の怖さは、スペクタクルとしてのゴジラの怖さもさることながら、それにもまして戦争のさまざまな記憶を蘇らせるところにある。それはたとえば特攻の記憶であり、被爆の記憶であり、孤児や娼婦があふれかえる敗戦後の悲惨や混沌の記憶です。 庵野秀明の「シンゴジラ」は岡本喜八を模範にしたと言われるけど、おそらく今作が模範にしたのは関川秀雄&伊福部昭による「ひろしま」や「わだつみの声」、あるいは今村昌平の「黒い雨」や山崎自身の「永遠の0」、あるいは「火垂るの墓」や「この世界の片隅に」のような諸々の日本の戦争映画だったのではないかしら? ちなみに「わだつみ」とは一義的には海神のことですが、それは同時に戦没学生の比喩でもあります。 これほど陰鬱な作品とは予想していなかったので、よくもわるくも驚きました。浜辺美波がこれほど荒んだ女性の役で登場するとも思わなかった。おそらく今作は、ゴジラを題材にした戦争映画の極北でしょう。つまり《初代ゴジラの精神に戻る》というのは、たんに「人間の味方」から「人間の敵」に戻るという生易しい話ではなく、「怪獣エンタメ」から「社会派作品」に戻ることを意味するわけですね。そのことを思い知らされた。 もし米国で怪獣を題材にした戦争映画を作れば、痛快な勝者の物語になるでしょうが、日本でそれと同じことをすれば、おのずと敗戦の陰惨なトラウマを呼び起こすことになる。今作のように《初代ゴジラの精神》にとことん振り切ってしまうと、おそらく一定の割合の観客は、その戦争の記憶の陰鬱さや心理的負担に耐えきれず、結局は「いつもの怪獣エンタメに戻してほしい」「痛快な怪獣バトルが観れればそれでいい」と言い出すはずです。したがって、日本のゴジラは、たえず「怪獣エンタメ」と「社会派作品」の間を往ったり来たりするしかないでしょう。 なお、浜辺美波がゴジラよりも不死身だったり、クレーンが折れても船が転覆しなかったりするのは、ツッコミどころではありますが、ごく常套的な観客サービスであって、とくに作品の欠点とは感じませんでしたし、神木隆之介をはじめとする演者の芝居も上出来で、演出上の欠点もとくに感じませんでした。  追記:ゴジラとワダツミについての細かい話は自分のブログにでも書きます。 音楽もかなり怖かったです。伊福部の「ダダダン、ダダダン」を裏返したような音型のミニマル。佐藤直紀は何か賞を獲るかもしれませんね。  追々記:金曜ロードショーで再鑑賞。字幕のおかげで聞き取りにくい台詞も把握できました。あらためて見たら、クレーンだけが折れたことには違和感なかったけど、むしろゴジラを引き上げるときに、援護艦隊と短時間でワイヤーを結んだことのほうが違和感あったかな。それから(これは演出の問題でもありますが)前半の神木くんの演技はちょっとヘタだね(笑)。でも、後半は素晴らしかった。あと、ゴジラの動きも(海外版ほどではないものの)ちょっと速すぎるところが気になる。象やキリンもそうですが、やはり大きな生き物は動きが遅いほうがリアルだよね。浜辺美波の首筋の痣は、初見のときは気づかなかったけど、あらためて見ても、言われなきゃ気づかないほどの目立たないものなんですね。…それにしても、東宝のプロモーションはお見事です(笑)。2本目のプロジェクトはどの程度進んでるのかしら?1本目を超えられたら大したものだけど、さてどうでしょうね。
[映画館(邦画)] 9点(2023-11-10 13:42:24)(良:3票)
4.  コーダ あいのうた 《ネタバレ》 
「エール」のほうを先に観ました。基本的なストーリーは同じですが、細かい部分でアレンジが加えてあります。「エール」はよく言えばリアルなのですが、そのぶん下世話すぎて醜悪なところもあるし、登場人物にもスッキリと共感しにくいところがあります。「コーダ」のほうは、下世話な要素が抑えられていますし、人物造形もよりシンプルになっており、両親にも共感しやすいし、兄貴や彼氏や女友達の位置づけも明確になっていて、全体として納得感を得やすい形に整えられている。 それにしても、目のつけどころさえよければ、リメイクでもオスカーが取れてしまうということですよね。 余計なお世話かもしれませんが、「コーダ」を先に見てしまった人は「エール」を見ないほうがいいかもしれません(笑)。
[地上波(字幕)] 8点(2023-06-17 14:01:47)
5.  コンフィデンスマンJP 英雄編 《ネタバレ》 
3人の騙し合いかと思いきや、その外側をいくドンデン返し。脚本もよく練られているし、マルタ島の映像も綺麗に撮れている。日本のタレントだけで漫画っぽい世界観を作る手法も功を奏していて、意外と海外の風景に違和感なく収まっている。とくに欠点らしい欠点も見当たらないのだけど、さすがに「コンテンツとして飽きが来てる」感は否めない。長い序盤部分を「どうせドンデン返しなんでしょ…」という冷めた気持ちで見なきゃいけないのが辛いところ。 キャラクターはそのままに、このパターン化した構成だけを塗り替えることができれば、まだコンテンツとして延命できる余地があるかも。
[地上波(邦画)] 7点(2023-01-09 21:32:03)
6.  ゴーストバスターズ(2016) 《ネタバレ》 
GYAO の無料動画で視聴。第1作以外は見てないし、その第1作も38年前に見たっきりです。  期待値が低かったわりには、かなり面白かった。シガニー・ウィーバーの役どころを頭の弱いイケメンに代えたのを含めて、まるごと男女を逆転させた配役ですね。セリフはいちいちシャレが効いていて、けっこうエッジのある下ネタが入るのも笑えました。特撮も良く出来ていたと思う。第1作のメインキャストがこぞってゲスト出演して、ちゃんとマシュマロマンも登場して、「シャイニング」や「サタデーナイトフィーバー」などのパロディが入ってたのも楽しい。 ただ、物語にいまひとつ「回収感」が乏しかったのは残念。(もしかしたら9・11を想起させないための配慮かもしれないけど)オバケを退治した後は、破壊の痕跡をふくめて何も無かったかのように原状回復されていて、バスターズたちはさほど称賛されることもなく、主人公がコロンビア大学に復員するでもなければ、出版した本が飛ぶように売れるわけでもない。オバケに勝利した達成感や納得感がないので、見終わったあとのカタルシスが薄い。 それから「オルドリッジ邸の悲劇」「刑場跡地に作られた地下鉄」「大虐殺の場所に建つホテルでレイラインが結ぶ」「霊界とのバリアを除く第4の大変動」などなどの話が散りばめられるわけですが、それらのエピソードも最終的に回収されることはなく(かといって実際の歴史に取材してるわけでもなさそうです)、ただそれっぽいネタを散らかしただけで終わってる感じ。悪役であるローワンの人物像の掘り下げも不十分で、全体的に物語の背景的な厚みが感じられません。 せっかく中華料理店の階上でオフィスを構えたのに、店員が中国人ではなく、中国的な描写が皆無なのもちょっと不満が残ります。
[インターネット(字幕)] 7点(2022-12-31 00:59:28)
7.  この子の七つのお祝いに 《ネタバレ》 
GYAOの無料動画で視聴。 前半は、増村保造らしい明快で力強い演出が好感触だったけど、真相が明らかになっていくほど話のつまらなさに興味が減退しました。犯罪の背景になっているエピソードは、たんに「混み入った事情」という程度のもので、とりたてて心に訴える内容でもなく、社会的なメッセージ性があるわけでもない。本気で近現代史をテーマにするならば、大陸からの引き揚げ者の苦難にもっと焦点を当てるべきでしょう。お人形やら童謡やらの取ってつけたようなホラー演出は、陳腐にすぎて失笑しか出てこない。わざわざ映画化するほどの題材とは思えません。 自分でこの仕事を引き受けて脚本も書いたのだから仕方ないけれど、これが増村保造の遺作であり、なおかつ代表作のように思われているとしたら哀れです。映画作家というよりも、たんなる職業監督としての仕事でしかないように思う。やはり当時は、市川崑や増村保造のような名匠でさえ、角川の凡作のために従事しなければならなかったのでしょうか?
[インターネット(邦画)] 6点(2022-05-19 18:51:30)
8.  コクリコ坂から 《ネタバレ》 
『風立ちぬ』の2年前に制作されていますが、時代設定でいえば『コクリコ坂』のほうが四半世紀ほど後の物語です。この2つの作品には、強い連続性が感じられます。実際、戦前の「航空マニア」の多くは、戦後の「船舶マニア」でもあったはずです。 物語の中心的なテーマは「親世代の過ち」です。主人公の少年と少女は「父の過ち」を疑うのですが、これはメタファーにすぎません。少年の父親は太平洋戦争で、少女の父親は朝鮮戦争で死んでいます。LSTによる朝鮮戦争への参加という歴史も、太平洋戦争という「過ち」の負債であるに違いありません。 しかし、主人公たちは、少年の出生の秘密を知ったときに、父(=太平洋戦争の戦友たち)の行為が「過ち」ではなかったと納得します。明治時代から横浜に残る"コクリコ荘"や"カルチェラタン"といった建築物の価値を肯定するのと同様に、親世代の歴史の意味を肯定していく物語なのです。オリンピックの狂乱を契機に変貌しようとする高度成長期の東京を横目に、あらためて「戦前」の価値を見つめ直そうとする若者たち。そこには、安直な方法で建て替えをはかろうとしていた「戦後」の日本への批判も見え隠れします。 この作品を、たんに「昭和30年代の日本を懐かしむ映画」だと理解するのは間違いであって、むしろ登場人物たちは、「戦後」の日本社会を批判しつつ、失われていく「戦前」の価値を守り抜こうとしている。これこそが『風立ちぬ』のテーマにも通じる、宮崎駿のもっとも危険かつ美しい思想ではないでしょうか。自分の子供に「陸・海・空」と名づける親の発想もだいぶ危険な気がしますが(笑)、宮崎駿自身も、こうした価値観を息子に託しているように見えます。 メタファーをどう読み解くかは観客に委ねられていると思いますが、『千と千尋』や『もののけ姫』のメタファーを読み解くことに積極的な人たちが、『コクリコ坂』や『風立ちぬ』に対して何らのメタファーも見て取ろうとしないのはおかしな話だと思うし、わたし自身は、それらの作品のメタファーがたがいに共通のテーマで結ばれていると思わずにはいられません。 なお、『風立ちぬ』がユーミンの「ひこうき雲」の世界だったとすれば、『コクリコ坂』はさしずめ「海を見ていた午後」の世界です。冒頭で手嶌葵が歌っていた曲は、ほとんど「チャイニーズスープ」のようです。武部聡志と谷山浩子は、たんに「昭和の横浜の音楽」を作っただけでなく、まるで次作のテーマ曲が「ひこうき雲」になることも見越していたように感じます。 宮崎父子の危険な思想の是非はともかく、作品そのものは申し分なく美しいと思ったので、その点を最大限に評価します。
[地上波(邦画)] 9点(2020-08-22 00:40:58)
9.  この世界の片隅に(2016) 《ネタバレ》 
去年の放送のときも見たのですが、今回の放送の機会にレビューしておきます。2度目ということもあったので、淡々と進んでいく細やかな描写が、いっそうすんなり入ってきました。 戦争がけっして「非日常の世界」ではなく、むしろ「日常の世界」の地続きであることを、アニメの映像で表現した作品です。きっと一昔前ならば、そうした「日常」は実写で描くところでしょうが、むしろ近年ではアニメの(二次元世界の)ほうが「日常性」を帯びているし、そういう時代だからこそ評価された作品だと思います。 いちばん重要なことは、この物語の主人公が、とてつもなく無力だということです。いつのまにか見知らぬ土地の見知らぬ男性のもとへ嫁いできて、その運命のすべてを受け入れながら生きている。彼女が、自分の意志で何も決められないのは、性格の問題だけでなく、そういう時代であり、そういう国家であり、そういう社会であり、当時の女性がそういう立場だったからです。その結果、彼女は、なすすべもなく時代の運命と国家の運命に翻弄されるしかありません。 こうした生き方は、しかしながら、現代のわたしたちにも通じる普遍性をもっています。現代社会がたとえどんなに自由になったとしても、わたしたちはあらゆる物事を自己決定して生きているわけではないし、むしろ理由の分からないことに翻弄されることのほうが多い。そのことは何も変わっていません。この主人公のような女性は、今もなお身近に存在しているし、もっといえば、わたしたち自身だといえます。 はるか昔に起こった戦争や原爆という出来事も、じつはとても身近にあるのだし、同じことが起こったとしてもおかしくはない。「悲しくてやりきれない」という言葉は、その真実を物語っています。わたしがもっとも心を動かされたのは、コトリンゴがこのフォークルの曲を歌ったことですが、それについては初見のときに自分のブログに書いたので、ここでは繰り返さないことにします。
[地上波(邦画)] 7点(2020-08-09 21:24:07)(良:1票)
10.  コンフィデンスマンJP 《ネタバレ》 
テレビ版では脚本に不満を感じることもありましたが、この映画版は驚くほどよく出来ていた。映像もゴージャスだったし、脚本にも目立った欠点は感じないし、邦画のエンタテインメント作品としては申し分ないと思います。 はじめから騙されることは分かってるにもかかわらず、ぎりぎりまでシリアスな展開が続くので、その点でいえば、本当に騙されました。放送当日に三浦春馬のこともあったので、なおさらシリアスなロマンスだと思い込んでしまって、かなり真面目に見てしまったせいもある。定番のどんでん返しと、三浦春馬がヘラヘラしながら逃げていくラストには、完全に「ヤラレた~」って感じです。 見終わったあとは、なんだか映画以外のことまで騙されてるような、ちょっと変な気分でした。
[地上波(邦画)] 7点(2020-07-19 00:53:16)
11.  GODZILLA ゴジラ(2014) 《ネタバレ》 
壮大な悪夢を見ているような映像はたしかに凄かったのですが、いったい何が起こってるのかほとんど理解不能でした。渡辺謙が「ゴジラは《調和》の怪獣だから殺さないでくれ」と言い出したときは「おいおいおい…」とツッコまずにはいられない。調和もなにも、ゴジラが2、3歩あるくだけで世界が滅びそうなんですけど…。(ラストサムライが「武士道のためなら村人を犠牲にしてでも戦う」と言い始めたときにも「おいおいおい…」と思いましたけどね。それと同じくらい意味不明な妄言だったと思います) アメリカ人ってのは、日本人が意味不明なことを言うと「なんかスゲーッ!」って感じるのかしら?  ラストシーンでは、ゴジラが米国民たちの喝采を受けながら海に去っていきました。まるで西部劇に出てくるさすらいのガンマンみたいに。はたしてゴジラにとっての《調和》とは、生態系を守ることだったのでしょうか? それとも、人間社会を守ることだったのでしょうか? 善玉生物を利用して悪玉生物を駆逐するという発想は、きわめて人間的な価値観にもとづくものです。それは《調和》というよりも、人間が生存するための《戦略》ですよね。わざわざ僧侶みたいな日本人を登場させて禅問答をしなくても、アメリカの軍人に「ゴジラを利用してムートーを倒そうぜ」と主張させれば済む話だったと思う。 ちなみに、この映画は、初代ゴジラにも最大限のリスペクトを払ったらしいけど、「米ソの水爆実験は怪獣を殺すためのものだった」という話が出てきたときにも、やっぱり「ん??」ってなりました。初代ゴジラの視点が捻じ曲げられているし、現実の核実験をフィクションのなかで正当化するのはいかがなものでしょうか? 映像的には8点ぐらいつけたいけど、あまりにもワケが分からないので6点。
[地上波(字幕)] 6点(2020-06-22 18:46:46)
12.  今夜、ロマンス劇場で 《ネタバレ》 
死ぬまで二次元の女性しか愛せなかった映画オタクの男と、リアルの世界に憧れ続けたスクリーンの妖精との切ない恋物語。さしずめ「鶴女房」と「人魚姫」と「さびしんぼう」と「ニューシネマパラダイス」をぜんぶ足してから4か5で割ったぐらいの感じです。マキノ省三が、久我美子とガラス越しにキスしたり、オードリー・ヘプバーンとローマの休日したりしてるっぽい小ネタも散りばめられています。 なかなかコンセプトとしては面白いし、キャスティングも悪くないと思うけど、いかんせん脚本が不器用すぎるのでは?ディテールの積み重ね方が下手くそだから、感情の流れがぎこちないし、ファンタジーの設定も理解しにくいので、なかなか話に入り込めない。結果として、コンセプト止まりの映画になってしまっている。もうちょっとシナリオを作り直せば、そこそこの佳作にはなると思います。
[地上波(邦画)] 6点(2020-05-17 08:44:37)(良:1票)
13.  恋文日和
「イカルスの恋人たち」を演出した永田琴恵という監督は、ほかに成人向け作品なども撮っている人らしいのですが、映像のつくりがとても官能的。4作品の中でこれだけが突出した印象を残しました。死者が恋人にビデオレターを残すという話は使い古されたものだし、“手紙”をモチーフにしたストーリーとしても、収録4話の中で一番ひねりのないものなんだけど、それだけに演出と映像で見せる官能がストレートに出ていました。とくに中国人役で登場する當山奈央というミュージシャンの美しさが際立っていて、この配役はちょっと驚きでした。大衆食堂のシーンなど印象に残る美しい絵がいくつかあったし、画面の上下を逆さにするなどの工夫した映像も、きちんとした意図を感じるものでした。映画的な話法としても、この作品がいちばん安定してたように思える。 「イカルスの恋人たち」が7点、他は4~5点ぐらいです。
[DVD(邦画)] 7点(2007-09-04 02:19:29)(良:1票)
14.  珈琲時光 《ネタバレ》 
侯孝賢が偉大なのは解ってるけど、なぜ彼を「小津安二郎」に結びつけるのか、まったく理解できなくて、そういう考え方も風潮もキライだった。そんなこともあって、この映画の前半部分はまったく興味をもてなくて、とくに高崎のシーンは「こんなに凄い監督が撮ってるのに、どうしてこんなにも、日本の風景ってつまらないんだろう‥」とショックすら感じてた。ところが、ある瞬間から、急に目が離せなくなりました。主演の2人が喫茶店を捜し歩く場面。カメラが銀座の通りの一角にあるビルを見上げたとき、その壁の映像を見て、不思議なことに「あ、小津だ」と思ってしまった。そして、そこから先は、もう何かの暗示にかかったみたいに、何を見ても全部「小津」に見えた。カメラが止まってようが動き出そうが、そこに映ってるのが稔侍だろうが忠信だろうが、何もかもが「小津」っぽい。つーか、そもそも「小津」って何??‥みたいな(泣)。そのうち浅野忠信が佐田啓二に見えてくるし、向かい側に座ってる女の子が原節子だったように思えてくる。そりゃあ、今の世の中、笠智衆の娘だってシングルマザーになるわよねぇ、‥みたいな。もはや近所にお酒を借りに行ったり、父親が口下手だったりするのは「蛇足」にすら思えてしまった。テーブルの表面でうっとりするように反射する光。現代人たちが足早に行き交う街頭の、不思議な穏やかさ。かりにこれらが「小津」じゃないとしても、そういう風景は紛れもなく美しかった。  つまり、こういうことでしょうか?昨今の日本の映画が昔のように美しくないのは、べつに風景や社会や人間が変化したためではなく、たんにカメラのせいなんだと。カメラが然るべき方法でちゃんと撮れば、現代日本の風景だって小津のように美しくなるのだと。そういうことでしょうか?素人のわたしには解せないし、現代日本の風景がこんなに美しく、しかもそれが「小津」っぽく見えるなんて、どうにも詐欺としか思えないんだけど、いつしか陽水の作った一青窈ちゃんのエンディングテーマを聴きながら、ぼんやり「これも小津っぽい音楽だな‥」と感じてしまう自分がいました。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2007-07-31 02:03:20)(良:1票)
15.  コックと泥棒、その妻と愛人
物すごい密度で話が展開して「あっ」という間に映画が終わってしまう。圧倒的。物語の構成も明快なので、グリーナウェイの中ではわかりやすいほうだと思います。映画がマイケルナイマンの音楽と一体になってグイグイ進んで、最後のオチも、グロテスクな衝撃と、懲悪的な満足を、両方いっぺんに満たしてくれる(笑)。グリーナウェイの最高傑作。10点、9点をつける人がたくさんいるのも当然だと思う。 どうでもいいことだけど、「レストラン&トイレ」の並びを見てると、キューブリックを思い出します。『シャイニング』のホテルのシーン、それから、ピカピカなトイレの映像は『2001年』の宇宙船の中のシーンを思い出させる(ピカピカなトイレの官能的なツルツル感って、宇宙船内の近未来的な雰囲気となんか似てるから)。ちなみに、このとき、ほとんどの人が初めてナイマンの音楽に遭遇したんじゃないでしょうか。こんな密度の濃い音楽があるんだとびっくりした。 それから、(これも関係ないけど、)わたしはグリーナウェイの映画って邦題がイカしてて好きです。この映画のタイトルは長すぎてあまり好みじゃないけど、あらゆる洋画の中でいちばん好きな邦題が、『建築家の腹』。ただ直訳しただけだけど日本語に直すと妙にイカすから。  
7点(2004-04-03 15:02:26)
16.  ゴーストバスターズ(1984)
マシュマロマンがビルの間からニコニコしながら歩いてくるシーンは、リアリティを幻惑させるような力がある。(大魔神のところでも同じこと書いたけど、ゴジラにはこういう映像的な錯覚を感じない。) 脚本も、キャスティングも、特殊撮影も、全体の中によくまとまってて、バランスのいい映画ですね。映画全体に満ちてるユーモアの感じもいいです。9・11のときに思い出したのは、この映画の摩天楼シーンだった。
7点(2004-03-20 17:22:52)
17.  河内山宗俊
『人情紙風船』はあまりに出来過ぎてるので、あえて『河内山宗俊』を。 あまり記憶が定かじゃないけど、いちばんシビれたところは、たしか、中村翫右衛門の最後のセリフと、残した爪楊枝だったと思う。あの「爪楊枝」みたいのの映像だけで、この映画は傑作だと思いました。物語としても、『人情紙風船』よりこっちのほうが面白くて好きかなあ・・。なんか『人情紙風船』て、あらゆる意味で完璧すぎるんだもん。面白いとか面白くないとかじゃないでしょ、あれは。 それから原節子のことですが、原節子って日本映画には大柄すぎて顔もバタくさいと思うけど、この映画のときの原節子は、まだ若くて可憐な感じでいいです。とくに原節子がはじめに横顔で映し出されるシーンは、たぶん歴史的なシーンなんでしょう。  ・・気持ちは9点以上なんだけど、個人的なバランスの問題で8点にしちゃうのを許して。(T_T)
8点(2004-03-20 12:57:35)(良:2票)
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