1. いま、会いにゆきます
(2005年、テレビ録画視聴時のレビュー) 竹内結子と中村獅童の「できちゃった婚」の報道があった後なので、ちょっとシラケ気味の気分で観始めたのですが、シラケ気分は早々にぶっ飛びました。 徹底的に静謐な世界が描かれていて、とても好ましい作品でした。 自分の実生活を省みても、なかなかこういう静謐で穏やかな夫婦関係というのはありえないだろうと正直思いますが、だからこそこういう夫婦関係に涙してしまうのかもしれませんね。 現実のこの二人(竹内結子&中村獅童)が「できちゃった婚」をしていることが象徴的と言っていいかもしれませんが、現実の男女関係と、この映画で描かれる男女関係は、完全に乖離しています。 まるで戦前の映画を観ているかのような錯覚すら覚える純愛映画であり、リアリズムとはかけ離れています。 しかし、そもそも「死んだ妻が生き返る」というファンタジー映画でもあるので、この二人の純愛ぶりもファンタジーとして、素直に受け入れられるのです。 だから、手を触れるだけでドキドキしてみたり照れ笑いをしてみたりという「ありえない夫婦関係」を、「美しく尊いもの」として観ていられました。 竹内結子も中村獅童も、少なくともこの作品中ではとても美しかったです。 終盤でファンタジーの種明かしがされるのですが、これもなかなか秀逸。ただしエンドロールでかかるオレンジレンジの曲はカンベンです。 せっかく形成された静謐な世界がぶち壊しです。 世界の中心とやらで何か妙なこと叫んだりするよりも、こういった静謐な純愛モノのほうが日本映画らしくていいのではないかと思います。 [地上波(邦画)] 8点(2021-02-02 01:18:36)(良:1票) |