1. イノセンス
映像はスゴイ。本当にスゴイ。でも、作品としての価値、エンターテイメントとして人を感動させる力は、薄い。話の進むテンポも悪いし、分かる人だけ分かってねと言う、閉じた世界の作品だと思う。 5点(2004-09-27 11:28:43) |
2. インビジブル(2000)
ケビン・ベーコンが上手い。どんどん「たが」がはずれていく感じが怖いというか笑えるというか。頭が良い人間が、透明人間になったら考えることって、別に高尚なことじゃなくって、こういうくだらないことなんだよね、という話。ジキルとハイドの別バージョンといった感じだけど、実際、こんなモンじゃないのかな、人間の考えることって。透明になっていく課程のCGとか、煙とか、ペイントとか、透明人間を存在させる発想が面白かった。どうせB級映画扱いされるんだろうから、めいっぱい遊んでやれ、という開き直りのようなモノを感じる。 6点(2003-11-26 10:14:25) |
3. 伊豆の踊子(1974)
この二人の主演だから何でも許せてしまうだけで、数ある伊豆の踊子の映像化作品の中では、駄作という気がする。原作の行間から染み出してくる人間模様があまり見えない。男たちが欲望を抱えて集まる温泉地で、客商売をする人々の底にある苦しみ悲しみ。歴然とある階級差。踊り子の人生の先にある転落。踊り子一座の現実が全然分かっていないお坊ちゃんの「私」に対する怨念。それをあからさまに表現しないところが良いのだろうか。 [DVD(邦画)] 5点(2003-11-19 14:06:06)(良:1票) |
4. EAST MEETS WEST
ラストサムライの宣伝を見ていて、ふと、昔話題になってた変なチャンバラウェスタン映画があったような・・・・・・と思い出して、観ました。期待してなかったけど、すっごい楽しい映画じゃないですか!! 言葉の問題とか、案外脚本も真面目に作ってあるし。真田広之の殺陣は基礎からしっかりやってる感じで、見ていて美しいですね。竹中直人も良かった。 5点(2003-11-18 17:59:14) |
5. いまを生きる
中学生の時も、高校生の時も、大学生の時も観た。そして、社会人になってまた観たけど、やっぱり私はキーティング先生は個人的に嫌い。ニールの死はキーティング先生のせいだと思っている。私の気分は、いつも、机の上に立たない生徒なのかもしれない。閉鎖的な、管理教育には悪い部分もたくさんあるが、その中でも子供なりに真面目に規律正しく節制のある大人になろうと、努力している生徒がいることを、ドリーマーな大人は認めてはくれないのだろうか? 子供時代にいろいろな大人に出会うことも、成長のきっかけではあるが、あまり出会いたくない教師だ。自由をはき違えているし、あまりに自分が正しいと思いすぎている。努力してきた価値観を勝手に突き崩し、生徒たちに混乱を引き起こす。この混乱は成長過程として必要なことかもしれないが、自分について来ない生徒を憐れむような真似をし、結局は中途半端に去っていく教師はいらない。そもそも言葉の持つ力を知る(詩の朗読)ということと、半端な自己主張というのは違うような気がするのだが。メッセージ性は認めるが、私には受け取れない。 [DVD(字幕)] 4点(2003-10-31 14:11:57)(良:5票) |
6. インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説
トロッコのシーンは迫力満点。あと、インド神話に詳しいと、なかなかよく出来ている設定だということが分かる。個人的に、テーマ音楽が好き。 6点(2003-10-14 21:45:33) |
7. 伊能忠敬 子午線の夢
非常に配役がよろしい。加藤剛は、実直で剛健で己に厳しく、それゆえに他人を知らずに傷つけるような、孤高の役を演じたとき、本当に上手い。50歳になるまで、大百姓としてきちんと仕事をして、それから自分の好きなことに没頭する。こんな生き方をした人がいたのかと素直に驚いたし、加藤剛のキャラクターも年齢もきちんとリンクしている映画だ。間宮林蔵のからめかたが、なかなか良いし、演じている増田望も上手い。アイヌの人々に関してはあえて深入りして描写することを避けたのか、ちょっと弱かった。島津公の丹波哲朗がハマっているのだが、やりすぎ。賀古千賀子がちょっと浮いていた。印象に強かったのは、町人学者の山片蟠桃が「私は町人だが、あなたは?」と聞いたシーン。あなたの本来の姿・バックボーンはなんなのか? 伊能忠敬は「百姓の自分」を思い出したが、なかなか素晴らしい問いかけだと思う。全体としては、質実剛健な映画で、とくに盛り上がりや大きな感動があるわけでもないのだが、生きる姿勢に関して丁寧なメッセージの込められた映画だった。 6点(2003-09-26 20:12:36) |
8. インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア
《ネタバレ》 トム・クルーズとキルスティン・ダンストの美貌に圧倒されっぱなし。衣装やセットの豪華さに負けない二人の眩さが耽美的で素晴らしい。二人の傲慢・不遜で強烈な気迫に満ちている横で、白塗りが似合っていないブラット・ピットのうじうじとした存在がまた面白い。ルイが主人公であるようで、実はルイを透過してレスタトの孤独が見えてくる、という話の作りはなかなか良い。とにかく耽美的なヴァンパイアの世界にドップリ浸れる素敵な映画。クリスチャン・スレーターはちょっと出てくるだけだけど、現代アメリカっぽさを象徴するような存在になっていて良いかも。 8点(2003-07-24 21:22:38)(良:1票) |
9. インデペンデンス・デイ
自由を勝ち取るための戦いとか独立とかのメッセージを、難しいこと言わずに、カラリと楽しく映画に出来ちゃうアメリカってすごい。地球を守るのもアメリカ!!ときっと本気で思ってるんだろうな。 6点(2003-07-08 19:12:23) |
10. インディアン・ランナー
《ネタバレ》 痛い。観ていて、ひたすら痛い映画。あまり内容が整理されていなくて、役者の演技で持ちこたえているようなところがある作品だが、兄弟の葛藤物語として良くできている。この兄弟の容姿も性格も立場も極端に違う姿は、あまりにも神話的で寓意的である。喜びも悲しみも内包して、一見無表情で、ひっそりと物静かに幸せを探すかのような兄。じゃれたり甘えたりはしゃいだりしながら、どこか斜に構えて冷笑し、ふいにゾッとするような禍々しさを見せる抑制力の無い弟。この二人の対照的な存在が、あまりにもあざやかで、印象深い。ベトナムから帰ってきて、兄の家までは来たけれども「ママとパパはいい」と会わずに帰るフランク。何度か鑑賞していると、その時点で悲しくなってくる。実の親にたった一目でも会うのがイヤだと言ってしまうほどの絶望。そこにあるフランクのナイーブさ。そういうフランクが妻の出産に立ち会うことが出来ずに逃げ出したくなるのは、分かるような気がする。分かるような気もするが、私は女なので、フランクの自己世界に入れてもらえないドロシーとも気分が同調するので、痛い。イタイ。ラストなどは、ほとんどせりふがないのに、二人の苦しみと絶望が伝わってくる。この辺の演出にはただただ感嘆するのみだ。映像も、禍々しさと不条理に満ちながら、それでもいつも兄のほうへ視点を持っていくので、心にストンとおさまる。締めくくる兄の言葉には、現実を受け止めて生きる男の、万金に値する重さがある。人生はすばらしい。 8点(2003-05-20 21:40:42)(良:2票) |