1. 極楽特急
素晴らしいが、惜しむらくは機知のスピードと高度さについていくのがやっと。こころを使わない詐欺師が恋に落ちたところで作品に深みが生まれて(この深みが大切)三角関係だ。翌年の『生活の設計』こそ見事な三角関係映画となり、ミリアム・ホプキンスがまた大活躍なのである。 [DVD(字幕)] 7点(2025-06-01 22:29:24)《更新》 |
2. ゴーストライター
《ネタバレ》 一番身近なところに敵が居る、というミステリーの基本はやはり欠かせない、効果的だ。ネット検索で重大な機密を知れるとは脚本甘目。とはいえ、味方がほぼ見つからない分厚い現実の壁というものを構築した佳品。CIAからの逃げ道(外部)というものはないのだ。国家が相手のたたかいはあのフィルム・ノワール『キッスで殺せ』のごとくゼッタイ無力。 [DVD(字幕)] 7点(2025-05-22 22:38:38) |
3. 恋の秋
《ネタバレ》 カップルを成立させるための仲介をする女性が、純粋に仲介役割にとどまらずに少々ちょっかいを出したりするので、ややこしくなる。ややこしくなっていいのである、生身の人間なのだから。 [DVD(字幕)] 7点(2025-05-21 23:08:57) |
4. コリーニ事件
《ネタバレ》 日本の戦後処理との比較でドイツは自らの手でも戦犯を裁いたとはよく引き合いに出されることである。だがそれも十分ではなかったという、厳密なメスが入れられたのがこの作品、というところ。法廷で、戦時の暴力が確認される時、三度ほど「シーン」となるのがこの作のクライマックスである。「シーン」が。事実は事実だ、なかったことにはできない。 [DVD(字幕)] 8点(2025-05-18 13:27:29) |
5. コマンドー
《ネタバレ》 「悪」をどんどん始末。「悪」なのかどうか不明な人たちをもどんどん始末。それにリアルに対応する事柄というのは、要するに、死刑制度容認はもちろんのこと、誤爆容認なんてことも含むだろう。こんなに政治的な映画を無批判に観るということ自体が、きわめて政治的な態度表明になってしまう。 [DVD(字幕)] 1点(2013-05-27 16:02:44)(笑:3票) |
6. この窓は君のもの
《ネタバレ》 典型的な長回しの映画。松葉杖の彼の家の二階が気持ちの良いパノラマで、そもそも撮影技法のパンにはうってつけというわけだ。長回しのなかでアイスクリームは溶け始めるし、西瓜の種も周囲へと威勢よく吹き散らされなければならない。彼女が運転する自転車のショットすら、それに同乗するのが松葉杖の彼なので、緊張感のある長回しのスペクタクルとなる。緑蔭、青い空、白い雲、良い感じの映画だが、松葉杖から「一挙に」(これが嘘っぽい)解放されるや彼が彼女を追いかけ回すくだりは馬鹿らしい。惜しいことである。 [映画館(邦画)] 6点(2011-03-06 17:37:00) |