1. イン・ザ・カット
シリアスな人間ドラマだったり、戦争モノだったり、はたまた濃厚なベッドシーンだったり。ある一定の年齢以上の女優が、この種の作品に出ることは、それだけで「演技派」としての印象を持たれがちになるものだ。ところが、それは誰しもに当てはまる絶対的なイコールではなくて、ライトな恋愛映画やコメディでも「上手いなぁ」と観客を唸らせ、存在感を見せつけることはできる。すなわち、作品の種類やエロティックなシーンの有無と役者の実力は無関係なのだ。「ラブコメの女王」として、この10年不動の地位を築いてきたメグライアン。演技は決して上手ではないけれど、大きな瞳をクリクリさせて、愛くるしい仕草、キュートな表情で絶対的な人気を得、観客もまた男女の別なくそんな彼女を欲しがった。ところが当の彼女は、自身のそんなキャラクターを拒絶するかのように、たびたび(彼女にとっては必要のない)「戦火の勇気」のような不釣合いの作品に出たがった。あたかも戦争映画に出ることが「演技派」としての印象付けが可能な護符であると信じているかのように。そして今回もまた・・・ラブコメがよく似合うということは、彼女が決してチープな女優だということを意味しない。ゴールディ・ホーンをみてみるといい。コメディの専門家である彼女がメリル・ストリープより劣るなんて思っている映画ファンはだれ一人としていない。メグライアンは実力とキャラクター、そして自身の願望との乖離が年々悪化していってるように思う。彼女が外すべきものは洋服のボタンでもなければ、ラブコメでもない。「自分の実力とキャラを素直に受け入れる勇気を!」と彼女に伝えたい。「フレンチキス」のアナタは最高に輝いていたじゃないか、と。 3点(2004-06-12 12:32:25)(良:1票) |