1. ザ・ワン
レンタルで見たのよね。パッケージの煽りに乗って。でも、あのジェット・リーが「マト・リロ」を蹴って選んだ作品っていうのは、ちょっとリーさんが可哀想では?アクション・シークエンスの洗練さでは、キアヌの方が遥かにいいし、現実味のあるアクションの泥臭さなら、ジャッキー・チェンの作品の方が遥かにいい。そもそも、ジェット・リーには、前述の二人に匹敵するカリスマは、どうしても感じられないんですよねぇ。何より、特撮の陳腐さが笑える。それよか、ジェイソン・ステイサムさんってば、こんなとこで何してんの?って、思ってしまった。この人、いい味のある、いい役者だと思うのだけどなぁ。リー主演だとしても、ステイサムにもう少し焦点を絞っていれば、結構味わいが出たかもしれないのになぁ。これもまた、ドラマ性の方が面白そうなのに、アクションを売りにした結果、見事に失敗した典型みたいな作品だったな。とにかくさ、ジェット・リーのにやけ顔がスケベったらしくて、凄く嫌。 3点(2004-10-12 23:56:48) |
2. 細雪(1983)
これは、最高に好き。原作至上主義にとっては、途中でブッツリ切れてしまうから、何事ぉと思うかもしれないだろうけど、映画としては、映像美といい、構成といい、文句ないと思う。四季折々の美しさや、和服の見せ方、家屋の佇まいや人物の描き方など、市川作品らしいショットで巧みに見せて、魅了してくれる。岸・佐久間・吉永・多岐川の4人の女優の共演が素晴らしい。けど、やはり吉永。旧家の御嬢様の嫌らしさを鼻に付く1歩寸前で演じる吉永小百合は、やっぱり見事に美しい。その吉永の義妹に懸想する曖昧さを、石坂浩二がやはり見事に演じてる。夫婦として、姉妹として、恋人として、他人として、人としての感情の機微が、登場人物全てに反映していて、且つ、食傷気味にならない。市川崑って、ほんとに役者を使うのが上手い。 10点(2003-11-03 00:29:01) |
3. ザ・リング
何事ぉぉぉ!!ってとこかな。「リング」って、こういうもんだったかなぁ? 日本版を忠実にリメイクしようとしたことが失敗、っつうか、「ギフト」で既に分かってはいたんだけどさ。なんで、アメリカの人が作ると、こんなに乾いてしまうんだ。怨念どころか、執念も感じられないっしょ。あの湿気っぽさは、やっぱり日本の風土特有のものなんだなぁ。いっそ、キリスト文化御得意の、ワッツの息子役の子が、エクソシトなりダミアンなりに変貌して行く方が、よっぽど面白いんじゃないのかな。馬も、なんか、不愉快なだけだったし。とにかく、映画館まで行かなくてよかったぁって作品だった。 3点(2003-09-02 00:41:22) |
4. ザ・ウォッチャー
確かに、「羊たちの沈黙」や「セブン」の踏襲路線だなぁ。でも、どこにポイントを置くか絞れてないから、ストーリーが大味になってるし、せっかくの設定が活きてない。それに、路上生活者の彼女はともかく、カメラ屋さんの彼女が、あれだけ大袈裟に探し捲っているのに本人が気付かないっていうのは、なんかなぁ。連続殺人鬼が元捜査官に執着する意味合いが稀薄なのも大味の原因なんだけど、本作のキアヌは、わりと好きだな。どこか投げやりで、どこか無感覚な笑いが、却って怖い。でも、ブラピも「デビル」で断るに断れない出演をした経験があったけど、役者の皆さんは多かれ少なかれ、そういう経験があるんですねぇ。それを思うと、ラストも、もっと思わせぶりの方が面白いとは思うけど、キアヌ自身が、完全に殺してくれと望んだのかもね。 4点(2003-07-19 23:17:02) |
5. 三銃士(1973)
大好きな作品のひとつです。軽快で颯爽としていて、豪快で愉快で、豪華で優雅で、そして色っぽくて妖しい。豪華過ぎるキャストは、それぞれの持ち味を存分に発揮している。ダルタニアンのマイケル・ヨークは夢と冒険心を両手に抱えた張り切り小僧って感じで凄く可愛い(この当時の若手イケメンは、このタイプだったんだな。マーク・ハミルっぽい感じ)。でも、なんといっても、フェイ・ダナウェイのミレディの悪女の魅力と、チャールトン・ヘストンのリシュリュー枢機卿の小面憎さは絶品。お貴族様と庶民との生活の差もきっちり描いていて、デュマの原作を全く損なうことなく見事に映像化している。以前、地上波で放送された時の吹き替えが見事に嵌まっていて、吹き替えのほうが好きという稀有な一作でもある。イ・ダナウェイ 10点(2003-05-21 17:35:42) |
6. ザ・メキシカン
「街頭インタビューに答えて、私優しい人が好きよと、優しくなれない女達が答える」という、中島みゆきの歌詞のフレーズを、ついつい思い出した。逆らえば組織に殺されるかもしれないジェリーに、約束が違うと怒るサマンサは、まるで、仕事が出来なきゃリストラされるかもしれない亭主と、仕事を言い訳に子供の面倒も見てくれないと怒る女房の構図が見えるようだ。要するに、現代の先進国夫婦あるいは恋人達が抱える一般的な擦れ違いを、コミカルに描いた作品である。ただ、ブラッド・ピットのファンとしては、別の意味で興味深い作品でもある。本作の興行の失敗、前評判の意外なほどの悪さ、同年に製作された「トラフィック」、そして、ジュリア・ロバーツの参加が「トラフィック」への出演を断られた腹いせ的なものだと思えば、全く興味深いが、真相は無論、出ないだろう。が、どう考えても、ハリウッド映画界の御偉方というのは、外個人俳優がハリウッド映画で活躍するのは○でも、ハリウッド・スターがギャラ度外視で外国映画に出るのは×らしいと、実感した作品でもある。それでも、あるいは、それだからこそか、ブラッド・ピットの演技は、気負いもなく、生き生きとジェリー役を楽しんでいて、おそらくは、素のままのブラピが楽しめる一作である。もっとも、気取ったジュリアよりは、こういうジュリアの方がいいなと思ってしまう辺り、女としては、自己弁護も出来ない、かも。そんなの我が侭だよと頭では分かっていても、パーフェクトに強くて優しい男を望んでしまうサマンサの気持ちも、分かってしまうんだな。 8点(2002-11-23 01:38:13) |