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1.  息もできない 《ネタバレ》 
彼は自分のマイホームを売って、この映画を完成させたらしい。そりゃ息もできないだろ。しかも、手ぶれ映像が、あまりにもひどすぎる。むしろ息ができないのは私の方だよ。私はこういう男は許せない。道を歩いていて、こういうチンピラに突然、頭を小突かれたら、どう思う?つまり、暴力を振るわれた人は、どう感じるか?「この男の人は、家族が不幸だから、仕方ないよね、あははははははは」と笑って許すだろうか?笑えるかよ。絶対に許せないだろう。こういう人間は、好きな人間には暴力をふるわず、好きではない人間には暴力をふるう。それだけなのだ。そもそもこの男が、高校生の女の子をいきなりぶん殴って気絶させるシーンはおかしい。殴られた女の子が自分を気絶させた男と、のんびりと会話をしようと思うだろうか?断じてありえない。男は殺された。しかし殺されていなかったらいつかは誰かを殺していたはずだ。だから男は、自分が殺人者になる前に殺されてよかったとおもう。むしろ彼にとって、殺されることは、1つの救いだったのではないか?つまり、ようやく彼は苦しみから解放されたのだ。彼を倒した弟は、単なる悪がきだが、最後によく仕留めてくれた。とどめも、ばっちりさしてくれた。私はようやく安堵した。社会には因果応報は必要なのだ。主人公の境遇には多少同情するが、仕方なかったと思う。どうか安らかに地獄に堕ちてくれ。
[DVD(字幕)] 0点(2012-09-30 09:45:24)(良:2票)
2.  インセプション 《ネタバレ》 
心地良いほど意味不明でかえって感動した。つまり「キック」とは、夢世界ではその対象者が受動的な立場にあるから必要となるわけだ。ありがとうと言って監督にキックを食らわせたい気持ちだ。ただし、意味が分からなくてもこの作品はフィーリングで楽しめてしまう。まずディカプリオが集めたチームは知的でカッコイイ。しかもイケメンだ。チームの要になる建築士は、もちろん一級建築士ではなくて、夢建築士のことだ。あの才気溢れる女優エレンペイジが夢を設計する!もうこのアイデアだけでワクワクしてくる。空から道路が落ちてくるようなシーンはやはり圧巻だ。こういう頭の良さそうな連中が、キックの連鎖における上階層でのキックの定義およびその虚無に関する現階層での扱いについて、意味のワカラナイことをほざいていても、つい知的なルックスにのまれて、説得力があることを言っているように聞こえてくる。見終えたあとも、キック、虚無、3階層、キック、虚無、3階層!とそんな言葉をぶつぶつ言ってる自分がいる。不思議なことに意味が分からないのになぜかすべてワカッタ気になってしまう。でも私は本当に理解したのだろうか?それとも私は本当にこの映画を観たのだろうか?まだ映画館の中で眠っているのはないか?もしかして今レビューを書いているつもりでいるけど、現実にかえったらもう一度レビューを書かなくてはいけないのではないだろうか。そうだとイヤだな・・。せっかくの力作レビューなのに(わらう)とりあえず、ディカプリオがインセプションされているだとか、いやそうじゃないワタベネの夢物語だとか、いろいろな解釈があるだろうが、じつは観客がインセプションさせられていたと考えるのが一番しっくりくる。さあみんなで叫ぼう。キック!虚無!三階層!これは面白い。こんな斬新な娯楽映画久しぶりにみた。 
[DVD(字幕)] 9点(2011-01-03 19:40:13)
3.  家の鍵 《ネタバレ》 
社会面を賑わす事件のなかで「我が子を愛せない親」が取り上げられ、親失格だとか鬼母だとか批判され、ワイドショーでは心理学者が登場して子供を愛せない親は本能が欠如している、と何度も同じことを言ってますがだけどそんな分析はむなしいだけでこういう悲劇はいっこうに後をたちません。多くの親は我が子を愛することができますが、子供を愛せないで苦しんでいる親も多いわけで、そんな親はきまって自己嫌悪に陥っている。 そういうことを考えてみると、これは親が子供を愛そうとして、愛せなくて、戸惑いながらもそういう現実を受け入れて子供と向き合おうとしている話だとおもう。 つまり、障害をもった子供をもつ親の複雑な心理状態を描いた特異な物語ではなくて、ごく身近な悩める親の姿を描いた物語ではないでしょうか。 多くの人は親が子を愛するのは当たり前だと思いがちですが、そこにはさまざまな障害が存在する。本作では「障害」が隠喩ではなくて、実際の障害(身体的な)として用いられていて、親子の壁になっている。健全な母親ならば、「自分の子供が死ねばいいと思うことがある」と言い切った母親のことを理解したいとも思わないかもしれません。この母親は、一生我が子の介護を続けて自分の人生が台無しになることを苦しんでいるのではなくて、我が子を憎んでしまう自分に苦しんでいる。だからこれを障害児の介護の苦しみと捉えてしまうと本質から外れてしまう。それから主人公の父親がよかった。障害をかかえる我が子の存在を愛しく思ったり、恥ずかく思ったり、戸惑ったり、うしめらたかったり、そういう素直な感情が台詞からではなくて、しぐさから感じ取ることができました。父親は障害をかかえる我が子を他人に見られることを「恥ずかしい」と感じている自分に恥じているのでした。ラストシーンの父親の涙は特に印象に残ります。最初から立派な親などいません。これは1人の男が父親として成長する物語。 
[DVD(字幕)] 8点(2008-04-06 23:28:46)
4.  いつか読書する日 《ネタバレ》 
無機質な町でした。あえて海や緑の映像を撮らなかったことが一層、閉鎖感を漂わせている。そんな町の中を、頭のボケた老人が徘徊する映像は、どれほど好意的に見ようとしても、重い気持ちになってしまいます。末期がん、不倫、児童虐待、老人痴呆、ワーキングプアなど、ありとあらゆる不幸が凝縮された幕の内弁当のような映画でした。「不幸」の大バーゲンに、いさかか疲れを感じてしまいます。大場は50歳独身女。「よし」と気合をいれて登る坂道は、60歳になればもう登れないでしょう。そうなると牛乳配達をやめ、スーパーのレジ打ちの仕事に専念するのでしょうか?しかしセクハラ店長が、年老いた大場を見限り、若い女店員に切り替えるかもしれない。いつ失業してもおかしくはない。未婚なので頼れる息子もいない。たった1人になった大場が老境を迎えたとき、どうやって生きていくのだろうか。自宅で孤独死することも充分ある。キャッチコピーは純愛映画ということになっている。しかし内容は「反純愛映画」です。なかなか結婚してくれない独身娘を心配する親がいるならば、是非この映画を娘に見させて欲しい。そしてこう言うのです。「純愛を貫くのもいいけど、大場美奈子のようになるぞ!」・・・・・・・早く嫁にいってくれるかもしれません。
[DVD(字幕)] 7点(2007-10-22 18:16:47)
5.  硫黄島からの手紙
アメリカ人独特の、敗者に対する優越感が鼻につく。イーストウッドさん、今度はナチスの視点で戦争映画をつくって、ドイツ人にも同情してあげてくださいな。さらに驚いたことに、ジャニーズ事務所のタレントが主役ですか。この頭の軽そうな芸能人が、時代にそぐわない不自然な現代語をぺらぺら喋っていることを、なぜイーストウッドが放置したのか分かりますか?その理由は日本語の台詞は、アメリカでは英語字幕に変わるから放置されたのです。声が小さいことが放置されたのも同じです。つまり、これは「日本」を描いた作品でありながら、日本人観客には優しくない映画になっている。しかもこれだけ長い映画なのにアホな男ばかりで、うつくしい女性がまったく登場しない・・。窒息させる気か!事実を知るだけなら教科書で充分だ。これは「映画」じゃないのか?それによくぞここまで大根役者を集めたものです。大根役者よろしく大根兵士にしか見えません。大根が銃を持って何をやってもしょせん大根にすぎない。中村よ。浮気しているヒマがあるなら演技を磨け。この監督の作品は、夢や希望がないということが一貫している。他人から元気を奪い取ることが、イーストウッドの老後の唯一の楽しみなのだということは、もう分かった。だ、け、ど、ね、こんなにも暗い気分にさせられて、あげくのはてに戦勝国のアメリカ人から日本の歴史をねちねちと教えられている自分が不憫で涙が出てきそうなのです。日本人にとって非常に残酷な映画でした。私はイーストウッドの偽善を許せません。 
[DVD(字幕)] 0点(2007-06-16 01:14:58)(笑:3票) (良:3票)
6.  イノセンス 《ネタバレ》 
オタクに失礼な映画だ。レベルの低い哲学を持ち出してきて、自我と意識が肉体と一緒になって滅びてしまうことに、どうしても納得がいかない連中が考え出した輪廻転生まがいのパロディアニメを、韜晦したふりをしながら見せている。イノセンス、というよりも、むしろナンセンス。身体髪膚これを父母に受く、あえて毀傷せざるはこれ、孝の始めなり、監督はこの言葉を知っているのだろうか。物理的に義体と肉体の境界線を隔てることは、フロイトの「死の欲動」(つまりカントで言うと永遠になろうというか、不死に向う衝動のこと)に影響を受けているのは分かるのだけれども、一言でいえば、子供騙し。 ゴーストという記号は、現代の自分探しに夢中になっている自意識過剰の若者にとっては共感しやすい商業的な発想なのである。 しかしそもそも「私」というものに核など存在しない。人は他人を通じてしか自分を確認することができないのです。 そんなことは監督も知っているだろうに、この男はわざと根暗な自意識過剰者が共感しそうなテーマを捻れた形で装飾し、コアな人気を獲得しようという僥倖を期待している。そこが鼻につく。既に論理が破綻していることは火を見るより明らかであるが、もっと始末に終えないのは、この映画が、監督の悪趣味な言葉遊びが嵩じて、その言葉に溺れてしまっていることだ。
[DVD(邦画)] 0点(2006-11-25 18:29:39)(良:1票)
7.  イン・ハー・シューズ 《ネタバレ》 
難読症である妹が盲目の老人に詩の書いてある本を楽しそうに読み聞かせている場面が一番ツボにはまって泣けました。また姉の結婚式で妹が障害を克服して詩を朗読する場面もぼろ泣きです。もうやばいくらいにツボを直撃しました。 ちゃらんぽらんな妹と仕事しか能が無い姉がそれぞれ自信を取り戻して段々輝いていく様子が非常によかったです。この映画は色んな見方ができると思います。姉妹の和解。父と祖母の和解。妹の再生、姉の再生、とくにコンプレックスの描写がとても丁重に描かれていて共感する人も多いでしょう。「女」として劣等だというコンプレックスを持っている姉が、妹に自分の男をとられてショックのあまり弁護士をやめて犬の散歩のバイトをはじめるというドロップアウトぶりもユーモアがあってすごく良かったです。妹のほうは何をやってもうまくいかないニートなのですが、障害で字も読めないのに女優になろうと夢みて挫折してしまう典型的な負け組みの女の子に見えました。そんな妹を救ったのが母の自殺事件がきっかけで、父から絶縁状態にされてしまった祖母なのですが、よく考えるとこの物語はとても内容が重苦しいですよね?それなのに暗くならずになぜか明るいと感じるのは、たぶん老人ホームの雰囲気がすごく良いせいだと思う。家もカラフルでお洒落だし、住んでいる老人たちの独特のキャラクターも味があって面白い。 ラストは姉が結婚することによりコンプレックスを解消し、そして妹は自分の得意な仕事を見つけることにより再生していきます。見事じゃないですか!現実はもっと厳しいかもしれませんが、こういう夢のある明るい映画があってもいいじゃないですか!観終えたあとはとてもハッピーな気持ちになれる素晴らしい物語でした。
[DVD(字幕)] 10点(2006-10-30 22:39:21)(良:3票)
8.  生きるべきか死ぬべきか
戦争の真っ最中にナチスを皮肉る映画をつくった勇気ある監督に対して敬意の気持ちを込めて「腹をかかえて笑い転げました」と言ってやりたくなるけど建前は言いません。 「チャップリンの独裁者」も本作と同じで、あんなものは全然笑えないわけですが、彼らが映画を通してやっていることじたいは立派なわけですよ。クスッとしか笑えないものが、ここまで「映画史上最高の抱腹絶倒コメディ映画!」として過剰評価される理由は、映画の中身よりもむしろ監督の人格というものが高く評価されているからであり、それに気づかずに、笑いの過剰評価を真に受けた少林サッカーファンが、この映画を観ると10人に1人の割合で逆ギレすると予言しておきます。 果たして天才と呼ばれたルビッチさんがつくったこのお洒落でスタイリッシュで、上品なコメディ映画は本当に笑えるのだろうか? 皮肉な言い方になるけど「おほほ」と手を口にあてて優雅に笑えば良いのか? 私はシェークスピアの台詞を用いた知的なジョークよりも、シュワちゃんのアホなジョークのほうがよっぽど笑える、「がはは」と笑えるのがいい、アホこそコメディの基本だ。笑いに知性やお洒落などクソ食らえである。 ルビッチさんは偉いですよ、だけど笑えません。 笑いたくありません。 笑いものにする相手が悪事の限りを尽くして戦争に負けたドイツだから私たちは優雅に笑えるのだろうというレビューワーの言葉が心に残ります。てゆーか、ヒットラーをネタにした皮肉な映画よりも、いまだにヒットラーで儲け続けているハリウッドを皮肉った映画のほうがずっと面白そうです。 とりあえず、ヒットラー誕生によるアメリカの経済効果を教えてくださいな。
[ビデオ(字幕)] 4点(2006-05-10 21:10:39)(良:3票)
9.  いま、会いにゆきます 《ネタバレ》 
・・・・。交通事故がきっかけで彼女は未来が見えてしまった。そしてすべてを知った。これからあの男性と結婚して子供を生んで・・・すぐに死んでしまうという運命が待っていることを!もし、これからあの男性と出会おうとせずに、別の男性と結婚すれば、彼女には別の人生が生まれて死ぬことはなかった。それは彼女も分かっていた。しかし彼女の決意は自信に溢れていた。 死ぬと分かっていながら、未来の子供と出会うために、彼女は遠くにいる未来の夫に電話をかけた。彼女の決意はこの言葉にすべてが込められている。「いま、会いにゆきます」・・・・・・・。うおおおおぉ!! タイトルの意味はそういうことだったのかー! もう涙ボロボロですよ!! こういうのは、理屈じゃなくて感情だと思います。 一度、泣きのツボにはまったら、もう駄目です。 あの家族が何をやっていても泣けてきます。1つ分かったことはこの映画の映像は、あくまでも今あるものを美しく見せようとするのではなく、あるがままの自然な形をそのまま映そうとしている様子が伺えます。人生は楽しみだけでは不完全。苦しみや悲しみが伴ってはじめて完全なものになる─。 最初は冷めた目で見ていたことは事実です。私もいちおう男だから泣くなんて恥ずかしいと思っていた。しかし後半から涙が出そうになるのをこらえるのがだんだん苦しくなってきた。 そして最後のあの日記のせいで私の努力は涙の泡・・いや水の泡となってしまった。 貯まった涙がダムの決壊したときのように勢いよく流れてしまったのです。まさにボロ泣き洪水注意報発令ですよ(T_T)
[DVD(字幕)] 9点(2005-06-19 02:28:53)
10.  イン・アメリカ 三つの小さな願いごと
母親はサマンサモートンが演じました。これがまたしっかりしている母親なだけに、父親の情けなさがよけいに目立ちました。 国を捨て、必死の思いでアメリカにやってきたのに、俳優という夢を追いかけている父親のために、幽霊屋敷に住まされ、クーラーもない。 私はこの母親が子供と一緒に、いつ家を飛び出すのかと思ってみていたら、じつは非常に結束力の強い家族でした。 それと、子供を失ったことを、いつまでも引きずって生きている夫婦に違和感を覚える人が多いようです。しかし実際にそれを永遠に忘れずにその悲しみを背負って生きていく人も大勢います。 うちのおばあちゃんは、何人も子供を生んだ人ですが1人だけ子供を病気で亡くしました。 そのおばあちゃんは、自分が亡くなる瞬間まで、失った子供のことで泣いている姿を何度か見たことがあります。この映画の夫婦は、子供を失ったことを認めたくなかった。しかし最後でようやく「死んだ」という事実を認めました。だからといって、これから楽しく生きていけるという意味ではなく、一生年老いて死ぬまで、死んだ子供のことで涙を流して生きていくのだと思います。 家族とは楽しみだけを共有しあうのではなく、悲しみも共有しあう。そういうことが分かった映画でした。
[DVD(字幕)] 8点(2005-04-01 22:57:09)(良:2票)
11.  イルマーレ(2000) 《ネタバレ》 
ラストの「これから、ぼくの話を信じてくれますか?」という後にどういう話をして彼女を信じ込ますのか非常に興味があります。「実はぼくたち2人は知り合い同士なんだよ。君は覚えていないだろうけど、ぼくたち2人はお互いが惹かれあっているんだ♪」と言うのかな? しかしそれはナンパとしては最悪の手口かもしれないし、信じられるはずもない。 そのときに彼女が猟奇的な彼女に豹変し、逆切れして「ぶっ殺されたい?」と言ってイルマーレの廊下から男を海へ突き落とすシーンを私は想像しました。 たぶん間違いないでしょう。
[映画館(字幕)] 7点(2005-01-26 00:30:19)
12.  イル・ポスティーノ
透き通るような青色の海とペンキで塗られたような真っ青の空に挟まれた孤島で、牛のように穏やかに暮らす人々の物語です。 私の地元は常に鉛色の空で覆われている場所ですから羨ましく思いながら見ていました。 そうです、この映画を見れば誰もが詩人になれます(笑)  特にマンハッタンが舞台の騒がしくて刺激があり、混沌とした映画を見慣れている私には、まるで睡眠薬を飲まされたようにスリープしてしまいそうな映画でした。 景色と人間が理想的に描かれている癒し系の映画だと思います。 ただし、リアリティがあるかといえばNOです。 人間の葛藤がない映画は、ちょっと味気ない食べ物みたい。 毎回こういう映画を見ていたら、たまらないと思う。  こういう映画は心の中を掃除するつもりで時々見るときが一番楽しい。
7点(2004-03-14 13:50:14)
13.  活きる
この映画は「検閲」が通らなくて見れない時期もあったという。 当然のことながらこれは中国政府には面白くない映画の代表作。  いまや世界的に有名な監督のチャン・イーモウだが彼自身、「文革」で苦い目にあわされてきただけに、批判精神が強いのだと思う。 これを観ると文革は、とにかく怖いものだということがじわじわと伝わってくると思う。 中国人の誰もが1つの思想を信奉し、異分子を絶対に許さない態度をとっているが、明日は我が身が異分子扱いにされてしまうという恐怖感が伝わってくる。 観ていても息が詰まりそうになる圧迫感があった。 この時期は生きることが最も困難だったときかもしれない。 「活きる」というタイトルはとても面白いと思う。このような状況でも中国人はすべてを受け入れて生きてきた。単純に生きる事、なんとか生活している家族を見ているだけでも感動できる。 誰も自己実現とか自分の存在理由などで悩んではいない、立派な行いもしていない、ただ生きているだけであるけど、それが輝いて見える。 これは生きることに感謝できる人からのみ発散される輝きかもしれない。 これがどのようにして作られたかはDVD版「活きる」のメイキングをぜひ見てもらいたい。 興味が2倍になるはず。    ちなみに最近の中国映画は、検閲を無視したいわゆる下電影(地下映画)が若い監督の間で作られているという。 もっと本当の中国が見たい。
10点(2003-11-13 14:04:10)(良:2票)
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