1. 犬猫
落ち着いた色の布地に、タイトルロールや配役を表記。うん、小津安二郎への自己言及。たしかに、食卓を映した固定ショットや、ロングショットは小津的ですな。そんな映像が、監督の感性豊かな温かい絵でもって描かれる。とても、感じが良い。そして、小じんまりした邦画にありがちなことで、会話は聞き取れないわけだけれど、全く重要なことを話してないから問題なし。というか、映像の中でも、「重要」なシーン(同棲相手の男を捨てるところとか)が描かれていない。さらに、ショットとショットの編集が、つながりを持っていない。家に帰るヒロインのショットの後、別のヒロインが家に帰ってきたりする。物語映画における空間的な連続性も、時間的な連続性を、監督は全く意識していない。小津にオマージュを捧げつつも、小津映画のなかにあった時間イメージを崩壊させている。ちょっと映画史的にすごいかもしれない。 [DVD(字幕)] 5点(2011-05-18 14:37:10) |