1. インビジブル(2000)
もし自分が透明人間になれた時、一体どんな行動をとるだろう。人間ならばそれは即ち悪さ、しかないハズだ。この作品の主人公は、もともと悪巧みの目的で透明になった訳ではないのだが実験のミスによって心が歪み、最後には最悪の行動までに至ってしまう。中でも、終盤での口封じの為に仲間達を残酷に殺し続ける姿は異常だ。人間は優越感を得ることで心が満たされるが、それが傾き絶対的な立場になった時その心理状態はどうなるのか?という答えが生々しく出ている様に思える。早い話がこれは悪意ある「es」だ。犯罪者に対する優越感と同じ様に、見えている者に対する優越感。本作での透明人間である主人公が他者と交わす言動から、それが序所に明るみになっていくところがおもしろい。映像の面では、透明人間に至る過程のグロCGは見応えがあった。透明になるとすれば僕の頭の中のイメージだとパッと消えるぐらいのものしかなかっただけにこれはとても斬新だ。水をかけたり消火器をかけたりして姿を現す場面もなかなかいい感じ。少し不満なのが、ラスト。火炎放射器や電流を浴びせられかけても死ななかったのはどういう事か。相手は透明なだけで生身の人間の筈では‥‥あんなにホラー的にしなくてももう少し、らしい倒し方があったとおもうのだけど。ただこの作品を見て透明人間に対して思ったことがある、というのは透明人間なんて自分だけがなれるから甘美に思うものであって、それは人間の究極的な優越感の探求の産物なのかもしれないという事だ。 [地上波(吹替)] 7点(2005-06-24 06:25:41) |