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1.  サンセット大通り
所謂サイレントの時代には本作のタイトルと対をなす「サンライズ」という傑作があり、執事のマックス役のシュトロハイムが監督し、映画のオールタイムベストには必ず顔を出す「グリード」があり、劇中、グロリア・スワンソンが道化て扮するチャップリンの一連の作品は言うまでもないが、スワンソン自身「チャップリンの役者」に出演してたりする。スワンソンが劇中語るように映画が最も輝いていたのはサイレントの時代であり、映画は音声というものを得た替わりに見る者に与える夢を失い、また、質そのものもノーマのキャリア同様、凋落(つまりサンセット)の一途をたどっているのだろうか・・・という危機感をワイルダー自身、本作製作当時に抱えていたことは想像に難くないが、映画を撮り続けることの必然を見出そうとし、得た答えが(誤解を承知で言えば)最早映画とともに心中するしかない、というものであるがゆえ逆説的に作品に永遠の生命を吹き込む、という何とも皮肉な離れ業をやってのけたことには只々敬服するしかない。つまり、本作のオープニング、死人のモノローグから始まるという当時としてはえらく斬新であった手法も「終わりから始まる」という永遠の時間軸の中を生き続ける、ということからその必然が理解できよう。すなわちエバーグリーン。
9点(2002-03-07 12:19:31)(良:1票)
2.  サイモン・バーチ
主人公サイモンは障害者であり、周囲から心無い中傷を受け続けているにも拘わらず、自分が神のプランを担う道具であることを信じて疑わないがゆえ、ポジティブに生きようとしていたり、使途として象徴される子供達がバスに乗り込むシーンでは御丁寧に2度も人数がカウントされ、ラスト、サイモンが殉教することによって、それまでの生に必然を持たせようとする手法はアーヴィングにしては些か分かり易過ぎ、また、キリスト教の教条主義的匂いすらしてくる。が、それらを超えて描かれる少年同士の友情物語的側面には俳優の頑張りも手伝い、ジワリと感動させられる。影像も美しい。
7点(2002-02-04 17:30:42)
3.  サイダーハウス・ルール
M・ケイン演じる先生は、毎夜、孤児たちに「メインの王・・・」と語りかけ、ファジーは人にもらわれたと思い込ませ、孤児院の管理者達にはホーナーは一流の大学出の立派な医者だと説明し、そして、ホーマーの心臓は・・・。本作にはいくつもの嘘が語られる。しかし、それはあくまで優しさに裏打ちされたものであり、そこでは例えば「嘘はついてはいけません」とかいう教条的なおしつけ、あるいは一見普遍的と思われる倫理や規則などより、人生においてはもっと大切なことがあるのだというメッセージが込められているのであり、それゆえに小屋に張られてあった規則(サイダー・ハウス・ルール)を燃やす場面が象徴的に扱われているのだと思う。それとやはり映像的に大変美しく、個人的にはホーマーが初めて海を見るシーンの海の青さと砂浜の白さ、林檎園で風に吹かれて舞い散る落ち葉などがすごく印象残っている。
8点(2001-07-29 01:14:24)
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