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プロフィール
コメント数 181
性別 男性
自己紹介 「刑事コロンボ」旧作全作品批評終了。
「チャップリン長編映画(一時間を越える本人登場作品のみ)」全作品批評終了。
「名探偵コナン」映画……15作品のうち14作品終了。
「黒沢映画」……まだまだ

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1.  いぬやしき 《ネタバレ》 
原作は結構はまって読んだ。アニメも見た上での感想。時間が短いのでところどころ省略があるのは仕方ないと思うが、問題は二人の対決。かなり趣を変えており、また隕石の衝突がないのでそこで話が終わっている。だから獅子神が「実は生きていた」描写が解決されずに終わってしまう(むしろない方がよかったのではないか)。それにビルから助け出された娘が感謝して泣くのではなく、機械化した父に疑念の目を向けるのもあまりいただけない。公園での衝突の際の宇宙人の会話がないのは仕方ないのかもしれないが、せめてもう少し「宇宙人が何かしている」ぐらいには見せるべきだと思うし、獅子神の「バン」は、本当にただ「バン」というだけなので迫力がない。一番原作と似てるなと思ったのは「2ちゃん大量殺人事件」(仮称)の「1」。そっくり(笑)。原作はあまりにも殺人描写が多いが、それに耐えられる人は読んでみると面白いかもしれない。
[インターネット(邦画)] 5点(2021-09-22 13:51:08)
2.  インサイド・ヘッド 《ネタバレ》 
発想が面白いと思ったが、実際見てみるとあんまり面白くなかった。人間の感情ってあんなに単純じゃないだろうという疑問が消えない。これはもしかすると製作者(アメリカ人中心だと思われる)の文化的限界かも知れない。土居健郎著「甘えの構造」によると、欧米の言語には「甘える」という言葉がないという。日本語も英語もできるある女性が自分の子供のことについて英語で筆者と話していたときに突然「この子はあまり甘えませんでした」とそこだけ日本語でいい、また英語に戻って話を続けたという出来事があって、筆者が後で「なぜあのときだけ日本語を使ったのか」と質問すると「あれは英語では言えません」という答えが返ってきたという。またマーク=ピーターセン著「日本人の英語」によると「悔しい」という気持ちを英語で一言で表現することはできず、「彼女は悔しかった」という言葉を英語で言うなら「彼女はちょっといらいらしてどうのこうの…」といちいち説明しなければならないとのこと。日本人は感情をあまり顔に出さないが、それは文化的に感情を表に出すのが大人の態度ではないと考えられていることに加えて、日本語が欧米の言語では表現できないような「ちょっとした感情」までをも事細かく表現できる語彙を持っているせいかもしれない。ある欧米人神父によると日本語で一番わかりにくいのは「気」という言葉だという(甘えの構造)。確かに「気が重い」「気が晴れる」「気になる」…等々、いくらでも出てくるちょっとした感情を表現する言葉がある。日本人には普通に使い分けられても欧米人には難しいということは、逆に言えば欧米人の言葉は感情(ことに微細な感情)を表現することにおいて日本語よりも格段に劣っている可能性が高い。言葉だけの問題ではなく、理解そのものが浅い可能性もある。「甘えの構造」には英米人の精神医たちが患者と面接する部分を筆者が見学する場面があるが、そのとき筆者は医者たちが患者の隠れた甘えの感情を容易に察知できないでいることに気がつき「専門家ですらこうなのか」と驚きを隠せなかったとある。 これらがことごとく事実だとすると、人間感情を理解する点において、欧米人は日本人の足元にも及ばないと言えるだろう。あまりにも単純すぎる理解しかない。この映画にしても人間感情がたった5つの感情の働きで支配されているわけだし、しかもその5つのうち映画で活躍するのは「よろこび」と「かなしみ」だけで、極論すればたった2つの感情だけに人間は支配されているとも単純化できる。これはあまりと言えばあまりにも浅い人間理解であり、ここの批評を見てもわかるように物足りなさや浅さを感じてしまう日本人が多いのも納得できるような気がする。それと蛇足だがカタカナ邦題(しかも原題と違う)が気に食わない。「心の中の物語」とかなんとかした方がいいだろう。子供向きなんだから、子供にもわかる方がいい。
[インターネット(吹替)] 5点(2017-06-17 11:32:18)
3.  生きる 《ネタバレ》 
黒沢映画や日本映画という枠を越え、すべての映画の中で最高傑作を争える作品。「生と死」という重い厄介な主題と取り組んでここまで感動的な物語を作り出したことが何よりすばらしい。一つ一つの場面の何と痛烈なことか! 公園計画の邪魔をしたくせにいざ公園が完成すると手柄を横取りする助役が厭味たっぷりな演説をぶって一同お追随を打った直後のお焼香の場面、こんな強烈な皮肉が他にあるだろうか。役所の連中にひとかけらの良心でもあるのなら、強烈に自分を恥じるしかないではないか。また主人公がヒロインと最後の会食をする場面、「自分にも、何かできる。ただやる気になれば」と興奮しながら立ち去るところで「ハッピーバースデー」の歌が重なるところは何度見ても本気で泣けてきてしまう。主人公の「生きる」姿を祝福しているのである。誕生日の歌はこのすぐ後に役所の場面でも繰り返されて主人公の「生きる」姿を強調している。その直後に急転直下で通夜の場面になってしまう意外性、さらにその通夜の席で主人公の行動と「癌だったことを知っていたのかどうか」の真相が次第に明らかになり、主人公が残り少ない命を真に燃焼し尽くし、その死は無念な悲惨なものではなく満足した上での死であったことも明らかになる。何度も何度も取り直したという「馬鹿野郎!」「助役とはっきり言えよ!」という左卜全の痛烈なセリフがこちらの肺腑にまで届く。またその場面で終わらずに、所詮は皆の感動も酒の席の上での決意でしかなかったことを見せる場面があってから公園の場面で終わるのも深い見せ方だ。他にも胃袋のレントゲン写真からはじまる冒頭、無音の状態からいきなりクラクションの爆音が響く場面などなど、恐ろしいほど考え抜かれて書かれたシナリオであり、天才が全力投球するとこうなるのだと言わんばかりである。この素晴らしすぎる映画にあえて欠点を言うなら、やはり主人公が超人的すぎ、話が理想的に進みすぎることだろう。それととんでもない誤解を受けたからと言って息子に何も知らせず死んでいくのはやはりちょっと息子に気の毒な気がする。そういう部分はあるが、息子についてはともかく、主人公が超人的すぎ話が理想的すぎることについては「生きものの記録」「どですかでん」できちんと回答を出しているように思う。一つの金字塔であり、この作品がある限り自分が日本人であることに誇りが持てる。心から感謝したい。
[地上波(邦画)] 10点(2010-08-01 05:02:20)
042.21%
131.66%
273.87%
3189.94%
42111.60%
53720.44%
63921.55%
72312.71%
8126.63%
994.97%
1084.42%

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