1. いとこのビニー
笑えて為になる法廷コメディ。 裁判の慣習とか、弁護士と検察の駆け引きや戦術など、いろいろと勉強になる。 自分は法の世界とは全く無関係な人間だけど(笑) 「二次提案」などの法律用語も出てくるし、こういうウンチクを詰め込んだ映画は結構好き。 ペシ「俺の巧みな話術で検察から資料のコピーを全部貰ったぜ!」 トメイ「バカ!弁護士から要求があったとき、検察は全ての情報を開示する義務があるのよ」 ペシ「え~?!」 ↑この場面なんて『世界一受けたい授業』のVTRみたいで面白かった。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2020-10-25 18:26:40) |
2. 異端の鳥
《ネタバレ》 ひたすら続く暴力描写に目を背けながら観ていた。 どうして同じ人間がこんな恐ろしいことを他の人間にできるのかと。 しかし、少年をレイプしていた男がネズミがうじゃうじゃいる穴の中に落ちたとき、自分は全く動じずにスクリーンを見つめていた。 むしろ「やった!」と喜んでいた。当然の報いだと。 なんなら落ちる前から「落とせ!落とせ!」と期待していた。 結局、自分も暴力を肯定していることに気付いて怖かったなー。 その根本は「少年が彼から逃げてほしい」というものであったとしても、あの男にくたばってほしいと思っていたことに変わりはない。 「これは悪だ」と信じてしまったら、それに暴力を振るうことを悪だとは思わなくなる。 第二次世界大戦時に数多のユダヤ人が犠牲になったホロコーストに限らず、ほぼ全ての暴力、殺傷はその心理から来るのだろう。 そして、自分も他人事ではない。 [映画館(字幕)] 9点(2020-10-19 09:29:30) |
3. インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌
《ネタバレ》 コーエン兄弟の人間の描き方というか、映し方?が好きだ。何かをやっても上手く行かず、環境に振り回される人間は様々な映画に登場するが、この兄弟の映画に出てくる人たちはちょっと違う。愛らしいのだ。 ルーウィンは決してダメな男ではない。お世話になっている夫婦の猫ちゃんが脱走すれば走って捕まえに行くし、自身が妊娠させてしまった相手の中絶費を払うためにフリーランスとして仕事を引き受けた。ちゃんと責任を取ろうとする男ではあるのだ。彼なりのプロ意識や、ミュージシャンとしてのポリシーも持っている。そして、常に夢を見ているわけではなくて、まともな生活を送るためにかつてのように船に乗り海に出ようともしている。 夢は叶わない。嫌なヤツとばかり出会う。思い通りにいかない人生を送るルーウィンをコーエン兄弟はいつものようにコミカルに描くが、主人公のその姿は実に人間らしいと感じた。元・相棒の影に苦しむルーウィンはとても自然で、ちょっと美しくも見えた。 残念ながら、彼はこの映画の最後まで成功を手にすることはない。しかし、その姿に哀しさはあまりない。本作はオープニングの場面にループしてエンディングを迎えるのだが、これからもルーウィンはこんな感じであり続けるんだろうなぁと示唆させられた。ポケットに100ドルくらいだけ入っていて、どこかで知り合った人の部屋で寝泊まりし、歌う場所をさまよって、くたびれた顔で“存在”し続けるのだなぁ、と。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2017-07-12 15:02:48) |
4. 怒り
《ネタバレ》 その人を信じているから、信じていたいから、疑ってしまう・・・ということなのだろうか。 冒頭に紹介される殺人事件の犯人が、本作の登場人物の誰かだということを仄めかす演出をしているので、観ている側の緊張感も高まり、グイグイと引き込まれた。本作はジャンルとしてはドラマに分類されるのだろうが、『犯人探し』というサスペンスが加わることによって、よりスリリングな映画になっている。 全貌をヴェールに包んだ状態から少しずつそれを剥がしなら観客に見せていく、美しいストーリーテリングだ。 千葉、東京、沖縄。3つの場所で別々のストーリーが展開されるのだが、その結末のコントラストも興味深い。 洋平と愛子は信じることを諦めかけたものの、田代をもう一度迎え入れることができた。 直人への疑いが晴れないまま時が過ぎた結果、優馬は予期もしなかった永遠の別れに涙することとなった。 そして、田中を信用していた辰哉は、完全に裏切られることになってしまった。 しかし、こうして見ると実はあまりコントラストにもなっていないような気もする。その人を信じていたかどうかなんて関係なく、裏のありそうな人間を勝手に信じたり疑ったりしていただけで、他の人間が知らなかった現実がただそこにあるって感じ・・・かな? 「辰哉は山神容疑者の顔写真を見ていないから何も疑っていなかっただけなんじゃないか」とも思ったが、例えば洋平は初めから田代に不信感を抱いていたから、彼を八王子の事件の犯人だと疑ったのかもしれない。田代のことを信用していたら、山神に似てるとすら思わなかったんじゃないかな?優馬に関してもそうで、知り合いの多くが空き巣に遭っているということと、若い女性と一緒にいる直人を目撃したことが重なって、直人に不信感を抱いていた。だから、テレビに映った山神の顔が直人に見えてしまっていた、なんてことはないだろうか? いずれにせよ!良い映画だ。役者たちの熱演ぶりにはただただ感動するしかない。 [映画館(邦画)] 9点(2016-09-27 00:43:27) |
5. イエスマン "YES"は人生のパスワード
「自分の人生に最も影響を与えた映画って何だろう?」そういうことをふと考えていると、実はこの映画なんじゃないかという結論に辿りついた。高校生のときにこの映画を観て以降、僕は“Yes”と答えることが明らかに増えたのだ。 “Yes”と答えたその先に何があるのか。それを確かめに行くのはとてもスリリングでエキサイティング。それが結果的にあまり楽しくなかった場合でも、新しい経験をしたということが一つの価値になる。普段やらないことをやれば、今まで知らなかった自分に出会える。 人は皆、“幸せ”を手にしたくて日々を生きている。そして、大抵の人は、その“幸せ”に繋がるような道を選んで生きているのではないかと思う。僕自身も、“幸せ”とは例えるなら高い階段の一番上にあって、一段一段上っていくと到達できるものだという認識を持っていた。 しかし、この映画を観ると、“幸せ”は実はそこら辺に転がっているものなんじゃないかと思えてくる。「あれもYes、これもYes」というように、様々な機会を拾いあげていって、たまたまそこに“幸せ”が混じっている。“幸せ”とはそういうものなのかもしれない。そういうことをサラッと考えさせてくれた映画。そのサラッとした感じが良かった。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2016-05-25 13:29:08)(良:1票) |
6. イタリアは呼んでいる
“ごぶごぶ”っていう関西ローカルのテレビ番組があるんです。ダウンタウンの浜田雅功と東野幸治が町をぶらぶら歩くだけのロケ番組なんですが、ほとんど編集せずに撮って出しで放送しているような内容です。でも、あのダラーっとした感じが心地良くて観ていて楽しいんですよね。 しかし、この番組を例えば外国人が観ても面白くないと思うんですよ。浜ちゃんとか東野のことを知らない人間からしたら、おっさん二人がコロッケ食べて「まぁ美味しいな」くらいの感想を言い合う番組を観てもすぐにチャンネルを変えられるでしょう。あの二人のことをある程度知っていて、尚且つ二人の関係性を知っている人ほど楽しめる番組だと思うのです。 この映画がまさにそんな感じでした。 スティーヴ・クーガンはホット・ファズくらいでしか観たことなかったなぁ、そういえば。 [映画館(字幕)] 4点(2016-05-12 10:38:05) |
7. インヒアレント・ヴァイス
なんとも不思議~な、“グルーヴィ”な映画でした。複雑なプロットですが、そこは重要ではない。頭を使って観るものではないですね。明るい絶望感の漂うLA(街そのものがヤク中)、キャラの濃い登場人物たち(おかしな名前ばっかり)、お洒落な台詞(フランクになろう)、70’sの音楽・・・とにかく目に入るものと耳に入るものに酔いしれました。クスリやってみたい!とはギリギリならなかったけど、フローズンチョコバナナは食べたいなー。誰かの目の前で下品に頬張りたい。そして、後半のあのサービスシーンに関しては本当にありがとうございました。僕も前に座っていた男性客も足を組んで観ていました。 [映画館(字幕)] 8点(2015-04-20 09:29:18) |
8. インターステラー
まさにジェットコースターのような映画でした。正直、プロットはあまり理解できませんでした。宇宙船内で繰り広げられる会話に関しては10%くらいしか理解できなかった。これは自分の頭の鈍さが最大の原因なんですけれども、そんなことがどうでも良くなるくらいに「面白かった」んですよね。興奮しっ放しだったんです。前半はそれこそ高波のように迫りくる科学的情報の量に圧倒されてノレなかったのですが、後半のあの疾走感!爽快感!そして不覚にも涙腺が緩む展開!絶頂でした。完全に我を忘れてしまって映画の世界に入り込んじゃうと、他の点はどうだって良くなるんですよね。映画鑑賞って、結局は「体験」ですから。 [映画館(字幕)] 9点(2014-11-30 23:08:45)(良:1票) |