1. イントゥ・ザ・ワイルド
《ネタバレ》 昔、「生きている意味が分からない」とベトナムに出征し、片足と手の指を失ったアメリカの若者が居たそうだが。彼にとっての幸福とは、純粋な「生きているという実感」だったのではないかと思う。……いかに裕福な家庭や才能に恵まれていても、嘘まみれの社会や偽善的な家族の中では生きていることを実感できない。彼は何にも邪魔されることなく、純粋に「幸せ=生きている実感」を感じたかったんじゃないか。だから、自分ただ一人の命を純粋に向き合える環境、つまり「アラスカの大自然の中」を目指したんだと思う。……幸せも、生きている実感も、結局、自分一人だけでは実感できない。最後にそう悟れた彼の一生は、皮肉だけれど、幸せで悔いはなかったのではないか。木版に刻まれた、彼の最後のメッセージのように。 「世界中のみんなが、幸せでありますように。僕の一生は、幸せだった」 [映画館(字幕)] 8点(2008-10-19 23:39:16) |
2. 硫黄島からの手紙
《ネタバレ》 この映画が、戦争映画として従来の映画と一線を画しているところは、徹底された戦争の客観視にあると思う。一方の悲惨や戦争犯罪を追いかけるのではなく、日本人が米兵に対して行うリンチ、米兵が日本人捕虜に対して行った処刑など戦時下の狂気の中で発生する残虐行為に加え、双方の立場の人間にも対等に、「愛する家族の存在」を描いている。……バロン西が捕虜の米兵の手紙を読んでいるところで思わず涙腺が緩んでしまった。「若造。お前はアメリカ人に会ったことがあるのか?」そりゃそうだ、戦時下で会ったこともない相手だからこそ敵軍として抽象的に憎めるのだ。相手にも自分達と同じ家族のある人間に過ぎないことをリアルに知ってしまったら、情も移ってしまうだろう。……下のレビューにも描かれていたように残念なのは、今までこんな映画を日本もハリウッドも撮る事ができなかったことだ。分っていながら誰もが踏み込むことのできなかった世界に、「父親たちの星条旗」に続いて見事に一歩を踏み出したクリント・イーストウッド監督に、心から敬意を表したい。……皮肉ではなく、この映画はまるで戦争映画撮影の教科書のようだ。物語はともかく、戦争映画を撮影するなら、この映画のような視点で撮影しなければならない。数年前に遊び半分で撮影されたとしか思えないような尻軽女のラズベリー戦争映画とは対極的だ(比較するのもイーストウッドに失礼だが)。今回、中国が国策からハリウッド撮影決定に成功した南京大虐殺の映画も、完成すれば目を覆わんばかりの歪んだ歴史認識が溢れていることだろう。芸術を国策に使い汚す人間には、イーストウッドの爪の垢でも煎じて飲めと言いたい。……たった一つ、どこの国にも立場を越えて共通していることは、これら先人達の累々たる犠牲の上に、自分達の享受している現代の豊かな生活があるという事実。でも栗林中将、常識であるハズのそんな事実を受け継がず、尊い歴史の犠牲となったあなた達への感謝の念すら忘れ去られていることを、他の国の映画に諭されなければならない現実があまりにも悲しいのです。 [映画館(字幕)] 9点(2006-12-30 00:11:14)(良:1票) |
3. イントゥ ザ ブルー
《ネタバレ》 バハマのコバルトブルーの海のなんと美しいこと。あんな海で宝探しなんて羨ましい。おまけにジェシカみたいなとびきりの美人が一緒だなんて言うこと無し。金持ちになるより、彼らの奔放な生活が羨ましい。ヤクの売人と結託した元凶の男がのうのうと生き残って金持ちってのは納得いかなかったけれど。 [映画館(字幕)] 6点(2006-08-14 22:04:25)(良:1票) |
4. イーオン・フラックス(2005)
シャーリーズ・セロンの同じ人類とは思えないあのプロポーションと美貌は反則である。彼女の為のプロモーション映画と言っても過言ではない。彼女の美しさの演出へのこだわりは随所にみえた。‥‥‥しかし、それだけ。あまり映画の設定やシナリオに理屈っぽくケチをつけるのは映画ファンの姿勢に反するので嫌だが、この映画は大きな背景を説明できず言葉で省略しすぎて、かなり空っぽになった感がある。実は悪だった的なベタベタのオチや記憶喪失の超能力がある主人公、フラッシュバックは前世の記憶など使い古された設定は良いとして、映画の中で展開される物語に至るまでの過程やレジスタンスのボスも最後まで善悪がはっきりしないため、組織の目的や発生の意図、目指すものや存在意義も分からない。「倒そうとする組織と狙われる政府」の構図や設定が明確ではないので、末端の工作員の主人公がいくら頑張っても物語にも面白さがない。‥‥‥ただ、映像の随所にみえるジャパナイズは観てて面白かった。背中に背負った忍者刀ならぬガンホルダー、特殊部隊や狙撃隊の忍者ファッションや、畳や壁の雲紋様などのインテリアデザイン、生死をかけた舞台の桜。薬物を使った通信や口笛爆弾など描かれている未来図は意外性があって新しかった。「人間は死ぬもの。だから、生きる意味があるのよ」物語は浅いのに、台詞は深いのが憎い。 [映画館(字幕)] 3点(2006-03-12 11:20:08)(良:1票) |
5. インデペンデンス・デイ
この映画を観ていて子供のような考えが浮かんだ。地球上が平和になる可能性のひとつは、こんな脅威が地球外からやってくることなのかな、と。思想も文化も言葉も価値観も違う多くの民族をひとつにまとめることなど無理な話だ。だからアメリカはイラク、中国は日本、いわゆる仮想敵国を作って国内の人々を教育し不満を他へ逸らし一致団結を促す。そんな意味ではこの映画はアメリカの象徴とも言えるかもしれない。もしこんな地球外生命体がホントにやってきて、地球全体が仮想敵国主義に陥ったら、みんな民族同士の争いなんてやっとる場合じゃないわなあ、と。そんな秩序をもし平和と呼べるのならば、仮想敵国主義なしに、地球上の平和なんてあり得ない気がした。弱点がコンピューターウイルスって着眼点には苦笑いながら面白い。チープには違いないがシンプルに楽しめた作品。ウィル・スミスの配役は大正解だろう。「宇宙人のケツを蹴っ飛ばしてやります!」あんな台詞をカッコ良く言ってみたいものだ。墜落した宇宙人をブン殴るあたり、あのユニークなテンポは彼ならではだと思う。アメリカ万歳の匂いは少なく、地球の危機だけでなく人々の団結、主人公の宇宙への夢とロマンスなど、伏線もあってそれなりに見応えがあった。 6点(2005-02-07 02:27:26) |
6. インディ・ジョーンズ/最後の聖戦
このシリーズで初めて観たのがこの作品だった。欲張り過ぎではと思えるほどに最初から最後までクライマックスの連続、これこそが誰もが楽しめる純粋な冒険映画だ。CGが極度に発達していない時代だからこそなのか、「ダイ・ハード」同様、完全無欠のヒーローではないからなのか。冒険のひとつひとつに現実味があり、世界中を縦横無尽に駆け回る活躍に心が躍ったものだ。あのBGMにのって颯爽と活躍するハリソン・フォードに加え、ショーン・コネリーの存在感。今ではこんなに気持ち良く手に汗を握れる作品はなくなってしまったが。いつまでも次世代に語り継がれていってほしい、「冒険映画の王道」的作品である。 [映画館(字幕)] 8点(2004-10-20 00:55:26) |