1. 哭悲/THE SADNESS
《ネタバレ》 予告編を観てそれなりに準備して観たのだけれど、なんだか嫌な気持ちになる映画だった。 まあ監督もそこを狙って作ったんだと思うから、一応成功なんだろうけど、ちょっとね。 人間の本能というか欲望を隠さないウイルスってことみたいなんだけど、そうなると食欲と性欲が筆頭になるのかな。 それと弱いものを徹底的に痛めつけたいという得体のしれない不快な欲望。 ちゃんと思考した上で行動に移してるから、不快度は相当に高い。 このウイルスに比べたら、ゾンビなんて悪意のかけらもないからスッキリ観られる。 でも考えてみると、この悪意の塊をぐちゃぐちゃにやっつけるシーンに快感を覚えること自体が結局我々の本性で、監督もそれを狙ってるのだとしたら、それも嫌だな。 [インターネット(字幕)] 4点(2024-09-16 12:15:23)(良:1票) |
2. 恋は光
《ネタバレ》 女性が恋している時の光が見えるという大学生が主人公なのだが、これが全く漫画チックな印象を与えない。「先生」と呼ばれるこの学生が浮世離れしている(と言っても適度にスマートフォンは使いこなすのだが)ことや、初恋と思われる女性がこれまた浮世離れしている(こちらはスマートフォンも使わない徹底ぶり)ことが功を奏している。浮ついたところがない二人の仲を取り持つことになるのが、西野七瀬演じる「北代」なのだが、このちょっと今風でありながら芯の通った感じが素晴らしく好感が持てた。早々に「先生」に恋していることを認めるところも、実は恋しているの、みたいなもったいぶった振りがなくて良い。 「恋」の定義もなかなか考察が深く、観ていて引き込まれるものがあった。 なぜ「北代」の恋している光が「先生」に見えなかったのかという謎解きには少し不満が残るものの、トータルで非常に面白い作品だった。とにかく本作の西野七瀬は抜群。 [インターネット(邦画)] 7点(2024-06-06 12:27:24) |
3. ゴジラ-1.0
《ネタバレ》 一度観て、うなった。もう一度観たいと思いながら時間が経ち、二度目の鑑賞。 いや、二度目でもちゃんと面白かった。むしろ二度目の方が良かったかもしれない。 戦後間もない時期という時代設定が、今あるもので立ち向かおうとするやってやろうぜ精神に火をつけてくれる感触。だってとどめを刺すのが震電なんだから、心が震えない訳ないじゃないか。 配役も抜群だった。無駄な登場人物が全くおらず、素直に映画の世界に入り込めた。 中でも佐々木蔵之介。演技がくどいんだけど、彼のくどさが映画をピリッとさせていると感じた。ゴジラが倒せず、誰もが絶望的になった瞬間に無音にして震電を突っ込ませるくさい演出とか、爆風で吹き飛ばされたノリコが実は生きてたとか、そんなのも含めて、日本のSF映画の可能性を感じさせてくれた映画だった。 これがゴジラだ、ハリウッド。 [映画館(邦画)] 9点(2024-01-02 18:48:16)(良:2票) |
4. 恋はデジャ・ブ
《ネタバレ》 性格の悪い男がナイスガイに変わることが果たして可能なのか。 何かがきっかけで突如変身する?いや、そんなことは現実にはあり得ないでしょ。 同じ一日を何度も何度も繰り返す?いやそんなの完全にSFの世界の話でしょ。 …という二つを見事に融合させてしまった映画。 どうすれば彼女を口説けるのか。 同じ日を繰り返すことを利用して失敗を避けようとしても結局上手くいかず。 何度も失敗を繰り返すことで彼女の本当の魅力に気づき、自分もそうありたいと願い、自らの行動ではなく、振る舞い方を変える。 パーティーで次々と彼に声を掛ける人たちが彼女に言うのだ。「彼を逃しちゃだめよ」 独身男の競りのシーンのなんたる心地よさ。 アンディ・マクドゥエルを魅力的だと思ったことが実は今までないのだが、この映画の彼女は控えめに言って最高だ。 いや、いい映画。 [インターネット(字幕)] 9点(2022-12-26 10:03:02) |
5. ゴーストバスターズ/アフターライフ
《ネタバレ》 最初の数十分間を乗り切れば、あとは楽しく懐かしく観られる映画かなと。 ただこの感想は、40年前の「ゴーストバスターズ」をリアルタイムで鑑賞した人に限るかもしれないのが苦しいところ。オリジナルメンバーが勢ぞろいするシーンには胸が熱くなるものの、そもそも「ゴーストバスターズ」って胸が熱くなる映画だったっけ?という疑問符もついてしまう。農場が巨大なトラップだった、なんて設定はなかなかに面白いし、営業車?の飛び出す銃座もかっこいい。でも、なにか突き抜けてないんだよなあ。 この世を地獄にしないために自己犠牲を払った、なんて彼らにはやはり似合わないのかもしれない。適当に退治しとく?的なノリが欲しかったかも。 ただ、主役の女の子は最高にキュート。そしてラストシーンに出てくるシガーニー・ウィーバー様に加点。 [インターネット(字幕)] 7点(2022-11-22 21:03:33) |
6. コリーニ事件
《ネタバレ》 新米弁護士が担当した最初の裁判が、育ての親とも言える実業家の殺人事件。 しかもその憎むべき被告人を弁護するという、なんとも稀有なケース。 そんな偶然ないって、と途中までは思いながら観ていたものの、被害者の過去が明らかになるにつれて、この設定でなければこれほどの衝撃は与えられないと納得。 愛情深き育ての親が、本来なら裁かれるべき戦争犯罪人であったことの意外性と蓋然性が混在して、戦争によってもたらされる人間性破壊の恐ろしさを突きつけてくる。 被告人役の重厚な演技にも胸を打たれる。 語らずとも雄弁。 そこにも加点。 [インターネット(字幕)] 8点(2022-03-15 23:16:30) |
7. 恋におちて
《ネタバレ》 モリーは夫に愛を感じていない。 では、フランクは? 結婚生活のどこに不満があったのか。いや、そもそも不満なんて感じてなかった。 ただ、偶然本屋で、電車で出会った女性に恋した、それだけ。 そこで行動に移すか、何もせず通り過ぎるかで人生は大きく変わる。 その結果は自分で受け止めるという大人の映画。 デニーロとメリル・ストリープの抑えた演技はやはり素晴らしい。 そしてなんといっても音楽が抜群。 恋の始まりの軽やかな感じが、ピアノの旋律とぴったりシンクロする。 結末も嫌いじゃない。いや、むしろ好み。 [インターネット(字幕)] 7点(2022-01-04 21:44:57) |
8. 心と体と
《ネタバレ》 こんなおっさんのどこがいいの?と思いながら観ていたら、いつの間にか味わい深く思慮深いエンドレの魅力に引き込まれていたのだが、友人の妻と寝るシーンでやっぱどこがいいんだこのおっさん、となってしまった。 どこまでも純粋で透明なマーリアは、危なっかしくて見ていられない。引き出しを開けるシーンで、ナイフではなく金づちを選んだことにホッとしたのに、次の瞬間その金づちでガラスを割っちゃうんだもん。ああ…それは勘弁して欲しい。あんなおっさん以外にも愛せる人はいるのに。 どこで思い止まるんだと思っていたら、エンドレからの電話。手首から血を溢れさせながら会話するマーリアが痛々しくて切ない。 人との身体的接触を克服したマーリアだけど、エンドレにはもっとマーリアへ真剣に向き合う誠実さと包容力が欲しかった。少なくとも私にはそれが伝わってこなかったので、ラストシーンで楽しそうに笑うマーリアを手放しで喜べなかった。そこが残念。 映像は独特。牛を屠殺するシーンは容赦ないが、雌雄の鹿が森の中で逢引するシーンは空気まで透き通って美しいことこの上ない。 カメラワークも秀逸。ピントの合わないカットに、横からマーリアの美しい顔が現れるシーンには唸ってしまった。 以前から観たかった映画で、観てよかった。満足の一本。 [インターネット(字幕)] 8点(2021-12-30 01:15:16)(良:1票) |
9. コンテイジョン
《ネタバレ》 現在のコロナ禍で観ると、作りがスタイリッシュ過ぎて少々不謹慎に見えてしまうほどの良作。 冒頭、感染拡大の2日目から始まる所がポイントで、感染源探しは途中放棄されたかに見せておいて、妻のデジカメから核心に突き進む。 森林破壊を続ける妻の会社のブルドーザーからコウモリ、豚へと繋がり、料理長との握手を通して彼女自身へ。 それが1日目。 憎いくらいにスタイリッシュだけど、今観ると複雑な思いが交錯するから、作り手としてはいいような悪いような。 それにしても、ケント・ウィンスレットもグィネスも容赦のない扱い。 特にグィネス。 セブンでは首を切断され、コンテイジョンでは開頭されるという運命。 あの絵はかなり強烈だった。NGのないグィネスに拍手。 [インターネット(字幕)] 8点(2021-05-23 18:27:02)(良:1票) |
10. コードネーム U.N.C.L.E.
《ネタバレ》 アメリカとソ連のスパイがタッグを組む所までは、面白そうじゃん、と期待していたものの、その後は手に汗握るシーンはほぼ無く、かと言ってアクションがキレキレというわけでもなく、非常にスマートに淡々と問題を片付けて一件落着。 悪役も印象が弱い上にすぐに死んじゃうし、なんだか消化不良気味。 スタイリッシュなんだけど、その分全くと言っていいほど危機感を感じない映画。 なんだか上澄みだけをずーっと観せられたような気がするのは、やっぱり主人公のキャラクターが弱いからではないかと。 いったいいつになったら主役が登場するんだって思いながら最後まで観終わってしまったのは残念。 全くスタイリッシュではなく、むしろゴリゴリの無骨アクションだった『レッドブル』も、米ソが手を組むみたいな似た設定だったけど、時代は変わったもんだ。 [インターネット(字幕)] 6点(2021-01-16 23:32:06) |
11. ゴーストランドの惨劇
《ネタバレ》 いや、これは。 ホラーなんだけど、鬼畜系。 家に押入られてからの有無を言わせぬスピード感が凄まじい。 そして母は強し。妹だけじゃなく姉のことだってちゃんと愛してる。 って思ったら、そういうことね。 完全にやられましたわ。大満足の想定外。 しかしまあ久しぶりに、ちゃんとした映画で倫理的にどうなのって映画を観た。 監督が「マーターズ」の人なら、まだ抑えた方かも。 映画としては面白かったし、一応ハッピーエンドでホッとした。 [インターネット(字幕)] 8点(2021-01-11 16:58:09) |
12. ゴーストシップ
《ネタバレ》 冒頭のワイヤーによる殺戮は、何度観てもホラー史上に残るシーンだと思う。 そして私はこの映画が嫌いではない。 むしろ好きだ。 華やかな宴を見せられた後だからこそ、寒々とした幽霊船のおぞましさが際立つ。 廃墟と、そこに現れる可憐な少女とのコントラストも美しい。 しかし、豪華客船一隻の人数の魂では満タンにならないなんて、ちょっとハードルが高すぎやしませんか。 そして魂の回収屋は、あれだけの数の回収に失敗しても次のチャンスが与えられるなんて、ちょっと緩すぎやしませんか。 なんてことぐらいが気になるが、しばらくするとまた観たくなる癖になる映画。 [インターネット(字幕)] 8点(2020-11-02 00:15:01) |
13. この愛のために撃て
妻のためなら後先考えずに突っ走る。 これ、自分ならできるかどうか疑問が残る。 善良な一市民と、殺し屋の指名手配犯。 硬軟と善悪のバランスが絶妙で、互いの特徴を引き立て合う演出は素晴らしい。 手を取り合わないものの、二人の信頼関係が深まっていくのも自然。 そして何より筋立ての面白さ。 こんなに短い85分は久しぶりの、隠れた佳作。 [インターネット(字幕)] 8点(2020-09-13 16:01:47) |
14. ゴースト・エージェント/R.I.P.D.
《ネタバレ》 アメコミが原作だろうか。 よくまあこんなそっくりに作ったもんだと逆に感心するくらい、例の宇宙人シリーズに似ている。 そして悪霊が弱い。 さらに一体一体の魅力が弱い。 もう少し個性的な悪霊が出てると面白くなりそうなんだけど、悪霊顔のケビン・ベーコンに頼りすぎ感が否めない。 意外に傷つきやすいジェフ・ブリッジスと、ライアン・レイノルズの妻役の女優さんのキュートさに加点。 [インターネット(字幕)] 6点(2020-09-07 01:04:15) |
15. 国際市場で逢いましょう
《ネタバレ》 戦争で引き裂かれた家族の物語。 家長として家族を守り抜くドクスの覚悟には脱帽するしかない。 私が子供の頃は、中国残留孤児と家族の再会番組をテレビでやっていたが、朝鮮でも他の地域でも、同じような悲劇が起こっていたんだということに改めて気づかされた。 ドクスの孤独な奮闘を観て、マクスンや父親が見つかって欲しいと、私自身も祈るような気持ちで劇中に引き込まれたし、鏡の中でまだ幼いドクスが父親と再会するシーンは泣けて参った。 年老いたドクスが妻と互いの夢を語り合うラストシーン。 冒頭から画面を舞っていた蝶が、静かに空へと飛び立って行く。 あれは父親に違いない。 ファン・ジョンミンは本当に素晴らしい役者だし、友人役の人も悪友として素晴らしい存在感だった。 いや、いい映画。 [インターネット(字幕)] 8点(2020-06-24 23:03:06) |
16. 今夜、ロマンス劇場で
《ネタバレ》 下を向くな、青年。下ばかり向いてたら、今しか見えないぞ。 なるほど。勉強になります、北村さん。 人は人生にロマンスを求めている。 うん。至言。 主人公の青年と同じくロマンスを求めた映画館のおっちゃん。 脇を固める役者がいいよなあ。 自分にとって何が一番大切かを考えさせてくれる映画、かな。 しかし、触れられないのもつらいが、自分一人だけ年老いていくのはもっとつらいんじゃないかな。 [インターネット(邦画)] 6点(2020-05-29 01:25:24) |
17. コンビニ・ウォーズ ~バイトJK VS ミニナチ軍団~
いつか面白くなるはず、という思いも虚しく、私には全くハマらなかった。 Mr.タスクはそこそこシュールで面白かったけど、ジョニー・デップもカッコ良くないし、ピンとこなかった。 ヨガ・フレームが必殺技だったらもう少し高得点だったかも。 [インターネット(字幕)] 3点(2020-05-16 17:42:09) |
18. 恋人までの距離(ディスタンス)
《ネタバレ》 対話を重ねることで、見えてくるものがある。 こんな風に思ってることを言い合えて、時には街角でダンスしてみたりとか、そんな関係でいられるパートナーがいたら、幸せだろうなあ。 ジェシーとセリーヌには、ちょっと温度差があるんだけど、それを見せないセリーヌが最高にキュート。 でも、この映画を最初に観たときの切なさを二度と感じられないのが残念で仕方ない。 二人は9年後に再会して、さらにその後にも続編があって…という事実を知ってるから、プラットフォームでの二人の別れが、自分の中で最初に観たときの別れと変わってしまった。 もう会えないかもしれない、そう思うからこそあのシーンは美しい。 続編があることを知らずに初めてこの映画を観る人がうらやましい。 [DVD(字幕)] 10点(2020-05-06 00:26:21) |
19. 高慢と偏見とゾンビ
実は『高慢と偏見』を読んでもなければ観てもいない。 ということで、映画の出来を云々できる資格に欠けているので、得意の上っ面感想を。 公開当時に観た時は、映画館のスクリーンの影響もあってゾンビ映画としての迫力を楽しめた。 で、今回はリリー・ジェイムズ目当てでテレビで鑑賞。 ブロンドよりブルネットの方がいいかも、なんて呑気なことを考えながらの大満足の90分。 ゾンビ映画? [インターネット(字幕)] 8点(2020-04-26 01:45:51) |
20. 凍える牙
ソン・ガンホが出ていると、それだけでまあ外さないだろうなという安心感で観てしまう。 本作も外しはしないんだけど、話が少し複雑で、登場人物の名前が覚え切れない…。 邦画の「黄金の犬」を何故だか思い出しつつ鑑賞。 動物が絡むとリアリティを出すのが難しいが、そこはなんとか及第点じゃないかな。 [インターネット(字幕)] 6点(2019-12-22 00:59:36) |