1. コレクター(1965)
《ネタバレ》 あのフレディの部屋、内装の色彩、その不気味な美しさに息をのむ。ミランダ(サマンサ・エッガー)が如何に逃げるか、その心理的駆け引き。しかしフレディ(テレンス・スタンプ)の発言を、僕は何気に聞きながらも唖然とする。それは“敬意を払う”であったり、“娼婦と同じだ”と罵倒したり。臆面もなく、この言葉を発する男の精神世界が本当に怖い。ミランダは最初から貼り付けられた蝶も同然なのだ。強烈なアングルと共に、サマンサ・エッガーの演技力に唸る。死の淵を彷徨う彼女の顔は壮絶だったが、息絶えた顔をカメラが正面から捉えることは無かった。よって、文字通りの体当たりで汚れ役を演じきったこの主演女優には、痛々しさよりも巧さが印象を残す。ワイラー監督は女優の扱い方に、厳しさとともに配慮がいき渡っているのだなと感じる。だからこそ、またいつか鑑賞しようと思える。 [DVD(字幕)] 8点(2008-11-21 22:27:03)(良:1票) |
2. コンドル(1939)
《ネタバレ》 ほとんど全編パイロット泣かせの悪天候。その極限状態で行くか戻るかの判断を常に強いられる。躊躇している暇はないのだ。任務の厳しさと、人命の尊さが常に綱引きをしているような感じて、シリアス一辺倒のドラマでないにも関わらず、観てるとグッタリしてしまう程なんです。僕が大好きな主演二人(ケイリー・グラントとジーン・アーサー)も好演だけど、個人的にはその主演二人よりも、苦い過去を持つ寡黙な男を演じたリチャード・バーセルメスの方が印象深い。滲み出るカッコよさ。男はこうでありたい。 [DVD(字幕)] 6点(2008-09-21 09:03:36)(良:1票) |
3. 今晩は愛して頂戴ナ
《ネタバレ》 典型的な平民と王女のラブストーリー、これをベタと言えるか?今観ても根源的かつ斬新なオープニングシーン、人と場所を変えて歌い継がれる"Isn't It Romantic?"の素晴らしいメロディライン、負けず劣らずの名曲"Mimi"(ほにゃららな歌い方、最高)そして最初の登場シーンではさほどでもないジャネット・マクドナルドの尻上がりの美しさ。何てことないラブシーンがいちいちイロっポい。そうこのミュージカルはイロッポさと楽しさに溢れており、それだけでなく汽車を止めるラストシーンはいろんな意味で本当に感動的です。 [DVD(字幕)] 8点(2006-11-05 10:04:42) |
4. コンチネンタル
とにかく突っ込みどころは沢山あります。ありますが、それを幾つもの胸はずませどころ(ん?そんな日本語ないか・・・)がことごとく掻き消して行き、たまらない作品に仕上がっております。楽しく、そしてどこか郷愁を誘う不滅のメロディ"A NEEDLE IN A HAYSTACK" 歌がインストになり、そしてアステアのタップが始まるこの瞬間、この時間。まさに贅沢、至福の極みであります。そして勿論アステアとジンジャー・ロジャースのダンスもたっぷりと楽しめ、これまた名曲"コンチネンタル"の怒涛の流れ!はぁ・・・。 [DVD(字幕)] 9点(2006-06-19 05:45:42) |
5. 腰抜け二挺拳銃
その名はUSPGAツアー好きなら誰もが知ってるボブ・ホープ、その人を食った演技はめちゃめちゃ楽しい。それにしてもカラミティー・ジェーンのイメージそのままハマリ役のジェーン・ラッセルのカッコよさと何とも言えないイロッポさが全開ですねー。今でも時々思い出し笑いを誘うラストまでホントにバカバカしくって楽しいです。 [ビデオ(字幕)] 6点(2006-06-09 06:53:10) |
6. この三人
後のワイラー監督自身がリメークした『噂の二人』と比較しても、鑑賞後の後味は断然よし。それにしても子役の少女がオイシイとこ全部持っていってます。俗に言う"子供と動物には敵わない"的な次元では無く、神がかり的な演技力に悶えるほど募る憎悪。ホント憎たらしい屈指の悪役と言っておきます。 [ビデオ(字幕)] 7点(2006-05-18 07:52:39) |