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自己紹介 映画って本当に良いですね、晴郎さんが言っていた。忠夫さんが熱く語っていた。荻さんは斜めに座って、ちと難しめな解説をしていた。土曜日には、テレビの前のあなたとお会いしましょうと、約束され、日曜日の夜には、さよならを、それも三回言われてしまう。その時まだ小中学生。今、その人達と同じ年齢になり、私も同じような事を言い始めている。追いつけたのか?それがこのレビュー。

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1.  イカとクジラ 《ネタバレ》 
淡々と描く映画がある。作る側が解釈のためのサービスをしないので、観るものが解釈しなければならない。この映画は、普通の日常の、意味がありそうだと思わせるエピソードを意図的に重ねている。これぐらいのサービスが無いと映画として成り立たないし、また、そこのぎりぎりのサービスから解釈するのが映画の楽しみでもある。性的な部分と親子関係のエピソードが多いので、観ている方は、「精神分析医」になって、話を聞いているような感じがする。(私は臨床心理の専門家ではないので、そうなんだろうって想像ですが)。登場人物、特に息子二人の行動には、「意味」がありそうである。作者は映画にするんだから「意味」があるんですよと言っている。ここは、観るものの想像に委ねられている。登場人物がわがままだとか馬鹿だとかの感想を述べてもいいが、それで映画の内容の批判をしてもしょうがない。この淡々とした感じは、主題の普遍性の高さを物語るが裏付けである。みんな見ていて、理解できるところがあるでしょって。イカとクジラの意味は? さぁ、父親のマイ・アイドルの座からの陥落とそれによる自分の成長、今後さらに続く苦しい、藻掻くような人生の予感? セックスという行為自体のメタファー? 素人精神分析医はいろいろと考えたりするのです。
[DVD(字幕なし「原語」)] 7点(2011-06-26 11:47:08)
2.  イル・ポスティーノ 《ネタバレ》 
自然と歴史。人間の力が抗い用もないこの二つに、小さな人間は時には従順に時には抵抗し、生きる。海の綺麗な漁村、共産主義運動の高まり……二人の交流は言葉であった。郵便配達人は言葉が書いてある手紙を運ぶ。詩人は詩という言葉を配達人に教える。貧富名声地位国籍を越えた、一つの魂と一つの魂の交流。海と空は二人には何も語らず、むしろ、二人がそこに何かを見つける。時代が二人を引き寄せ、二人を離す。最後、時代は彼を死に追いやる。残された者はその思い出をその変わらぬ風景の中懐かしむ……フェリーニの「道」もそうだが、途中経過を飛ばしたいきなりの主人公の死、イタリア映画は時に反則だ。見る者の眼から涙を絞り取る。
[DVD(字幕)] 8点(2008-02-11 14:25:56)
3.  生きるべきか死ぬべきか 《ネタバレ》 
もうラブコメの定番を作っていらっしゃる。三角関係の、誤解が誤解を生み、という。「ああどうしよう、さあどうしよう」、「まぁ、そちらがそうなら、こちらもこうよ」「あなたのためならどこまでも」と迷い+思いこみ+犠牲=ラブコメ、という方程式を見つけた。それに、ロマンチックな場所と、綺麗な小道具と、お洒落な台詞があればいいのさ、とラブコメの大監督は教えて下さる。誰かこのパターンを破るラブコメを作ったかしらん? 私は知りませんね。「ああどうしよう、さあどうしよう」、もうタイトルに表れているではありませんか。しかも、大向こうを相手にコケにする度胸もおありのようだ。感服。
[DVD(字幕なし「原語」)] 7点(2008-02-11 13:40:16)
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